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本章では,次の事項について説明します。
本章では次の作業について説明します。
作業 | 参照箇所 |
---|---|
ディスク・ドライブとテープ・ドライブの割り当てと割り当て解除 | 第 9.2 節 |
ボリュームの初期化 | 第 9.3 節 |
ボリュームの保護 | 第 9.4 節 |
ボリュームのマウント | 第 9.5 節 |
ディスク・ボリューム・セットのセットアップ | 第 9.6 節 |
ISO 9660 ボリューム・セットとグループのマウント | 第 9.7 節 |
テープ・ボリューム・セットのマウント | 第 9.8 節 |
ボリュームとボリューム・セットのディスマウント | 第 9.9 節 |
媒体セットアップ用コマンド・プロシージャの使い方 | 第 9.10 節 |
ディスク空間の管理 | 第 9.11 節 |
ANALYZE/DISK_STRUCTURE ユーティリティによるディスクの検査と修復 | 第 9.12 節 |
マウント・チェックによるエラー回復 | 第 9.13 節 |
IPC (割り込み優先順位レベル C) の使用 | 第 9.14 節 |
BAD ユーティリティによる媒体エラーの検出 | 第 9.15 節 |
さらに,次の項目について説明します。
項目 | 参照箇所 |
---|---|
ディスクと CD-ROM のファイル構造など | 第 9.1.1 項 |
OpenVMS Alpha システム上での Extended File Specifications | 第 9.1.2 項 |
テープ | 第 9.1.3 項 |
公用ディスク・ボリュームと私用ディスク・ボリューム | 第 9.1.4 項 |
テープ・ボリュームとディスク・ボリュームの保護 | 第 9.4 節 |
ディスク・ボリューム・セット | 第 9.6.1 項 |
ディスク・クォータ | 第 9.11.1 項 |
マウント・チェック | 第 9.13.1 項 |
記憶媒体に関する次の用語を理解してください。
用語 | 定義 |
---|---|
装置または ドライブ | 記憶媒体へのアクセスを可能にするハードウェア。 |
媒体 | データの記憶が可能なアイテム。 |
ボリューム | 論理的なデータ格納ユニット。媒体 1 つのこともあれば,複数のこともある。オペレーティング・システムが,ディスクまたはテープをボリュームとして認識するためには,それらの媒体を装置にマウントする必要がある。 |
以降ではこれらの用語を使ってメディアの概念を説明します。
9.1.1 ディスクと CD-ROM の概念
この節ではディスクとCD-ROM関係の用語の意味をまず説明し,続いて,ディスク・ファイル構造と ISO 9660 規格について説明します。
9.1.1.1 ディスク関連用語
ディスク はファイルが格納されている物理メディアです。 オン・ディスク構造 (ODS) は,ディスクに格納された情報に与えられた論理構造を参照します。これはファイル,そのデータ,それらにアクセスするために必要なディレクトリの階層構造的な組織です。 OpenVMS ファイル・システムは ODS を実装しており,ディスクに配置されたファイルへのアクセス制御を提供しています。
コンピュータとともに使用される コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ (CD- ROM) とその読み出し装置は,オーディオで使われる CD- ROM と非常によく似ています。大きな違いは CD- ROM 装置が (オーディオではなく)デジタル・インタフェースをもっていること,またエラー訂正とデータ・ブロックをエンコードするためのフォーマッティングのための追加層を持っていることです。
テープ装置やほかの取外し可能メディアよりも大容量のデータを格納できる CD-ROM の利点:
表 9-1 は,ディスクと CD-ROM についての用語を定義しています。
用語 | 定義 |
---|---|
セクタ | 固有にアドレス可能な単位。 CD-ROM の各セクタは 2048 の 8-ビットバイトからなる。ほとんどのディスクでは,1 セクタはブロック(512 バイト)と同等。 |
論理ブロック | ボリューム領域の組織的な単位。 512 の 8-ビットバイトからなる。 CD-ROM のセクタは 4 ブロックからなる。 |
