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ネットワークを DECnet Phase IV から DECnet-Plus に移行するときには,ネットワークを DECnet-Plus に部分的に移行することも,ネットワーク全体を移行することも可能です。 Because DECnet-Plus には下位互換性があるため,使用しているシステムとネットワークを,DECnet Phase IV アプリケーションやルーティングなどを使用してこれまでどおり実行するように選択することができます。使用可能な追加機能は,準備ができればいつでも, DECnet-Plus からインプリメントすることができます。変更点のほとんどは,ネットワーク環境に関係しています。これらは,ほとんど全体が,ユーザおよびアプリケーションに対して透過的です。
豊富な自動化ツール (DECnet 移行ユーティリティおよび NCP Emulator) の他,単純化された構成プロシージャも使用でき,全機能をインプリメントした DECnet-Plus への移行しやすくするために役立ちます。
ネットワークの移行の詳細については,
『DECnet-Plus Planning Guide』 を参照してください。
23.13 DECnet-Plus の開始と停止
DECnet-Plus を OpenVMS インストール・メニューからインストールすると, DECnet-Plus ソフトウェアは自動的に開始します。何らかの理由 (たとえば SYS$STARTUP:NET$SHUTDOWN.COM を実行してネットワークをシャット・ダウンした後であるなど) で DECnet-Plus を再始動する必要がある場合には,次のコマンドを実行します。
$ @SYS$STARTUP:NET$STARTUP |
DECnet-Plus ソフトウェアをシャットダウンすると,システム上のさまざまなネットワーク構成要素が使用不可能になり削除される場合には,次のコマンドを入力します。
$ @SYS$MANAGER:NET$SHUTDOWN |
23.14 DECnet-Plus Documentation
表 23-4 は, DECnet-Plus for OpenVMS ソフトウェアをサポートするドキュメントのリストです。DECnet-Plus の計画,インストール,構成,および管理の詳細についてはこれらのドキュメントを参照してください。
マニュアル | 説明 |
---|---|
『DECnet-Plus for OpenVMS Release Notes』 | ソフトウェアの変更,インストール,アップグレード,互換性などの情報,新旧のソフトウェアの問題,制限事項などについて解説しています。またソフトウェアとドキュメントの訂正事項についても説明しています。このテキスト・ファイルは,構成プロシージャでプリントすることができます。 |
『DECnet-Plus for OpenVMS Introduction and User's Guide』 | システムのネットワークについて紹介し,ユーザ情報について解説しています。 |
『DECnet-Plus for OpenVMS Installation and Basic Configuration』 | DECnet-Plus のインストール方法, BASIC 構成オプションの実行方法について説明しています。 |
『DECnet-Plus for OpenVMS Applications Installation and Advanced Configuration』 | ネットワーク・アプリケーションのインストール方法と構成方法について説明し, ADVANCED 構成オプションの実行方法について説明しています。 |
『DECnet-Plus for OpenVMS Installation Quick Reference Card』 | インストール時にシステムを DECnet-Plus にアップグレードする場合に使用できる簡単なリファレンスが提供されます。 |
『DECnet-Plus Planning Guide』 | DECnet Phase IV の機能を DECnet Phase V に移行する手順を紹介しています。 |
『DECnet-Plus for OpenVMS Network Management Quick Reference Guide』 | DECnet-Plus のネットワーク管理を実行する場合に使用できる簡単なリファレンスが提供されます。 |
DECnet-Plus for OpenVMS Network Management | DECnet-Plus システムのネットワーク管理の概念とタスクについて解説しています。 |
『DECnet-Plus Network Control Language Reference』 | すべての NCL コマンドの解説と例を紹介しています。 |
『DECnet-Plus Problem Solving』 | ネットワークが動作しているときに発生する DECnet-Plus の問題を特定し解決する方法について説明しています。またループバック・テストを実行する方法についても説明しています。 |
本章では,LAN ソフトウェアの動作について説明するとともに, LAN ソフトウェアを管理するためにシステム上で実行する作業について説明します。
本章では次の作業について説明します。
作業 | 参照箇所 |
---|---|
