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OpenVMS マニュアル


 

OpenVMSマニュアル
ライブラリ

タイトルページ
目次
まえがき
第1章:インストールに関する注意事項
第2章:関連製品に関する注意事項
第3章:一般ユーザ向けの注意事項
第4章:システム管理に関する注意事項
第5章:プログラミングに関する注意事項
第6章:ハードウェアに関する注意事項
付録A:インターロックされたメモリ命令の使用
索引
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HP OpenVMS
V8.4 リリース・ノート【翻訳版】


目次 索引

第 4 章
システム管理に関する注意事項

この章では,システムの保守と管理,性能の管理,ネットワーキングに関連する情報をまとめます。

このバージョンで提供される新機能の詳細については,『HP OpenVMS V8.4 新機能説明書』を参照してください。

4.1 SYS$TIMEZONE_RULE 論理名がハイフン (-) をカレット (^)に置換

V8.4

OpenVMS Version 8.3-1H1 以降,ハイフン文字 (-) をカレット文字 (^) に置換するように SYS$TIMEZONE_RULE 論理名が修正されています。この変更は,DTSS をサポートするために TDF で行なわれています。 DTSS は一般的に使用される UNIX の GMT-X タイムゾーン・ルールを処理することができず,タイムゾーン名と同一タイムゾーン・ルール文字列をサポートしていません。

たとえば,GMT-1 タイムゾーン・ルールは, SYS$TIMEZONE_RULE 文字列 GMT-1 を生成します。しかし,ルール・ファイル名とルール文字列がともに GMT-1 であるため DTSS は適切に機能しませんでした。

この変更をサポートするために,CRTL および DTSS コンポーネントも変更されます。

たとえば,この変更が行なわれる前のタイムゾーン論理名は以下のとおりでした。

"SYS$TIMEZONE_RULE" = "CET-1CEST-2,M3.5.0/02,M10.4.0/03" 

変更の結果,タイムゾーン論理名は以下のようになります。

"SYS$TIMEZONE_RULE" = "CET^1CEST^2,M3.5.0/02,M10.4.0/03" 



4.2 Virtual オプション付きでのライセンス処理

V8.4

OpenVMS Version 8.4 では,Virtual オプション付きのライセンス・ロードはゲスト・クラスタ・メンバに限定されています。非ゲストの OpenVMS Version 8.4 システムでは, Virtual オプション付きでライセンスをロードできません。

V8.4 よりも古いバージョンの OpenVMS システムがインストールされている OpenVMS クラスタ・メンバでは, Virtual オプション付きでライセンスがロードされます。 Virtual オプション付きでロードしてもゲスト・システムにおける動作には悪影響を与えませんが,必要に応じて,ロード処理が行なわれないように /INCLUDE あるいは /EXCLUDE を使用することをお勧めします。

Integrity VM におけるOpenVMS ゲストのライセンスについての詳細は,『HP OpenVMS License Management Utility Manual』を参照してください。

4.3 iSCSI デモ・キット

V8.4

OpenVMS Version 8.4 では,iSCSI デモ・キットはサポートされません。このキットは OpenVMS Version 8.4 では使用しないことをお勧めします。

4.4 Integrity VM における OpenVMS ゲスト OS

OpenVMS Version 8.4 は HP Virtualization をサポートするため, HP Integrity Virtual Machines (Integrity VM) 上にゲスト・オペレーティング・システムとしてインストールすることができます。 Integrity VM 固有の制限事項については,Integrity VM 製品のドキュメントを参照してください。

この項では,Integrity VM 上の OpenVMS ゲストに関する既知の問題と制限事項について説明します。

4.4.1 シャットダウン動作の変更

V8.4

SYS$SYSTEM:SHUTDOWN.COM をリブート指定無しで実行した場合,システムは POWER_OFF オプションを使用します。ゲスト・ノードがクラスタ環境にある場合, POWER_OFF オプションとともに REMOVE_NODE オプションを使用してクォーラムが調整されます。

このオプションが使用される結果として,仮想マシンがシャットダウンされます。このため仮想コンソールで MP コマンド pc -on を使用するか,あるいはホストで次のコマンドを実行して,仮想マシンを再起動する必要があります。

# hpvmstart -P <<OpenVMS guest name>> 



4.4.2 OpenVMS ゲストによる外付け I/O デバイスのサポートに関する注意事項

V8.4

OpenVMS ゲストは,CD/DVD ドライブ,メディア・チェンジャー,テープ・デバイスなどの付属装置はサポートしません。テープ・デバイスを使用したい場合は,クラスタ内のシステムに物理的に接続されたデバイスに TMSCP を利用してアクセスします。

4.4.3 ネットワークおよびストレージ・インタフェースのサポート

V8.4

OpenVMS ゲストは AVIO (Accelerated Virtual) I/O インタフェースのみをサポートします。

Integrity VM のコマンドをゲストに対して使用してVIO デバイスを構成してもこれらのデバイスはスタートアップ時に特に明確なエラーは示しませんが, VIO デバイスは OpenVMS が稼動するゲストのサポート構成の範囲からは外れます。

4.4.4 HP-UX ゲストと OpenVMS ゲストでの同じ仮想スイッチの使用に関する制限事項

V8.4

HP-UX ゲストと OpenVMS ゲストで同じ仮想スイッチを使用するように構成すると,これらのゲスト間のネットワーク通信に失敗します。この問題は OpenVMS の将来のリリースで解決されます。

この問題の回避方法は, HP-UX ゲストと OpenVMS ゲストで異なる仮想スイッチを使用するように構成することです。

4.4.5 vNICs が構成されていない場合の OpenVMS ゲストの既知の問題

V8.4

vNIC (Virtual Network Interface Card) が構成されていない OpenVMS ゲストで DECnet スタートアップの後で TCP/IP が起動された場合,クラッシュが発生します。 vNIC が少なくとも 1 つ構成された状態で OpenVMS ゲストを使用することをお勧めします。

vNIC が構成されていない場合に,OpenVMS ゲスト上で DECnet あるいは TCP/IP を個々に動作させることは可能です。

4.5 HP Availability Manager に関する注意事項

V8.4

この節では,HP Availability Manager Version 3.1 の既知の問題について説明します。

  • SYS$STARTUP:AMDS$STARTUP STOP コマンドで Data Collector を停止し, SYS$STARTUP:AMDS$STARTUP START コマンドで再起動した場合, OpenVMS Alpha および OpenVMS Integrity サーバでは, Data Analyzer のイベント・ウィンドウには管理しているノードに関してイベントが何もポストされません。
    回避方法:
    次のいずれかのコマンドを実行します。

    • 次のコマンドで Data Collector を再起動します。

      $ @SYS$STARTUP:AMDS$STARTUP RESTART 
      

    • 次のコマンドで Availability Manager Server を再起動します。

      $ AVAIL/SERVER 
      

    • 次のコマンドで Availability Manager Analyzer を再起動します。

      $ AVAIL/ANALYZER 
      

  • Availability Manager Analyzer がすべてのリモート・ノードに対して "Path Lost" PATHLST イベントを報告した後,しばらく経過すると,データの表示が行なわれなくなります。
    回避方法:
    この問題を解決するには,次のようなコマンドを入力して, SYSGEN パラメータの LAN_FLAGS ビットを 16 に変更して通常の動作に戻します。

    $ MC SYSGEN SET LAN_FLAGS 16 
    



4.6 HP SIM による OpenVMS のプロビジョニング

HP SIM Version 4.0 による OpenVMS のプロビジョニングには,以下の制限事項が適用されます。

4.6.1 OpenVMS ゲストのプロビジョニングに関する制限

V8.4

Integrity VM における OpenVMS ゲスト・オペレーティング・システムのプロビジョニングはサポートされません。

4.6.2 システム・ファームウェアに関する注意事項

V8.4

BL860c および BL870c サーバのシステム・ファームウェアのバージョンは 4.21 以上でなければなりません。 rx3600 および rx6600 サーバのシステム・ファームウェアのバージョンは 4.11 以上でなければなりません。

4.6.3 複数のサーバのプロビジョニング

V8.4

  • InfoServer による HP SIM プロビジョニングでは,同時に最大 8 台のサーバのプロビジョニングをサポートします。

  • vMedia による HP SIM プロビジョニングでは,一度に 1 台のサーバしかプロビジョニングできません。



4.6.4 HP SIM Central Management Server からのプロビジョニング

V8.4

OpenVMS は,HP SIM Central Management Station,すなわち Microsoft Windows がインストールされた HP ProLiant サーバからプロビジョニングできます。

4.6.5 InfoServer の名前の長さ

V8.3-1H1

プロビジョニングが正しく行なわれるためには InfoServer の名前は 12 文字よりも短くなければなりません。これは一時的な制限事項です。

4.6.6 OpenVMS InfoServer と Integrity サーバが同一 LAN 上に存在しなければならないケース

V8.3-1H1

サーバ・ブレードのプロビジョニングでは, OpenVMS InfoServer と Integrity サーバは同一 LAN 上に存在する必要があります。

4.6.7 EFI ファーム・ウェア

V8.3-1H1

BladeSystem の EFI ファームウェアは V5.0 以上でなければなりません。

4.6.8 Management Processor

V8.4

Management Processor は Advanced iLO2 ファームウェアを実行していなければなりません。

4.6.9 プロビジョニングによる OpenVMS TCP/IP の構成に関する既知の問題

V8.4

ターゲット・サーバで TCP/IP のサーバ・コンポーネント BIND,LPD,LBROKER および SMTP を有効にするように選択している場合,プロビジョニングによって OpenVMS TCP/IP を構成する際にはこれらを起動しないでください。

