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OpenVMS マニュアル


日本語 DECprint Supervisor for OpenVMS

日本語 DECprint Supervisor for OpenVMS
システム管理者ガイド


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第5章 プリント・ジョブおよびプリント・キューの操作

この章では,プリント・ジョブ,プリント・キュー,キュー・マネージャを管理し制御するためのコマンドについて説明します。

この章で説明する一部のコマンドでは,特権が必要です。

5.1 プリント・ジョブの状態の表示

SHOW ENTRYコマンドを使用すれば,プリント・ジョブの状態を表示できます。このコマンドを使用して自分のプリント・ジョブを表示する場合には,特権は必要ありません。しかし,他のユーザのプリント・ジョブを表示する場合は,特権が必要です。

SHOW ENTRYコマンドはすべての自分のプリント・ジョブを表示します。別のユーザのプリント・ジョブの状態を表示するには,SHOW ENTRYコマンドにジョブ番号を指定しなければなりません。あるいは,/USER 修飾子を使用してユーザを指定しなければなりません。ジョブ番号は,PRINTコマンドを入力したときに送信されるメッセージに表示されます。次に示すように,SHOW QUEUE /ALLコマンドを使用すれば,指定したキューに登録されているすべてのプリント・ジョブのジョブ番号を表示できます。

$ SHOW QUEUE /ALL PS40$A12

Printer queue PS40$A12, busy, on LEVEL::PS40, mounted form DCPS$DEFAULT 
(stock=DEFAULT) 
 
  Entry  Jobname         Username     Blocks  Status 
  -----  -------         --------     ------  ------ 
   304      MEMO         MSMITH            5  Printing 

特定のプリント・ジョブに関する情報を表示するには,SHOW ENTRY /FULLコマンドを使用します。次の例を参照してください。

$ SHOW ENTRY 304 /FULL

Entry  Jobname         Username     Blocks  Status 
-----  -------         --------     ------  ------ 
  304  MEMO            MSMITH            5  Printing 
       On busy printer queue PS40$A12 
       Submitted 14- MAR-  2012    10:41 
       /FORM=DCPS$DEFAULT (stock=DEFAULT) /NOTIFY 
       /PRIORITY=100 
       File: _$1$DUA10:[MSMITH]MEMO.TXT;1 (printing) 

  注意
ファイルの印刷がプリンタで実際にまだ開始されていない場合でも,プリント・ジョブの状態として "Printing" と表示されることがあります。



プリント・ジョブはDELETE /ENTRYコマンドを使用して削除できます。このコマンドは特権を必要としません。したがって,プリント・ジョブの所有者は必要に応じてこのコマンドを使用し,自分のプリント・ジョブを削除できます。しかし,別のユーザのプリント・ジョブを削除する場合は,特権が必要です。

DELETE/ENTRYコマンドは引数としてプリント・ジョブ番号を受け付けます。次の例を参照してください。

$ DELETE /ENTRY=569

このコマンドでは,プリント・ジョブ569が削除されます。プリント・ジョブが正しく削除されると,そのことを示すメッセージが出力されます。

プリント・ジョブが終了する方法は,DELETE /ENTRYコマンドを入力したときにプリント・ジョブがどの状態であったかに応じて異なります。

DELETE /ENTRYコマンドを入力したときの状態 DECprint Supervisor ソフトウェアの動作
プリント・ジョブが印刷を実行している場合 数秒後にプリント・ジョブは停止する。プリンタはバッファに格納されているデータを印刷し,要求されたジョブ・トレーラ・ページとジョブ・ログ・ページも印刷する。この時点で,SHOW QUEUEコマンドはジョブの状態を Aborting (強制終了)として表示する。
ネットワーク・プリンタとの接続を確立する前 印刷はまったく実行されない。
接続が確立された後 ジョブ・トレーラ・ページが印刷され,プリント・ジョブを削除したことを示すメッセージも表示される。
ジョブ・バースト・ページまたはジョブ・フラグ・ページを印刷する前 ジョブ・バースト・ページまたはジョブ・フラグ・ページは印刷されない。しかし,ジョブ・トレーラ・ページとジョブ・ログ・ページを印刷するようにキューを設定した場合には,これらのページは印刷される。