論理ブロック番号 | 論理ブロック番号は 0 から始まり n-1まで。 |
クラスタ 1 | ディスク空間が割り当てられる基本単位となる,ブロックの論理的なグループ。 |
エクステント | 特定の 1 つのファイルに割り当てられた連続ブロック。 |
ファイル | 1 から始まり n-1 までの番号に一群の属性値を加えた番号を持つ連続する仮想ブロック 2 の配列。ファイルはデータ・ファイルかディレクトリ・ファイルのいずれかであり,ディレクトリはデータ・ファイルとディレクトリ・ファイルの両方を含むことができる。 |
ボリューム | 新しいファイル構造を作成することによって使用可能になったディスク。 |
ボリューム・セット | 複数ボリュームの一団。外見上は,大きな 1 つのボリュームになる。 |
ディスクまたは CD-ROM 上の情報は,ディスクまたは CD-ROM 上の論理ブロック,またはディスク上の仮想ブロックとしてアクセスすることができます。
9.1.1.2 ディスクおよび CD-ROM ファイル構造
ディスク構造 (ODS) はディスクまたは CD-ROM 上の情報に与えられた論理構造を参照します。この構造は,ファイル,そのデータ,ディレクトリの階層的組織であり,これらにアクセスをするために必要なものです。 OpenVMS ファイル・システムはディスク構造を実装し,ディスク上に配置されたファイルへのアクセスを制御します。
図 9-1 は,ディスク構造内のブロック,クラスタ,エクステント,ファイルの階層構造を示しています。任意の1エクステントのブロックの数はクラスタ・サイズの倍数です。図中では,クラスタ・サイズを2と仮定しています。
図 9-1 ファイルのディスク構造階層構造
オン・ディスク構造にはレベル 1,2,5 があります (レベル 3,4 は,ISO 9660 とハイシエラ CD 形式の内部で使用する名称)。 ODS-1, ODS-2 構造は OpenVMS システムで従来から使用されてきました。 Alpha システム上での OpenVMS バージョン 7.2 では,ディスクのフォーマットに ODS-5 も使用できます。
OpenVMS Alpha オペレーティング・システムでは, ODS-1 を除き, 表 9-2 であげられているディスクと CD- ROM のすべての構造を認識することができます。 VAX システムでは, ODS-5 が有効化されたボリュームをマウントすることはできますが, ODS-5 固有の機能を使用することはできません。
システムが使用する入出力処理と互換性を持つボリュームとファイル構造を組み込むために,1 つまたは複数の形式が使用できます。
構造 | ディスクまたは CD-ROM | 説明 |
---|---|---|
ODS-1 | 両方 | VAX のみ。RSX との互換性のために使用される。 RSX--11M, RSX--11D, RSX--11M--PLUS, IAS オペレーティング・システム |
ODS-2 | 両方 | VAX と Alpha 間で完全な互換性を持ってデータを共有するために使用する。これは OpenVMS オペレーティング・システムの省略時の設定である。 |
ODS-5 | 両方 | ODS-2のスーパー・セット。 Windows NT のように拡張文字セット,または ODS-2 よりも深いディレクトリが必要なオペレーティング・システムと Alpha システムを使用する場合に使用する。 |
ISO 9660 CD | CD | ISO 形式ファイル。他のシステムでサポートされるプラットホームに拠らない出版と配布に使用する。 |
ハイシエラ | CD | ISO 9660 の1種。 |
2重形式 | CD | ISO 9660 CD と ODS 形式の2つを1つのボリュームで持つ。ファイルにアクセスするには,同じデータを指す,2つのディレクトリのどちらも使用できます。 |
フォーリン | 両方 | Unknownファイル構造。フォーリン構造を指定すると,システムに対して既知のボリュームの目次を作成する。しかし,システムはそのファイル構造については前提となる情報を持たない。アプリケーション側は構造についての情報を提供する責任がある。 |
ファイルを作成する場合, OpenVMS のレコード管理サービス(RMS) に対してファイル名を指定し,この名前はディスク・ボリューム上のファイルに割り当てられます。 RMS は,その新規に作成されたファイルのファイル名とファイルIDをディレクトリに配置します。そのディレクトリには,それぞれのファイルのロケーション を定義するエントリが含まれます。