プロビジョニングによる TCP/IP の構成の後,手動でこれらのサービスを構成および再起動することでこの問題に対処してください。

4.6.10 OpenVMS TCP/IP のプロビジョニングに関する制限事項

V8.4

プロビジョニングによる OpenVMS TCP/IP の構成には以下のような制限事項があります。

  • TCP/IP の構成では IPv4 アドレスのみをサポートしています。 IPv6 アドレスは現在のところサポートしていません。

  • エイリアスあるいはセカンダリ IP アドレスの構成はサポートしていません。

  • ターゲット・サーバにおける DHCP サーバ・コンポーネントの構成はサポートしていません。

  • プロビジョニングでは,ネットワーク・インタフェースの構成は各ターゲット・サーバで 1 つだけ可能です。

  • HP TCP/IP Services for OpenVMS のオプション・コンポーネントの構成はサポートしていません。

  • プロビジョニングでは,論理 LAN デバイスの設定および LAN フェールオーバの構成はサポートしていません。



4.6.11 AutoBoot タイムアウト値の設定

V8.4

OpenVMS のプロビジョニングを行う場合,各ターゲット・サーバの AutoBoot Timeout 値は 5 秒以上に設定されていなければなりません。このパラメータの設定は,EFI Boot Manager メニューから実行できます。 (Boot Configuration -> AutoBoot Configuration -> Set AutoBoot Timeout)

4.7 Insight ソフトウェアによる OpenVMS の管理

V8.4

Insight ソフトウェアについての詳細は以下の Web サイトを参照してください。

http://h71000.www7.hp.com/openvms/system_management.html



V8.4

OpenVMS V8.4 では,以下のような性能の強化が行なわれています。

4.8.1 書き込みビットマップの拡張

V8.4

書き込みビットマップ (WBM) は,ミニマージおよびミニコピー操作の際に OpenVMS Volume Shadowing が使用する機能です。ディスク上のどのブロックに書き込みが行なわれたかを,クラスタ内の他のノードに伝えます。本リリースでは以下のような変更が行なわれています。

V8.4

WBM_MSG_INT パラメータは,バッファード・モードのときに SetBit メッセージをどれだけ遅らせることができるか,その時間を示します。この時間間隔で SetBit バッファが SetBit メッセージでいっぱいになっていなければ,メッセージが送信されます。このパラメータ値の単位はミリ秒ですが,このタイマーが使用する換算係数が 1 桁間違っていました。以前は,WBM_MSG_INT の値が 10 の場合,バッファード・モードで 100 ミリ秒の遅れという結果になっていました。本リリースでは,値 10 が正しく 10 ミリ秒の遅れを示すように修正されています。

V8.4

WBM_MSG_UPPE は,シングル・メッセージ・モードで動作している場合に,バッファード・メッセージ・モードに切り換えるかどうかを判断するためのしきい値です。ある 100 ミリ秒の間に WBM_MSG_UPPER を越える SetBit 操作が行なわれた場合,メッセージング・モードはバッファード・モードに切り替わります。 WBM_MSG_UPPE のデフォルト値は 80 です。

WBM_MSG_LOWER は,バッファード・メッセージ・モードで動作している場合に,シングル・メッセージ・モードに切り換えるかどうかを判断するためのしきい値です。ある 100 ミリ秒の間に WBM_MSG_LOWER を下回る SetBit 操作が行なわれた場合,メッセージング・モードはシングル・モードに切り替わります。デフォルト値は 20 です。

V8.4

1 つのシャドウセットに対して複数のマスタ・ビットマップ・ノードを持つことが可能ですが,これまでは,SetBit メッセージは複数のマスタ・ビットマップ・ノードへ同期的に送信されていました。最初のリモート・マスタ・ビットマップ・ノードから SetBit メッセージに対する応答を受け取ると,そのメッセージは次のマスタ・ビットマップ・ノードへ送信されていました。そして,すべてのリモート・マスタ・ビットマップ・ノードからの応答を受け取ると, I/O が再開されていました。

本バージョンでは,SetBit メッセージはすべてのマスタ・ビットマップ・ノードへ非同期的に送信されます。全てのマスタ・ビットマップ・ノードからの応答を受け取ると, I/O 操作が再開されます。これにより,書き込みビットマップ・コードによる I/O 操作の待機時間が短縮されます。

V8.4

ディスクに対するシーケンシャルな書き込みが発生すると,リモート・ビットマップのシーケンシャルなビットを設定する Setbit メッセージの送信が行なわれます。 WBM のコードは,ビットマップのどの場所に多くの前のビットが設定されているかを認識するようになりました。これにより,シーケンシャルな書き込みが続く場合により少ない Setbit メッセージで済むように WBM は追加ビットを設定します。シーケンシャルな I/O が続くと想定すると, Setbit メッセージが 10 分の 1 ほどに低減され,シーケンシャル書き込みの I/O レートが改善されます。

4.8.2 例外処理性能の改善 (Integrity のみ)

V8.4

OpenVMS Integrity サーバ・システムの例外処理に対していくつかの性能改善が行なわれています。この変更により例外処理のオーバーヘッドが軽減されますが,例外処理のすべてのケースで性能改善が見られるわけではありません。

OpenVMS Version 8.4 は,デコードされたアンワインド・データをキャッシュします。このキャッシュは,ユーザ呼び出しが可能な呼び出し標準ルーチンで例外処理の際に使用されます。これらの呼び出し標準ルーチンは, C++ の try/throw/catch コンストラクトや C 言語の setjmp/longjmp コンストラクトなどのプログラミング言語コンストラクトを実装するために RTL でも使用されています。

予想外のエラーの場合, VMS システム・パラメータ KTK_D3 を使用して,キャッシュを一時的に無効にすることができます。デフォルト値の 0 でキャッシュは有効になります。値 1 でキャッシュが無効になります。この特別なパラメータ KTK_D3 は, HP が提供するデバッグ/テスト・イメージで使用されます。この種のテスト・イメージをシステムでご使用の場合は,デフォルト値の 0 にリセットするようにしてください。

4.8.3 イメージの起動 (Integrity のみ)

V8.4

イメージを起動し実行中の間,ページング I/O はそのイメージのページをメモリに保管します。 Integrity サーバ・システムでは,実行されるコードがページに含まれている場合,それらのページで I キャッシュ・フラッシュを実行する必要があります。このため,実際には実行されない多くのページで I キャッシュ・フラッシュが発生することになります。実行されないページでの I キャッシュ・フラッシュを避けるため,本リリースでは,そのページで最初にインストラクションが実行される時に I キャッシュ・フラッシュが実行されるように変更されています。この変更により,実行されないページでの I キャッシュ・フラッシュは行なわれず,全体的な性能の向上が期待できます。

4.8.4 グローバル・セクションの作成と削除

V8.4

種々のタイプのグローバル・セクションの作成および削除の領域でオペレーティングシステムの性能が強化されています。この変更による利点として,大規模な SMP システムにおける MP Synch の削減が期待できます。

4.8.5 Dedicated CPU Lock Manager

V8.4

Dedicated CPU Lock Manager は,16 個以上の CPU を持ちロッキング・レートが非常に高いシステムにおいて使用される機能です。より高いレートでロッキング操作が実行されるよう Dedicated CPU Lock Manager が改善されています。

4.8.6 Ctrl/T アライメント・フォルト

V8.4

ターミナルで Ctrl/T 操作を行うと,多数のアライメント・フォルトが発生しました。この問題は OpenVMS Version 8.4 では解決されています。

4.9 ACPI ブート時のエラー・メッセージおよび警告メッセージ

V8.4

セルベースのシステム(rx8640 あるいは rx7640 など) では, OpenVMS のブート時に次のようなメッセージが表示される場合があります。

ACPI Error (utmutex-0430): Mutex [1] is not acquired, cannot release [20071219] 

一部のシステム (最新のプロセッサを搭載したrx2660など) では,電源管理機能が有効になっていると OpenVMS のブート時に次のようなメッセージが表示される場合があります。

ACPI Warning (nseval-0250): Excess arguments - method [_OST] needs 3, found 7 [20080701] 

これらのメッセージは無視してかまいません。将来のリリースで修正される予定です。

4.10 Accounting ユーティリティでの長いデバイス名のサポート

V8.4

長いデバイス名を処理できるように Accounting ユーティリティが修正されています。たとえば,TNA10000: や MBA1000: など,ユニット番号が 9999 よりも大きな端末 (TNA),ユニット番号が 999 よりも大きな MBA デバイス,あるいはその他のデバイス名など, 7 文字以上のデバイス名を表示できるようになりました。

