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この節では,VMSINSTAL.COM を使用するにあたってシステムで準備すべきガイドラインを提供します。すべてのソフトウェア製品が,次に挙げるガイドラインのすべてを満たさなければならないというわけではありません。
3.3.1 使用準備の実行
VMSINSTAL.COM を使用するためには,次の処理を行っておく必要があります (任意の順序で構いません)。
$ SET LOGINS/INTERACTIVE=0 |
DCL ヘルプ・ライブラリをアップデートするレイヤード製品のインストール時に, (すべてのユーザをログオフせず,) あるユーザが DCL ヘルプにアクセスしていると,そのレイヤード製品用のヘルプ・ファイルはインストールされないので注意してください。この場合,インストレーション・プロシージャが警告メッセージを作成し,そのヘルプ・ファイルを作業ディレクトリに格納します。 |
$ SET DEFAULT SYS$SYSTEM $ RUN AUTHORIZE |
そして,UAF プロンプト (UAF>) に対して,次のコマンドを入力する。
UAF> SHOW SYSTEM |
詳細は 第 7.1.2 項 を参照。
UAF> MODIFY SYSTEM/DIOLM=100 |
詳細は 第 7.1.2 項 を参照。
ライセンス とは,製品に必要な使用権を意味します。ライセンス管理機能 (LMF) を使用すると,ソフトウェア・ライセンスオンラインで登録,管理,および記録することができます。
PAK (製品登録キー) は,多くの弊社製品に関する情報が含まれているキーです。 PAK に提供されているデータを使い,システムのライセンス・データベースにソフトウェア・ライセンスを登録することができます。
OpenVMS オペレーティング・システムのインストール中にオペレーティング・システムのライセンスを登録もロードもしなかった場合は,ソフトウェア製品をインストールする前に,この作業を行う必要があります。また,必要であれば別のライセンスの登録も行います。
VMSINSTAL.COM を使用するには,ローカル・ノードにのみライセンスをロードする必要がある。
ライセンスのロード方法については,『OpenVMS License Management Utility Manual』を参照してください。
3.3.3 ノードによる PAK 共用の防止
LICENSE MODIFY コマンドに /NO_SHARE 修飾子を指定すると,ライセンス・データベース (LDB) に登録されている PAK に NO_SHARE オプションを追加することができます。 NO_SHARE の PAK は, OpenVMS Cluster システム内の単一ノードに割り当てられます。 NO_SHARE PAK を他の OpenVMS Cluster のノードと共用することはできません。
この修飾子を使用すると,LDB 内に他の PAK が既に存在するソフトウェア製品で,この PAK を使用しようとする時に生じる問題を回避できます。 PAK は,同じソフトウェア製品の他の PAK とは結合しないため, LICENSE-W-NOCOMB 警告メッセージが表示されます。ほとんどの場合,ライセンスは,ロードしたいノードにはロードされません。
この問題を回避するためには,次の操作を行います。
VMSINSTAL.COM を実行するにあたっては,次の事項に注意してください。
求められた処置を行わずにプロシージャを継続した場合,インストール結果は保証されません。 |
VMSINSTAL.COM を実行するには,次の形式でコマンドを入力します。
@SYS$UPDATE:VMSINSTAL product-list source: [OPTIONS option-list] [destination] [qualifiers] |
$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL CALENDAR020 MUA0: |
この例は MUA0: ドライブの磁気テープに入っている CALENDAR020 という名のセーブ・セット製品 CALENDAR をインストールしている例です。オプションなし,修飾子なしの最も単純なコマンドの例です。
以降の項では,VMSINSTAL.COM コマンド行で使用できる必須およびオプションのパラメータについて説明します。
パラメータ | 参照箇所 |
---|---|
製品リスト | 第 3.4.1 項 |
ソース | 第 3.4.2 項 |
オプション | 第 3.4.3 項 |
出力先 | 第 3.4.4 項 |
BACKUP コマンドの修飾子 | 第 3.4.5 項 , 第 3.6.3.3 項 |
インストールの終了方法については, 第 3.4.6 項 で説明します。
3.4.1 製品リストの選択
製品は,セーブ・セット という,複数のファイルを格納するため特別にフォーマットされたファイルに格納されています。インストールやアップグレードでは,セーブ・セットに含まれるファイルがシステム・ディスクに移動されます。
製品リスト・パラメータは,これからインストールする製品のリストです。このパラメータは,レイヤード製品をインストールしたり,オペレーティング・システムをアップデートしたりするときに使用します (アップグレード・プロシージャを実行する場合,製品 VMSnnn は 1 つしかリストできません)。
レイヤード製品のインストールとオペレーティング・システムのアップデートを同時に行おうとする場合,ワイルドカード文字を使用しないでください。この場合は,システムのアップデートを最初に行う必要があります。ワイルドカード文字を使用すると,VMSINSTAL が製品リストをアルファベット順にソートし,その結果,オペレーティング・システムが最初にインストールされなくなります。 |
