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OpenVMS マニュアル


 

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目次
まえがき
第1章:New Desktopの概要
第2章:New Desktopの使用方法
第3章:New Desktopの管理
第4章:アプリケーションの統合
第5章: プログラミング・リソース
付録A :New DesktopとCDEとの違い
付録B :複数画面のサポート
付録C :CDEのAPIルーチン
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New Desktop 使用概説書

New Desktop 使用概説書


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New Desktop のウィンドウ・マネージャのリソース構成ファイルSYS.DTWMRCは, CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[CONFIG.JA_JP_*]ディレクトリに置かれています。これは, New Desktop のウィンドウ・マネージャの動作の大部分を制御する,ウィンドウ・マネージャのリソース・ファイル(DTWM.DAT)とともに使用される,補足的なリソース・ファイルです。

DECwindows デスクトップでは,ウィンドウ・マネージャの補足的な構成は, DECW$MWM_RC.DAT ファイルに設定されます。このリソース・ファイルに保管されているデータは,ウィンドウ・マネージャのルート・ウィンドウ・メニュー,カスタマイズしたキー・バインドの記述,マウスのボタンのバインドの記述その他の属性に影響します。 DECW$MWM_RC.DAT に対して行ったカスタマイズ設定は, New Desktop に自動的に継承することはできません。次の手順で, DECW$MWM_RC.DATファイルに対して以前行ったカスタマイズ設定を New Desktop のSYS.DTWMRCファイルに組み込むことができます。

  1. CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[CONFIG.JA_JP_*]SYS.DTWMRC を
    disk$:[user.DT]DTWMRC.DATにコピーします。

  2. ファイルを編集します。以前DECW$MWM_RC.DATに対して行った変更点その他を組み込むことができます。

  3. ウィンドウ・マネージャを再起動して変更を有効にします。

DTWMRC.DATには,一連の新しいワークスペース・マネージャ機能 (たとえば f.create_workspace) など複数のワークスペース環境をサポートする拡張機能が提供されています。 DTWMRC.DATのカスタマイズについて,またこの拡張機能についての詳細は, DTWMRC マニュアル・ページを参照してください。

3.4.9 アプリケーションの自動起動

DECwindows デスクトップのセッション・マネージャに,ログイン時にどのアプリケーションを起動するかを指定するための [自動起動...] オプションがあります。その他のカスタマイズ設定は, SYS$LOGIN:DECW$LOGIN.COMファイルに追加挿入することができます。

New Desktop では,セッションへのログイン時に異なった方法でアプリケーションを起動する手法を提供しています。 [このセッションを再開] と [ホームセッションを開始]という 2つのオプションがあり,ともに起動したいデフォルトの一連のアプリケーションを起動し,続いてそのセッションの状態を保存します。

第 2.1.11 項 の説明のように,スタイル・マネージャの [起動] メニューにこれらの 2 つのオプションがあります。

アプリケーションの側で, New Desktop にそのアプリケーションの再起動の方法を通知する必要があります。 New Desktop のCDEアプリケーションの場合は,表示するウィンドウ,ウィンドウを表示する位置,現在の値などの詳細な情報を通知します。 DECwindows アプリケーションの場合は,一般的にアプリケーションの再起動に十分な情報を通知するだけで,状態に関する情報は保管されません。

たとえば, DECwindows Notesなどのオプションの DECwindows アプリケーションの場合,まったく情報を通知しないため,再起動されません。自動的に再起動することができないアプリケーションについては, disk$:[user.DT]SESSIONETC.COMというコマンド・プロシージャを使用して起動することができます。このプロシージャは,従来のDECwindows環境のDECW$LOGIN.COM プロシージャに類似したものです。

3.5 New Desktop のエラー・ログの使用

New Desktop にはデフォルトで,セッション起動用とセッション用の2つのログ・ファイルが提供されています。また,シンボルを定義する場合に使用するログイン・プロセス用のログ・ファイルも提供されています。次に,各ログ・ファイルについて説明します。

