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OpenVMS マニュアル


 

OpenVMS ドキュメント
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タイトルページ
目次
まえがき
第1章:New Desktopの概要
第2章:New Desktopの使用方法
第3章:New Desktopの管理
第4章:アプリケーションの統合
第5章: プログラミング・リソース
付録A :New DesktopとCDEとの違い
付録B :複数画面のサポート
付録C :CDEのAPIルーチン
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New Desktop 使用概説書

New Desktop 使用概説書


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第 3 章
New Desktop の管理

本章では次の事項について説明します。

  • DECwindowsと New Desktop の起動シーケンス ( 第 3.1 節 )

  • デフォルトのデスクトップの変更 ( 第 3.2 節 )

  • New Desktop のディレクトリ構造 ( 第 3.3 節 )

  • 環境とアプリケーションのカスタマイズ ( 第 3.4 節 )

  • New Desktop のエラー・ログの使用( 第 3.5 節 )

  • New Desktop 環境における色の使用

  • New Desktop のフォントの使用( 第 3.7 節 )

  • X 端末その他の遠隔ディスプレイの使用 ( 第 3.8 節 )

  • 複数画面の使用 ( 第 3.9 節 )

  • New Desktop で作成されるプロセスの管理 ( 第 3.10 節 )

  • CDEシステム管理関連ドキュメント( 第 3.11 節 )



3.1 DECwindowsと New Desktop の起動シーケンス

DECwindows の起動コマンド・プロシージャである SYS$MANAGER:DECW$STARTUP.COMは,従来のDECsindowsデスクトップあるいは New Desktop のいずれかを起動します。 OpenVMS Alphaシステムでは, New Desktop がデフォルトで起動します。

New Desktop のアプリケーション起動フェーズで SYS$MANAGER:CDE$STARTUP.COM が実行され,次の手順を実行します。

  1. New Desktop で使用する一連の論理名を定義します。

  2. New Desktop で使用するいくつかの実行可能イメージ (ログイン) およびライブラリをインストールします。

いったんログインを起動すると,ログインはセッション・マネージャを起動し,続いてセッション・マネージャ用のウィンドウ・マネージャを起動します。 DECwindows のログイン・プロセスについての詳細は, Managing DECwindows Motif for OpenVMS Systems を参照してください。

3.2 デフォルトのデスクトップの変更

デフォルトのデスクトップを New Desktop からDECwindowsデスクトップに変更するには, SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMファイルを変更してからデスクトップを再起動します。

デフォルトのデスクトップをDECwindows デスクトップに変更するには,次の手順を実行してください。

  1. SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMファイルがない場合は, SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.TEMPLATEを SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMという名前の新規ファイルにコピーします。

  2. SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM のグローバル・シンボル DECW$START_NEW_DESKTOP を次のように "FALSE"に定義します。

    $ DECW$START_NEW_DESKTOP == "FALSE" 
    

  3. 次のコマンドを使用して,デスクトップを再起動します。

    $ @SYS$MANAGER:DECW$STARTUP RESTART 
    

DECwindowsデスクトップを起動している場合に,デフォルトを New Desktop に戻したい場合は,上記の手順に従って, DECW$START_NEW_DESKTOPの値を "FALSE" ではなく "TRUE" に定義するようにしてください。

ログイン時にいずれかのデスクトップを選択できるようにしたい場合は,グローバル・シンボル DECW$START_NEW_DESKTOP を変更しないでください。 第 2.1.1 項 の記述に従って,ログイン時にログイン・マネージャの [オプション] メニューを使用してデスクトップを選択してください。

3.3 New Desktop のディレクトリ構造

New Desktop 環境で使用される必須ファイルは,かなり複雑なディレクトリの階層構造をしています。 New Desktop はファイルの位置を示す検索パスと検索順序を使用して,各ディレクトリ間を移動して各種の操作用のファイルにアクセスします。検索パスはディレクトリ指定を示す一覧を含む論理名であり, New Desktop の起動時に定義されます。

