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この項で説明する機能は,OpenVMS バージョン 7.3 リリースではまだサポートされていません。この機能は将来のリリースでサポートされる予定です。 |
OpenVMS では,SCSI バスを共用する複数のホストをサポートしています。この機能を,マルチホスト SCSI OpenVMS Cluster システムといいます。この構成では, SCSI バスは共用ストレージ・インターコネクトです。クラスタ通信は 2 番目のインターコネクト (LAN,DSSI,CI,または MEMORY CHANNEL) を通じて行われます。
図 6-2 に示すように,マルチホスト SCSI OpenVMS Cluster システムのマルチパス・サポートでは,直接関連付けられた SCSI から MSCP のサービス対象である SCSI ストレージへ,フェールオーバが可能です。
図 6-2 1 つのインターコネクトによる直接 SCSI から MSCP のサービス対象構成
この構成では,次の点に着目してください。
6.1.3 両方の種類のマルチパス・フェールオーバを組み合わせた構成
図 6-3 に示すように,マルチホスト SCSI OpenVMS クラスタ・システムでは,クラスタを両方の種類のマルチパス・フェールオーバ (直接 SCSI から直接 SCSI と直接 SCSI から MSCP サービス対象の SCSI)に構成することによりストレージの可用性を強化できます。
直接接続されているストレージから MSCP サービス対象のストレージへのフェールオーバは OpenVMS バージョン 7.3 ではサポートされません。この機能は,将来のリリースでサポートする予定です。 |
図 6-3 インターコネクトが 2 つの直接 SCSI から MSCP サービス対象構成
この構成では,次の点に着目してください。
この構成には,「直接 SCSI フェールオーバ」と「直接から MSCP サービス対象 SCSI へのフェールオーバ」の両方の利点があります。
6.2 構成要件と制限事項
マルチパス SCSI と FC 構成の要件については, 表 6-1 を参照してください。
構成要素 | 説明 |
---|---|
ホスト・アダプタ | パラレル SCSI の場合,KZPBA-CB を使用します。 OpenVMS でマルチパス・フェールオーバをサポートする唯一の SCSI ホストアダプタです。 |
Alpha コンソール・ファームウェア | HSZ70 と HSZ80 を備えたシステムでは,最小更新レベルは,5.3 または 5.4 であり,AlphaServer によって異なります。 HSG80 を備えたシステムでは,最小更新レベルは 5.4 です。 |
コントローラ・ファームウェア | HSZ70 の場合, 最小更新レベルは 7.3 です。 HSZ80 の場合,8.3 です。HSG80 の場合,8.4 です。 |
コントローラ・モジュール・モード | マルチバス・モードに設定します。選択は,HS x コンソールで行います。 |
全接続 | マルチバス・モードで HS
x に接続されているすべてのホストには,両方の HS
x
コントローラ・モジュールまでのパスが必要です。異なるコントローラに排他的に接続されているホストは,コントローラ間で論理ユニットをあちらこちらに切り替え,I/O が実行されるのを防ぐためです。
これを防ぐには,常にホストからコントローラ・モジュールへ全接続されるようにしておきます。コントローラとのホストの接続に障害が発生すると,以下のどれかの操作が実行され,パスの切り替えが無限に繰り返されるのを防ぎます。
|
割り当てクラス | パラレル SCSI の場合,有効な HSZ 割り当てクラスが必要です ( 第 6.5.3 項
参照)。SCSI バスが HSZ コントローラだけで構成され,すべてのコントローラが有効な HSZ 割り当てクラスを持つ場合,そのバスの古い SCSI デバイス命名規則に従う必要はありません。つまり,そのアダプタに同じポート割り当てクラスを割り当てたり,同じノード割り当てクラスと同じ OpenVMS アダプタ・デバイス名を割り当てる必要はありません。
ただし,非 HSZ デバイスがバスにある場合,あるいは HSZ 割り当てクラスなしの HSZ コントローラがある場合,ノードとポート割り当てクラス代入,および共用 SCSI バスのデバイス名の標準ルールは,次のようになります。 AlphaServer 2 x00(A) を除き, HSZ 割り当てクラスによるデバイスからのブートは,KZPBA-CB をサポートするすべての AlphaServers でサポートされています。 割り当てクラスは,FC デバイスには使用しません。 |
マルチパス FC と SCSI 構成の制限事項については, 表 6-2 を参照してください。
構成要素 | 説明 |
---|---|
サポートされているデバイス | コントローラ・モジュール HSZ70, HSZ80,HSG80 に関連付けられている DKDRIVER ディスク・デバイスをサポートします。テープなどの他のデバイス・タイプや GKDRIVER などのクラス・ドライバはサポートしていません。
