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論理名を使用して,Mail ユーティリティで使用するインターネット・アドレス・モードを制御する方法の詳細については,『Compaq OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。
5.8 MIME (Multipurpose Internet Mail Extension) ユーティリティの設定
MIME は,テキスト以外のファイルをメール・メッセージに添付してインターネット上に送信するために使われる規格です。 MIME ユーティリティによって,MIME によってエンコードされたメール・メッセージを OpenVMS システム上で読み込み,構築することができます。
MIME によって,ユーザは,グラフィックス・ファイルやオーディオ・ファイルなど,普通テキストとしてエンコードされるテキスト以外のファイルをエンコードして送信することができます。ただし,多くの場合,これらのファイルは読むことができません。 MIME ユーティリティは,インターネット経由で送信された MIME ファイルをオリジナルの形式にデコードします。また,MIME ユーティリティで,ユーザは MIME でエンコードしたファイルを作成することができます。このファイルは,OpenVMS Mail ユーティリティを使ってメール・メッセージとして送信できます。
ユーザが MIME ユーティリティをどのように使用できるかの詳細については,『Compaq OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。
5.8.1 フォーリン・コマンドの定義
MIME ユーティリティの唯一のインストール作業は,このユーティリティを実行させるために次のようなフォーリン・コマンドを定義することです。
MIME:== $SYS$SYSTEM:MIME.EXE |
MIME$MAILCAP.DAT と MIME$FILETYPES.DAT の 2 つのファイルを作成することで,システム全体に有効な省略時の値を設定して, MIME でエンコードしたメッセージを表示することができます。
MIME$MAILCAP.DAT は,MIME でエンコードした着信ファイルのローカルに認識されるコンテンツ・タイプを,どのアプリケーションで表示するかを識別します。 MIME$FILETYPES.DAT は,コンテンツ・タイプを発信ファイルのファイル拡張子に関連付けます。
ユーザは,SYS$LOGIN でこれらのファイルを作成することにより,その省略時の設定を上書きすることができます。これらのファイルの詳細については,『Compaq OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。
5.9 カスタマイズ内容の保存
システムをインストールし,カスタマイズした場合は,システム・ディスクのバックアップを作成することをおすすめします。 第 11.17 節 を参照してください。
VAX システムの場合,コンソール・ボリュームのバックアップを取ってください。 コンピュータにコンソール記憶装置がある場合は,オリジナルが壊れた場合のためにコンソール・ボリュームのバックアップ・コピーを取ってください。 OpenVMS オペレーティング・システムの SYS$UPDATE ディレクトリには,コンソール・ボリュームを空きボリュームにコピーする CONSCOPY.COM というコマンド・プロシージャが用意されています。
コンソール・ボリュームのバックアップ手順は,コンピュータによって異なります。バックアップの具体的な方法については,使用している VAX コンピュータのアップグレードとインストレーションに関するマニュアルを参照してください。
この章では,OpenVMS システム上のシステム時刻を制御する方法について説明し,システム時刻がどのように UTC (協定世界時) と関連するかを説明します。また,夏時間で,ローカル時刻が変更したときに,ローカルのシステム時刻を正しく保つ方法についても説明します。この章では次の作業について説明します。
作業 | システム | 参照箇所 |
---|---|---|
タイム・ゾーン情報の設定 | OpenVMS Alpha バージョン 7.3 | 第 6.2 節 |
タイム・ゾーン情報の設定 | OpenVMS Alpha (バージョン 7.2 以前) および OpenVMS VAX | 第 6.3 節 |
タイム・ゾーン情報の設定 | OpenVMS Cluster | 第 6.4 節 |
夏時間の調整 | 全システム | 第 6.5 節 |
バッテリ付き時計 (BBW) を使用した時刻の設定 | OpenVMS Alpha | 第 6.6 節 |
言語および日付/時刻形式の選択 | OpenVMS | 第 6.7 節 |
時刻のカスタマイズの保存 | OpenVMS VAX および Alpha | 第 6.8 節 |
SYSMAN を使用したシステム時刻の管理 | 第 6.9 節 |
6.1 システムでの正しいタイム・ゾーン情報の設定
OpenVMS バージョン 7.0 以降において,時刻計測の国際的な標準であるUTC (協定世界時)