以前は,デバイス名が 7 文字を越える場合は,任意の不定な文字が表示されていました。 accounting.dat ファイルへの新しいレコードの書き込みには新しいアカウンティング・レコード・バージョン (version4) が使用され, Accounting ユーティリティでこれらの新しいレコードの読み取りおよび表示が可能です。

4.11 新しいシステム・パラメータ PAGED_LAL_SIZE

PAGED_LAL_SIZE は,ページング動的プールのルックアサイド・リストで使用する最大サイズをバイト数で設定します。

4.11.1 ページング・プールのルックアサイド・リスト

V8.4

ページング動的プールでルックアサイド・リストを使用することが可能になり,これによりシステム性能の向上が期待できる場合があります。この機能は SYSGEN パラメータ PAGED_LAL_SIZE で制御され,デフォルトではこの機能は無効 (パラメータ値 0) になっています。

可変ページング・プール・フリーリストで断片化が発生した場合,このルックアサイド・リストの使用を有効にすることにより効果をもたらすことがあります。 SYSGEN パラメータ PAGED_LAL_SIZE は,ルックアサイド・リストで使用する最大サイズをバイト数で設定します。この最大サイズよりも大きなパケットは,可変ページング・プール・フリーリストから割り当てられます。 512 バイトの値を使用すると,論理名の作成と削除を集中的に実行するようなシステムで効果があることが確認されています。

このパラメータを動的に変更して,必要に応じて機能を有効にしたり,調整したり,あるいは無効にすることができます。機能を有効にした後,値を小さくすると,もはやアクティブには使用されていないパケットがページング・プール・ルックアサイド・リストに存在する場合があります。これは,DCL の "Over-limit Lookaside Blocks" や SDA の SHOW MEMORY/POOL/FULLコマンドで確認できます。これらのパケットは以前使用されていましたが,今は新しい PAGED_LAL_SIZE よりも大きくなっています。これらのパケットは,この SYSGEN パラメータの値が増加するか,あるいはページング・プールの不足が発生してルックアサイド・リストからパケットが再要求されると再び使用されます。

ルックアサイド・リスト上のパケットがページ・プールのほとんどあるいはすべてを消費するような状況を防ぐために,ページ・プールのルックアサイド・リストはページ・ダイナミック・プールの最後の 4 分の 1 のパケットには使用されません。ページ・プール・メモリの不足が発生した場合,ルックアサイド・リスト上のパケットも再要求されます。

デフォルト値 0 でこの機能を無効にした場合,ページ・プールの動作は以前のバージョンの OpenVMS と同じで,ページ・プール変数フリーリストからパケットの割り当ておよび割り当て解除が行なわれます。

4.12 2 TB ディスク・ボリュームのサポートに関する制限事項

V8.4

OpenVMS Version 8.4 は最大 2 TB のディスク・ボリュームをサポートしますが,以下のような制限事項があります。

  • V8.4 より古いバージョンの OpenVMS では 1 TB よりも大きなボリュームはサポートしておらず, 1 TB よりも大きなボリュームのマウントもサポートしていません。間違って古いバージョンの OpenVMS にマウントしてしまうのを防ぐために, MOUNT の最新のパッチでは,そのようなシステムで 1 TB を超えるサイズのボリュームのマウントを明示的に許可していません。

  • F$GETDVI() レキシカル関数の項目 MAXBLOCK,FREEBLOCKS,EXPSIZE,および VOLSIZE はターゲット・ディスクのサイズに依存した情報を返します。 OpenVMS Version 8.4 では,ターゲット・ディスクのサイズが 1 TB を超える場合,これらの F$GETDVI() 項目は負の値を返すことになります。これは,DCL が 32-bit 符号付き整数の計算および比較を行うためです。 F$GETDVI() とこれらのタイプのアイテムコードを使用するコマンド・プロシージャは, 1 TB よりも大きなボリュームを扱えるように修正する必要があります。
    DCL 整数表現の範囲を越える数値の処理については,『OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。



4.13 SAS テープ・ドライブの構成

V8.4

SAS テープ・ドライブの命名および構成は, Fibre Channel テープ・ドライブの構成に使用するのと同じコマンドで実行する必要があります。詳細は,『OpenVMS Cluster 構成ガイド』の Fibre Channel テープ・サポートの項を参照してください。

4.14 外付け SAS ディスク・デバイスのネーミング

V8.4

Smart Array コントローラ以外で制御される外付けの SAS ドライブは, $3$DGA<UDID> として構成できます。 <UDID> には LUN に対するユニークなデバイス ID を指定します。 SAS デバイスと Fibre Channel デバイスを区別するために,外付け SAS ディスク・デバイス名にはアロケーション・クラス値 3 を使用するのに対し, Fibre Channel ディスク・デバイス名にはアロケーション・クラス値 1 を使用する点に注意してください。

4.15 外部認証

ここでは,外部認証に関する注意事項について説明します。外部認証は OpenVMS Version 7.1 で導入されたオプションの機能であり,この機能を利用すると,OpenVMS システムは外部のユーザ ID とパスワードを使用して,指定されたユーザを認証できます。外部認証の使用方法についての詳細は,『OpenVMS システム・セキュリティ・ガイド』を参照してください。

  注意
外部認証ユーザに対する注意事項:

外部認証をサポートする SYS$ACM 対応の LOGINOUT.EXE と SETP0.EXE (SET PASSWORD) イメージを使用している場合, OpenVMS Version 8.4 へのアップグレードを行うと SYS$ACM 対応のイメージがリストアされます。

ACMELOGIN キットのインストールについては SYS$HELP:ACME_DEV_README.TXT を参照してください。



V8.4

ユーザ認証には SYSUAF.DAT 以外のソースに対する外部認証を使用し,カスタマイズしたパスワード処理のパスワード・ポリシーを使用している場合, Password Policy 共有イメージをインストールし, LOAD_PWD_POLICY システム・パラメータを有効にした後に, ACME Server を再起動する必要があります。

次のコマンドを使用して ACME を再起動してください。

$ SET SERVER ACME_SERVER /RESTART 



4.15.2 OpenVMS Integrity 外部認証サポート

V8.2

Advanced Server for OpenVMS V7.3A ECO4 (およびそれ以降) の製品キットには, OpenVMS Cluster 内の Integrity システムに対するスタンドアロン外部認証ソフトウェアが含まれています。

OpenVMS Integrity が動作している OpenVMS Cluster メンバのノードで NT LAN Manager の外部認証を可能にする場合は, Advanced Server がインストールされている Alpha システムから OpenVMS Integrity メンバ・ノードへ OpenVMS Integrity スタンドアロン外部認証イメージをコピーする必要があります。また, Advanced Server キットのリリース・ノートで説明されているように正しくセットアップされている必要があります。

4.15.3 DECterm 端末セッションでの SET PASSWORD の動作

V7.2

DECterm 端末セッションでは,ログインで使用する外部ユーザ名にアクセスすることができないため, SET PASSWORD 操作の際に外部ユーザ名を入力しなければなりません。外部ユーザ名のデフォルトは,プロセスのOpenVMS ユーザ名です。デフォルトが適切でない場合 (つまり,外部ユーザ名と,それに対応する OpenVMS ユーザ名が異なる場合),正しい外部ユーザ名を入力しなければなりません。

次の例に,外部ユーザ名が JOHN_DOE であるユーザが開始したSET PASSWORD 操作を示します。マッピングされた OpenVMS ユーザ名は JOHNDOE であり,これは SET PASSWORD 操作で使用されるデフォルトです。この場合,デフォルトは正しくないので,実際の外部ユーザ名がユーザによって指定されています。

$ set password 
External user name not known; Specify one (Y/N)[Y]? Y 
External user name [JOHNDOE]: JOHN_DOE 
Old password: 
New password: 
Verification: 
%SET-I-SNDEXTAUTH, Sending password request to external authenticator 
%SET-I-TRYPWDSYNCH, Attempting password synchronization 
$ 



4.15.4 ワークステーションではパスワードの有効期限切れは通知されない

V7.1

LAN Manager ドメインでは,パスワードの有効期限が切れると,ログインすることはできません。

PC のユーザには,外部ユーザ・パスワードの有効期限が間もなく切れることが通知されるので,有効期限が切れる前にパスワードを変更できます。ところが,外部認証を使用して OpenVMS ワークステーションからログインする場合,ログイン・プロセスは外部パスワードの有効期限が間もなく切れるかどうか判断できません。したがって,パスワードの有効期限が設定されていて,ユーザの大半が PC を使用していないサイトでは,ワークステーション・ユーザに対して外部認証を使用しない方が賢明です。

4.15.5 ACME_SERVER プロセスにおける制限事項 (Integrity サーバのみ)

本リリースでは,Integrity サーバでは 1 つのスレッドのみがアクティブなので, Integrity サーバでは SET SERVER ACME/CONFIG=THREAD_MAX コマンドは無視されます。

  注意
Integrity サーバではスレッドの数を増やさないでください。スレッドの数を増やすと,ACME_SERVER プロセスがクラッシュし,ログインに失敗ことがあります。



