Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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24.3 LANACP LAN サーバ・プロセス

LANACP LAN サーバ・プロセスを実行して,次の処理を行うことができます。

LANCP ユーティリティを使用すると, LANACP プロセスに対して命令を出すことができます。

LANACP に関連する主な 3 つのファイルは次のとおりです。

さらに,LANACP LAN サーバ・プロセスには関連する 4 つのシステム論理名があり,これについては 表 24-3 で説明します。

表 24-3 LANACP システム論理名
コンポーネント 説明
LAN$DLL ダウンライン・ロード・ファイルの位置を定義する。ファイル位置はロード要求では指定されず, LAN 運用時ノード・データベースにも明示的に提供されていない。省略時には SYS$SYSROOT:[MOM$SYSTEM] と定義される。
LAN$NODE_DATABASE LAN パーマネント・ノード・データベースの位置を定義する。省略時には SYS$COMMON:[SYSEXE]LAN$NODE_DATABASE.DAT と定義される。
LAN$DEVICE_DATABASE LAN パーマネント・デバイス・データベースの位置を定義する。省略時には SYS$SPECIFIC:[SYSEXE]LAN$DEVICE_DATABASE.DAT と定義される。
LAN$ACP LANACP LAN サーバ・プロセスのログ・ファイルの位置を定義する。このログ・ファイルには,LAN パーマネント・デバイス・データベースおよびノード・データベースの変更や,ロード要求,ロード状態情報を記述するエントリが含まれる。省略時には SYS$MANAGER:LAN$ACP.LOG と定義される。

24.3.1 LANACP LAN サーバ・プロセスの実行

LANACP LAN サーバ・プロセスを開始するには, DCL プロンプトに対して @SYS$STARTUP:LAN$STARTUP とタイプします。

24.3.2 LANACP LAN サーバ・プロセスの終了

LANACP LAN サーバ・プロセスを終了するには,LANCP ユーティリティ・プロンプトで SET ACP/STOP コマンドを入力します。

24.4 LANCP ユーティリティ

LANCP ユーティリティでは,LAN パラメータを設定して,表示することができます。 第 24.4.1 項 で LANCP ユーティリティの起動方法について説明します。 表 24-4 は,LAN 機能の説明と,その機能の実行に役立つ LANCP コマンドについての参照箇所を示しています。

表 24-4 LANCP ユーティリティの機能
作業 参照箇所
LAN 装置の管理 第 24.5 節
LAN デバイス・データベースの管理 第 24.6 節
LAN ノード・データベースの管理 第 24.7 節
MOP ダウンライン・ロード・サービスの管理 第 24.9 節
MOP コンソール・キャリア接続の起動 第 24.9.8 項
MOP トリガ・ブート要求の送信 第 24.9.9 項

24.4.1 LANCP の起動と実行

表 24-5 は, LANCP ユーティリティ (SYS$SYSTEM:LANCP.EXE) の起動方法と実行方法について説明しています。

表 24-5 LANCP ユーティリティの起動
コマンド
RUN コマンドの使用 DCL コマンド・プロンプトに対して,次のように入力する。
$ RUN SYS$SYSTEM:LANCP

これで LANCP ユーティリティから LANCP プロンプトが表示されるので, LANCP コマンドを入力できる。

LANCP をフォーリン・
コマンドとして定義
DCL プロンプトに対して,またはスタートアップ・コマンド・ファイルかログイン・コマンド・ファイルに,次のように入力する。
$ LANCP :== $SYS$SYSTEM:LANCP