のモデルを使用した Compaq C バージョン 5.2 以降でコンパイルされたプログラムに対して, Compaq C RTL は省略時の日付/時刻サポートをしています。
Compaq C RTL を直接使用しない場合でも,システムには必ず正しいタイム・ゾーンを設定しなければなりません。これは Compaq C RTL を使用する他のユーティリティが,システムで使用される可能性があるからです。 |
システムが,DTSS (Distributed Time Synchronization Services) を使用している場合があります。 DTSS システムは,DECnet-Plus と分散コンピューティング環境 (DCE) で,オプションとして提供されています。 DTSS を使用しているときは,本章で説明する手順ではなく, DTSS が提供する手順によって,タイム・ゾーン情報を設定する必要があります。
6.1.2 時刻設定について
システム時刻の概念について理解しておくことは,正しいタイム・ゾーンを設定するうえで有益です。
6.1.2.1 協定世界時 (UTC)
UTC は多くの点でグリニッジ標準時刻 (GMT) に類似しています。 UTC では,午前 0 時は GMT の深夜になります。時刻が前に進んだり戻ったりする夏時間のようなローカル時刻と異なり, UTC は常に前に進みます。
ローカル時刻は GMT に対して最大 12 時間遅れるか,あるいは最大 13 時間前に進むことがあります。
UTC はタイム・ゾーンには依存しないので世界中で使用できます。たとえば,2:00 UTC はパリでも東京でも同じ瞬間を示します。 UTC 値で時刻印字されたデータは,パリでも東京でもローカル・タイム・ゾーンへの複雑な変換作業をせずに使用できます。
6.1.2.2 タイム・ゾーン
同じローカル時刻を共有する地理的な地域は,季節ごとの標準時間と夏時間の切り替えについても同じルールで運用します。
6.1.2.3 夏時間と標準時間
通常,ユーザはローカル・システム時の季節調整 (たとえば,夏時間と標準時間の切り替えなど) を行う必要があります。通常は,ローカルの時刻を 1 時間早めたり遅めたりします。
6.1.2.4 時差係数 (TDF)
システムに正しい時刻を設定するには,まず,ユーザのシステムのタイム・ゾーンにおける時差係数 (TDF) を決めて設定しておく必要があります。
TDF によって,ユーザのローカル・タイム・ゾーンは UTC と関連づけられます。 時差係数 (TDF) は,ユーザのシステムのシステム時と UTC との時差です。標準時間と夏時間の切り替えで,ローカル時刻の変化を反映してシステム時刻が変わったときは,TDF を補正する必要があります。 TDF はローカル時刻と同じ方向に調整します。つまり,ローカル時間を 1 時間早めれば TDF も 1 時間早めます。ただし,UTC は変化しません。
TDF の値は正負記号 (+ または -) 付きの hh:mm の形で表されます。アメリカでは UTC から負の時差を持ち,ヨーロッパ,アフリカ,アジア,オーストラリアでは,UTC から正の時差を持ちます。
OpenVMS のプロシージャは,対象のタイム・ゾーンの標準時間と夏時間について TDF を計算します。これらは,TDF 設定の省略時の値として提供されます。できるだけこの値を使用してください。
またユーザは, 図 6-1 の地図によって,ユーザのシステムの正しいタイム・ゾーンを決定することもできます。『Compaq OpenVMS システム管理者マニュアル』の付録 B で世界中のタイム・ゾーンとその標準時間と夏時間での TDF を調べることができます。
地図を使用して TDF を決定するためには,次の手順を行います。
TDF に時間の端数があるタイム・ゾーンも存在するが,このようなタイム・ゾーンの場合は,地図上でその値を探す。たとえば,オーストラリアのアデレードの TDF は +9:30 である。
ユーザのタイム・ゾーンが夏時間であれば,通常,TDF は標準時間よりも +1:00 進む。たとえば,標準時間の TDF が +2:00 であれば,夏時間の TDF は +3:00 である。標準時間の TDF が -7:00 であれば,夏時間の TDF は -6:00 である。
図 6-1 時差係数 (TDF) 地図
タイム・ゾーン規則は,各国にゆだねられているので,政治的理由またはその他の理由で変更されることがあります。印刷された地図が,時代遅れになることはまず避けられません。最新の情報については,次の web ページを参照してください。
|
タイム・ゾーン規則は,タイム・ゾーン,夏時間,および標準時間 TDF の (通常 3 文字の) 省略形を定義するために,また夏時間と標準時間を切り替える時期を決定する規則を定義するために使用します。タイム・ゾーン規則の形式は,『Compaq C 国際化ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』で定義されています。
6.1.2.6 タイム・ゾーン情報の設定
システムでタイム・ゾーン情報を設定する方法は,次の要素に応じて異なります。
DTSS を使用している場合は,DTSS が提供する手順を使用してタイム・ゾーン情報を設定します。 第 6.1.1 項 を参照してください。 |