  • ログイン用ログ・ファイル
    ログイン・プロセス用のログ・ファイルを作成するには, SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMファイルに,作成したいログ・ファイル名を指定する DECW$LOGINLOG シンボルを定義します (これは,従来のDECwindowsデスクトップのログイン・プロセス用のログ・ファイルの作成方法と同様です)。たとえば,次のように定義すると, SYS$MANAGER:LOGIN.LOGファイルにログイン用ログ・ファイル・メッセージが書き込まれます。

    $ DECW$LOGINLOG == "SYS$MANAGER:LOGIN.LOG" 
    

  • セッション起動用ログ・ファイル
    ログイン後セッション・マネージャ起動前に,ログ・ファイルSYS$LOGIN:DECW$SM.LOGを使用して,セッション起動に関する情報が表示されます。既存のセッションに関する追加情報がこのファイルに追加されます。このファイルは,従来のDECwindows環境の同名のファイルに類似したものです。
    このログ・ファイルが不要な場合は, SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMファイルの DECW$SESSIONLOGシンボルを,次の例のように "FALSE" に定義します。

    $ DECW$SESSIONLOG == "FALSE" 
    

  • セッション用エラー・ログ
    セッション・マネージャが起動すると,エラーはすべてセッション用のエラー・ログ・ファイル disk$:[user.DT]ERRORLOGに書き込まれます。このセッションで実行中の New Desktop アプリケーションはすべて,各ステータスとエラーに関する情報を,記入日時とともにこのファイルに書き込みます。また,アプリケーションの出力 (SYS$OUTPUT)に送信されるデータは,次の場合を除きエラーログ・ファイルに取り込まれます。

    • アプリケーションが,出力表示用にそのアプリケーションの漢字端末エミュレータを使用する場合。

    • 出力がSYS$OUTPUT以外のファイルに送信される場合。

    • そのアプリケーションを実行中のユーザのアカウントが, New Desktop にログインしたユーザのアカウントと異なる場合。

    • New Desktop のセッション・マネージャが実行中のシステムとは異なるシステム上でアプリケーションを実行中の場合。


    ログインするたびに,新規の ERRORLOG.ファイルが作成されます。前のバージョンのファイル名はERRORLOG.OLDに変更され,さらに前のバージョンのファイル名はERRORLOG.OLDERに変更されます。各ファイルのバージョンは1つだけで,最新の3バージョンのファイルだけが保管され,それ以前のエラーログ・ファイルは自動的に削除されます。
    [デスクトップツール] アプリケーション・グループの [エラーの監視] アクションにより, ERRORLOG. ファイルを簡単に表示することができます。



3.6 New Desktop 環境における色の使用

New Desktop では,色の割り当ては集中管理されています。カラー・マップ・エントリ一式が,セッション起動時にあらかじめ割り当てられます。ウィジェットのカラー・リソースのデフォルト値が,これらのカラー・マップ・エントリにマップされます。ウィジェットのカラー・リソースが特に指定されていないアプリケーションはすべて,共用カラー・マップ・エントリを使用します。この方法により,共用カラー・マップ・エントリのピクセル値を変更することによって,全アプリケーションの色を動的に変更することができます。

New Desktop では,セッション・マネージャはデスクトップ用カラー・サーバとして機能します。セッション・マネージャは, Xサーバのカラー・マップを一連の色セットに分割してその保管および制御を行います。色セットは, 表 3-5 に示すように各リソースの色から構成されます。

表 3-5 色セットのリソース
リソース名 説明
Background アプリケーションの背景色
Foreground アプリケーションの前景色
topShadowColor アプリケーションのコントロール(ボタン)とウィンドウ枠の左と上の境界線の色
bottomShadowColor アプリケーションのコントロールとウィンドウ枠の右と下の境界線の色
selectColor アプリケーションのコントロールが選択されたときの強調表示に使用する色