5.3 保留状態のプリント・ジョブの保留解除

プリント・ジョブが保留状態(Holding)の場合には,印刷のために保留を解除しなければなりません。ユーザはPRINT /AFTERコマンドを使用してジョブを保留状態に設定できます。一方,ユーザまたはシステム管理者はSET ENTRY /HOLDコマンドを使用してプリント・ジョブを保留状態に設定できます。

プリント・ジョブの保留を解除し,印刷を実行するには,SET ENTRY /RELEASEコマンドを使用します。SET ENTRYコマンドにはジョブ番号を指定しなければなりません。自分でキューに登録したプリント・ジョブの保留を解除する場合には,このコマンドを実行するために特権は必要ありません。他のユーザのプリント・ジョブの保留を解除するには,特権が必要です。

次の例を参照してください。

$ SET ENTRY /RELEASE 569

この例では,保留状態に設定されているプリント・ジョブ569が,印刷のために保留解除されます。

5.4 プリント・ジョブの転送

この節では,1つ以上のプリント・ジョブのプリント・キューの変更について説明します。

5.4.1 待ち状態のプリント・ジョブを別のキューに再登録する操作

まだ印刷を開始していないプリント・ジョブはSET ENTRY /REQUEUEコマンドを使用して別のキューに再登録できます。特権のないユーザは,そのユーザがキューに登録したプリント・ジョブだけを移動できます。特権を持つユーザの場合には,印刷をまだ開始していないすべてのプリント・ジョブを別のキューに移動できます。SET ENTRY コマンドにはジョブ・エントリ番号を指定しなければなりません。/REQUEUE修飾子には新しいプリント・キューの名前を指定しなければなりません。次の例を参照してください。

$ SET ENTRY /REQUEUE=POSTSCRIPT$DUPLEX 596

このコマンドはジョブ596のプリント・キューを変更します。プリント・ジョブは POSTSCRIPT$DUPLEXキューに送信されます。

5.4.2 現在印刷中のジョブを別のキューに移動する操作

プリンタで問題が発生したために,プリント・ジョブを最後まで正しく実行できない場合には,プリント・ジョブを別のプリンタに移動できます。プリント・ジョブを別のプリント・キューに送信するには,STOP /QUEUE /REQUEUEコマンドを使用します。このコマンドには,元のキュー名と新しいキュー名をどちらも指定しなければなりません。次の例を参照してください。

$ STOP /QUEUE /REQUEUE=POSTSCRIPT$DUPLEX POSTSCRIPT$SIMPLEX

この例では,POSTSCRIPT$SIMPLEXキューで現在印刷中のプリント・ジョブが停止され, POSTSCRIPT$DUPLEXに移動されます。POSTSCRIPT$SIMPLEXキューは停止されず,キューに登録されている次のジョブの印刷を継続します。

5.4.3 キュー内のすべてのプリント・ジョブを別のキューへ移動する操作

ASSIGN/MERGEコマンドを使用すれば,特定のキューに登録されているすべてのプリント・ジョブと,そのキューに後で登録されたプリント・ジョブを別のキューに送信することを指定できます。ASSIGN /MERGEコマンドを実行するには,特権が必要です。元のキュー名と新しいキュー名をどちらも指定しなければなりません。次の例を参照してください。

  1. 現在のプリント・ジョブが終了した後で, STOP /QUEUE /NEXTコマンドを使用して誤動作するプリント・キューを停止します。

  2. STOP /QUEUE /REQUEUEコマンドを使用してプリント・ジョブを別のキューに移動します。

  3. ASSIGN/MERGEコマンドを使用して待ち状態のすべてのプリント・ジョブと将来キューに登録されるプリント・ジョブをすべて,別のキューに移動します。次の例を参照してください。

    $ STOP /QUEUE /NEXT PRINTER$NOTABLE
    $ STOP /QUEUE /REQUEUE=PRINTER$ABLE PRINTER$NOTABLE
    $ ASSIGN /MERGE PRINTER$ABLE PRINTER$NOTABLE
    