DTSS を使用していない場合は,次の表に従ってタイム・ゾーン情報の設定方法を決定します。
OpenVMS のバージョン | アーキテクチャ | 参照箇所 |
---|---|---|
7.3 | Alpha | 第 6.2 節 |
7.3 | VAX | 第 6.3 節 |
7.2 以前 | VAX または Alpha | 第 6.3 節 |
全バージョン | OpenVMS Cluster | 第 6.4 節 |
6.2 OpenVMS Alpha バージョン 7.3 以降におけるタイム・ゾーン情報の設定
この節では,OpenVMS Alpha バージョン 7.3 以降におけるタイム・ゾーン情報の設定方法について説明します。 OpenVMS バージョン 7.2 以前または OpenVMS VAX におけるタイム・ゾーン情報の設定方法については, 第 6.3 節 を参照してください。
DTSS を使用している場合は,DTSS が提供する手順を使用してタイム・ゾーン情報を設定します。 第 6.1.1 項 を参照してください。 |
プロシージャ,SYS$MANAGER:UTC$TIME_SETUP.COM を使用して,タイム・ゾーン情報を設定します。
SYS$MANAGER:UTC$TIME_SETUP.COM には,文書には記載されていない用法がありますが,これを使用すると,矛盾した,または誤ったタイム・ゾーン情報が設定される可能性があります。このため,SYS$MANAGER:UTC$TIME_SETUP.COM は,ここで説明する方法でのみ使用してください。 |
SYS$MANAGER:UTC$TIME_SETUP.COM を使用するには,OPER,LOG_IO,SYSPRV, SYSNAM および CMEXEC の特権を有効にする必要があります。これらの特権を有効にするには,次のコマンドを実行します。
$ SET PROCESS/PRIVILEGES=(OPER,LOG_IO,SYSPRV,SYSNAM,CMEXEC) |
これらの特権が有効でなければ,エラーか誤った結果が生じます。
SYS$MANAGER:UTC$TIME_SETUP.COM によって,現在のタイム・ゾーンの表示,およびタイム・ゾーン情報の設定が可能です。
6.2.1 タイム・ゾーン情報の表示
必要な特権が有効であることを確認したら ( 第 6.2 節 参照),次のコマンドを実行します。
$ @SYS$MANAGER:UTC$TIME_SETUP SHOW |
これにより,次の (またはこれに近い) 情報が表示されます。
AUTO_DLIGHT_SAV is set to "1". OpenVMS will automatically change to/from Daylight Saving Time. (in timezones that use Daylight Saving Time) LOCAL TIME ZONE = EASTERN / US -- DAYLIGHT TIME LOCAL SYSTEM TIME = 4-OCT-2000 11:14:00.51 (EDT) TIME DIFFERENTIAL FACTOR = -4:00 TIME ZONE RULE = EST5EDT4,M4.1.0/02,M10.5.0/02 |
AUTO_DLIGHT_SAVE システム・パラメータが 0 に設定されている場合は,次のように表示されます。
AUTO_DLIGHT_SAV is set to "0" and DTSS is not in use. You will have to manually change to/from Daylight Saving Time. You can do this by executing SYS$MANAGER:UTC$TIME_SETUP.COM, or you can use SYS$EXAMPLES:DAYLIGHT_SAVING.COM. LOCAL TIME ZONE = EASTERN / US -- DAYLIGHT TIME LOCAL SYSTEM TIME = 4-OCT-2000 11:17:40.05 (EDT) TIME DIFFERENTIAL FACTOR = -4:00 TIME ZONE RULE = EST5EDT4,M4.1.0/02,M10.5.0/02 |
タイム・ゾーン・パラメータの設定の一部が,誤って設定されているというメッセージが表示されることがあります。この場合,タイム・ゾーン情報を訂正して,プロシージャを再度実行します。
6.2.2 タイム・ゾーン情報の設定
必要な特権が有効であることを確認したら ( 第 6.2 節 参照),次のコマンドを実行します。
$ @SYS$MANAGER:UTC$TIME_SETUP |
このコマンドには,パラメータを指定してはなりません。これにより,次の (またはこれに近い) 情報が表示されます。