大きな負荷がかかっている場合,HSZ70 または HSZ80 コントロールでは,ホストによるコントローラの手動または自動切り替えができない場合があります。テストの結果,この問題はめったに起こらないことが判明しています。この問題は,ファームウェア HSOF V7.7 以降のバージョンを使用する HSZ70 では修正済みです。将来のリリースでは HSZ80 についても修正される予定です。この問題は HSG80 コントローラでは 発生しません。 |
複合バージョンと複合アーキテクチャ・クラスタ | HSZ や HSG にマルチバス・モードで接続されているホストでは,OpenVMS バージョン 7.2 以上を実行する必要があります。 |
SCSI から MSCP へのフェールオーバ | OpenVMS バージョン 7.3 では, MSCP パスをマルチパス・セットに組み込むことはできません。これは,SYSGEN パラメータ MPDEV_REMOTE を 0 に設定して対応します。これは現在のバージョンのデフォルトの設定です。この制限事項は今後解消される予定です。 |
デュアル冗長構成,透過的フェールオーバ・モード,マルチバス・フェールオーバ・モードの場合,HSZ70,HSZ80,HSG80 は,フェールオーバ操作の 2 つのモードを実装しています。
OpenVMS では,HSG60 または HSG80 はマルチバス・フェールオーバ・モードとします。 OpenVMS は,HSG60 または HSG80 の透過モードをサポートしていません。 |
以下の項で説明しますが,HSx
フェールオーバ・モードでシステムを正しく機能させるためには,インターコネクト・ハードウェアとホスト・オペレーティング・システム・ソフトウェアの構成との互換性が必要です。
6.3.1 透過的フェールオーバ・モード
透過的フェールオーバ・モードでは,HSZ はデュアル・コントローラ・ペアの 1 つのポート上に各論理ユニットを提供します。さまざまなポートにさまざまな論理ユニットを割り当てることができますが,個々の論理ユニットは,同時に 1 つのポートからでないとアクセスできません。コントローラ・モジュールの障害を HSZ が検出すると, 図 6-4 のように,HSZ は正常なコントローラ上の対応するポートに論理ユニットを移動します。
図 6-4 透過モードにおけるストレージ・サブシステム
透過モードでは,2 つのポートが同じホスト・バスにあることが前提なので,ホストのデバイス・ビューを変更しなくても論理ユニットがポート間を移動できます。このフェールオーバ・モードでバス構成が正しいことを確認するのはシステム・マネージャです。透過的フェールオーバは,バージョン 6.2 以後,OpenVMS でもサポートしています。
透過的フェールオーバ・モードを選択するには,構成に従って以下のコマンドのどれかを HSZ コンソールに入力します。
HSZ> SET FAILOVER COPY=THIS_CONTROLLER |
または
HSZ> SET FAILOVER COPY=OTHER_CONTROLLER |
透過モードの HSZ におけるコンソール SHOW コマンドの例を以下に示します。
z70_A => SHOW THIS_CONTROLLER Controller: HSZ70 ZG64100160 firmare XB32-0, Hardware CX25 Configured for dual-redundancy with ZG64100136 In dual-redundant configuration Device Port SCSI address 7 Time: 02-DEC-1998 09:22:09 Host port: SCSI target(s) (0, 2, 3, 4, 5, 6) Preferred target(s) (3, 5) TRANSFER_RATE_REQUESTED = 20MHZ Host Functionality Mode = A Allocation class 0 Command Console LUN is target 0, lun 1 Cache: 32 megabyte write cache, version 4 Cache is GOOD Battery is GOOD No unflushed data in cache CACHE_FLUSH_TIMER = DEFAULT (10 seconds) NOCACHE_UPS |
マルチバス・フェールオーバ・モードであるとき,HSx は,デュアル・コントローラ・ペアのポート上にあるホストから SCSI 照会に対しては,必ず応答します。これにより,デバイスに対するすべてのパスを認識できます。デバイスまでのすべてのパスがホストによって認識される場合,次の 2 つの利点があります。
論理ユニットはすべてのポートで認識できますが,I/O を実行できるのはオンラインである 1 つのコントローラのポート上だけです。異なる論理ユニットがオンラインになることはできますが, 図 6-5 に示すように,各論理ユニットは 1 度に 1 つのコントローラに対してのみオンラインになります。
図 6-5 マルチバス・モードのストレージ・サブシステム
論理ユニットがどのコントローラに対してオンラインであるかを知るには, HSx コンソール・コマンドに次のように入力します。