一般的に任意のデータ・ファイルは,3 つの位置で検索されます。その位置と検索順序は次のとおりです。

  1. disk$:[user.DT...]
    ユーザのホーム・ディレクトリにあるユーザ固有のディレクトリ

  2. CDE$USER_DEFAULTS:[*...] (カスタマイズ可)
    システム全体で有効なディレクトリで,システム管理者がカスタマイズすることができます。

  3. CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[*...] (カスタマイズ不可)
    システム全体で有効なディレクトリで,インストレーション時にすべてのファイルのデフォルト・コピーが置かれます。

すなわち,ユーザ固有のディレクトリで見つかったファイルは,システム全体で有効でカスタマイズ可能なディレクトリのファイルよりも優先され,さらに,システム全体で有効なカスタマイズ可能なディレクトリのファイルは,システム全体で有効なインストール済みのディレクトリのファイルよりも優先されるということです。

  注意
CDE$USER_DEFAULTSディレクトリ構造は,インストレーション時には作成されません。システム全体のカスタマイズ設定を追加したい場合は,対応するディレクトリを作成する必要があります。



CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[*...] は, New Desktop のシステム・ディレクトリ構造であり, 図 3-1 および 表 3-1 に示すように読み出し専用ディレクトリであり,このディレクトリにリソース・ファイル,アプリケーション・ファイル,デフォルト・ファイル,構成ファイル,アプリケーション支援ファイルが置かれています。各ファイルは,将来のバージョンのインストレーション時に上書きされるため,編集しないようにしてください。また,これらのディレクトリからのファイルの読み込みおよび実行は可能ですが,アプリケーションがこれらのディレクトリにファイルを作成することはありません。

図 3-1 CDE$SYSTEM_DEFAULTSディレクトリの構造




図 3-1 の [.C] ディレクトリには,システムにインストールされているデフォルトのCロケールの実行に必要なロケール専用ファイルが入っています。追加ロケールをインストールした場合は,各[.C]ディレクトリと同一のレベルに対応するディレクトリが存在します。たとえば,システムに日本語ロケールをインストールした場合は, [.APP-DEFAULTS] のディレクトリ構造に [.C] と [.JA_JP_*] の両方が存在します。日本語ロケールに固有のファイルは[.JA_JP_*]に置かれ, [.C]ディレクトリ内の同一名称のファイルよりも先にアクセスされます。

表 3-1 CDE$SYSTEM_DEFAULTSのディレクトリ
ディレクトリ 内容
[.APPCONFIG] フロントパネルの構成ファイルを含むアプリケーション管理ファイル,ヘルプ・ファイル,サンプル・ファイル,アイコン・ファイル,データ型定義ファイル。 [.APPMANAGER] ディレクトリにはいくつかのサブディレクトリが含まれ,それぞれ異なるアプリケーション・グループに対応してします。各サブディレクトリには,そのグループ内の各アプリケーション当たり 1 つのアクション(stub)・ファイルが含まれています。
[.APP-DEFAULTS] New Desktop が提供するアプリケーション用のアプリケーション・デフォルト(リソース)・ファイル。
[.BACKDROPS] New Desktop が提供する背景機能関連ファイル。
[.BIN] New Desktop の実行可能ファイル(バイナリ)。
[.CONFIG] セッション・マネージャやウィンドウ・マネージャのリソースなど, New Desktop の各種機能のグローバル・リソース設定用のシステム構成ファイル。フォント別名ファイルは,[.XFONTS]サブディレクトリ構造に含まれています。
[.EXAMPLES] CDE プログラミング・リソースの使用法を示すサンプル・ファイル。
[.LIB] 各国語化したメッセージ・カタログ・ファイル
[.MAN] 変更されていない,前処理された New Desktop 用の UNIX のマニュアル・ページ。
[.PALETTES] New Desktop が提供するカラー・パレット・ファイル。



3.3.3 システム全体で有効なカスタマイズ用の構成ファイル

次のディレクトリは, New Desktop のシステム全体で有効な構成ディレクトリです。

CDE$USER_DEFAULTS:[*...] 