スタイル・マネージャは最大8色の色セットを組み合わせて,カラー・パレットを作成します。これらの色セットが適用されるウィジェットは,色セットIDリソースにより決まります。色セットは全ウィジェット,ダイアログ・ボックス,これらのリソースをベースにしたテキスト・ウィジェットのいずれかに適用することができます。

各色セットの色は,選択された背景色をベースとして決定されます。各色セットの背景色は,スタイル・マネージャの [カラー] ダイアログの色ボタンで表示されます。 [色の数] に設定されている値によって,2 〜 8個のボタンが表示されます。 [色の数] オプションは, 図 3-2 に示すスタイル・マネージャの [カラー] メニューにあります。

図 3-2 スタイル・マネージャの「カラー」メニュー


デスクトップの色は,カラー・パレットの一覧から選択し,ボタンに表示されている色セットを [変更...] ダイアログで変更することによって設定することができます。

色ボタンを選択して,[変更] ダイアログでスライダを動かすと,そのアプリケーションがダイナミック・カラーをサポートしている場合は,その色で表示されているアプリケーションの色が変化します。スライダを動かしても色が変化しない場合は,アプリケーションの色は New Desktop が制御しているのではなく,アプリケーションが制御していると考えてよいでしょう。この場合は,アプリケーションの色リソースを変更すれば変更することができます。

3.6.1 使用できる色の数の変更

アプリケーションで必要な色の数と New Desktop で必要な色の数の合計数(両方とも同じ色であってもその合計数)を,表示できる最大色数以上に設定することもできます。アプリケーションが必要な色全色を設定できない場合は,次のような現象が発生します。

  • 「カラー・マップ・エントリを割り当てられません...」などのエラーが発生します。

  • エラーは発生しないが,設定と異なる色が表示されたり,デスクトップ起動時にデスクトップの色が変化します。

これらの現象が発生する場合は, 図 3-3 の [使用する色の数] ダイアログを使用して,アプリケーションにできる限り多くの色数を設定してください。デスクトップが使用する色の数は, [使用する色の数] ダイアログの設定により異なります。デスクトップに使用する色の数が少ないほど,アプリケーションで使用できる色の数が多くなります。 [使用する色の数] オプションについては, 表 3-6 で説明しています。

図 3-3 [使用する色の数] メニュー


表 3-6 [使用する色の数]のオプション
オプション 説明
デスクトップ用にもっと多くの色数 デスクトップに最多色表示を指定します。カラー・パレットには8色の色セットが使用され,白黒を含む最大42色を指定することができます。
アプリケーション用にもっと多くの色数 デスクトップに中程度の色数を指定します。カラー・パレットには4色の色セットが使用され,白黒を含む最大22色を使用することができます。
アプリケーション用に最大限度の色数 デスクトップに使用する色数を少なくするよう指定します。カラー・パレットには2色の色セットが使用され,白黒を含む最大12色を使用することができます。
白黒 白黒表示を指定します。カラー・パレットには2色だけが使用され,この非動的な色構成では,使用できるパレットはBlackWhiteと WhiteBlackだけです。
デフォルト ディスプレイの色の数に基づいた色構成をカラー・サーバが選択できるようにします。デフォルトは通常,[アプリケーション用にもっと多くの色数]です。

  注意
カラー・カスタマイザのサンプル・プログラムでは,類似した手法で動的なカラー環境を提供しています。カラー・カスタマイザは,管理するカラー・リソース用の追加色セットを割り当てますが,これによりアプリケーションで使用できる色の数がさらに制限されるため, New Desktop の動的なカラー環境に不要な相互作用が発生する原因となることがあります。

New Desktop のカラー・マップの管理方法についての詳細は, [マニュアル・ページ・ビューア] を使用して dtsession マニュアル・ページを参照してください。

