Compaq OpenVMS
OpenVMS Cluster 構成ガイド


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5.4.2 デバイスとデータの可用性オプティマイザ

可用性の必要要件によっては,最も優先順位の高いアプリケーションとデータを対象にして, 表 5-4 の説明に従って可用性オプティマイザを選択してください。

表 5-4 ストレージの可用性オプティマイザ
可用性オプティマイザ 説明
冗長アクセス・パス データまでの冗長アクセス・パスを構成することで,デバイスまでのパスにおけるハードウェア障害を防ぎます。
Volume Shadowing for OpenVMS ソフトウェア シャドウ・セットを構成する 1 つ以上の物理的に同一なディスクにデータを書き込むことで,仮想ディスクに書き込まれたデータの複製を作成します。複製データを利用して,あるディスクが使用できなくても,ユーザは目的のデータをアクセスできます。また,シャドウ・セットのメンバに障害が発生しても,シャドウ・ソフトウェアにより,そのドライブはシャドウ・セットから取り除かれ,残ったドライブを利用して処理が続行されます。シャドウ処理はアプリケーションには透過的に実行され,メディア,コントローラ,インターコネクトの障害が発生している間もデータの保存や配信が可能です。

シャドウ・セットには,最大で 3 つのメンバを組み込むことができ,シャドウ・メンバ・セットは,OpenVMS Cluster のストレージ・サブシステム内のどこにでも配置できます。

関連項目: ボリューム共用の詳細については,『Volume Shadowing for OpenVMS』を参照してください。

システム・ディスクの冗長化 複数のアクセス・パスがあるディスク・ドライブにシステム・ファイルを配置します。システム・ディスクを組み込んだシャドウ・セットを構成すると,OpenVMS Cluster の可用性が増します。また,複数のシステム・ディスクで OpenVMS Cluster システムを構成することもできます。

関連項目: 詳細については, 第 11.2 節 を参照してください。

データベースの冗長化 バッチ・ジョブで夜間に更新されるデータベースの一定のファイルやパーティションの冗長コピーを保存します。シャドウ・セットではディスク全体のコピーが作成されますが,この方法では,別のディスクにバックアップ・コピーを作成するか,ファイルやデータベースを選択してスタンバイ・テープにバックアップ・コピーを作成するだけで済みます。
DECevent DECevent をボリューム・シャドウイングと組み合わせると,デバイス障害が今にも発生しそうな状況でも,十分な余裕を持って予備デバイスにデータを移動できます。

デバイスの信頼性は,適切なソフトウェア・ツールを利用して強化してください。高い可用性が求められる環境では,DECevent などのデバイス障害予測ツールを使用してください。

新しいデバイス 新しいデバイスを選択して障害に備えます。一般に,デバイスが新しいほど信頼性と平均故障時間 (MTBF) がすぐれています。また,コントローラが新しいほど,最新のチップ・テクノロジで信頼性が高くなります。
バックアップ計画による実装 周期の短い定期的なバックアップは,データの可用性を保証する最も効果的な方法です。

5.5 CI 方式のストレージ

CI インターコネクトでは,冗長的な,独立した送受信 CI ケーブル・ペアにより,OpenVMS Cluster の可用性を最大限に発揮することができます。 CI では,HSC コントローラや HSJ コントローラ間のデュアル・ポート・デバイスによりディスクやテープまで複数のアクセス・パスを利用できます。

5.5.1 サポートされているコントローラとデバイス

CI インターコネクトでは,次のコントローラとデバイスをサポートしてます。

5.6 DSSI ストレージ

DSSI 方式の構成では,適度な記憶容量とともに,システム用のストレージに対する共用直接アクセスが可能です。DSSI インターコネクトでは,OpenVMS Cluster のストレージに対する共用アクセスを最も経済的に実現できます。

この項のストレージの表には,すべての製品が網羅されているわけではありません。

5.6.1 サポートされているデバイス

DSSI 構成では,次のデバイスをサポートしています。

関連項目: RZ,TZ,EZ SCSI ストレージ・デバイスについては, 第 5.7 節 を参照してください。

5.7 SCSI 方式のストレージ

SCSI (Small Computer Systems Interface) バスは,ANSI 業界標準のストレージ・インターコネクトです。SCSI バスには合計で 8 ノードまたは 16 ノード (内 3 ノードを CPU にすることが可能) を接続できます。

