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OpenVMS マニュアル


日本語HP DECprint Supervisor for OpenVMS

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ユーザーズ・ガイド


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第9章 Proprinterファイルの印刷

DCPS にはProprinterファイルのためのトランスレータが含まれており, PostScriptプリンタで IBMのProprinter XL24をエミュレートすることができます。 Proprinterファイルが DECprint Supervisor ソフトウェアで自動的に認識されない場合には, DATA_TYPEパラメータを使用してProprinterデータ・タイプを明示的に指定することができます。次の例を参照してください。

$ PRINT /PARAMETERS=DATA_TYPE=PROPRINTER MYFILE.PRO

  注意
Proprinterプリンタの各モデルには互換性がないため, XL24プリンタ以外のProprinterモデルを対象に作成されたファイルは正しく印刷されない可能性があります。最適な結果を得るためには, Proprinterトランスレータを使用して印刷するファイルを作成する場合に,アプリケーションで指定するプリンタ・モデルとしてXL24を選択してください。



Proprinter ファイル用の DCPS トランスレータは次の点で Proprinter XL24 プリンタと異なります。

  • XL24 プリンタは一部のタイプのラスタ・グラフィックスの水平方向に隣接する 2つのドットを印刷しません。 Proprinter トランスレータはラスタ・グラフィックスに指定されたすべてのデータを印刷します。 Proprinterトランスレータには特殊なエスケープ・シーケンスが準備されており,トランスレータが1つおきのドットを印刷しないようにするためのプリント属性を指定することができます ( 第 9.6 節 を参照)。

  • AGMラスタ・グラフィックス・エスケープ・シーケンス(ESC *)を処理するために,トランスレータでAGMモードを有効に設定する必要はありません。

  • トランスレータにはXL24の組み込みフォントのためのビットマップは含まれていません。したがって,prefillコマンドはビットマップを格納せず,また,ビットマップを示すように検索テーブルを初期化しません。このため,ビットマップの初期化が必要な Proprinterデータ・ストリームは正しく印刷されません。

  • トランスレータは9ワイヤまたは24ワイヤのダウンロードされたフォントを印刷することができます。モードは,トランスレータが最初に検出したエスケープ・シーケンスによって判断されます。

    • Character Font Image Downloadエスケープ・シーケンスが最初に検出された場合には,モードはエスケープ・シーケンスによって判断されます。

    • Select Print Modeエスケープ・シーケンスが最初に検出された場合には,モードはトランスレータのフロント・パネル・モード・エスケープ・シーケンスによって判断されます( 第 9.3 節 を参照)。

  • XL24では,小文字の積分文字および平方根文字に下線や上線を付けません。 Proprinterトランスレータはこれらの文字に下線と上線を付けます。

Proprinter言語に関する解説書はIBMから提供されます。 ProprinterおよびXL24固有の解説書は次のとおりです。

『Proprinter Family Technical Reference』 IBMパーツ番号 SC31-2587-3
『Proprinter X24E and XL24 Guide to Operations』 IBMパーツ番号 SA34-2106-0



9.2 DECprint Supervisor による Proprinter ファイルの識別

DECprint Supervisor ソフトウェアは,ファイルが次の特性を持っている場合に Proprinter ファイルを認識することができます。

  • ANSIエスケープ・シーケンスから始まるファイル

  • Proprinterデータ・タイプとして識別されるファイル・タイプが定義されているファイル

Proprinterファイルがこの基準を満足しない場合には, PRINTコマンドにDATA_TYPE=PROPRINTERパラメータを指定することにより,データ・タイプを明示的に指定することができます。

9.3 Proprinterトランスレータの省略時の状態の変更

XL24の省略時の状態はフロント・パネルから変更することができ,またディップ・スイッチから変更することもできます。これらの設定はPRINTパラメータとトランスレータ固有のフロント・パネル・エスケープ・シーケンスを使用して,プリント・ジョブでエミュレートしてください。 表 9-1 は, PRINTパラメータを使用して変更できるプリント属性を示しています。

表 9-1 Proprinterの設定に影響を与えるPRINTパラメータ
プリント属性 PRINTパラメータ 参照項目
方向 /PARAMETERS=PAGE_ORIENTATION 第 1.4 節
トレイ選択 /PARAMETERS=INPUT_TRAY 1 第 3.1 節
用紙サイズ /PARAMETERS=PAGE_SIZE 第 11.7 節

1データ・ファイルに登録されている命令は PRINTパラメータより優先されます。

XL24のフロント・パネルおよびディップ・スイッチを使用して変更することができるプリント属性はすべて,Proprinterトランスレータで適切なフロント・パネル・モード・エスケープ・シーケンスを使用して変更することができます。

フロント・パネル・モード・エスケープ・シーケンスの形式は次のとおりです。

エスケープ・シーケンスの形式:

ESC   `   count-low count-high item-id new-value-low [new-value-high]

10進数の値:

027   096 

  注意
この形式では,わかりやすくするためにコマンドの要素間にスペースを表示しています。実際のコマンドではスペースを入力しないでください。

このエスケープ・シーケンスを使用すれば,次のことを指定することができます。

  • この後に続くバイト数を示すための count-low バイトと count-high バイト。

  • 変更する項目を示すための item-iditem-id の値とそれに対応する属性は 表 9-2 を参照。

  • new-value は,トランスレータがリセットを実行するものと仮定したときの項目の省略時のトランスレータ状態です。このコマンドがセットアップ・モジュールに登録されている場合には,省略時の状態はセットアップ・モジュールの後のデータ・ファイルに適用されます。

エスケープ・シーケンスでカウント・バイト,item-id および new-value を指定するために,ASCIIでエンコードした数字 (1,2,3,...)を使用しないでください。このような場合には,数字コードの適切な値を表現するASCII文字を使用してください。たとえば,0はNULLコードによって表現され,126は波ダッシュ文字(~)によって表現されます。

このエスケープ・シーケンスを使用して変更できるプリント属性は 表 9-2 に示すとおりです。 item-id が最初に示されており,その後にプリント属性の説明が示されています。3番目の欄は,このプリント属性に対する省略時のProprinterトランスレータの動作を示しています。最後の欄は各項目の値を指定する方法を示しています。

表 9-2 Proprinterプリント属性
Item-Id 説明 トランスレータの省略時の値 指定方法
2 スラッシュ付き0 省略時の設定: 0 1または0
3 自動NL 省略時の設定: 0 1または0
4 フォーム長 省略時の設定: 論理ページ長にもとづく ( 第 9.4.2 項 を参照) ポイント数で表現したページ長
(1インチは72ポイント)
任意の値を指定できる
5 文字セット 省略時の設定: セット1 1は文字セット1を示す
2は文字セット2を示す
6 自動CR 省略時の設定: 0 1または0
7 マージン 省略時の設定: 論理ページ幅にもとづく ( 第 9.4.2 項 を参照) ポイント数で指定したページ幅
(1インチは72ポイント)
任意の値を指定できる
8 FFを無視する これはフォームの先頭でフォーム・フィードが無視されるかどうかを決定する,省略時の設定: 1 1または0
12 12 cpi comp 3つのオプションを選択可能: 12,17.1,または20cpi
省略時の設定: 12
2は12 cpiを示す
3は17.1 cpiを示す
4は20 cpiを示す
13 コード・ページ 省略時の設定: 437 コード・ページ値: 437または 850
14 AGM 省略時の設定: 禁止 1または0
16 左オフセット 省略時の設定: 18ポイント(1/4インチ) ポイント数で指定した左オフセット,任意の値を指定できる
17 上部オフセット 省略時の設定: 36ポイント(1/2インチ) ポイント数で指定した上部オフセット,任意の値を指定できる
これはファイルの1行目の底辺の位置である
19 1インチの文字数 省略時の設定: 10 cpi 1は10 cpiを示す
2は 12 cpiを示す
3は17.1 cpiを示す
4は20 cpiを示す
5はプロポーショナルを示す
20 Emphasize 省略時の設定: 0 1または0
21 2倍幅 省略時の設定: 0 (通常幅) 1または0
22 2倍の高さ 省略時の設定: 0 (通常の高さ) 1または0
23 プリンタId ERDPRと組み合わせて使用するための番号,省略時の設定: 23 プリンタID番号
24 9ワイヤまたは24ワイヤのダウンロードされたフォント 9ワイヤ (0)または24ワイヤ(1)
・エミュレーションを示すフラグ
ESC Iを使用してダウンロードされた適切なフォントを選択するには,この属性が必要である
省略時の設定: 24ワイヤ
1または0
25 グレイ・ビットマップ ビットマップがダーク・グレイ(85%の黒)で印刷されるときに真になるフラグ,省略時の設定: 0 1または0
26 プリンタID ERSICと組み合わせて使用するための番号,省略時の設定: 3 プリンタID番号
27 1つおきのドット 特定のグラフィックス・モードで1つおきのドットを印刷しないかどうかを指定するフラグ
省略時の設定: 0
1または0



9.3.1 Proprinter コマンド用のセットアップ・モジュールの作成

フロント・パネル・モード・コマンドがセットアップ・モジュールに登録されており,そのセットアップ・モジュールがPRINTコマンドにファイルとともに指定されている場合には,これらのコマンドはファイルの印刷方法に影響を与えます。プリント・ジョブを制御するためにフロント・パネル・コマンドを使用するには,次の操作を実行してください。

  1. 必要なフロント・パネル・モード・コマンドを登録したセットアップ・モジュールを作成します。

  2. そのセットアップ・モジュールをProprinter装置制御ライブラリに登録するように,システム管理者に要求してください。

  3. セットアップ・モジュールとファイルを指定してファイルを印刷します。次の例を参照してください。

        $ PRINT /QUEUE=PS$A14 /PARAMETERS=DATA_TYPE=PROPRINTER -
        _$ /SETUP=module-name file-name.DAT
    