V8.4

ダンプ・デバイス (DOSD) が別の接続済みの HBA に構成された PCI バス用の HP PCIe コンボ・カードである AD221 など,ブリッジされたデバイスを接続すると,ダンプ・デバイスの PCI バス・ナンバリングのリナンバリングが行なわれ,有効なダンプ・デバイスを見つけるのが困難になります。

回避方法

新しい I/O カードに接続した後,ブート/ダンプ・オプションを確認してください。その後,DUMP_DEV とブート・デバイス・リストをリフレッシュしてください。

4.17 SHUTDOWN.COM の変更

V8.4

SHUTDOWN.COMが修正されており,キュー・システムのシャットダウン・プロシージャ SYSHUTDWN_0010.COM が存在すればこれを実行します。テンプレートには 3 つのサンプル・ルーチンが含まれており,キュー・システムをより速くシャットダウンおよび再起動あるいはフェールオーバすることができます。

4.18 OpenVMS Cluster システム

ここでは,OpenVMS Cluster システムに関する注意事項について説明します。

4.18.1 Cluster over IP (IP クラスタ・インターコネクト)

HP OpenVMS Version 8.4 では,Cluster over IP 機能が拡張されています。この機能は,業界標準の Internet プロトコルを使用して単一の LAN あるいは VLAN セグメントを超えたクラスタ環境を構築するための機能を提供します。また,OpenVMS クラスタの耐災害性能を向上させるものでもあります。

この項では,Cluster over IP に関する既知の問題および制限事項について説明します。

V8.4

Cluster over IP は, OpenVMS Alpha Version 8.4 および OpenVMS Integrity Version 8.4 上でのみ利用できます。 Cluster over IP は,HP TCP/IP Services for OpenVMS の V5.7 も必要とします。

V8.4

Cluster over IP を正常に初期化しクラスタに正しく参加するには, Integrity サーバのサテライト・ノードは,そのサテライト・ノードのブート・サーバと同じ LAN に存在しなければなりません。

サテライトのブート時に Cluster over IP を開始するには, Integrity サーバのサテライト・ノードとそのサテライト・ノードのブート・サーバ間で LAN クラスタ通信を持つこととも必要になります。

V8.4

IP のみの環境では,Alpha サテライト・ブートは処理に失敗します。すなわち,Alpha サテライトをブートする際,ブート・サーバを含むすべてのノードがクラスタ通信の IP チャネルのみを使用している場合,次のメッセージを表示してサテライト・ブートに失敗します。

cluster-W-PROTOCOL_TIMEOUT, NISCA protocol timeout %VMScluster-I-REINIT_WAIT, 
Waiting for access to the system disk server 



V8.4

Cluster over IP では,クラスタ通信インタフェースに対して IPv6 型のアドレスはサポートしていません。

V8.4

Cluster over IP では,クラスタ通信に使用するアドレスはそのインタフェースの静的なプライマリ・アドレスでなければなりません。さらに,クラスタ通信に使用する IP アドレスとインタフェースは,フェールセーフ構成で使用されないようにしなければなりません。

V8.4

同じデフォルト・ゲートウェイで複数の IP インタフェースを構成すると,いずれかのインタフェースにおける通信の損失により CLUEXITS でクラスタ通信の中断が発生する可能性があります。

V8.4

クラスタ通信に使用するインタフェースが ifconfigにより再起動されると,他のノードに対するクラスタ通信の損失が発生し,ノードの CLUEXIT も発生します。

V8.4

Cluster over IP の構成情報は,ブート時の最初にロードされる構成ファイルに保管されています。この構成情報には, TCP/IP が使用するデフォルト経路あるいはゲートウェイも含まれます。現在のところ構成ファイルにはデフォルト経路のみを入れることができ,ノードの起動時に使用されます。

V8.4

PEdriver は, LAN インタフェース (BUS) と同様にクラスタ通信に使用する各 IP インタフェースをエミュレートします。 IP バスは下記に示すように Xchain_Disabled 属性を持ちます。これは,TCP/IP によって転送されるブロック転送パケットが, PEdriver から TCP/IP バッファへコピーされることを意味しています。

$ mc scacp show ip 
 
NODEG PEA0 Device Summary 16-FEB-2009 12:29:15.92: 
 
        Device  Errors +                 Mgt   Buffer  MgtMax   Line     Total     Current 
 Device  Type    Events   Status      Priority  Size   BufSiz  Speed   Pkts(S+R)  IP Address 
 ------  ----    ------   ------      --------  -----   ------  -----  ---------  ----------- 
  IE0             184  Run Online            0   1394        0    N/A    1419711  15.146.235.222 
                       XChain_Disabled                     



V8.4

Cluster over IP の構成に関連する変更と Cluster over IP を有効にするための設定は CLUSTER_CONFIG_LAN.COM でのみ可能なので, Cluster over IP は,Alpha におけるダウンライン・ロードには DECnet の代わりに LANCP を必要とします。この制限事項は将来のリリースで解決される予定です。

V8.4

ホスト・デュプレックスにおけるデュプレックス・モードの不一致,あるいは半二重から全二重へのデュプレックス・モードの変更は, IP がクラスタ通信に使用されたときに CLUEXIT が発生する原因となります。 CLUEXIT の発生を防ぐために,デュプレックスの不一致について確認することをお勧めします。

V8.4

共有システム・ディスク構成では,古いバージョンから OpenVMS Version 8.4 へのアップグレードの際に,アップグレードを実行しているノードで Cluster over IP が有効になります。他のノードについては,アップグレードの後に CLUSTER_CONFIG_LAN コマンド・プロシージャを実行して Cluster over IP を有効にしてください。

たとえば,システム PIPER および MARLIN が共有システム・ディスクにそれぞれルート SYS0 および SYS1 を持っているとします。ノード PIPER でアックプグレードを実行した場合, PIPER では Cluster over IP が有効になります。 MARLIN で Cluster over IP を有効にするには, CLUSTER_CONFIG_LAN コマンド・プロシージャを実行してきださい。

この制限事項は,将来のリリースで取り除かれます。

V8.4

Cluster over IP を構成するために CLUSTER_CONFIG_LAN コマンド・プロシージャが拡張されています。このコマンド・プロシージャを使用して Cluster over IP を有効にし,クラスタ通信に IP を使用することができます。

このコマンド・プロシージャを使用してクラスタにスタンドアロン・ノードを追加すると,次にようなメッセージが表示されます。

 "IA64 node, using LAN for cluster communications.  PEDRIVER will be loaded. 
  No other cluster interconnects are supported for IA64 nodes.". 

Integrity サーバ・ノード上の構成プロシージャによってこのようなメッセージが表示されるにもかかわらず, LAN あるいは IP のどちらかあるいは両方をクラスタ通信に使用することができます。ノードの属性がクラスタ・メンバに変更されると,LAN はデフォルトで有効になります。 IP は,CLUSTER_CONFIG_LAN コマンド・プロシージャによりオプションで有効にすることができます。 PEdriver は,LAN 通信および IP 通信の両方に対してロードされます。

この CLUSTER_CONFIG_LAN コマンド・プロシージャのメッセージは,将来のリリースで修正されます。

4.18.2 Integrity VM での OpenVMS Cluster のサポート

V8.4

OpenVMS Integrity Version 8.4 は, Integrity VM 上でゲスト OS としてサポートされます。 OpenVMS ゲストはクラスタ環境で構成可能です。

V8.4

OpenVMS ゲストは,LAN あるいは Cluster over IP (IPCI) の両方でクラスタ内の他のノードと通信できます。

V8.4

MSCP は, OpenVMS ゲスト・システムで構成されるクラスタ環境で共有ストレージ機能を提供するのに使用されます。

V8.4

クラスタの一部となっている OpenVMS ゲストのオンライン・マイグレーションはサポートされません。

4.18.3 混成プラットフォームのサポート

V8.2

  • Integrity サーバを含む運用クラスタに VAX システムを含めることはできません。 VAX システムは,開発や移行を目的とするクラスタに含めることはできますが,クラスタ内に VAX システムが存在するために問題が発生した場合は, VAX システムと Integrity サーバのどちらかをクラスタから削除する必要があることを理解した上で使用する必要があります。詳細は,OpenVMS Cluster ソフトウェアの SPD を参照してください。

  • 現時点では,Open VMS Cluster システムの運用環境でサポートされるのは 2 つのアーキテクチャのみです。サポートされるクラスタ構成については,『HP OpenVMS インストレーション・ガイド[翻訳版]』を参照してください。



4.18.4 ポート割り当てクラスを使用したサテライト・システム

V8.2

デバイスの命名 (ポート割り当てクラスとも言います) を使用する Integrity サーバ・サテライト・システムは,このリリースで正しく動作させるためには追加の手順が必要です。サテライト・ブートのサーバ・ノードで,ファイル・デバイスを編集します。