これで,DCL プロンプトからコマンド LANCP を入力してユーティリティを起動し, LANCP コマンドを入力できるようになる。

LANCP コマンドを入力する場合には,次の点に注意する。

  • コマンド修飾子を指定しなければ, LANCP ユーティリティが LANCP プロンプトを表示するので,それに対してコマンドを入力できる。

  • コマンド修飾子を指定すると,LANCP ユーティリティはコマンドを実行した後に終了し,DCL コマンド・プロンプトが表示される。

MCR コマンドの使用 DCL コマンド・プロンプトに対して,次のように入力する。
$ MCR LANCP

MCR LANCP コマンドを入力する場合には,次の点に注意する。

  • コマンド修飾子を指定しなければ,LANCP ユーティリティがLANCP プロンプトを表示するので,それに対してコマンドを入力できる。

  • コマンド修飾子を指定すると,LANCP ユーティリティはコマンドを実行した後に終了し,DCL コマンド・プロンプトが表示される。

LANCP> プロンプトに対して LANCP コマンドを入力できます。

LANCP ユーティリティについての情報を得るには, LANCP> プロンプトで HELP コマンドを入力します。

LANCP ユーティリティを終了するには, LANCP> プロンプトで EXIT コマンドを入力するか,Ctrl/Z を押します。

24.4.2 LANCP コマンド

表 24-6 に,LANCP コマンドについての要約を示します。

表 24-6 LANCP コマンド
コマンド 機能
@ (実行プロシージャ) コマンド・プロシージャを実行する。
CLEAR DEVICE LAN 運用時デバイス・データベースから装置を削除する。
CLEAR DLL 全ノードおよび装置で,MOP ダウンライン・ロード・カウンタをクリアする。
CLEAR MOPDLL CLEAR DLL コマンドと同じ。
CLEAR NODE LAN 運用時ノード・データベースからノードを削除する。
CONNECT NODE MOP コンソール・キャリア・プロトコルを使用して管理インタフェースをインプリメントする,ターミナル・サーバなどの LAN 装置に接続する。
CONVERT DEVICE_DATABASE デバイス・データベースを LANCP で要求される現在の形式に変換する。
CONVERT NODE_DATABASE ノード・データベースを LANCP で要求される現在の形式に変換する。
DEFINE DEVICE 装置を LAN パーマネント・デバイス・データベースに入力するか,既存のエントリを変更する。
DEFINE NODE ノードを LAN パーマネント・ノード・データベースに入力するか,既存のエントリを変更する。
EXIT LANCP の実行を終了し,制御を DCL コマンド・レベルに戻す。
HELP LANCP ユーティリティに関するオンライン・ヘルプを提供する。
LIST DEVICE LAN パーマネント・デバイス・データベースの情報を表示する。
LIST NODE LAN パーマネント・ノード・データベースの情報を表示する。
PURGE DEVICE 装置を LAN パーマネント・デバイス・データベースから削除する。
PURGE NODE ノードを LAN パーマネント・ノード・データベースから削除する。
SET ACP LANACP LAN サーバ・プロセスの操作を変更する。
SET DEVICE LAN 運用時デバイス・データベースと装置自体にある装置特性を変更する。
SET NODE ノードを LAN 運用時ノード・データベースに入力するか,既存のエントリを変更する。
SHOW CONFIGURATION システム上の LAN 装置の一覧を表示する。
SHOW DEVICE LAN 運用時デバイス・データベースの情報を表示する。
SHOW DLL MOP ダウンライン・ロード・サービスの現在の状態を表示する。
SHOW LOG 最近のダウンライン・ロード・アクティビティを表示する。
SHOW MOPDLL SHOW DLL コマンドと同じ。
SHOW NODE LAN 運用時ノード・データベースの情報を表示する。
SPAWN 現在のプロセスのサブプロセスを作成する。
TRIGGER NODE 遠隔ノードに対して再ブート要求を出す。

LANCP コマンドと修飾子についての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (上巻 ) 』を参照してください。

24.4.3 LANCP のその他の機能

SPAWN コマンドを使用すると,現在のプロセスのサブプロセスを作成できます。 SPAWN コマンドは,サブプロセスのコンテキストを現在のプロセスからコピーします。これにより,LANCP を一時的に終了しても,再開時に LANCP を再起動する必要はありません。

SPAWN コマンドの形式は次のとおりです。


SPAWN [コマンド文字列] 

LANCP ユーティリティを設定して, LANCP 内でコマンド・ファイルからコマンドを実行できます。 LANCP ユーティリティは,コマンド・ファイルを頭に @ の付くファイル名として認識します。省略時のファイル名の拡張子は .COM です。

24.5 LAN 装置の管理

LAN 装置の管理には,装置の特性の表示と,デバイス・パラメータの設定が含まれます。 LANCP ユーティリティを使用して, 表 24-7 に示す LAN 装置のタイプに対してパラメータを設定することができます。

