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出力先パラメータは省略することができます。省略時の設定では, システム・ディスクのシステム共通ディレクトリ SYS$COMMON と見なされます。ただし,次の 2 つの場合,出力先パラメータは必ず指定する必要があります。
装置: [SYSn.] |
装置 | 代替ルートが存在する装置 |
SYSn. | 代替システム・ルートのトップ・レベルのディレクトリ |
定義済み論理名を代替ルートに使用することもできる。
装置:[ ディレクトリ ] |
装置 | 出力先のディスク・ドライブ |
ディレクトリ | 通常は,指定したディスク上の製品セーブ・セットの保管専用ディレクトリ |
VMSINSTAL.COM コマンド・プロシージャには,セーブ・セットを出力先ディレクトリにコピーする BACKUP コマンドが含まれています。このため,VMSINSTAL.COM の Get Save Set オプションに BACKUP 修飾子を指定すると,コピー操作のチェック,ログ表示,確認を行うことができます。詳細は 第 3.6.3 項
を参照してください。
3.4.6 インストール終了時の処理
インストールが終了すると,VMSINSTAL.COM は,インストールした製品の要求に従って,次のいずれかの処理を行います。
製品のインストール終了後,アップデートしたシステム・ディスクのバックアップを取ってください。
バックアップの方法については, 第 11.17 節 で詳しく説明します。
3.5 システム障害からの回復
アップデートまたはオプションのソフトウェア 製品のインストール中にシステム障害が発生した場合,VMSINSTAL.COM は,システムの再ブートを行ってインストールを続行しようとします。システム障害の発生時期によって,次のいずれかの操作を行います。
コマンド・プロシージャ VMSINSTAL.COM は,
表 3-2 で簡単に説明した 6 つのオプションを選択するかどうか尋ねます。以降の節では,それら 6 つのオプションについて詳しく説明します。
3.6.1 Autoanswer (A) オプションの使い方 (レイヤード製品のみ)
Autoanswer オプションは,再インストール中, VMSINSTAL.COM の問い合わせとプロンプトに対して応答し,アップグレード後の再インストールを簡略化します。アップグレード後,製品を再インストールする場合には,このオプションを利用してください。
初めて製品をインストールするときに Autoanswer オプションを使用すると,SYS$UPDATE ディレクトリに product.ANS の形式で 応答ファイル が作成されます。ここでの product とは,VMSINSTAL.COM の起動時に指定する製品名パラメータです。
応答ファイルには,VMSINSTAL.COM からの問い合わせとプロンプトに対する応答が記録されます。たとえば,Autoanswer オプションを選択して,NEWAID010 という製品をインストールしたときの応答ファイル名は NEWAID010.ANS です。
製品を再インストールするときに Autoanswer オプションを選択すると, VMSINSTAL.COM は問い合わせをせずに応答ファイルを読み込みます。 Autoanswer オプションは,一般的に,オペレーティング・システムのアップグレード後に使用します。
製品を再インストールするときに新しい応答ファイルを作成する場合は,すでにある応答ファイルを削除します。
Autoanswer オプションを使用するには,次のコマンドを指定します。
$ SYS$UPDATE:VMSINSTAL.COM NEW$PRODUCT010 CSA1: OPTIONS A |
その後,次のコマンドを実行すると,ファイルの内容を確認することができます。
$ TYPE SYS$COMMON:[SYSUPD]NEW$PRODUCT010.ANS;1 * Do you want to install the entire kit [Y]? \ * Are these selections correct [Y]? \ * Does this product have an authorization key registered and loaded? \Y * Will you allow a system shutdown after this product is installed [YES]? \ * How many minutes for system shutdown [0]: \ * Do you want to do an automatic system reboot [YES]? \ $ |
3.6.2 Alternate Working Device (AWD=) オプションの使い方
このオプションは,製品のインストレーション・ガイドをチェックして,その製品でサポートされていることを確認してから使用してください。 |
Alternate Working Device オプションを使用すると,一時作業ディレクトリ用の代替作業ディレクトリ (論理名:VMI$KWD) を指定することができます。代替作業ディレクトリが存在すると,通常システム・ディスクに必要とされる未使用ブロック数より少ないブロック数でも,インストールを行うことができます。
