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システム管理者は,特定のアプリケーションだけを実行するユーザ・アカウントを設定することができます。たとえば, Bookreader アプリケーションだけをユーザに使用させたい場合があります。
ここでは,専用の DECwindows アカウントを作成する以下の 3 つの方法について説明します。
4.4.7.1 セッション・マネージャのコマンド・プロシージャを変更する
SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM ファイル内でグローバル・シンボル DECW$SESSIONCOM を定義することで,ユーザがログインしたときに, LOGINOUT によって DECW$STARTSM.COM 以外のコマンド・ファイルが実行されるようにすることができます。この動作によって,セッション・マネージャが完全に迂回されます。
例 4-1 では,DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM 内で,プライベート・コマンド・プロシージャ SYS$MANAGER:PRIVATE_SESSIONCOM.COM を指すように DECW$SESSIONCOM が定義されています。デフォルトのコマンド・ファイルは SYS$MANAGER:DECW$STARTSM.COM です。
DECW$SESSIONCOM はシステム論理名テーブルで定義されているため,すべてのユーザ名のセッション・マネージャのスタートアップに影響を与えます。プライベート・コマンド・ファイルでは,実行元のユーザ名を確認し,専用アカウント以外のアカウントに対しては,通常の DECW$STARTSM.COM を実行する必要があります。
この方法では,スタートアップ・コマンド・プロシージャ SYLOGIN.COM, LOGIN.COM,DECW$SYLOGIN.COM,および DECW$LOGIN.COM は実行されません (通常は DECW$STARTSM.COM から実行されます)。 |
セッション・マネージャのコマンド・プロシージャを変更するには,以下の手順を実行します。
例 4-1 プライベート・セッション・マネージャ・コマンド・ファイルの使用例 |
---|
$ CREATE SYS$MANAGER:PRIVATE_SESSIONCOM.COM $! $! Check to see whether this is the dedicated DECwindows account. $! If it isn't, run the normal procedure to start Session Manager. $! $ username = F$USER() $ IF F$LOCATE("BOOK_READER", username) .NE. F$LENGTH(username) - THEN GOTO dedicated $! $! Normal, nondedicated DECwindows login $! $ @SYS$MANAGER:DECW$STARTSM $ EXIT $! $! Dedicated DECwindows login. Run Bookreader and then exit. $! $ dedicated: $! $ RUN SYS$SYSTEM:DECW$WSINIT $ display = F$TRNLNM("DECW$DISPLAY") $ RUN/DETACHED/OUTPUT='display' SYS$SYSTEM:DECW$MWM (1) $ RUN SYS$SYSTEM:DECW$BOOKREADER $ endsession := $DECW$ENDSESSION (2) $ endsession -noprompt (3) $ STOP/ID=0 (4) |
$ DECW$SESSIONCOM :== SYS$MANAGER:PRIVATE_SESSIONCOM.COM |
SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM がない場合は,次のようにしてテンプレート・ファイルから作成します。
$ COPY SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.TEMPLATE - _$ SYS$COMMON:[SYSMGR]DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM |
$ @SYS$MANAGER:DECW$STARTUP RESTART |
このステップは,DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM への変更を有効にするために必要です。
4.4.7.2 セッション・マネージャの実行可能ファイルを変更する
SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM ファイル内で DECW$SESSIONMAIN を定義することで, DECW$STARTSM.COM が,DECW$SESSION.EXE の代わりに,指定されたコマンド・ファイルを実行するようにすることができます。セッション・マネージャはリソース・ファイルを読み込み,ログイン・コマンド・ファイルを実行しますが,セッション・マネージャのメニュー・バーは表示されません。この方法では,End Session コマンドが確認を促さないようにしてください。