システム管理者はフォーム定義にセットアップ・モジュールを指定し,そのフォーム定義を省略時の設定によりキューに対応付けることができます。この場合には,ユーザはPRINTコマンドにデータ・ファイル名とキュー名を指定するだけで十分です。

たとえば,トランスレータの省略時の文字セットをコード・ページ437,文字セット1からコード・ページ850,文字セット2に変更するには,次のエスケープ・シーケンスを登録したセットアップ・モジュールを作成します。

エスケープ・シーケンスの形式:

ESC `    ETX NUL CR  R   ETX ESC `   STX NUL ENQ STX 

10進数の値:

027 096  003 000 013 082 003 027 096 002 000 005 002 

  注意
この例では,わかりやすくするためにコマンドの要素間にスペースを表示しています。実際のコマンドにはスペースを入力しないでください。

レター・サイズ用紙の10インチだけに印刷する設定から用紙の11インチ全体に印刷する設定にトランスレータを変更するには,次のエスケープ・シーケンスを登録したセットアップ・モジュールを作成します。

エスケープ・シーケンスの形式:

ESC '   STX NUL DC1 LF  ESC '   ETX NUL EOT CAN ETX 

10進数の値:

027 096 002 000 017 010 027 096 003 000 004 024 003 

このフロント・パネル・コマンドは,上部オフセットを10ポイントに変更し,テキスト長を 11インチに設定します。大部分のレーザ・プリンタは用紙上のすべての領域に印刷できるようになっていないため,印刷可能領域内に収まるように,NUMBER_UPパラメータまたはLAYUPパラメータを使用してページを縮小する必要があります。

9.4 Proprinterの印刷可能領域の変更方法

Proprinterファイルを作成するアプリケーションでは,ページ全体を印刷のために使用できることを想定しています。 Proprinter装置などのドット・マトリクス・プリンタでは,ページ全体が使用されます。一方, DECprint Supervisor for OpenVMS ソフトウェアでサポートされるレーザ・プリンタでは,印刷可能領域はページ全体より小さく,印刷可能領域の周囲に余白が残されています。

Proprinterファイルを PostScript 形式に変換するソフトウェアでは,レーザ・プリンタの印刷可能領域の内部だけに印刷されるように,テキストがフォーマットされます。特に,ページの左右の1/4インチおよびページの下部の1/2インチには印刷することができません。ファイルの最初の行はページの上端から1/2インチにベース・ラインが印刷されるように設定されます。 図 9-1 を参照してください。

図 9-1 Proprinterの省略時の印刷可能領域




Proprinterファイルを印刷するときに,1ページに印刷しなければならないページが2ぺーシに印刷されてしまうことがあります。 図 9-2 を参照してください。

図 9-2 2ページの PostScript ページに印刷されたProprinterページ


この問題を解決するには,トランスレータが1ぺージにより多くの行を印刷するようなセットアップ・モジュールを使用します。

たとえば,10インチのレター・サイズの用紙に印刷する設定から11インチの用紙に印刷する設定にトランスレータを変更するには,ページを拡大/縮小するためのセットアップ・モジュールを作成します。以下のエスケープ・シーケンスを使用してください。

Proprinterエスケープ・シーケンスの形式

     ESC '   STX NUL DC1 LF  ESC '   ETX NUL EOT CAN ETX 

10進数

     027 096 002 000 017 010 027 096 003 000 004 024 003 

  注意
これらの例では,わかりやすくするためにコマンドの要素の間にスペースを表示しています。しかし,実際のコマンドにはスペースを指定しないでください。

この例を実行すると,上部オフセットは10ポイントに変更され,テキストの長さは11インチに設定されます。

テキストの印刷はぺージの下部からあふれるため,新しい出力も拡大/縮小しなければなりません( 図 9-3 を参照)。

図 9-3 長すぎるProprinterページ


この問題はページ・イメージを拡大/縮小することにより解決することができます。ページ・イメージを拡大/縮小するには,プリント・ジョブに対して,以下のいずれかを指定します。

/PARAMETERS=NUMBER_UP=1 
 
/PARAMETERS=LAYUP_DEFINITION=BORDERS 
 
/PARAMETERS=LAYUP_DEFINITION=layup-file-name

DECprint Supervisor for OpenVMS ソフトウェアには,通常のレーザ・プリンタのマージン設定におさまるように論理ページのサイズを縮小する,レイアップ定義ファイルの例が添付されています。サンプル・ファイル PROPRINTER-FULL-PAGE.LUPはSYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS]に格納されています。まだコピーしていない場合には,システム管理者に依頼して, DCPS$LAYUP領域にこのサンプル・ファイルをコピーしてもらってください。その後,以下に示すようにPRINTコマンドにレイアップ定義ファイルを指定できます。

$ PRINT file-name.PRO /PARAMETERS=LAYUP_DEFINITION=PROPRINTER-FULL-PAGE

最終的な出力は, 図 9-4 に示すとおりです。

図 9-4 PostScript ページにおさまるように調整されたProprinterページ



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