このオプションが指定されなかった場合,VMSINSTAL.COM は次の場所に一時作業ディレクトリを作成します。
SYS$SPECIFIC:[SYSUPD.facvvu] |
facvvu については, 表 3-1 を参照してください。
Alternate Working Device オプションは,次の形式で指定します。
AWD= 装置: [ ディレクトリ ] |
装置 | 代替作業装置 |
ディレクトリ | facvvu を作成するディレクトリ |
ディレクトリは省略することができます。ディレクトリを省略した場合は,指定した装置上の [000000.facvvu ] というディレクトリ指定に作業ディレクトリが作成されます。ディレクトリを指定した場合は,指定したディレクトリ内のサブディレクトリとして作業ディレクトリが作成されます (たとえば,WORK.facvvu )。指定したディレクトリが存在しない場合は,ディレクトリは作成されません。
次の例では,代替装置 DUA2 に [INSTALL] という作業ディレクトリを作成しています。
$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL.COM NEWAID010 CSA1: OPTIONS AWD=DUA2:[INSTALL] |
3.6.3 Get Save Set (G) オプションの使い方 (レイヤード製品のみ)
オペレーティング・システムのコピーに Get Save Set オプションを使用することはできません。 |
ディストリビューション・テープからインストールしても,コンソール・メディアからインストールしても,製品を直接システムへインストールするのは時間がかかります。 Get Save Set オプションを使用すれば,ユーザが別の作業をしている間に製品セーブ・セットのコピーを一時的に格納するので,時間の節約になります。つまり,アップデートなどの作業を,都合のいい時間に,しかも短時間で行うことができます。
どこかのノードに,製品のライセンスを受けたユーザしかアクセスできないディスクを用意しておきます。このような専用のディスクに製品セーブ・セットを格納しておけば,ライセンスを受けたユーザは,その製品セーブ・セットに高速にアクセスできます。
3.6.3.1 製品セーブ・セットを保管する
Get Save Set オプションを使ってディスク・ディレクトリに製品セーブ・セットを保管する場合は,次のコマンド構文で VMSINSTAL.COM を使用します。
@SYS$UPDATE:VMSINSTAL.COM 製品リスト ソース OPTIONS G - 装置: [ ディレクトリ ] |
ディレクトリは既存のものであり,装置はマウントされている必要があります。
Get Save Set オプションしか使用しない場合は, OPTIONS G パラメータの直後にディスク・ディレクトリ名を入力します。G とディスク・ディレクトリ名の間にはスペースを 1 つ入れてください。たとえば,コンソール・ドライブにある NEWAID010 という製品のセーブ・セットをディスク・ディレクトリの USER1:[PRODUCTS] に保管する場合は,次のコマンドを入力します。
$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL.COM NEWAID010 CSA1: OPTIONS G USER1:[PRODUCTS] |
Get Save Set オプション以外のオプションも使用する場合は,最後のオプションの後にディスク・ディレクトリ名を入力します。この場合も,最後のオプションとディスク・ディレクトリ名の間にはスペースを 1 つ入れます。たとえば,次のようなコマンドを入力します。
$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL.COM NEWAID010 CSA1: OPTIONS G,N USER1:[PRODUCTS] |
VMSINSTAL.COM は,製品セーブ・セットを保管するためのファイルを指定されたディスク・ディレクトリに作成します。 次に,セーブ・セットのファイル名の形式を示します。
facvvu.x |
facvvu の意味については, 表 3-1 を参照してください。ファイル名拡張子 (x) は次の意味を持ちます。
x | セーブ・セット・ファイルを特定するための文字型ファイル・タイプ。 A が最初のセーブ・セット,B が 2 番目,C が 3 番目など。 |
システムに製品をインストールするためには,次のコマンド形式で
VMSINSTAL.COM を起動します。
@SYS$UPDATE:VMSINSTAL.COM 製品リスト 装置: [ ディレクトリ ] |
次の例では,NEWAID010 という製品をインストールしています。
$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL NEWAID010 USER1:[PRODUCTS] |
VMSINSTAL.COM が,システム・ディスクに NEWAID 製品をインストールします。
3.6.3.3 バックアップ修飾子の指定