 [SYSn.SYSCOMMON.SYS$LDR]SYS$MEMORYDISK.DAT 

device はサテライトのルートを含むディスクで, n はサテライト・システムのルートです。また,次の行をファイルに追加します。

SYS$SYSTEM:SYS$DEVICES.DAT, text 

この場合は,ファイルの最上部にある "Do Not Edit" コメントを無視して構いません。 SYS$MEMORYDISK.DAT 内のファイルのリストは,順序に依存しません。この問題は,最終リリースで解決される予定です。

4.19 6 メンバ・シャドウセットの混成クラスタにおける互換性

V8.4

OpenVMS Version 8.4 は,Volume Shadowing の機能として拡張メンバーシップ機能をサポートします。この機能により,シャドウセットで 3 メンバよりも多く,最大 6 メンバを持つことができます。この機能は,シャドウセットに 4 番目のメンバが追加されたときに有効になります。混成バージョンの OpenVMS クラスタにおいて,以下のようないくつかの重要なポイントがあります。

  • 拡張メンバーシップ・シャドウイング機能を使用するには,そのシャドウセットをマウントするすべてのシステムで OpenVMS Version 8.4 が稼動していなければなりません。

  • 拡張メンバーシップ・シャドウイング機能を使用して OpenVMS Version 8.4 システムにシャドウセットをマウントしようとした時に,そのシャドウセットがすでにクラスタ内の以前のバージョンの OpenVMS システムにマウントされている場合,V8.4 システムへのマウントは失敗します。

  • 拡張メンバーシップ・シャドウイング機能を使用して OpenVMS Version 8.4 システムにマウントされているシャドウセットを拡張メンバーシップ・シャドウイング機能をサポートしていない以前のバージョンの OpenVMS システムにマウントしようとすると,そのマウント処理は失敗します。

  • 一旦シャドウセットで拡張メンバーシップ・シャドウイング機能が有効になると,たとえその後メンバ数が 4 メンバよりも少なくなってもその特性は維持されます。その特性は,そのシャドウセットのマウントがクラスタワイドで外されるまで残ります。

  • このシャドウセット機能は OpenVMS VAX ではサポートされません。この機能を有効にせずに OpenVMS Alpha あるいは OpenVMS Integrity システムにシャドウセットをマウントしている場合は,このシャドウセットを OpenVMS VAX システムにマウントすることができます。この互換性は仮想ユニット特性により維持されます。



4.20 6 メンバ・シャドウセットの下位互換性

V8.4

ストレージ制御ブロック (SCB) の新しい領域に拡張メンバーシップ・シャドウイング機能のサポートに必要となる拡張メンバーシップ配列を保管します。このため,コマンド行でメンバが指定されている場合 (すなわち最大 3 メンバ),あるいはメンバが Index 0,1,あるいは 2 (古い) スロットにある場合のみ,以前のバージョンの OpenVMS システムへの 6 メンバ・シャドウセットのマウントが可能です。

以前のバージョンの OpenVMS では,シャドウセットの再構築に使用される $MOUNT/INCLUDE 修飾子は既存のメンバ・リストのみを見つけることができ, SCB の新しいメンバ領域は見つけることができません。このため,SCB の新しい拡張メンバ領域のメンバはマウントしません。

4.21 WBEM Services および WBEM Providers に関する注意事項

ここでは, WBEM における既知の問題および制限事項について説明します。

4.21.1 OpenPegasus 2.9 ベースの WBEM Services for OpenVMS

WBEM Services for OpenVMS Version 2.9 は, The Open Group の Pegasus オープン・ソース・プロジェクトの OpenPegasus 2.9 コード・ストリームをベースにしています。

4.21.2 OpenVMS ゲストに対する WBEM Providers のサポート

V8.4

ゲスト OS は仮想マシン上で実行されるので, OpenVMS ゲスト上で実行中の WBEM Providers は, CPU,メモリ,エンクロージャ,シャーシ,ファン,電源,および管理プロセッサなどの WBEM インスタンス・データおよびイベントをサポートしません。これらは,VM Host OS 上で実行中の WBEM Providers によってサポートされます。

4.21.3 OpenVMS 上でプロバイダをアンロードするには cimserver.exe を再起動する

cimprovider -r コマンドを入力した後は,プロバイダの置き換え処理を完了させるために, cimserver を停止して再起動する必要があります (OpenVMS では,動的にロードされたイメージのアンロードはサポートしていません)。

4.21.4 コマンド行オプションは引用符で囲む

コマンド行オプションの大文字と小文字の区別を保持するには,次の例のように,必ず引用符で囲んでください。
正:
$ cimmofl "-E" "--xml"
誤:
$ cimmof -E -xml

4.22 Monitor ユーティリティの変更

OpenVMS Version 7.3-2 以降, Monitor ユーティリティ (MONITOR) にはいくつかの変更が行われています。変更の大半は,記録ファイルのフォーマットの改良と,クラス・データの追加に関するものです。これらの変更により,あるバージョンの MONITOR が収集したデータを他のバージョンで処理したときに,互換性の問題が発生します。ここでは,これらの問題について説明します。

4.22.1 Integrity VM におけるゲスト・オペレーティング・システム

V8.4

OpenVMS Integrity Version 8.4 は,Integrity Virtual Machines (Integrity VM) 上でゲスト・オペレーティング・システムとして動作することが可能です。 OpenVMS を Integrity VM システム上のゲストとして実行している場合, Monitor ユーティリティはこのゲストが使用した総 CPU 時間を示します。また,Monitor ユーティリティは, Integrity VM によってゲストに割り当てられた総 CPU 時間も示します。

これらの情報は, MONITOR MODESおよび MONITOR SYSTEM /ALLコマンドにより表示できます。システムがゲストとして実行中の場合は,上記のコマンドを実行すると "Compatibility Mode" の代わりに "In use by Host" と表示されます。このフィールドは,他のゲストあるいは Integrity VM によって使用されており現在のゲストには利用できない総 CPU 時間として解釈されます。表示のスケールは,ホストに物理的に搭載されているCPU の数ではなく,そのゲストで実際に構成されている vCPU (Virtual CPU) の数をベースにします。

$ MONITOR MODES 
                            OpenVMS Monitor Utility 
            +-----+         TIME IN PROCESSOR MODES 
            | CUR |              on node VMSG7 
            +-----+          5-FEB-2009 12:35:39.74 
 
                                     0         25        50        75       100 
                                     + - - - - + - - - - + - - - - + - - - - + 
 Interrupt State                     | 
                                     |         |         |         |         | 
 MP Synchronization                  | 
                                     |         |         |         |         | 
 Kernel Mode                         | 
                                     |         |         |         |         | 
 Executive Mode                      | 
                                     |         |         |         |         | 
 Supervisor Mode                     | 
                                     |         |         |         |         | 
 User Mode                        99 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||| 
                                     |         |         |         |         | 
 In use By Host                    1 |                      
                                     |         |         |         |         | 
 Idle Time                           | 
                                     + - - - - + - - - - + - - - - + - - - - + 
 
 
$ MONITOR SYSTEM/ALL 
                            OpenVMS Monitor Utility 
                               SYSTEM STATISTICS 
                                 on node VMSG9 
                            5-FEB-2009 12:36:44.88 
 
                                       CUR        AVE        MIN        MAX 
 
    Interrupt State                   0.00       0.12       0.00       0.33 
    MP Synchronization                0.00       0.00       0.00       0.00 
    Kernel Mode                       0.00       0.06       0.00       0.50 
    Executive Mode                    0.00       0.00       0.00       0.00 
    Supervisor Mode                   0.00       0.00       0.00       0.00 
    User Mode                        98.33      98.03      96.50      98.50 
    In use By Host                    1.66       1.77       1.33       3.33 
    Idle Time                         0.00       0.00       0.00       0.00 
    Process Count                    25.00      24.72      24.00      25.00 
    Page Fault Rate                   0.00      10.96       0.00      47.50 
    Page Read I/O Rate                0.00       0.96       0.00       3.16 
    Free List Size                46851.00   46945.54   46850.00   47105.00 
    Modified List Size              317.00     316.90     316.00     317.00 
    Direct I/O Rate                   0.00       1.37       0.00       5.50 
    Buffered I/O Rate                 1.00       2.68       0.66       9.83 
 

  注意
ゲストで MONITOR MODESおよび MONITOR SYSTEM /ALLコマンドを実行した時に表示されるデータは,このゲストが仮想 CPU で消費した時間です。



MONITOR が収集するデータの本体はリリースごとに変更される可能性があるため,あるバージョンで収集した MONITOR データを別のバージョンで必ず表示できるとは限りません。

リリース間での互換性の程度は,記録されているバイナリ・データをファイルから調べるか (つまり,プレイバック),他のクラスタ・ノードからの生データを調べるかにより異なります。一般的に,記録されているデータをプレイバックする方法の方が,生のリモート・データを監視する方法よりも互換性が高くなります。

4.22.3 記録ファイルからのデータのプレイバック

MONITOR バイナリ・データが記録されている各ファイルは, MONITOR 記録ファイル構造レベル ID で識別されます。ファイルに対して DCL コマンド DUMP /HEADER /PAGE を実行すると,この ID を表示できます。最近のいくつかの MONITOR バージョンと,それに関連する構造レベル ID を,次の表に示します。