製品リスト ・パラメータに複数の項目を指定する場合は,それぞれの項目をコンマで区切ります。その際,スペースを間にいれないでください。製品リストを指定するには,次のフォーマットを使用します。
facvvu |
表 3-1 に,この facvvu の形式の意味を示します。この形式を使用すると,複数のバージョンとアップデートが入ったディストリビューション・メディアから,その製品の特定のバージョンとアップデートをインストールすることができます。バージョンやアップデート番号を指定しない場合は,指定された製品のすべてのバージョンとアップデートがアルファベット順にインストールされます。
fac | 製品名コード (1 文字から 36 文字の英数字) |
vv | メジャー・バージョン番号 (2 桁) |
u | マイナー・バージョン番号 (アップデート番号とも呼ばれる) (1 桁) |
ディストリビューション・キットからインストールを行う場合は,ディストリビューション・メディアに入っている製品リストはキット内容表に記述されています。製品リストがない場合は,DIRECTORY コマンドで確認してください。 DIRECTORY コマンドを入力すると,ディストリビューション・メディアに入っている製品が表示されます。
製品リストを表示する場合は,次の形式でコマンドを入力します。
MOUNT/OVERRIDE=ID 装置:
DIRECTORY 装置:[0,0]
ただし,装置はディストリビューション・メディアが装着されているドライブです。
ディスク・ディレクトリからインストールを行う場合は,次の形式の DIRECTORY コマンドでディスク・ディレクトリを指定することによって,製品リストを表示することができます。
DIRECTORY node::device:[directory] |
$ MOUNT/OVERRIDE=ID MUA0: %MOUNT-I-MOUNTED, VMS071 mounted on _MUA0: $ DIRECTORY MUA0:[0,0] |
MUA0: ドライブに入っている製品を表示する DIRECTORY コマンドの例です。表示例を次に示します。
Directory MUA0:[000,000] 000000.DIR;1 BACKUP.SYS;1 BADBLK.SYS;1 BADLOG.SYS;1 BITMAP.SYS;1 CONTIN.SYS;1 CORIMG.SYS;1 DECW071.C;1 DECW071.D;1 DECW071.E;1 DECW071.F;1 INDEXF.SYS;1 ISL_SCRIPT.ESS;1 SECURITY.SYS;1 SYS0.DIR;1 VMS071.A;1 VMS071.B;1 VMS071.C;1 VMS071.D;1 VMS071.E;1 VMS071.F;1 VOLSET.SYS;1 Total of 22 files. |
$ DIRECTORY BRAVO::DUA1:[0,0] |
この DIRECTORY コマンドは,ノード BRAVO の DUA1: ドライブに存在する製品を表示します。
遠隔ノードにアクセスする場合は,ディレクトリに対する読み込みと実行のアクセス権 (R,E) が必要です。 |
ソース・パラメータはインストールするソフトウェア製品のソースを示し,次のうちのいずれか 1 つを指定することができます。
ソースとして論理名を指定することもできます。ソースが省略された場合, VMSINSTAL.COM は次のプロンプトを出して,指定を求めます。
* Where will the distribution volumes be mounted: |
VMSINSTAL.COM には,6 つのオプションを使用することができます。 表 3_2 に,この 6 つのオプションを示します。各オプションについては, 第 3.6 節 でさらに詳しく説明します。
オプション文字 | オプション名 | 説明 |
---|---|---|
A | Autoanswer | アップグレード後の製品の再インストールを簡略化するオプション。再インストール中の問い合わせとプロンプトに対して応答する。レイヤード製品のインストールにのみ使用。 |
AWD= | Alternate Working Device | 一時作業ディレクトリの代替作業ディレクトリの指定。レイヤード製品のインストールまたはアップデートの実行にのみ使用。 |
G | Get Save Set | 磁気テープまたはディスク・ディレクトリへの一時的な製品セーブ・セットの格納。時間の節約になる。レイヤード製品のインストールにのみ使用。 |
L | File Log | インストール中のファイルの動作をターミナルに記録する。 |
N | Release Notes | レイヤード製品に含まれるオンライン・リリース・ノート・ファイルの表示またはプリント。 |
R | Alternate Root | 使用中のシステム以外のシステム・ディスクへの製品のインストール。 |
各オプションは,VMSINSTAL.COM コマンドにおいて OPTIONS キーワードの後に指定します。OPTIONS キーワードは省略することができます。しかし,リスト形式でオプションを指定する場合は,リストの前に必ず OPTIONS を入力する必要があります。OPTIONS キーワードを入力せずにリスト形式を指定すると,VMSINSTAL.COM はエラー・メッセージを表示してインストールを中止します。オプション・リスト・パラメータとは,必要なオプションのリストのことです。
複数のオプションを指定する場合は,それぞれのオプションをコンマで区切ります。スペースを間に入れないでください。
$ @VMSINSTAL.COM NEWAID021 MTA0: OPTIONS A,N |
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