DECW$STARTSM.COM が起動すると (すなわち,DECW$SESSIONCOM がデフォルト値の場合),論理名 DECW$SESSIONMAIN に格納されている DCL コマンドを実行することでセッション・マネージャが起動されます。この論理名を定義するには,SYS$MANAGER:PRIVATE_APPS_SETUP.COM を編集して,グローバル・シンボル DECW$SESSIONMAIN に,実行する DCL コマンドを定義します。
この方法は, 第 4.4.7.1 項 で説明した方法と似ていますが,この方法では DECW$STARTSM.COM がコマンド・プロシージャ SYLOGIN.COM, LOGIN.COM,DECW$SYLOGIN.COM,および DECW$LOGIN.COM を実行します。また,DECW$STARTSM.COM は,プライベート・コマンド・プロシージャで実行しなくてもすむように, DECW$WSINIT.EXE を実行します。
セッション・マネージャの実行可能ファイルを変更するには,以下の手順を実行します。
例 4-2 セッション・マネージャの実行可能ファイルを変更する |
---|
$ CREATE SYS$MANAGER:PRIVATE_SESSIONMAIN.COM $! $! Check to see whether this is the dedicated DECwindows account. $! If it isn't, run the normal procedure to start Session Manager. $! $ username = F$USER() $ IF F$LOCATE("BOOK_READER", USERNAME) .NE. F$LENGTH(USERNAME) - THEN GOTO dedicated $! $! Normal, nondedicated DECwindows login $! $ RUN SYS$SYSTEM:DECW$SESSION $ EXIT $! $! Dedicated DECwindows login. Run Bookreader and then exit. $! $ dedicated: $! $ display = F$TRNLNM("DECW$DISPLAY") $ RUN/DETACHED/OUTPUT='display' SYS$SYSTEM:DECW$MWM (1) $ RUN SYS$SYSTEM:DECW$BOOKREADER $ endsession := $DECW$ENDSESSION (2) $ endsession -noprompt (3) $ STOP/ID=0 (4) |
$ DECW$SESSIONMAIN :== @SYS$MANAGER:PRIVATE_SESSIONMAIN.COM |
SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM が存在しない場合は,次のようにしてテンプレート・ファイルから作成します。
$ COPY SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.TEMPLATE - _$ SYS$COMMON:[SYSMGR]DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM |
$ @SYS$MANAGER:DECW$STARTUP RESTART |
このステップは,DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM に対する変更を有効にするために必要です。
専用アカウントのユーザ名とパスワードを入力すると, Bookreader が起動し,セッション・マネージャのメニュー・バーは表示されません。ユーザが Bookreader を終了すると, PRIVATE_SESSIONMAIN.COM プロシージャがセッション終了処理を実行し,ログアウトします。 End Session コマンドによってDECwindows の「Start Session」画面が表示されます。
4.4.7.3 セッション・マネージャのプロファイル・ファイルを変更する
この方法では,通常どおりセッション・マネージャが起動しますが,システム管理者がメニューをカスタマイズして,自動的に起動されないアプリケーションをすべて削除します。特定のアプリケーションを削除することで,ユーザのアプリケーションへのアクセスを制限することができます。
この方法では,セッション・マネージャのメニュー・バーが表示され,ユーザは,システム管理者が無効にしていないあらゆるダイアログ・ボックスと対話することができます。
セッション・マネージャのプロファイル・ファイルを変更するには,以下の手順を実行します。
自動スタートアップ・リストからウィンドウ・マネージャを削除しないでください。 |
[自動設定...]
[メニュー...]
[メニューバー...]