表 24-7 LAN 装置
LAN 装置例 説明
イーサネット DE425, DE434, DE435, DE436, DE500, DECchip 21040, DEMNA 媒体のタイプ (接続ケーブルのタイプ) および接続速度 (イーサネットまたは FastEthernet) の選択を可能にする。

全二重操作 (同様の装置間または装置とスイッチ間のポイント・ツー・ポイント操作) を可能にする。

FDDI DEFTA, DEFPA, DEFAA, DEFEA, DEMFA 全二重操作を可能にする。
トークン・リング++ DETRA, DW300, DW110, TC4048 トークン・リング・パラメータの設定,およびソース・ルーティングと機能アドレス・マッピングの定義を可能にする。
全タイプ 任意 受信バッファ数などの汎用パラメータの設定を可能にする。
ATM++ DGLTA, DGLPA, DGLPB, DAPBA, DAPCA Emulated LAN (ELAN) パラメータの設定を可能にする。


++Alpha のみ

24.5.1 システム・デバイスの表示

システム上の LAN 装置を表示するには,次の形式で SHOW CONFIGURATION コマンドを入力します。


SHOW CONFIGURATION 



LANCP> SHOW CONFIGURATION
LAN Configuration: 
 
   Device   Medium      Default LAN Address   Version 
   ------   ------      -------------------   ------- 
    EWA0    CSMA/CD      08-00-2B-E4-00-BF    02000023 
    EWB0    CSMA/CD      08-00-2B-92-A4-0D    02000023 
    IRA0    Token Ring   00-00-93-58-5D-32    20000223

この例は,3 つの LAN 装置,つまり,2 つの DE435 と 1 つの DETRA を持つノードで SHOW CONFIGURATION コマンドを入力したときの出力を示します。

バージョンは,装置固有の実際のバージョンを示します。この例では,PCI バスの 2 つの装置で,実際のバージョンは下位バイトに示されています (DE435 アダプタでは 2.3)。読み取り可能なバージョンを持たない装置は,バージョン・ゼロと示されます。

装置の特定ハードウェアまたはファームウェアで返されるバージョンの相互関係を調べるには,装置付属のマニュアルを参照してください。

24.5.2 デバイス特性の表示

(運用時デバイス・データベース内の) LAN 装置についての情報を表示するには,次の形式で SHOW DEVICE コマンドを入力します。


SHOW DEVICE 装置名 [/修飾子,...] 

表 24-8 に, SHOW DEVICE コマンドの修飾子を簡単に説明します。

注意

修飾子を指定しなければ,ユーティリティは情報を追加せずに一致する装置を表示します。

表 24-8 SHOW DEVICE コマンド修飾子
修飾子 説明
/ALL 装置名が一致するすべての装置を表示する。
/CHARACTERISTICS /PARAMETERS 修飾子と同じ。
/DLL ダウンライン・ロード特性を表示する。
/COUNTERS デバイス・カウンタを表示する。
/MAP 機能アドレス・マッピング・テーブルの現在の構成を表示する。
/MOPDLL /DLL 修飾子と同じ。
/OUTPUT++ 指定されたファイル名に出力する。
/PARAMETERS 装置について状態と関連情報を表示する。
/REVISION アダプタの現在のファームウェア・リビジョンを表示する (可能な場合)。
/SR_ENTRY 現在のソース・ルーティング・キャッシュ・テーブルの内容を表示する。


++Alpha のみ



  1. LANCP> SHOW DEVICE/COUNTERS EXA0
    Device Counters EXA0: 
                 Value  Counter 
                 -----  ------- 
                259225  Seconds since last zeroed 
               5890496  Data blocks received 
               4801439  Multicast blocks received 
                131074  Receive failure 
             764348985  Bytes received 
             543019961  Multicast bytes received 
                     3  Data overrun 
               1533610  Data blocks sent 
                115568  Multicast packets transmitted 
                122578  Blocks sent, multiple collisions 
                 86000  Blocks sent, single collision 
                189039  Blocks sent, initially deferred 
             198120720  Bytes sent 
              13232578  Multicast bytes transmitted 
               7274529  Send failure 
                     0  Collision detect check failure 
                     0  Unrecognized frame destination 
                     0  System buffer unavailable 
                     0  User buffer unavailable 
    