オペレーティング・システムのバージョン MONITOR 記録ファイル構造 ID
OpenVMS Version 7.3-2 (修正キットあり) 1 MON32050
OpenVMS Versions 8.2, 8.2-1 (修正キットあり) 1 MON01060
OpenVMS Version 8.3, 8.3-1H1, 8.4 MON01060

1これらの修正キットは,互換性を改善することのみを目的とした,推奨修正キットです。

通常,単独の MONITOR 記録ファイルをプレイバックするためには,構造レベル ID の下 2 桁が,実行中の MONITOR のバージョンの下 2 桁と一致しなければなりません。たとえば,OpenVMS Version 7.3-2 を実行している場合は, Version 7.3-2 のファイルはプレイバックできますが, Version 8.2 のファイルはプレイバックできません。

ただし,MONITOR Version 8.2 およびそれ以降は, "50" で終わる構造レベル ID の記録ファイルを読み取るように特別に作成されています。さらに,SYS$EXAMPLES 内の MONITOR_CONVERT.C というユーティリティは, MONxx060 ファイルを MON31050 ファイルに変換します。これにより,変換後のファイルは, Version 8.2 よりも前のバージョンで読み取ることができるようになります。このプログラムの構築手順と実行手順については, MONITOR_CONVERT.C を参照してください。

ファイルのプレイバックが許可されている場合でも,ファイル内の一部の MONITOR データ・クラスが利用できないこともあります。この現象は,新しいバージョンの MONITOR で作成されたファイルを,古いバージョンの MONITOR でプレイバックする場合に発生することがあります。

最後に,いくつかの記録ファイルからマルチファイル要約を作成するときには,すべてのファイルの構造レベル ID の 8 文字すべてが一致しなければなりません。

4.23 新しいパラメータ

V8.3-1H1

本リリースでは,新しいGH_RES_CODE_S2パラメータをサポートします。このパラメータは,常駐 64ビット S2 スペースの常駐イメージ・コード粒度ヒント・リージョンのサイズをページ単位で指定するのに使用します。

/SEGMENT=CODE=P2 修飾子を指定してリンクしたイメージだけが,このリージョンにコードを置くことができます。詳細については,『OpenVMS Linker Utility Manual』および『OpenVMS システム管理者マニュアル』の INSTALL ユーティリティの説明を参照してください。

GH_RES_CODE には,AUTOGEN および FEEDBACK 属性があります。

4.24 SYS$LDDRIVER の制限事項

V8.2-1H1

SYS$LDDRIVER.EXE は,フリーウェアの擬似デバイス・ドライバです。これを使うと,OpenVMS オペレーティング・システムで仮想ディスクが作成できます。 OpenVMS V7.3-1 以降では,このドライバは SYS$COMMON:[SY$LDR] 内に置かれ,CDRECORD または COPY/RECORDABLE_MEDIA を使った CD や DVD のマスタリングのためのソース仮想ディスクの作成をサポートしています。このフリーウェアのドライバの使用はこの形式でのみサポートされています。これ以外での使用は,下記のように規定された,フリーウェアの使用上の制限事項に該当します。

OpenVMS Freeware はそのままの状態で保証なしで提供されます。配布や再配布についての制限はありません。弊社では,このソフトウェアについてのサービス,ソフトウェアの修正,および正常な動作に関する保証は行いません。

4.25 システム・パラメータ CPU_POWER_MGMT のデフォルト値の変更

V8.3-1H1

システム・パラメータ CPU_POWER_MGMT のデフォルト値が 1 から 0 (すなわち on から off) に変更されています。この変更により,IDLE からの中断あるいは CPU の終了の遅延が改善されています。この値は,OpenVMS の将来のバージョンで再度変更される可能性があります。

4.26 予約メモリ機能を使用するサテライト・システムのブート

V8.3-1H1

Integrity サテライト・システムで SYSMAN の予約メモリ機能を使用するためには, SYS$SYSTEM:VMS$RESERVED_MEMORY.DATA ファイルのプロテクションが全ユーザから READ+EXECUTE アクセス可能な状態でなければなりません。この設定が行なわれていないと,サテライト・システムのブート時に次のような警告メッセージが表示されます。

%VMS_LOADER-W-Warning: Unable to load file SYS$SYSTEM:VMS$RESERVED_MEMORY.DATA 

サテライトに対するメモリ・リザベーションを追加するために SYSMAN を実行した後, SYS$MANAGER:CLUSTER_CONFIG_LAN.COM を実行して, VMS$RESERVED_MEMORY.DATA ファイルに正しいプロテクションを設定してください。プロテクションを設定するには,クラスタ構成プロシージャのメイン・メニューから次のメニューを選択してください。

3. CHANGE a cluster member's characteristics. 

「CHANGE」メニューから次のメニュー項目を選択します。

13. Reset an IA64 satellite node's boot environment file protections. 
 
    What is the satellite name (leave blank to use a specific device and root)? 

メモリ・リザベーションを追加したシステムのサテライト名,あるいはサテライト・ブート・デバイスと root を入力します。将来のリリースでは SYSMAN が修正されこの状況は発生しなくなります。

4.27 SCACP エラー・カウンタが再送エラーをレポートすることがある

V8.3-1H1

システムの PEA0: デバイスが多数のエラーを表示する場合には,これらのエラーは再送エラーであり,実際のエラーではありません。実際のエラーを確認するには,SCACP ユーティリティを使って PEA0 チャネルで多数の再送が行われているか確認し,LANCP ユーティリティを使って,PEdriver が使っている LAN デバイスで実際のデバイス・エラーがあるか確認する必要があります。再送は行われているけれども,デバイス・エラーは発生していない場合には, PEA0: デバイス・エラーは再送エラーであり,実際のエラーではない可能性があります。

4.28 Virtual Connect

ここでは Virtual Connect に関する注意事項について説明します。

4.28.1 フェールオーバと RECNXINTERVAL

V8.3-1H1

特に規模の大きいクラスタ環境の場合, Virtual Connect Manager のフェールオーバ時間に余裕を持たせるために, RECNXINTERVAL に省略時の値より 20 は大きな値を設定することが必要となります。

4.29 メディア使用前の INITIALIZE/ERASE

V8.3-1H1

ストレージ・メディアを初めて使用する前に,ストレージ・メディアに対して DCL コマンド INITIALIZE/ERASE を実行することをお勧めします。このようにすることで,別のオペレーティング・システムや診断ツールでそれまで使っていた古いデータを削除することができます。

このような古いデータがあった場合には,コンソール・コマンドの出力では,次の例に示すように,3 つの疑問符 (???) で示されます。

Shell> ls fs1:\
 
Directory of: fs1:\
 
 00/00/07 19:16p     1,788,984,016 ??? 
 
 00/00/80 12:00a           0 ??? 
 
     2 File(s)  1,788,984,016 bytes 
 
     0 Dir(s) 

この問題は,将来のリリースで修正される予定です。

4.30 Performance Data Collector for OpenVMS (TDC)

V8.4

OpenVMS Version 8.4 をインストールすると, TDC_RT Version 2.3-20 がインストールされます。 TDC Version 2.3-20 は,Multinet および TCPWare 環境での評価は行なわれていません。

4.31 システムのハングアップまたはクラッシュからの回復 (Integrity のみ)

V8.2

システムがハングアップしたため,強制的にクラッシュさせたいときは,コンソールから Ctrl/P を押します。クラッシュ・ダンプの強制方法は, XDELTA がロードされているかどうかによって異なります。

XDELTA がロードされている場合, Ctrl/P を押すと,システムが XDELTA に入ります。システムは命令ポインタと,現在の命令を表示します。次の例のように, ;Cを入力することで XDELTA からクラッシュを強制できます。

$ 
 
Console Brk at 8068AD40 
 
8068AD40!       add      r16 = r24, r16 ;;  (New IPL = 3) 
 
;C  

XDELTA がロードされていない場合, Ctrl/P を押すと,システムがプロンプト "Crash? (Y/N)" で応答します。 Y を入力すると,システムがクラッシュします。これ以外の文字を入力すると,システムでは何も起こりません。

4.32 Oracle 8i および 9i での DECdtm/XA (Alpha のみ)

V7.3-2

DECdtm/XA を使用して Oracle® 8i/9i XA 準拠リソース・マネージャ (RM) のトランザクションを調整する場合は, XA switch (xaoswd) の動的登録は使用しないでください。動的登録をサポートしている Version 9.0.1.0.0 の Oracle 共有ライブラリは,動作しません。必ず静的登録 XA switch (xaosw) を使用して, Oracle RM を DECdtm/XA Veneer にバインドしてください。

DECdtm/XA V2.1 Gateway は,クラスタ単位のトランザクション回復をサポートするようになりました。クラスタ単位の DECdtm Gateway Domain Log を使用するアプリケーションのトランザクションは,単一ノード障害から回復できるようになりました。残りのクラスタ・ノードで実行されているゲートウェイ・サーバは,障害の発生したノードの代わりに,トランザクション回復プロセスを起動できます。