表 3-1 に示すディレクトリは, CDE$USER_DEFAULTS:[*...] ディレクトリ構造に対応するディレクトリを持つことができます。システム全体で有効なカスタマイズ設定を行う場合は,最初にカスタマイズするファイルを CDE$SYSTEM_DEFAULTS から CDE$USER_DEFAULTSディレクトリ構造の同一ディレクトリにコピーし,続いてそのファイルを編集してください。対応するディレクトリを作成する必要があります。

CDE$USER_DEFAULTS論理名は, CDE$USER_SPECIFIC論理名とCDE$USER_COMMON論理名が入っている検索パスです。ノード固有の変更は, CDE$USER_SPECIFIC:[*...]ディレクトリ構造の該当するサブディレクトリに対して行ってください。クラスタ全体に有効な変更は, CDE$USER_COMMON:[*...] ディレクトリ構造の該当するサブディレクトリに対して行ってください。

表 3-2 は,ノードあるいはクラスタのシステム・デフォルト値のカスタマイズ方法を説明したものです。

表 3-2 ノードあるいはクラスタのデフォルト値のカスタマイズ方法
システムの
タイプ
方法
ノード 変更したいデフォルト値が入っているファイルを, CDE$SYSTEM_DEFAULTS内のディレクトリから CDE$USER_SPECIFIC内の同名のディレクトリにコピーしてから,編集します。
クラスタ 変更したいデフォルト値が入っているファイルを, CDE$SYSTEM_DEFAULTS内のディレクトリから CDE$USER_COMMON 内の同名のディレクトリにコピーしてから,編集します。

ユーザまたはアプリケーションがCDE$USER_DEFAULTSからの読み込みを行う場合は,最初に CDE$USER_SPECIFIC:[*...] を検索し,続いて CDE$USER_COMMON:[*...] を検索します。

ユーザまたはアプリケーションがCDE$USER_DEFAULTS:[*...] へのファイルの書き込みを行う場合は, CDE$USER_SPECIFIC:[*...] ディレクトリ構造に書き込まれます。 CDE$USER_COMMON:[*...] に書き込む場合は, CDE$USER_COMMON を指定して書き込みを行う必要があります。

3.3.4 ユーザのカスタマイズ設定用の構成ディレクトリ

New Desktop に最初にログインすると, 表 3-3 に示すようなユーザ固有の構成ディレクトリ構造が作成されます。次に示すように,この階層構造の最上位ディレクトリがホーム・ディレクトリに置かれます。

disk$:[user.DT] 

このディレクトリ構造には,各ユーザの固有の情報が置かれます。このディレクトリ内の情報は,システム固有の構成ディレクトリ (CDE$USER_DEFAULTS:[*...]) に存在するリソースあるいはカスタマイズ設定を無効にしたり,補足したりします。

disk$:[user.DT...]ディレクトリ構造には,エラー・ログ,ユーザが定義したアプリケーション・マネージャ用の構成ファイル,セッションの状態,保存および復元情報,ユーザが設定した背景機能,ヘルプ構成ファイル,アイコン,パレットが置かれます。

表 3-3 最初のログイン時に作成されるユーザ用ディレクトリ
ディレクトリ 内容
disk$:[ user.DT.APPMANAGER] 個人アプリケーション・グループ
disk$:[ user.DT.DESKTOP] デスクトップ(背景)にドロップしたアイコンを復元するための情報
disk$:[ user.DT.HELP] 個人用ヘルプ・ファイル
disk$:[ user.DT.ICONS] 個人用アイコン・ファイル
disk$:[ user.DT.PALETTES] 個人用パレット・ファイル
disk$:[ user.DT.SESSIONS] セッションの状態と保存および復元情報の作業領域
disk$:[ user.DT.TMP] New Desktop が作成する一時ファイル
disk$:[ user.DT.TRASH] ごみ箱に移動したファイルとその処理に関する情報
disk$:[ user.DT.TYPES] 個人用アクション定義



3.3.5 データ・ファイルの優先順位

New Desktop アプリケーションが読み込むデータ・ファイルの優先順位は次のとおりです。

  1. disk$:[user.DT...]