5.5 プリント・ジョブの属性の変更

SET ENTRYコマンドを使用すれば,ユーザは待ち状態のプリント・ジョブの属性を変更できます。すでに印刷を開始したプリント・ジョブを変更することはできません。特権がある場合には,他のユーザがキューに登録したプリント・ジョブの属性も変更できます。SET ENTRYコマンドにはジョブ番号を指定しなければならず,また, 1つ以上のPRINTコマンド修飾子を指定できます。 付録 A を参照してください。次の例を参照してください。

$ SET ENTRY 596 /PARAMETERS=PAGE_ORIENTATION=LANDSCAPE

この例は,ポートレート(縦長)方向の印刷からランドスケープ(横長)方向の印刷に印刷の方向を変更するときに役立ちます。元のプリント・ジョブにPRINTパラメータが定義されていた場合には,SET ENTRY /PARAMETERSコマンドを使用してPRINTパラメータを変更するときに,もともと定義されていたパラメータを指定しなければなりません。 PRINTパラメータを再度指定しなかった場合には,SET ENTRYコマンドに指定されていないパラメータ値に対しては,プリント・ジョブを印刷するときに省略時のパラメータ値が使用されます。

5.6 キューの表示

SHOW QUEUEコマンドを使用すれば,プリント・キューを表示できます。そのとき,キューの状態,属性,およびキューに登録されているプリント・ジョブも表示できます。キューのセキュリティ情報あるいは別のユーザのプリント・ジョブを表示しない場合は,このコマンドを実行するための特権は必要ありません。

特定のキューを表示する場合はキュー名を指定します。すべてのキューを表示する場合は,SHOW QUEUEコマンドでキュー名を省略します。キューに関する情報を表示するには, 表 5-1 に示すコマンドを使用します。

表 5-1 キューを表示するためのコマンド
表示の対象 入力するコマンド
すべてのプリント・キューとバッチ・キューの名前と説明 SHOW QUEUE
すべてのプリント・キューの名前 SHOW QUEUE /DEVICE=PRINTER
すべてのキューに登録されているすべてのジョブ SHOW QUEUE /ALL
指定したキューに登録されているすべてのジョブ SHOW QUEUE /ALL queue-name
すべてのキューの属性 SHOW QUEUE /FULL
特定のキューの属性 SHOW QUEUE /FULL queue-name



5.7 キューの一時停止

キューを一時停止するには,STOP /QUEUEコマンドを使用します。STOP/QUEUEコマンドを使用するには,特権が必要であり,キュー名を指定しなければなりません。

STOP /QUEUE /NEXTコマンドを使用すれば,現在のプリント・ジョブが終了した後でキューを一時停止できます。このコマンドを使用すれば,キューを一時停止する前に現在印刷中のジョブを終了できます。次の例を参照してください。

$ STOP /QUEUE /NEXT PS$A4

このコマンドは現在のジョブが印刷を終了した後,PS$A4キューを一時停止します。

現在のジョブが終了するのを待たずにキューを一時停止しなければならない場合には, STOP /QUEUE /RESETコマンドを使用します。次の例を参照してください。

$ STOP /QUEUE /RESET PS$A4

このコマンドはPS$A4キューを一時停止し,印刷をただちに中止します。

  注意
シリアル接続あるいは raw TCP/IP 接続で通信に問題が発生した場合,シンビオントはプリンタとの接続を切断する前に最大 4 秒応答を待ちます。したがって, STOP /QUEUE /RESETコマンドを実行した直後には,その装置が開放されない場合があります。

STOP/QUEUE 修飾子についての詳細は, 付録 A を参照してください。

5.8 キューの起動

STOP /QUEUEコマンドを使用して一時停止したプリント・キューを再起動するには, START /QUEUEコマンドを使用します。 DCPS$STARTUP.COMでプリント・キューを変更した場合には, 第 3.7 節 の説明に従って,DCPS$STARTUP.COMファイルを実行することにより,キューを再起動しなければなりません。