3.6.2 色の重複の回避

全アプリケーションがデフォルトの色を使用することによって,全アプリケーションについてデスクトップが一貫した色を管理できるようにすることが最善の方法です。ただし,常にこの方法が可能であるとはかぎりません。アプリケーションが,新バージョンのMotifライブラリで動作する OSF/Motif アプリケーションではない場合は,新しいダイナミック・カラーモデルを利用することはできません。また,カラー・リソースを明示的に定義してある場合は,共有ダイナミック色は使用されません。これらのアプリケーションは共存できるはずですが,アプリケーションにあらかじめ定義された色と重複するパレットが選択された場合には,望ましくない影響を与える可能性があります。

アプリケーションが,そのアプリケーション用に割り当てられていないカラー・マップ・エントリを変更することによって,正常に動作しなくなることがあります。変更したものがデスクトップのダイナミック色のエントリであれば,これは全アプリケーションに影響を与えるため,スタイル・マネージャの現在のパレットを選択して,適切な色に設定し直す必要があります。

色が重複するとテキストが読みづらくなったり,見えなくなったりすることがあります。また,アプリケーションのインタフェースから,ボタンが消えてしまったように見えることもあります。これは前景色と背景色が共に白の場合など,アプリケーションのボタンの前景色が,背景色と類似した色に設定されてしまったことが原因です。

セッション・マネージャでは,デスクトップの前景色と背景色に影響を与えるいくつかのリソースがあります。また,多くのアプリケーションには,前景色と背景色を設定するためのリソースがあります。ただし,以上の問題を解決する最も簡単な方法は,スタイル・マネージャで別のパレットを選択すること ([変更...]ダイアログ・ボックスを使用して現在のパレットを変更すること)です。

セッション・マネージャのリソースを変更する場合は,次の例のようにアプリケーションのデフォルト設定ファイルをDECW$USER_DEFAULTSにコピーします。

$ COPY CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[APP-DEFAULTS.JA_JP_*]DTSESSION.DAT - 
_$ DECW$USER_DEFAULTS:DTSESSION.DAT 

このファイルのリソース文字列を変更するか新たに追加した後, New Desktop を終了してから再度ログインしてセッション・マネージャを再起動します。セッション・マネージャはデフォルトで,ユーザがログインするたびに前景リソースと背景リソースをロードします。これは次のデフォルト・リソースにより実行されます。

dtsession*writeXrdbColors: true 

前景色と背景色は,ユーザが選択したパレットの色から動的に決定されます。これは,セッション・マネージャの次の2つのデフォルト・リソースにより実行されます。

dtsession*dynamicColor: true 
dtsession*foregroundColor: "DYNAMIC" 

*dynamicColorリソースは,パレットを変更すると色も動的に変化するかどうかを制御します。 *foregroundColorリソースは, *foregroundリソースが "BLACK" または "WHITE"に明示的に指定されているのか,あるいは現在パレットに基づいて算出されるのかを制御します。 "DYNAMIC" に指定すると,次のリソースがしきい値を制御するようになり,このしきい値以上の値で*foregroundリソースが白に設定されます。

*foregroundThreshold: 70 

これは,次のファイルに指定されています。

CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[APP-DEFAULTS.JA_JP_*]DT.DAT 

  注意
*foregroundThresholdリソースのデフォルト値を変更して,特定のパレットの前景色を設定した場合,他のパレットの前景色が正常に表示されないことがあります。デフォルト値 70 は,デフォルトのパレットのインストール済みの色セットと正しく動作するため指定されています。

アプリケーションのリソース・ファイルに前景リソース指定を追加することによって,アプリケーションの前景色を黒あるいは白とは別の色に変更することができます。デフォルトの前景色指定はもっとも一般的な形式に定義されているため,アプリケーション専用の前景リソースを別の色に指定すると無効になります。

DECW$TERMINAL.main.terminal.foreground: goldenrod 

たとえば,上記のように指定した場合,次のものが無効になります。

*foreground: #FFFFFFFFFFFF (白) 

この例ではgoldenrodという色が,変更後作成されるすべての漢字端末エミュレータの前景に適用されます。その他のすべてのアプリケーションの前景色は,白のままとなります。


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