Configuring the Local Time Zone TIME ZONE SPECIFICATION -- MAIN Time Zone Menu 1) AUSTRALIA 14) IRAN 27) ROK 2) BRAZIL 15) ISRAEL 28) SINGAPORE 3) CANADA 16) JAMAICA 29) SYSTEMV 4) CET 17) JAPAN 30) TURKEY 5) CHILE 18) LIBYA 31) UCT 6) CUBA 19) MET 32) UNIVERSAL 7) EET 20) MEXICO 33) US 8) EGYPT 21) NAVAJO 34) UTC 9) FACTORY 22) NZ-CHAT 35) W-SU 10) GB-EIRE 23) NZ 36) WET 11) GREENWICH 24) POLAND 37) ZULU 12) HONGKONG 25) PRC 13) ICELAND 26) ROC 0) GMT |
Main Time Zone Menu で表示される省略形の意味を 表 6-1 に示します。
省略語 | 説明 |
---|---|
CET | 中央ヨーロッパ時間 |
EET | 東部ヨーロッパ時間 |
Factory | タイム・ゾーン設定なし |
GB-Eire | グレート・ブリテン/アイルランド |
GMT | グリニッジ標準時刻 |
MET | 中央ヨーロッパ時間 |
NZ | ニュージーランド |
NZ-CHAT | ニュージーランド,チャタム島 |
PRC | 中華人民共和国 |
ROC | 中華民国 |
ROK | 大韓民国 |
SystemV | System V オペレーティング・システム固有の設定 |
UCT | 協定世界時 |
US | アメリカ合衆国 |
UTC | 協定世界時間 |
Universal | 協定世界時 |
W-SU | 中央ヨーロッパ時間 |
WET | 西部ヨーロッパ時間 |
プロンプトで,該当する地域のタイム・ゾーンを表す番号を入力します。たとえば,アメリカ合衆国の場合は 33 を入力します。
Select the number above that best represents the desired time zone: 33 |
複数のタイム・ゾーンを持つ国を入力した場合は,次のメッセージが表示されますので,該当する地域を番号で選択してください。たとえば,33 (アメリカ合衆国) を入力した場合,次のような情報が表示されます。
US Time Zone Menu 1) ALASKA 5) EAST-INDIANA 9) MICHIGAN 2) ALEUTIAN 6) EASTERN 10) MOUNTAIN 3) ARIZONA 7) HAWAII 11) PACIFIC 4) CENTRAL 8) INDIANA-STARKE 12) SAMOA 0) return to Main Time Zone Menu |
プロンプトで,該当する地域を番号で選択してください。たとえば,アメリカ合衆国の東側の場合,6 を入力します。
Select the number above that best represents the desired time zone: 6 |
0 を入力すると,Main Time Zone Menu に戻ります。
次に,選択内容が表示され,表示された情報の確認を求められます。情報が誤っている場合は,別のタイム・ゾーンを入力します。次に例を示します。
You selected US / Eastern as your time zone. Is this correct? (Yes/No) [YES]: [Return] |
No と入力すると,Main Time Zone Menu に戻ります。
Yes と応えて Return を押すと,デフォルトを使って,タイム・ゾーン情報が設定されます。これには,次の情報が含まれます。
システムは,次に,選択したタイム・ゾーンに対応する標準時間と夏時間の TDF とともに,TDF についての説明を表示します。
Default Time Differential Factor for standard time is -5:00. Default Time Differential Factor for daylight saving time is -4:00. The Time Differential Factor (TDF) is the difference between your system time and Coordinated Universal Time (UTC). UTC is similar in most repects to Greenwich Mean Time (GMT). The TDF is expressed as hours and minutes, and should be entered in the hh:mm format. TDFs for the Americas will be negative (-3:00, -4:00, etc.); TDFs for Europe, Africa, Asia and Australia will be positive (1:00, 2:00, etc.). |
夏時間を採用しているタイム・ゾーンを選んだ場合のみ,夏時間に関するメッセージが表示されます。選択したタイム・ゾーンが夏時間を使用している場合は,夏時間が現在使用中かどうかを指定する必要があります。プロンプトで Y (使用中) または N (使用中ではない) と応えます。次に例を示します。
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