    この SHOW DEVICE コマンドは,イーサネット・デバイス EXA0 のカウンタを表示する。


  2. LANCP> SHOW DEVICE/MAP ICA0
     
    Multicast to Functional Address Mapping ICA0: 
       Multicast address   Functional Address   Bit-Reversed 
       -----------------   ------------------   ------------ 
       09-00-2B-00-00-04   03-00-00-00-02-00    C0:00:00:00:40:00 
       09-00-2B-00-00-05   03-00-00-00-01-00    C0:00:00:00:80:00 
       CF-00-00-00-00-00   03-00-00-08-00-00    C0:00:00:10:00:00 
       AB-00-00-01-00-00   03-00-02-00-00-00    C0:00:40:00:00:00 
       AB-00-00-02-00-00   03-00-04-00-00-00    C0:00:20:00:00:00 
       AB-00-00-03-00-00   03-00-08-00-00-00    C0:00:10:00:00:00 
       09-00-2B-02-00-00   03-00-08-00-00-00    C0:00:10:00:00:00 
       09-00-2B-02-01-0A   03-00-08-00-00-00    C0:00:10:00:00:00 
       AB-00-00-04-00-00   03-00-10-00-00-00    C0:00:08:00:00:00 
       09-00-2B-02-01-0B   03-00-10-00-00-00    C0:00:08:00:00:00 
       09-00-2B-00-00-07   03-00-20-00-00-00    C0:00:04:00:00:00 
       09-00-2B-00-00-0F   03-00-40-00-00-00    C0:00:02:00:00:00 
       09-00-2B-02-01-04   03-00-80-00-00-00    C0:00:01:00:00:00 
       09-00-2B-02-01-07   03-00-00-02-00-00    C0:00:00:40:00:00 
       09-00-2B-04-00-00   03-00-00-04-00-00    C0:00:00:20:00:00 
       09-00-2B-02-01-00   03-00-00-00-08-00    C0:00:00:00:10:00 
       09-00-2B-02-01-01   03-00-00-00-10-00    C0:00:00:00:08:00 
       09-00-2B-02-01-02   03-00-00-00-20-00    C0:00:00:00:04:00 
       03-00-00-00-00-01   03-00-00-00-00-01    C0:00:00:00:00:80 
       03-00-02-00-00-00   03-00-02-00-00-00    C0:00:40:00:00:00 
    


    この SHOW DEVICE コマンドは,トークン・リング・デバイス ICA0 のマッピング情報を表示する。


  3. LANCP> SHOW DEVICE/PARAM IRA0
    Device Parameters IRA0: 
                 Value  Parameter 
                 -----  --------- 
                Normal  Controller mode 
              External  Internal loopback mode 
     00-00-93-58-5D-32  Hardware LAN address 
            Token Ring  Communication medium 
               Enabled  Functional address mode 
                    No  Full duplex enable 
                    No  Full duplex operational 
                    16  Line speed (megabits/second) 
               16 Mbps  Ring speed 
                   STP  Line media 
               Enabled  Early token release 
              Disabled  Monitor contender 
                   200  SR cache entries 
                     2  SR discovery timer 
                    60  SR Aging Timer 
               Enabled  Source routing 
                     3  Authorized access priority 
     AA-00-04-00-92-FF  Upstream neighbor 
                     0  Ring number 
    


    この SHOW DEVICE コマンドは,トークン・リング・デバイス IRA0 の状態とパラメータ情報を表示する。


  4. LANCP> SHOW DEVICE/REVISION FXA0
    Device revision FXA0:  05140823
    


    この SHOW DEVICE コマンドは FDDI 装置 FXA0 のリビジョン情報を表示する。


  5. LANCP> SHOW DEVICE/SR_ENTRY ICA0
    Source Routing Cache Table ICA0: 
          LAN address      State    XmtTmo   RcvTmo  StaleTmo DiscvTmo 
       -----------------   -----   -------- -------- -------- -------- 
       AA-00-04-00-92-FF   LOCAL   00000028 00000028 00000245 00000000 
    


    この SHOW DEVICE コマンドは,トークン・リング・デバイス ICA0 のソース・ルーティング・エントリ情報を表示する。


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