[セッション・マネージャ保管]
変更内容をテストするために, DECwindows のログイン・ボックスから専用アカウントでログインします。デフォルトで Bookreader とセッション・マネージャが起動し,他のアプリケーションは起動できなくなっています。ログアウトするには,セッション・マネージャの [セッション] メニューから [セッション終了] を選択します。
アカウントを通常のアカウントに戻す場合や,システム・メニュー・バーから削除したダイアログ・ボックスを変更する場合は,専用アカウントの SYS$LOGIN ディレクトリにある VUE$PROFILE.VUE$DAT ファイルを削除するか名前を変更します。
4.4.8 カスタム Bookreader ディレクトリの作成
Bookreader を起動する際に,システムは論理名 DECW$BOOK を使用してファイル LIBRARY.DECW$BOOKSHELF を探します。デフォルトでは,論理名 DECW$BOOK は SYS$SYSROOT:[DECW$BOOK] に展開されます。 LIBRARY.DECW$BOOKSHELF が格納されたプライベート・ディレクトリを作成することができます。
そのためには,ディレクトリを作成し, DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM ファイル内にグローバル・シンボルを定義する必要があります。
SYS$COMMON:[DECW$BOOK_LOCAL] というプライベート Bookreader ディレクトリを作成するには,以下の手順を実行します。
$ CREATE/DIRECTORY/PROTECTION=WORLD:R - _$ SYS$COMMON:[DECW$BOOK_LOCAL] |
$ COPY SYS$SYSROOT:[DECW$BOOK]LIBRARY.DECW$BOOKSHELF - _$ SYS$COMMON:[DECW$BOOK_LOCAL]/LOG |
$ COPY SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.TEMPLATE - _$ SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM/LOG |
$ DECW$BOOK == "SYS$COMMON:[DECW$BOOK_LOCAL]" |
$ @SYS$MANAGER:DECW$STARTUP RESTART |
4.5 セッション・マネージャの動作の変更 ( Traditional DECwindows Desktop のみ)
いくつかの論理名を使用することで,DECwindows セッション・マネージャの動作を変更することができます。これらの論理名は,通常は使用しませんが,2 つのセッション・マネージャを同じシステムで動作させるなど,特別な状況で役立ちます。 表 4-7 に論理名とその意味を示します。
論理名 | 意味 |
---|---|
DECW$VUENOAUTOSTART | セッション・マネージャの自動起動リスト中のアプリケーションの起動を抑制する。 |
DECW$VUENORESET | セッション・マネージャの終了時のディスプレイ・サーバのリセットを抑制する。 |
DECW$VUELOGINOUTPUT | セッション・マネージャからアプリケーションが起動されるに従って,ログイン・コマンド・ファイル (SYSLOGIN,LOGIN,DECW$LOGIN) からの出力を保存する。この情報には,「セッション・マネージャ」ウィンドウの [セッション] メニューにある「処理中」ダイアログ・ボックスの [出力表示] ボタンをクリックすることでアクセスできる。 |
これらの論理名は,DECterm またはログイン・コマンド・ファイル (SYSLOGIN,LOGIN,DECW$LOGIN) で定義します。これらの論理名を設定するには,論理名に任意の値を定義します。次に例を示します。
$ DEFINE DECW$VUENOAUTOSTART 1 |
ほとんどの DECwindows アプリケーションには,DECwindows 環境をカスタマイズし,設定を保存するためのオプションが表示されたダイアログ・ボックスがあります。たとえば,セッション・マネージャの[オプション] メニューを使用すると,多くの事前に定義された設定を参照し,新しい設定を選択して保存することができます。
ただし,設定を変更して保存するためのダイアログ・ボックスがすべてのアプリケーションにあるわけではありません。たとえば,アプリケーションの中には,アプリケーションのメイン・ウィンドウのサイズと位置を変更して保存できるものもあれば,そうでないものもあります。ダイアログ・ボックスで変更できない設定を変更して保存するには, DECW$XDEFAULTS.DAT ファイルにリソースを指定します。
以下の理由から,リソースを変更する際には十分に注意してください。
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リソースを使用してアプリケーションの設定を変更するには,論理名 DECW$USER_DEFAULTS が指すディレクトリにファイル (DECW$XDEFAULTS.DAT) を作成します。このファイルで,変更したいアプリケーション設定のリソースを指定します。また,変更が 1 つのアプリケーションに特有の場合は,アプリケーションのリソース・ファイル (たとえば DECW$MAIL.DAT) を変更することもできます。
DECW$XDEFAULTS.DAT ファイル内の各リソース指定は,明示的な構文規則に従う点に注意してください。リソース構文についての詳細は,『VMS DECwindows Guide to Xlib (Release 4) Programming: MIT C Binding』または『X Window System』を参照してください。
アプリケーション固有のリソースに関しては,『日本語 DECwindows Motif New Desktop使用概説書』および『日本語 DECwindows Motif for OpenVMS 操作ガイド』を参照してください。
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