z70_A => SHOW UNIT FULL LUN Uses -------------------------------------------------------------- D200 DISK20300 Switches: RUN NOWRITE_PROTECT READ_CACHE MAXIMUM_CACHED_TRANSFER_SIZE = 32 ACCESS_ID = ALL State: ONLINE to the other controller PREFERRED_PATH = OTHER_CONTROLLER Size: 2050860 blocks |
ホストが論理ユニットに対して実行する I/O では 1 本のパスだけを使用します。これは,そのパスに障害が発生するまで変更されません。HSZ80 コントローラや HSG80 コントローラのようにコントローラにポートが 2 つある場合,異なるホストが,論理ユニットがオンラインになっているコントローラの異なるポートを利用して同じ論理ユニットにアクセスできます。
マルチバス・フェールオーバ・モードの HSx は OpenVMS バージョン 7.2 から導入されたマルチパス機能にだけ使用できます。
マルチバス・フェールオーバ・モードを選択するには,構成に応じて, HSx: コンソールに,以下のどれかを入力します。
HSZ> SET MULTIBUS_FAILOVER COPY=THIS_CONTROLLER |
または
HSZ> SET MULTIBUS_FAILOVER COPY=OTHER_CONTROLLER |
マルチバス・モードの HSx コントローラでコンソール SHOW コマンドを実行する例を以下に示します。
z70_B => SHOW THIS_CONTROLLER Controller: HSZ70 ZG64100136 firmware XB32-0, Hardware CX25 Configured for MULTIBUS_FAILOVER with ZG64100160 In dual-redundant configuration Device Port SCSI address 6 Time: NOT SET Host port: SCSI target(s) (0, 2, 3, 4, 5, 6) TRANSFER_RATE_REQUESTED = 20MHZ Host Functionality Mode = A Allocation class 0 Command Console LUN is target 0, lun 1 Cache: 32 megabyte write cache, version 4 Cache is GOOD Battery is GOOD No unflushed data in cache CACHE_FLUSH_TIMER = DEFAULT (10 seconds) NOCACHE_UPS |
6.3.3 マルチバス・モードのコントローラ用のポート・アドレス指定
パラレル SCSI と FC では,マルチバス・コントローラによるアドレス指定の方法が異なります。パラレル SCSI (HSZ70 と HSZ80) では,すべてのポートが同じ SCSI ターゲット ID に割り当てられます。 図 6-6 の HSZ80 の構成はこれを示したものです。
図 6-6 マルチバス・モードのパラレル SCSI コントローラのポート・アドレス指定
すべてのポートに同じターゲット ID が割り当てられるのは,ターゲット ID が OpenVMS デバイス名の一部であり (たとえば $4$DKC600 の 6 など),すべてのパスについてデバイス名が同じでなくてはならないためです。したがって,ポートは別々の SCSI バスにないとアドレスが競合します。
図 6-7 に示すように,HSG80 を使用した Fibre Channel 構成では,すべてのポートに固有の FC アドレスと WWID が割り当てられます。
図 6-7 マルチバス・モードの Fibre Channel コントローラのポート・アドレス指定
OpenVMS FC デバイス名に使用しないため,HSG80 上のポートの FC アドレスと WWID はすべて異なります。そのため,同じ FC インターコネクトに何本でもポートを接続できます。実際,インターコネクトが 1 本しかなくても,可用性とパフォーマンスの強化のために,マルチバス・モードの HSG80 のポートはすべて接続したほうが良いでしょう。
6.4 パラレル SCSI マルチパス構成
この節の図では,透過的フェールオーバとマルチパス・フェールオーバに構成されたシステムを表示します。HSZ80 など複数のポートを持つコントローラ・モジュールにおける注意事項をまとめています。
6.4.1 透過的フェールオーバ
図 6-8 に示すように,パラレル SCSI 構成の透過的フェールオーバでは,両方のコントローラ・モジュールが同じ SCSI バスにあるものとします。
図 6-8 透過的フェールオーバ付きのパラレル SCSI 構成
この構成の内容は以下のとおりです。
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