日本語 OpenVMS
日本語 OpenVMS
フォント管理ユーティリティ 利用者の手引き
第 1 章 概要
この章では,日本語 OpenVMS のフォント・システムとして使用されているフォント管理ユーティリティについて説明します。
フォント管理ユーティリティとは,日本語エディタ (DEC XTPU など)のようなプログラムが使用する漢字フォントをサポートするユーティリティ群です。
- KANJIGEN ユーティリティ
漢字ターミナルの属性を設定する ( 第 5 章 を参照)
- Character Manager (CMGR) ユーティリティ
システム・フォント・データベースの管理およびプリローディング用ファイルの作成 ( 第 4 章 を参照)
日本語 OpenVMS のフォント・システムは,このフォント管理ユーティリティの他にユーザから直接には見えないところで動く日本語ターミナル・ドライバ,フォント・ハンドラおよび漢字プリント・シンビオントも,漢字ターミナルに漢字を出力する際に使用しています。
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日本語ターミナル・ドライバとフォント・ハンドラ
文字パターン出力の判定と文字パターンの出力 ( 第 2 章 を参照))
- 漢字プリント・シンビオント
プリンタにユーザ定義文字を出力する (
第 3 章 を参照)
フォント管理ユーティリティの機能の概略を以下に記します。
- 漢字ターミナルの属性の設定
KANJIGEN ユーティリティを使用して,漢字ターミナルの属性を設定します。 DCL コマンドの SET TERMINAL に相当する機能です。
- 日本語エディタ,日本語電子メールなどを使う場合は,あらかじめ KANJIGEN で漢字ターミナルの属性を漢字出力モードに設定してください。
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JIS X 0208第2水準漢字およびユーザ定義文字をオンデマンド・ローディング機能を用いて表示する場合は,KANJIGEN で漢字ターミナルの属性をオンデマンド・ローディング可能に設定してください。
- ユーザ定義文字の作成
JIS X 0208第1水準,第2水準相当の漢字フォントは,漢字ターミナルのフォント ROM またはシステムのフォント・データベースに準備されています。これ以外の文字パターンが必要な場合は,CMGR ユーティリティを使用することによってユーザ独自にフォントをデザインして使用することができます。
作成した文字パターンは,システムのフォント・データベースに登録して全ユーザが共通に使用することも,各ユーザが個別に独自の文字パターンとして使うこともできます。
- プリローディング
漢字ターミナルやプリンタで,その装置のフォントROMにない漢字を使用する場合,文字パターンをあらかじめフォントRAM 上に保存して使用することができます。
この機能を使用するには,ロード可能形式で文字パターンを持つプリロード・ファイルと呼ばれるファイルを, DCL コマンドのTYPE で漢字ターミナルに出力するか,または DCL コマンドのPRINT でプリンタに出力してください。
- システム・フォント・データベース管理
CMGR ユーティリティを使用して,システム・フォント・データベース上に作成したユーザ定義文字を登録したり,または削除することができます。
- オンデマンド・ローディング
漢字ターミナルやプリンタで,その装置のフォントROMにない漢字を使用する場合,オンデマンド・ローディングの機能を使用して,自動的に文字パターンを漢字ターミナルに送ることができます。
オンデマンド・ローディング機能を有効にした場合,日本語ターミナル・ドライバは,必要に応じてフォント・ハンドラと呼ばれるプロセスを呼び出して,システム・フォント・データベース内の文字パターンを漢字ターミナルに送ります。
この機能はユーザからは見えないところで行われますので,ユーザは JIS X 0208 第2水準漢字,ユーザ定義文字などを自由に使うことができます。
- プリンタでの漢字印字
漢字プリント・シンビオントを使用すると,プリンタにユーザ定義文字を出力することができます。
システム全体で使用される文字パターンを格納するためのファイルで,以下の漢字を管理します。
- JIS X0208 漢字文字セットの 48 〜 94 区 → 漢字ターミナル用
- DEC 拡張漢字セット 1 〜 94 区 → 漢字ターミナルとプリンタ用
JIS X0208 漢字文字セット1 〜 47 区については漢字ターミナル側で管理します。フォント・データベース内にこの情報はありません( 図 1-1 参照)。
図 1-1 フォント・データベース
日本語 OpenVMS では,DEC 漢字コードセットおよび Super DEC 漢字コードセットの2つがサポートされます。
これらの漢字コードセットでは,一部の文字コードについてはユーザが文字パターンを作成し,定義することができます。 (ユーザ定義文字の作成や管理には, Character Manager (CMGR) ユーティリティを使用します。) これらの文字をユーザ定義文字(UDC)と呼びます。ユーザはユーザ定義文字を使用することにより,
日本語 OpenVMS の標準文字セットではサポートされない一部の漢字文字を使用することができます。漢字コードセットの詳細は,『日本語 OpenVMS 概説書』を参照してください。
1.5.1 ハードウェア | |
弊社製の漢字ターミナルおよびプリンタのほとんどすべては,文字パターンのロード可能シーケンスを取り扱うことができ,ユーザ定義文字を表示または印字できます。
Character Manager (CMGR) ユーティリティを使用する場合,ユーザが文字パターンを編集する漢字ターミナルは,動的再定義可能文字セット (DRCS)をサポートしていなければなりません。 DRCSについての詳しい説明は,『 VT382 Programmer Reference Manual 』を参照してください。
表 1-1 は,漢字フォント・システムのサポートの度合によって分類した漢字ターミナルとプリンタを示しています。
表 1-1 漢字ターミナルおよびプリンタでのユーザ定義文字のサポート
VT282ビデオ・ターミナル
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Yes
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Yes
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Yes
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N/A
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VT284グラフィック・ターミナル
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Yes
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Yes
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Yes
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N/A
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VT286カラー・グラフィック・
ターミナル
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Yes
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Yes
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Yes
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N/A
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VT382ビデオ・ターミナル
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Yes
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Yes
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Yes
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N/A
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LA86グラフィック・プリンタ
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N/A
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Yes
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No
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Yes
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LA88グラフィック・プリンタ
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N/A
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Yes
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No
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Yes
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LA90グラフィック・プリンタ
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N/A
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Yes
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No
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Yes
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LA280ライン・プリンタ
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N/A
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Yes
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No
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Yes
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LA380ライン・プリンタ
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N/A
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Yes
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No
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Yes
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LN03レーザ・プリンタ
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N/A
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Yes
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No
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No
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DEClaser 2300レーザ・プリンタ
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N/A
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Yes
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No
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No
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1.5.2 OpenVMS Cluster環境での操作 | |
複数のシステム・ディスクを持つ OpenVMS システムで構成されている OpenVMS Cluster 環境では,各 OpenVMS Cluster ノードは独自のシステム・フォント・データベースを持っています。したがって,1つのシステム・フォント・データベースを操作しても,他のシステム・フォント・データベースに影響を与えません。
このような不均質な OpenVMS Cluster環境でシステム・フォント・データベース間の互換性を維持するのは,そのOpenVMS Clusterシステムのシステム管理者の責任となります。
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