LANACP LAN サーバ・プロセスの実行 | 第 24.3.1 項 |
LANCP の起動と実行 | 第 24.4.1 項 |
LAN 装置の管理 | 第 24.5 節 |
LAN デバイス・データベースの管理 | 第 24.6 節 |
LAN ノード・データベースの管理 | 第 24.7 節 |
DECnet MOP から LAN MOP への移行 | 第 24.8.2 項 |
CLUSTER_CONFIG_LAN.COM および LAN MOP | 第 24.8.3 項 |
MOP ダウンライン・ロード・サービスの管理 | 第 24.9 節 |
MOP コンソール・キャリアの始動 | 第 24.9.8 項 |
MOP トリガ・ブートの要求 | 第 24.9.9 項 |
さらに,次の項目について説明します。
項目 | 参照箇所 |
---|---|
ローカル・エリア・ネットワーク | 第 24.1 節 |
LANACP LAN サーバ・プロセス | 第 24.3 節 |
LANCP ユーティリティ | 第 24.4 節 |
MOP ダウンライン・ロード・サービス | 第 24.8 節 |
ローカル・エリア・ネットワーク (LAN) は,部屋,建物,あるいは建物群 (たとえば大学) のような限られた範囲内において,情報処理装置を接続するための,通信チャネルを提供します。 LAN 内のノードは,次のタイプのデータ転送媒体によってリンクすることができます。
この 3 種類のイーサネットは,どれも,CSMA/CD プロトコル,同一のフレーム形式,同一のフレーム・サイズを用いている。
LAN コントローラは,追加の外部ハードウェアとともに,イーサネット,FDDI,トークン・リング,ATM または Classical IP (RFC 1577) を介した LAN エミュレーションの仕様をインプリメントする装置です。 LAN コントローラとローカル・システムでノードを構成します。 LAN コントローラはシステム・バスを介してローカル・システムと通信します。また通信媒体を介して,イーサネット,FDDI,トークン・リング,または ATM を介した LAN エミュレーションの仕様をインプリメントする遠隔システムと通信します。 (イーサネットの仕様については『The Ethernet--Data Link Layer and Physical Layer Specification』に記述されています。 FDDI の仕様は ANSI から入手可能です。トークン・リングの仕様は IEEE から入手可能です。 ATM を介した LAN エミュレーションの仕様は ATM Forum から入手可能です。)
アプリケーション・プログラムは,LAN ドライバの QIO インタフェースを使って, LAN 上の他のノードとの間で入出力処理を実行します。 QI0 インタフェースについての詳細は,『OpenVMS I/O User's Reference Manual』を参照してください。
表 24-1 に,LAN 媒体のタイプの相違を要約します。
媒体 | 速度 | 最大 フレーム・サイズ |
最大 ケーブル長+ |
---|---|---|---|
イーサネット
802.3 |
10Mbps | 1518 バイト | 100 meters |
高速イーサネット
802.3u |
100Mbps | 1518 バイト | 100Base-TX---100 m
100Base-FX---412 m (半二重) -- 2000 m (全二重) |
ギガビット・イーサネット
802.3z |
1000Mbps | 1518 または 9018 バイト | 1000Base-SX 光ファイバ -- 550 m
1000Base-LX 光ファイバ---5 km 1000Base-CX 銅線シールド---25 m 1000BaseT 銅線 UTP---100 m |
FDDI | 100Mbps | 4495 バイト | 40 km |
トークン・リング
802.5 |
4 または 16 Mbps | 4462 バイト | 300 m |
ATM を介した LAN エミュレーション | 155Mbps または
622Mbps |
1516,4544,または 9234 | 2 km,300 m |
イーサネットは,各システムや装置を 1 本の回線で接続するケーブルです。オフィスまたはパーソナル・コンピュータやワークステーションが設置されている場所では,通常, ThinWire イーサネットまたは非シールド・ツイストペア・ケーブル接続が使用されます。
個々のシステムは,イーサネットに直接接続するか,または DELNI などのローカル・エリア相互接続装置を経由してイーサネットにアクセスすることができます。 DELNI は集信装置の働きをして,システムをまとめます。ハブ,リピータ,スイッチなどの同様の装置でも接続ができます。
24.1.1.2 FDDI LAN
FDDI はツリー・トポロジのデュアル・リングを使用します。一方のリングを 1 次リング,他方をバックアップとして使用し,柔軟性,管理の容易さ,可用性を高めるために,ツリー構造を採用しています。
FDDI ネットワークとイーサネット・ネットワークを組み合わせると, 1 つの拡張 LAN を形成できます。こうすることにより,FDDI に接続されたシステム上で実行されるアプリケーションを,イーサネットに接続されたシステムで実行されるアプリケーションに接続できます。
FDDI 集信装置は,VAX や Alpha ノード,または FDDI とイーサネット間のブリッジのような FDDI 装置を,FDDI LAN に接続することができます。