  2. CDE$USER_SPECIFIC:[*...]

  3. CDE$USER_COMMON:[*...]

  4. CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[*...]



3.4 環境とアプリケーションのカスタマイズ

New Desktop 環境は各種の方法でカスタマイズすることができます。ほとんどのカスタマイズ設定はリソース・ファイルの変更によって行います。変更はファイルを直接編集するか,xrdbユーティリティを使用するか,スタイル・マネージャで間接的に変更するかのいずれかの方法で行います。

また,アクションの追加や変更によっても環境をカスタマイズすることができます。 [アクション作成] アプリケーションを使用することで,新規アクションの追加あるいは既存のアクションの変更が可能です ( 第 4.1 節 を参照)。また,アクション定義ファイルとその対応ファイルを作成あるいは編集することによっても,アクションの追加,変更が可能です。

3.4.1 New Desktop とリソース・ファイルの使用

New Desktop はXウィンドウ環境と同様に,リソース・ファイルを使用してグローバル・リソースとアプリケーション固有のリソースを定義します。グローバル・リソースは, New Desktop にログインした際に読み込まれます。アプリケーション固有のリソースは,そのアプリケーションを起動した際に読み込まれます。

DECwindowsデスクトップで現在使用中のほとんどのリソース・ファイルは, New Desktop でも引き続き使用されます。システム全体で有効なリソースの DECW$SYSTEM_DEFAULTS_JA_JP および DECW$SYSTEM_DEFAULTS論理名と,ユーザ固有のリソースのDECW$USER_DEFAULTS論理名も引き続き検索され,グローバルなユーザ・デフォルト・ファイル DECW$USER_DEFAULTS:DECW$XDEFAULTS.DATもログイン時に読み込まれます。

ただし New Desktop の場合は多少異なります。グローバルなシステム全体で有効なリソースは, CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[CONFIG.JA_JP_*]ディレクトリの SYS.RESOURCESファイルおよびSYS.FONTファイルから読み込まれます。ユーザ専用グローバル・リソースは, DECW$USER_DEFAULTS:DECW$XDEFAULTS.DATファイルおよび disk$:[user.DT.SESSIONS]のサブディレクトリにあるユーザのDT.RESOURCES ファイルから読み込まれます。サブディレクトリの選択は,使用しているセッションのタイプ (現在のセッションあるいはホーム・セッション) に応じて異なります。

DT.RESOURCESファイルには, New Desktop のスタイル・マネージャを実行して指定されたカスタマイズ設定が入っています。このリソース・ファイルは,基本的にDECwindowsデスクトップのセッション・マネージャの [オプション] プルダウン・メニューで作成する DECW$SMB_*.DAT ファイルと同一の役割を持っています。一部の例外を除き, DECwindowsセッション・マネージャの [オプション] プルダウン・メニューでカスタマイズ可能なものは, New Desktop のスタイル・マネージャでもカスタマイズすることができます。

New Desktop に含まれているCDEアプリケーション用のアプリケーション固有のリソースは, CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[APP-DEFAULTS.JA_JP_*]ディレクトリに置かれており,リソース・ファイルが DECW$SYSTEM_DEFAULTS_JA_JP: および DECW$SYSTEM_DEFAULTS: ディレクトリに見つからない場合に,このディレクトリが検索されます。 New Desktopのディレクトリの完全な階層構造については, 第 3.3 節 で説明しています。

  注意
*hostList:や*keyboardDialect:などのすべてのリソース識別子は大文字と小文字が区別されます。通常,コロン(:)の次に指定する値は大文字と小文字も区別はありませんが,アプリケーションが値を解釈する方法によって異なります。ファイル名のリソース値は,大文字と小文字も区別はありません。


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