たとえば,プリント・キューPS40$A15を再起動するには,次のコマンドを使用します。

$ START/QUEUE PS40$A15

キューを停止したときに印刷されていたプリント・ジョブが中断された場合には,キューを再起動することにより,そのプリント・ジョブが再起動されます。

論理名 DCPS$queuename_PID は,シンビオントの起動時に定義されます。これによりシステム管理者はどのシンビオントが特定のキューに割り当てられているかを判定することができ,特にマルチストリーム・シンビオントを使用する場合に有用です。 第 3.5.1 項 を参照してください。

  注意
DCPS キューが起動する場合,キューが起動しない可能性を低くするために,シンビオントは直ちにプリンタに接続しません。これはシステムのブート時にキューを起動する際に,ブート・プロセスの遅延あるいはエラーを避けるために特に重要です。 DCPS がキューのジョブの処理を開始するまで, DCPS はプリンタの状態およびその接続状態を判定しません。



プリント・キューの属性はSET QUEUEコマンドを使用して変更できます。このコマンドを使用してキュー属性を変更する場合には,DCPS$STARTUP.COMファイルを変更し,変更結果を永久的に設定しなければなりません。この操作を実行しなかった場合には,プリンティング・システムを再起動したときに,SET QUEUEコマンドによって設定したキュー属性は失われ,DCPS$STARTUP.COMに定義されているキュー属性が有効になります。

SET QUEUEコマンドに指定できる修飾子は 付録 A に示すとおりです。一部のプリント・キュー属性はSET QUEUEコマンドでは設定できません。

次のコマンドはPS$DRAFTキューに登録するプリント・ジョブを,1000ブロック以下のジョブに制限します。

$ SET QUEUE PS$DRAFT/BLOCK_LIMIT=1000

SET QUEUEコマンドを実行するには,特権が必要です。また,キュー名と適切な修飾子も指定しなければなりません。

5.10 キューのクローズとオープン

ユーザがプリント・ジョブをキューに登録することを禁止しなければならない場合には,SET QUEUE /CLOSEコマンドを使用してキューをクローズします。このコマンドを実行するには特権が必要であり,キュー名を指定しなければなりません。次の例を参照してください。

$ SET QUEUE /CLOSE PS$A4

このコマンドを入力した後,PS$A4キューはクローズされ,ユーザはプリント・ジョブをこのキューに登録できなくなります。ただし,キューに現在登録されているプリント・ジョブは正しく実行されます。クローズしたプリント・キューは次のコマンドを使用してオープンできます。

$ SET QUEUE /OPEN PS$A4



5.11 キューの削除

プリント・キューはDELETE /QUEUEコマンドを使用して削除できます。このコマンドを使用するには,特権が必要です。DCPS キューを削除するには,次の操作を実行します。

  1. SHOW QUEUE /FULLコマンドを使用してキューを表示することにより,削除するキューに実行中のジェネリック・キューが対応づけられていないかどうかを確認します。削除するキューにジェネリック・キューが対応づけられている場合には,最初にジェネリック・キューを削除してください。

  2. STOP /QUEUE /NEXTコマンドを使用してキューを停止します。キューを削除する前に,プリンタで印刷が停止するまで待ってください。

  3. キューに現在登録されているすべてのプリント・ジョブとそのキューに将来登録されるプリント・ジョブは,ASSIGN /MERGEコマンドを使用して別のキューに移動します ( 第 5.4.3 項 を参照)。

  4. DELETE /QUEUEコマンドを使用してキューを削除します。このコマンドに引数としてキュー名を指定してください。たとえば,次のコマンドはPS$A4キューを削除し,そのキューで待ち状態のプリント・ジョブも削除します。

    $ DELETE /QUEUE PS$A4
    

キューを永久に削除するには,DCPS$STARTUP.COMファイルも変更しなければなりません。この操作を実行しなかった場合には,プリンティング・システムを再起動するときに,削除したプリント・キューが再び定義されます。


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