24.1.1.3 トークン・リング LAN (Alpha のみ)
トークン・リング・コントローラは,シールドまたは非シールドのツイストペア・ワイヤを使って,リングにアクセスします。ブリッジで直接接続されたトークン・リング LAN を他のタイプの LAN に接続するのは難しいので,注意してください。ただし,他の LAN へのルーティング・プロトコルは簡単に動作します。
24.1.1.4 ATM LAN (Alpha のみ)
ATM を介した LAN エミュレーションは,接続に基づいた光ファイバ・ネットワークから構成されます。 OpenVMS ATM ネットワークは,データ転送には AAL5 ATM 適応層を使用します。
ATM を介した LAN エミュレーションについては, OpenVMS では LAN エミュレーション・クライアント (LEC) だけをインプリメントしており, LAN エミュレーション・サーバ (LES), Broadcast and Unknown (BUS),または LAN エミュレーション構成サーバ (LECS) はインプリメントしていません。 LES,BUS,および LECS は,ATM スイッチなど他のファシリティにより提供されなければなりません。 OpenVMS がサポートしているのは,ATM アダプタ 1 つにつき 8 つの LAN エミュレーション・クライアントです。
ATM を介した Classical IP (CLIP) は,イーサネット・インタフェース (802.3) と同じ意味を持つデータリンク・レベル装置インプリメントします。このイーサネット・インタフェースは, ATM ネットワークを介して 802.3 (IEEE イーサネット) フレームを送信するときに TCP/IP プロトコルにより使用されます。 OpenVMS が ATM を介して IP データグラムを交換する場合, RFC1577 (ATM を介した Classical IP) に基づいたモデルに従います。
24.1.2 LAN アドレス
LAN 上のノードは,一意のアドレスで識別されます。使用するアドレスによって,メッセージを LAN 上の 1 つ,数個,またはすべてのノードに同時に送信することができます。
適用の際,IEEE はアドレス・ブロックを LAN ノードの製作者に割り当てます。したがって,どのメーカも固有のアドレス・セットを持っています。通常,割り当てられた物理アドレス・ブロックのうちの 1 アドレスが,永久に各コントローラ (通常は読み込み専用メモリ) に対応付けられます。このアドレスは,コントローラのハードウェア・アドレスと呼ばれます。各コントローラには固有のハードウェア・アドレスがあります。
LAN アドレスは長さが 48 ビットです。 LAN アドレスは,6 対の 16 進数字 (6 バイト) をハイフンで区切って表現します (たとえば AA-01-23-45-67-FF)。バイトは転送される順に,左から右に表示されます。各バイト中のビットは右から左に転送されます。この例では,バイト AA が最初に転送され,バイト FF が最後に転送されます。
LAN アドレスは,アドレスの最初のバイトの最下位ビット (このビットが最初に転送される) の値によって,単一ノードの物理アドレス,またはマルチキャスト・アドレスになります。ノード・アドレスの 2 つのタイプは次のとおりです。
ローカル・エリア・ネットワーク (LAN) ソフトウェアには, OpenVMS LAN ドライバ・システム・ソフトウェアと共に動作する次の 2 つのシステム管理ツールが含まれています。
LAN システム管理ツールは次のことを行います。
表 24-2 は,LAN 管理ソフトウェアと, OpenVMS Alpha および OpenVMS VAX を実行するシステムでサポートされる機能についての説明です。
ユーティリティ | 説明 | OpenVMS のサポート | ||||||||||||
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LANACP (LAN 補助制御プログラム) | MOP ダウンライン・ロード・サービスの提供を主な機能とするサーバ・プロセスとして実行される。 LAN 運用時デバイス・データベースおよび LAN 運用時ノード・データベースの保守も行う。 | LANACP ユーティリティは,OpenVMS バージョン 7.0 以降と同じ機能を提供する。 | ||||||||||||
LANCP (LAN 制御プログラム) | システム管理者が LAN ソフトウェアのパラメータを制御して, LAN ソフトウェアから情報を得られるようにする。 LANCP ユーティリティで次のことができる。
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OpenVMS Alpha バージョン 6.1 には初期にインプリメントされた LANCP は含まれるが,MOP 関連機能は含まれない。
OpenVMS バージョン 6.2 (VAX および Alpha) には,MOP 関連機能が含まれ,その機能の一部を VAX システムに対して拡張している。次の表は VAX および Alpha システム上でサポートされている LAN ユーティリティ機能を示す。
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