4.33 デバイス・ユニットの最大数の増加

V8.2

以前のバージョンの OpenVMS では, 10,000 個を超えるクローン・デバイス・ユニットを作成できませんでした。また,ユニット番号は,9999 の後は 0 に戻っていました。このことは,メールボックスや TCPIP ソケットなどの一部のデバイスにとっては,制限事項となっていました。

OpenVMS Version 7.3-2 からは, UCB$L_DEVCHAR2 の DEV$V_NNM ビットがクリアされており, DEVICE_NAMING システム・パラメータのビット 2 がクリアされている場合, OpenVMS は最大 32,767 個のデバイスを作成します。デバイス・ドライバの変更は必要ありません。

しかし,最大のデバイス番号が 9999 であるという前提でコーディングされているプログラムやコマンド・プロシージャは,変更が必要になる場合があります。

4.34 EDIT/FDL: 推奨バケット・サイズの変更

V7.3

OpenVMS Version 7.3 より前のバージョンでは,EDIT/FDL の実行時に計算されるバケット・サイズ (最大バケット・サイズは 63) が,常に最も近いディスク・クラスタのバウンダリに切り上げられていました。そのため,ディスク・クラスタ・サイズが大きい場合に,ファイルの元々のバケット・サイズは小さいが,バケット・サイズが必要以上に大きく切り上げられるという問題が発生することがありました。バケット・サイズが大きくなるほど,レコードとバケット・ロックの争奪が増加し,性能に大きく影響します。

OpenVMS Version 7.3 以降では,推奨バケット・サイズを計算するためのアルゴリズムが変更され,ディスク・クラスタが大きい場合に,より妥当なサイズが提案されます。

4.35 EFI$CP ユーティリティ: 使用は推奨できない

V8.2

OpenVMS EFI$CP ユーティリティは,現在ドキュメント化されておらず,サポートしないことになっています。このユーティリティは,使用しないでください。このユーティリティ内で行われている一部の特権操作により, OpenVMS I64 がブートできなくなることがあります。

4.36 Error Log Viewer (ELV) ユーティリティ: TRANSLATE/PAGE コマンド

V7.3-2

TRANSLATE コマンドで /PAGE 修飾子を使用してレポートを参照している際にメッセージが通知された場合,表示が乱れることがあります。この問題を回避するには,Ctrl/W を使用して,表示をリフレッシュします。

メッセージが通知された直後に Ctrl/Z を押すと,プログラムが突然終了します。この問題を回避するには,通知されたメッセージを越えてスクロールした後に Ctrl/Z を押します。

4.37 クラスタ互換性パッチ・キット

V8.3

OpenVMS Version 8.2-1 システムを既存の OpenVMS Cluster システムに導入する場合は,事前に旧バージョンの OpenVMS で動作しているシステムにいくつかのパッチ・キット (修正キット) を適用する必要があります。これらのキットは特定のバージョンに対応していることに注意してください。

表 4-1 にリストしたバージョンは,動作が保証された (warranted) 構成でサポートされます。動作が保証された構成についての詳細は,『HP OpenVMS Version 8.2--1 for Integrity Servers Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

表 4-1 に,パッチ・キットを必要とする機能とパッチ・キットのファイル名をリストします。各パッチ・キットには対応するreadmeファイルが付属しています。 readmeファイルの名前はパッチ・キットの名前にファイル拡張子 .README を付加した形式になっています。

パッチ・キットは次の Web サイトからダウンロードすることができます。または,弊社のサポート担当に連絡して,ご使用中のシステムに適したメディアに格納されたパッチ・キットを入手してください。

http://www2.itrc.hp.com/service/patch/mainPage.do

  注意
パッチ・キットは必要に応じて定期的に更新されます。必ず,機能ごとの最新のパッチ・キットを使用してください。バージョン番号はキットの readme ファイルに記載されています。各キットの最新バージョンは,Web サイトで提供されているバージョンです。

表 4-1 クラスタ互換性のために必要なパッチ・キット
機能 パッチ・キットのファイル名
OpenVMS Alpha Version 7.3-2
ここにリストされているパッチ・キットを除く大部分のパッチ・キットを含むアップデート・キット VMS732_UPDATE-V0600
C RTL VMS732_ACRTL-V0100
ドライバ VMS732_DRIVER-V0200
PCSI VMS732_PCSI-V0100
OpenVMS Alpha Version 8.2
  VMS82A_UPDATE-V0200
DECnet-Plus for OpenVMS Alpha ECO1 DNVOSIECO01_V82 1
OpenVMS I64 Version 8.2
  VMS82I_UPDATE-V0200

1 ご使用中の構成でこのソフトウェアを使用している場合には,このキットが必要です。



V8.2

OpenVMS Version 8.2 (またはそれ以降の) システムを既存の OpenVMS Cluster システムに導入する前に,以前のバージョンの OpenVMS を実行しているシステムに,パッチ・キット (修正キットとも呼ばれます) を適用しなければなりません。 Fibre Channel,XFC,または Volume Shadowing を使用している場合は,追加のパッチ・キットも必要です。これらのキットは,各バージョンに固有のものです。

表 4-2 に示されているバージョンは, warranted サポート構成でも,migration サポート構成でもサポートされます。これらの構成についての詳細は,『OpenVMS Cluster システム』または『HP OpenVMS V8.3 インストレーション・ガイド[翻訳版]』を参照してください。

表 4-2 に,パッチ・キットの適用が必要な機能と,そのパッチ ID 名を示します。各パッチ・キットには,同じ名前の,対応する readme ファイルがあります (ファイル拡張子は .README です)。

次の Web サイトから,パッチ・キットをダウンロードしてください (「software patches」オプションの OpenVMS を選択します)。または,弊社のサポート担当者に連絡して,ご使用のシステムに合ったメディアでパッチ・キットを入手してください。

http://h18007.www1.hp.com/support/files/index.html

  注意
パッチ・キットは,必要に応じて,定期的にアップデートされます。各機能に対する最新のパッチ・キット (キットの readme ファイルにバージョン番号が示されています) を必ず使用してください。各キットの最新バージョンは,Web サイトに掲載されているバージョンです。

表 4-2 クラスタの互換性のために必要なパッチ・キット
機能 パッチ ID
OpenVMS Alpha Version 7.3-2
この項に示されているパッチ・キットを除く,すべてのパッチ・キットを持つアップデート・キット VMS732_UPDATE-V0600
OpenVMS VAX Version 7.3 1
Audit Server VAXAUDS01_073
Cluster VAXSYSL01_073
DECnet-Plus VAX_DNVOSIECO04-V73
DECwindows Motif VAXDWMOTMUP01_073
DTS VAXDTSS01_073
Files 11 VAXF11X02_073
MAIL VAXMAIL01_073
MIME VAXMIME01_073
MOUNT VAXMOUN01_073
RMS VAXRMS01_073
RPC VAXRPC02_073
Volume Shadowing VAXSHAD01_073
System VAXSYS01_073

1クラスタ内で VAX システムを使用する際の運用ガイドについては, 第 4.18.3 項 を参照してください。

VAX システムは I64 システムと同じクラスタに含めることはできませんのでご注意ください。クラスタ内で保証されている組み合わせの詳細については『HP OpenVMS V8.3 インストレーション・ガイド[翻訳版]』を参照してください。

4.37.2 Fibre Channel および SCSI マルチパスと,他社製品との非互換性を修正する API

V7.3-2

システムと,SCSI デバイスまたは Fibre Channel デバイスの間に存在する複数のパス間でのフェールオーバをサポートするマルチパス機能は, OpenVMS Alpha Version 7.2-1 で導入されました。 OpenVMS Alpha Version 7.3-1 では, Fibre Channel マルチパス・テープ・デバイス間でのフェールオーバのサポートが導入されました。

このマルチパス機能は,他社のディスク・キャッシング,ディスク・シャドウイング,または類似の機能を持つ製品との互換性がないことがあります。この機能がソフトウェアの製造元でサポートされるようになるまでは,そのようなソフトウェアを,マルチパス・フェールオーバ用に構成された SCSI デバイスまたは Fibre Channel デバイスでは使用しないでください。

OpenVMS Alpha SCSI ディスク・クラス・ドライバ (SYS$DKDRIVER.EXE), OpenVMS Alpha SCSI テープ・クラス・ドライバ (SYS$MKDRIVER.EXE),または SCSI 汎用クラス・ドライバ (SYS$GKDRIVER) の Driver Dispatch Table (DDT) の変更に依存している他社製品で SCSI マルチパス機能が正常に動作するようにするには,製品を変更する必要があります。

このようなソフトウェアの作成者は,OpenVMS Alpha Version 7.3-2 で導入された DDT Intercept Establisher ルーチンを使用して,ソフトウェアを変更できるようになりました。これらのルーチンの詳細は,『HP OpenVMS Alpha Version 7.3--2 新機能説明書』を参照してください。

  注意
他社製のディスク・キャッシュ製品や,ディスク・シャドウイング・アプリケーションを使用している場合は,アプリケーションがこれらの新しいルーチンを使用するように改訂されるまで, OpenVMS SCSI マルチパス構成や Fibre Channel マルチパス構成でこれらの製品を使用しないでください。