ファイルにアクセスする場合,ファイル名を指定しますが,このファイル名がディレクトリ・エントリを通じてファイル識別子へのパスを与えます。次にファイル識別子は,ファイル・ヘッダの位置を示します。ファイル・ヘッダには実際のデータの位置を示すエクステント(単数あるいは複数)のリストがあります。
予約ファイルは,ディスク構造(ODS) レベル2,5 ボリュームも構造を制御します(これらのファイルのうちの5つがレベル1 ボリュームに使われます)。 表 9-3 は,すべての予約ファイルを掲げており,どの ODS レベルが関係しているかおを示しています。
表 9_3 のファイルは,マスタ・ファイル・ディレクトリ (MFD),[000000]にあるものです。 付録 A にあるそれぞれの予約ファイルについての説明を参照してください。
予約ファイル | ファイル名 | +構造 レベル 1 |
構造 レベル 2 と 5 |
---|---|---|---|
インデックス・ファイル | INDEXF.SYS;1 | X | X |
ストレージ・ビットマップ・ファイル | BITMAP.SYS;1 | X | X |
バッド・ブロック・ファイル | BADBLK.SYS;1 | X | X |
マスタ・ファイル・ディレクトリ | 000000.DIR;1 | X | X |
コア・イメージ・ファイル | CORIMG.SYS;1 | X | X |
ボリューム・セット・リスト・ファイル | VOLSET.SYS;1 | X | |
継続ファイル | CONTIN.SYS;1 | X | |
バックアップ・ファイル | BACKUP.SYS;1 | X | |
ペンディング・バッド・ブロック | BADLOG.SYS;1 | X | |
ボリューム機密保護プロファイル | SECURITY.SYS;1 | X |
OpenVMS のこれまでのバージョンでは,ストレージ・ビットマップと索引ファイル・ビットマップの大きさが,255 ブロックまでに制限されていました。このサイズは,約 100 万割り当てユニットまたはクラスタにボリュームを制限していました。大規模なディスクでは,この制限に適応するためにより大きなクラスタ・ファクタを持つ必要がありました。例えば,9 GB のディスクはクラスタ・ファクタを 18 にする必要がありました。
OpenVMS バージョン 7.2 からは,ストレージ・ビットマップと索引ファイル・ビットマップのこの制限が,次のように拡大されました。
ビットマップのタイプ | 制限 |
---|---|
ストレージ・ビットマップ | 65535 ブロック |
索引ファイル・ビットマップ | 4095 ブロック |
ビットマップ制限が拡大したおかげで,次の利点が得られます。
INITIALIZE コマンドと BACKUP コマンドの動作は,この大きくなったビットマップ・サイズを反映しています。 INITIALIZE コマンドの詳細については『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』を, BACKUP ユーティリティの詳細については『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
次に示すメッセージは,バージョン 7.2 以降のシステムで初期化したディスクにバージョン 7.2 よりも前のシステムからアクセスしようとしたときに表示されるものです。
%MOUNT-F-FILESTRUCT, unsupported file structure level |
BITMAP フィールドのサイズが増やされたことは,以前のバージョンの OpenVMS と互換性がありません。
アクセスするディスクの BITMAP.SYS のサイズを確認してください。そのサイズが 256 以上であり,そのディスクに 7.2 よりも前のバージョンのシステムからアクセスする場合には, BITMAP.SYS のサイズが 256 よりも小さなディスクにそのデータをコピーする必要があります。 DCL コマンドの BACKUP/IMAGE を使用する場合には,必ず /NOINITIALIZE 修飾子を使ってください。
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