Get Save Set オプションを使用すると,/VERIFY, /LOG, /CONFIRM という 3 つの BACKUP コマンド修飾子を指定することができます。修飾子は,Get Save Set オプション (G) のパラメータとして渡されるので,二重引用符で囲みます。VMSINSTAL は,このパラメータを VMSINSTAL 内の BACKUP コマンドに渡します。次の例には,Get Save Set オプションと BACKUP 修飾子が含まれています。
$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL TEST042 DUA0:[KITS] OPTIONS G DUB0:[KITS] - _$ "VERIFY/LOG/CONFIRM" |
この例に示した修飾子について,次の表で説明します。
修飾子 | 説明 |
---|---|
/VERIFY | 保存,復元,またはコピーの処理が終了した後,出力指定子の内容を入力指定子の内容と比較する。ファイルが正しく比較できなければ,そのことを通知するエラー・メッセージが表示される。 |
/LOG | 処理された各ファイルのファイル指定を,操作中にターミナルに表示する。省略時の設定は /NOLOG。 |
/CONFIRM | 各ファイルを処理する前に,ターミナルにプロンプトを表示する。ファイルを処理する場合には Y または YES を入力して Return キーを押す。 Return キーを押すだけというように,他の応答をすると,NO と解釈される。 |
BACKUP コマンドとその修飾子についての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
3.6.4 File Log (L) オプションの使い方
File Log オプションは,インストール中のファイルのすべての動作をターミナルに記録します。
ファイル関連の活動状況とは,新規ファイルの作成,ライブラリの更新,ファイルの削除などのファイルの処理に関係する動作のことです。
3.6.5 Release Notes (N) オプションの使い方
Release Notes オプションは,レイヤード製品と OpenVMS アップデート・プロシージャに添付されているオンライン・リリース・ノート・ファイルの内容を表示またはプリントします。
レイヤード製品にはオンライン・リリース・ノートが用意されていないものもあります。 |
リリース・ノート・ファイルで使用できる形式は, facvvu .release_notes です。ここで, facvvu は製品名コード,バージョン,そしてアップデート番号を表します ( 表 3-1 を参照)。たとえば,NEWAID010.RELEASE_NOTES という形式を使用します。
リリース・ノートが用意されていて,N オプションが指定された場合, VMSINSTAL.COM は次の問い合わせを行います (大括弧内は省略時の応答です)。
Release notes included with this kit are always copied to SYS$HELP. Additional Release Notes Options: 1. Display release notes 2. Print release notes 3. Both 1 and 2 4. None of the above. (1) *Select option [2]: (2) *Queue name [SYS$PRINT]: (3) *Do you want to continue the installation [N]: |
次に,上記の例の番号の付いたプロンプトについて説明します。
%VMSINSTAL.COM-W-NOFILE, New File facvvu.RELEASE_NOTES does not exist. %VMSINSTAL.COM-W-NORELNOTE, unable to locate release notes. *Do you want to continue the installation [N]: |
リリース・ノートの有無に関係なく,インストールを継続したい場合は,Y (YES) を入力して Return を押す。
3.6.6 Alternate Root (R) オプションの使い方
Alternate Root オプションを使用すれば,使用中のシステム以外のシステム・ディスクに製品をインストールすることができます。これは,システムの現在の動作を中断せずにレイヤード製品をテストしたい場合などに有用です。
代替ルート (Alternate Root) の VMS オペレーティング・システムが完全なものである必要があります。また動作中のシステムと同じバージョンまたはアップデート・レベルであることが必要です。製品のインストールで参照されるすべてのファイルとソフトウェア製品が代替ルートに存在する必要があります。
オプションのソフトウェア製品の中には,代替ルートにインストールできないものがあります。代替ルートにインストールできるかどうかについては,個々の製品の資料をお読みください。 既存のシステム・ディスクの代替ルートに製品をインストールすることはできません。 |
R オプションを指定すると,代替ルートに製品がインストールされます。しかし,代替ルートにアカウントを作成したり,代替ルートからシステムを再ブートしたりすることはできません。
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