OpenVMS Alpha SCSI マルチパス機能と Fibre Channel マルチパス機能の詳細は,『OpenVMS Cluster 構成ガイド』を参照してください。

4.37.3 DDT Intercept Establisher ルーチンとデバイス構成通知結果

V8.3

一部のルーチンは,正しく動作するために,パッチ・キットを必要とします。必要なパッチ・キットを使用せずにこれらのルーチンを使用すると,システムがハングまたはクラッシュしたり,データが破壊されるおそれがあります。また,弊社ではこのような使用はサポートしていません。

これらのルーチンについての詳細は,『HP OpenVMS Alpha Version 7.3--2 新機能説明書』を参照してください。

4.37.4 CI と LAN との間の回線切り替えによるクラスタの性能の低下

V7.3-1

CI と,複数の FDDI,100 Mb/s または Gb/s のイーサネット・ベースの CIRCUIT の両方を含む OpenVMS Cluster 構成では, SCS 接続が CI 回線と LAN 回線の間を約 1 分単位で移動することがまれにあります。この頻繁な回線の切り替えが原因で,クラスタの性能が低下したり,シャドウ・セット・メンバのマウント確認が行われる場合があります。

PEdriver では,数秒間継続している LAN 輻輳を検出し,対処することができます。 LAN パスでの遅延時間の大幅な増加やパケットの損失が検出されると, PEdriver はそのパスを使用しなくなります。パスの性能が回復したことが確認されると,そのパスを再度使用するようになります。

限界条件下では,LAN パスにクラスタ・トラフィックで使用する負荷が追加されると,遅延やパケットの損失が容認できる限界を超える場合があります。クラスタの負荷が取り除かれると,パスの性能は再度使用できる状態まで回復できる場合があります。

LAN 回線の負荷クラスに限界 LAN パスを割り当てると,その回線の負荷クラスが増加して CI の負荷クラス値 140 を超えて限界パスが対象となる場合 (また,反対に LAN 回線の負荷クラスが減少して 140 を下回り限界パスが除外される場合) に, SCS 接続は CI 回線と LAN 回線の間を移動します。

LAN 回線と CI 回線間の接続の移動を確認するには, CONNECTION クラスと CIRCUITS クラスを追加した SHOW CLUSTER を使用します。

回避方法

接続の移動が頻繁に行われている場合は,次のいずれかの回避方法を使用してください。

  • SCACP または Availability Manager を使用して,使用する回線またはポートにより高い優先順位を割り当て,自動的な接続割り当てと移動を無効にします。
    SCACP コマンドの例を次に示します。

    $ MC SCACP 
    SCACP> SET PORT PNA0 /PRIORITY=2    ! This will cause circuits from local 
                                        ! CI port PNA0 to be chosen over 
                                        ! lower priority circuits. 
     
     
    SCACP> SET PORT PEA0 /PRIORITY=2    ! This will cause LAN circuits to be 
                                        ! chosen over lower priority circuits. 
    

  • SCACP SHOW CHANNEL コマンドを使用して,使用の切り替えが行われているチャネルを確認します。次に,SCACP を使用して,特定のチャネルに目的のチャネルよりも低い値を割り当てて,そのチャネルを明示的に除外することもできます。たとえば,次のように指定します。

    SCACP> SET CHANNEL LARRY /LOCAL=EWB/REMOTE=EWB /PRIORITY=-2 
    


    max,max-1 の範囲内にある CHANNEL および LAN デバイスの優先順位値は等価とみなされます。つまり,この両方のデバイスに,最大優先順位値が指定されているものとみなされます。チャネルまたは LAN デバイスを使用対象から外す場合は,優先順位値に 2 以上の差をつける必要があります。



4.37.5 マルチパス・テープ・フェールオーバの制限事項

V7.3-1

Fibre Channel マルチパス・テープ・セット内の 1 つのデバイスで INITIALIZE コマンドを実行している間は,そのセットの別のメンバへマルチパス・フェールオーバを実行できません。別のマルチパス・テープ・デバイスが初期化されている間に,現在のパスで障害が発生した場合は,テープ・デバイスが機能しているパスへフェールオーバした後に, INITIALIZE コマンドを再試行してください。

この制限は,今後のリリースで無くなる予定です。

4.37.6 SCSI マルチパス媒体チェンジャでは自動フェールオーバは行われない

V7.3-1

Fibre と SCSI 間のテープ・ブリッジを使用して Fibre Channel に接続されている SCSI 媒体チェンジャ (テープ・ロボット) 向けの OpenVMS Alpha Version 7.3-1 以降には,パスの自動切り替えが実装されていません。そのようなデバイスに対しては複数のパスを構成できますが,別のパスに切り替える場合は,SET DEVICE/SWITCH コマンドを使用してパスの手動切り替えを使用する方法しかありません。

この制限は,今後のリリースで無くなる予定です。

4.38 OpenVMS Galaxy (Alpha のみ)

ここでは,OpenVMS Galaxy システムに関する注意事項について説明します。

OpenVMS Galaxy がサポートされているのは, OpenVMS Alpha システムだけです。

4.38.1 Galaxy の定義

V8.2

『OpenVMS Alpha パーティショニングおよび Galaxy ガイド』は,このリリースではアップデートされていません。ここでは,前後関係により異なる, Galaxy という言葉の定義を詳しく説明します。

表 4-3 Galaxy の定義
Galaxyが使われる文脈 説明
ライセンス 1 台のコンピュータで OpenVMS の複数のインスタンスを作成および実行するために必要です。このライセンスがないと, 1 台のコンピュータで実行できる OpenVMS のインスタンスは 1 つだけです。
システム・パラメータ メモリ共用を設定します。 GALAXY に 1 を設定すると,ハード・パーティションにそのパラメータが設定されている OpenVMS インスタンスで,ハード・パーティション内の複数のソフト・パーティション間でメモリを共用することを指定します (1 つのハード・パーティション内で 3 つ以上のソフト・パーティションを実行でき,そのすべてではメモリを共用したくない場合があります)。このパラメータでは,ノードで共用メモリを使用するかどうかだけを指定します。連携して動作する OpenVMS の複数のインスタンスを実行するためにこのパラメータを使用する必要はありません。メモリの共用のための設定は,コンソールで希望の構成ツリーを設定することで実現できます。 GALAXY に 0 を設定すると,メモリは共用されません (デフォルト)。
ソフト・パーティション CPU の移動,API の使用,メモリの共用などが可能なように,複数の OpenVMS インスタンスを 1 台のコンピュータ内で連携させて動作させることができるようにします。プラットフォームのパーティショニング機能により,リソースを複数のソフト・パーティションに分けることができ,それぞれのパーティションで OS のインスタンスを実行することができます。ソフト・パーティションは,その中で実行されている OS インスタンスが参照および使用することができる,リソースのサブセットです。



4.39 セル型システムでの複数の nPartition

V8.2-1

HP Integrity rx7620,HP Integrity rx8620,HP Integrity Superdome などのサーバに複数の nPartition を構成し,マルチ・オペレーティング・システム環境で動作させ,そのうち 1 つの nPartition で OpenVMS を動作させる場合, OpenVMS のブート時に他のオペレーティング・システムのいずれかが SEL (システム・イベント・ログ) にエラーまたはイベントを記録することがあります。 OpenVMS は FRU (Field Replaceable Unit) テーブルの生成が完了するまで SEL を保持し続けるため,それが原因で,他のオペレーティング・システムがエラーまたはイベントを記録することがあります。

4.39.1 ES40 上の Galaxy: 非圧縮ダンプの制限事項

恒久的制限事項

AlphaServer ES40 Galaxy システムでは,インスタンス 1 のメモリが 4 GB (物理) 以上から始まっている場合,インスタンス 1 から raw (非圧縮) ダンプを書き出すことはできません。代わりに,圧縮ダンプを書き出さなければなりません。

4.39.2 ES40 上の Galaxy: Fast Path の無効化

恒久的制限事項

AlphaServer ES40 システムで Galaxy を使用する場合,インスタンス 1 でFast Pathを無効化する必要があります。そのためには,そのインスタンスで SYSGEN パラメータ FAST_PATH を 0 に設定します。

インスタンス 1 で Fast Path を無効化しないと,インスタンス 0 のリブート時にインスタンス 1 での入出力がハングします。この状態は,PCI バスをリセットし,インスタンス 1 をリブートするまで続きます。共有する SCSI または Fibre Channel がある場合,共有ノードでの入出力がハングし,これらのデバイスへのすべてのパスが無効になります。

4.40 OpenVMS Registry は Version 2 フォーマットのデータベースを壊すことがある

V7.3-2

キー・ツリーに揮発性のサブキーを 8 個以上作成して,スタンドアロン・システムやクラスタをリブートした場合,リブート後にサーバが起動すると,OpenVMS Registry サーバは, Version 2 フォーマットの Registry データベースを壊すことがあります。

この問題を回避するには,以下のいずれかを実行します。

  • 揮発性のキーを使用しない。

  • Version 1 フォーマットのデータベースを使用する。

Advanced Server for OpenVMS と COM for OpenVMS は,揮発性のキーを作成しません。


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