5.7.1 サポートされているデバイス

次のデバイスは,1 本のホスト SCSI バスまたは複数の SCSI バスに接続できます。

以下のデバイスは,1 本のホスト SCSI バスにだけ接続できます。

5.8 Fibre Channel 方式のストレージ

Fibre Channel インターコネクトは,ANSI 業界標準のストレージ・インターコネクトです。

5.8.1 ストレージ・デバイス

HSG ストレージ・コントローラは,1 つのホスト Fibre Channel インターコネクトまたは複数の Fibre Channel インターコネクトに接続できます。

5.9 ホスト方式のストレージ

ホスト方式のストレージ・デバイスは,ローカル・アダプタにより OpenVMS Cluster メンバ・システムにローカルに接続できます。ローカルに接続されたこのストレージは,ノードを MSCP サーバとして構成すれば,他の OpenVMS Cluster メンバにも開放できます。

ローカル・アダプタでは,各ディスクを 2 本のアクセス・パスに接続できます (デュアル・ポート)。デュアル・ポーティングにより,ノード間のディスクの自動フェールオーバが可能になります。

5.9.1 内部バス

ローカルに接続されたストレージ・デバイスは,システムの内部バスに接続します。

Alpha システムでは,次の内部バスを使用します。

VAX システムでは,次の内部バスを使用します。

5.9.2 ローカル・アダプタ

次に示すのは,ローカル・アダプタとそのバス・タイプです。


第 6 章
SCSI と Fibre Channel ストレージに対するマルチパスの構成

この章では,マルチパス SCSI サポートについて説明します。これは,OpenVMS Alpha のバージョン 7.2 以降で利用できます。この SCSI プロトコルは,パラレル SCSI インターコネクトと Fibre Channel インターコネクトの両方で使用します。なお,この章で SCSI とは,パラレル SCSI デバイスまたは Fibre Channel (FC) デバイスを意味します。

注意

SCSI デバイスへのローカル・パスと,同じデバイスへの MSCP サービス対象パスとの間のフェールオーバは,現在サポートされていません。 OpenVMS バージョン 7.3 の MPDEV_REMOTE システム・パラメータのデフォルト設定 (MPDEV_REMOTE = 0) によって,このタイプのフェイルオーバはオフになります。MSCP パスへのフェールオーバがサポートされない場合でも,マルチパス・デバイスは,OpenVMS Cluster システム内の他のシステムの MSCP サービス対象 とすることができます。

サードパーティのディスク・キャッシュ製品,ディスク・シャドウ製品,または類似の製品には,SCSI マルチパス機能を使用できないものがあります。ソフトウェアの製造元でマルチバス機能がサポートされるまで,マルチパスフェールオーバに合わせて構成された SCSI デバイス (HSZ70 コントローラと HSZ80 コントローラにマルチバス・モードで接続された SCSI デバイスなど) では,このようなソフトウェアを使用しないでください。

マルチパス SCSI 機能を使用する上での主な要件と制限事項については, 第 6.2 節 を参照してください。

この章では,Fibre Channel とパラレル SCSI インターコネクトを模式的に表現しています。いずれもノードとストレージ・サブシステムが接続されている水平線で表します。 図 7-1 に示すように,Fibre Channel インターコネクトは,物理的にはスイッチから常に放射状に配線されます。パラレル SCSI は,ハブに対して放射状に配線できます。また,デイジー・チェーン・バスにすることもできます。

ストレージ・サブシステムの複数の SCSI ディスクと SCSI バスの表現も,図では単純化しています。1 つ以上の HSZx コントローラまたは HSGx コントローラが論理ユニットとしてホストに提供する複数のディスクと SCSI バスは,図では 1 つの論理ユニットで表しています。

この章の構成は,以下のとおりです。

6.1 マルチパス SCSI サポートの概要

マルチパス SCSI 構成では,デバイスまでの 1 本のパスに対し,同じデバイスまでの別のパスによるフェールオーバを用意します。同じデバイスに複数のパスがあれば I/O 動作におけるそのデバイスの可用性を強化できます。また複数のパスにより全体的なパフォーマンスも向上します。 図 6-1 は,マルチパス SCSI 構成を示したものです。 1 台のコンピュータから同じ仮想ストレージ・デバイスに 2 本のパスが構成されています。

マルチパス SCSI 構成は,パラレル SCSI と Fibre Channel のどちらにおいても 図 6-1 に示すように,ストレージ・インターコネクトとして使用できます。

1 つのデバイスに複数のパスがあるとき,これをマルチパス・セット といいます。システムがデバイスにパスを構成するとき,名前は同じでパスが異なるデバイスがないか確認します。該当するデバイスがあり,マルチパス・サポートが有効な場合は,システムはマルチパス・セットを形成するか,既存セットに新しいパスを追加します。マルチパス・サポートが無効な場合には, 1 つのデバイスに複数のパスは構成されません。

システムはマルチパス・セットを 1 つのデバイスで表します。システムは,デバイスまでの 1 本のパスを"現在の" パスとして選択し,障害が発生するか,システム・マネージャからシステムに別のパスへの切り替えが要求されるまで,すべての I/O はこのパスで行われます。

マルチパス SCSI サポートには,以下のように 2 種類のフェールオーバがあります。

直接 SCSI から直接 SCSI フェールオーバには,マルチポート SCSI デバイスを使用します。直接 SCSI から MSCP サービス対象のフェールオーバには, SCSI バスごとに複数のホストが必要ですが,マルチポート SCSI デバイスは必要ありません。これら 2 種類のフェールオーバは組み合わせることができます。それぞれ単独で使用した場合と組み合わせた場合について以下の項で説明します。

6.1.1 直接 SCSI から直接 SCSI へのフェールオーバ

直接 SCSI から直接 SCSI へのフェールオーバは,マルチポート SCSI デバイスのシステムに使用できます。マルチポート SCSI デバイスの例としては,デュアル HSZ70, HSZ80,HSG80 があります。マルチポート SCSI デバイスは,同じ物理インターコネクト上の複数のポートで構成できるので,ポートのどれかに障害が発生しても,ホストは別のポートからデバイスにアクセスできます。これを 透過的フェールオーバ・モードといい,バージョン 6.2 以降の OpenVMS でサポートしています。

OpenVMS バージョン 7.2 では,新しいフェールオーバ・モードのサポートを導入しました。これは,異なる物理インターコネクト上でマルチポート・デバイスをそのポートとともに構成できる機能です。これを マルチバス・フェールオーバ・モードといいます。

HSx フェールオーバ・モードは, HSx コンソール・コマンドで選択します。透過モードとマルチバス・モードの詳細については, 第 6.3 節 を参照してください。

図 6-1 は,マルチバス・フェールオーバの一般的な構成を表しています。

注意

複数の直接 SCSI パスをデバイスに構成できるのは,接続されているノードのすべてにおいてマルチパス・サポートが有効になっており,HSZ/G がマルチバス・フェールオーバ・モードである場合だけです。

図 6-1 に示す 2 つの論理ディスク・デバイスは, HSx コントローラ・モジュールがシステムに提供する仮想ストレージ・ユニットを表しています。各論理ストレージ・ユニットを,2 つの HSx コントローラ・モジュールの両方で同時に"オンライン"にすることはできません。複数の論理ユニットがあるとき,異なる HSx コントローラに対してはオンラインにできるので,両方の HSx コントローラを同時にアクティブできます。

透過モードでは,他のコントローラの機能停止を HSx コントローラが検出すると論理ユニットはコントローラを切り替えます。

図 6-1 に示すように,マルチバス・モードでは,以下のイベントが発生すると論理ユニットによってコントローラが切り替えられます。

図 6-1 マルチバス・フェールオーバの構成


図 6-1 の以下の点に着目してください。

マルチバス構成は,透過的フェールオーバに対して以下の利点があります。


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