日本-日本語
日本HPホーム 製品 & サービス OpenVMS製品情報
≫  お問い合わせ


OpenVMS マニュアル


 

OpenVMSドキュメント
ライブラリ

タイトルページ
目次
まえがき
第1章:システム構成の概要
第2章:ビジネス要件とアプリケーション要件の決定
第3章:システムの選択
第4章:インターコネクトの選択
第5章:ストレージ・サブシステムの選択
第6章:SCSI と Fibre Channel ストレージに対するマルチパスの構成
第7章:ストレージ・インターコネクトとしての Fibre Channel の構成
第8章:可用性を目的とした OpenVMS Cluster の構成
第9章:スケーラビリティを目的とした OpenVMS Cluster の構成
第10章:システム管理の手法
付録A :インターコネクトとしての SCSI
付録B :MEMORY CHANNEL 技術概要
付録C :マルチサイト OpenVMS Cluster
索引
PDF
OpenVMS ホーム

HP OpenVMS
OpenVMS Cluster 構成ガイド


目次 索引



デフォルトで,すべてのパスがパス切り替えの候補になります。パスは,SET DEVICE コマンドに /[NO]ENABLE 修飾子を指定して,切り替え候補として無効化または再有効化できます。以下のような場合にこの操作をします。

  • 特定のパスに障害があることがわかっている場合や,そのパスにフェールオーバを実行するとクラスタのメンバ内にアクセスを失うメンバが発生する場合。

  • 選択したパスがサービス利用中であるとき,そのパスに対する自動切り替えを避けたい場合。

現在のパスは無効にできませんので注意してください。

パスを有効,無効にするためのコマンド構文は以下のとおりです。

SET DEVICE device-name/[NO]ENABLE/PATH=path-identifier

以下のコマンドでは,デバイス $2$DKA502 の MSCP サービス対象のパスが有効になる。

$ SET DEVICE $2$DKA502/ENABLE/PATH=MSCP 

以下のコマンドでは,デバイス $2$DKA502 のローカル・パスが無効になる。

$ SET DEVICE $2$DKA502/NOENABLE/PATH=PKC0.5 

パスを無効にするときは注意が必要です。 図 6-21 にあるような無効な構成を作成しないようにしてください。

6.7.12 パフォーマンスについての考慮

MSCP パスが現在のパスでない場合,ディスク・マルチパス・セット内に MSCP サービス対象パスが存在していても,安定した状態の I/O パフォーマンスには大きな影響はありません。

マルチパス・セット内に MSCP サービス対象パスが存在する場合は,特定の異常障害でのマウント検証中に,作業パスの検出に時間がかかる場合があります。直接パスが最初に試行されるため, MSCP パスが存在しても回復時間には影響ありません。

ただし,直接パスから MSCP サービス対象パスへ動的に切り替える機能を使用すると,マルチパス・ディスク・ストレージへの直接パスを使用する特定の MSCP サーバ・システムに対する I/O サービス負荷が大幅に増える可能性があります。サービス対象の I/O は, MSCP サーバのその他のほとんどすべての処理より優先されるため, MSCP サービス対象パスへのフェールオーバは,サーバのキャパシティとサービス対象の I/O 要求の増加率により,その MSCP サーバ上の他のアプリケーションの応答に影響を与える可能性があります。

たとえば,アプリケーションの作業負荷を処理できるだけの十分な CPU および I/O 処理能力がある OpenVMS Cluster 構成において,すべての共用 SCSI ストレージに直接 SCSI パスでアクセスするとします。このような構成の場合は,障害が発生しても,制限された数のデバイスが MSCP サービス対象パスへ強制的に切り替えられるので,機能することができます。しかし,さらに多くの障害が発生すると, MSCP サービス対象パスに対する負荷がクラスタのキャパシティに近づくため,アプリケーションのパフォーマンスが許容できないレベルに低下します。

システム管理者は, MSCP_BUFFER および MSCP_CREDITS システム・パラメータを使用して, MSCP サービスにリソースを割り当てることができます。 MSCP サーバに,すべての受信 I/O 要求を処理するだけのリソースがない場合,この MSCP サーバの MSCP パスに存在するデバイスにアクセスしているシステムのパフォーマンスが低下します。

MONITOR MSCP コマンドを使用すると, MSCP サーバでリソースが不足していないかどうか確認できます。 Buffer Wait Rate が 0 以外の場合は,その MSCP サーバが,リソースの待機中に一部の I/O を停止する必要があったことを示しています。

これらのパラメータには,適切な推奨値はありません。ただし,OpenVMS Alpha バージョン 7.2-1 から, MSCP_BUFFER のデフォルト値が 128 から 1024 に増やされました。

オンライン・ヘルプの SYSGEN ユーティリティに関するトピックで説明しているように, MSCP_BUFFER には,MSCP サーバのローカル・バッファ領域に割り当てるページレットの数を指定します。また,MSCP_CREDITS には, 1 つのクライアント・システムからアクティブにできる未処理の I/O 要求の数を指定します。たとえば,多くのディスクがいくつかの OpenVMS システムにサービスしているシステムの場合は,MSCP_BUFFER の値を 4000 以上に設定し, MSCP_CREDITS の値を 128 以上に設定します。

システム・パラメータの変更については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

MSCP サービス対象パスへのフェールオーバに依存している構成を, MSCP サービス対象パスに対する負荷レベルを最悪な状態にして,テストすることをお勧めします。複数サイト SAN を使用する複数サイトのディザスタ・トレラント・クラスタを構成している場合は, SAN をパーティション化し,MSCP サービス対象パスを強制的に使用する原因となる障害について検討してください。対称的なデュアル・サイト構成では,MSCP サービス対象パスからアクセスする SAN ストレージの 50 % をキャパシティとして指定することをお勧めします。

構成のキャパシティをテストするには,パスの手動切り替えを使用して, MSCP サービス対象パスを強制的に使用します。

6.7.13 コンソールについての考慮

ここでは,パラレル SCSI マルチパス・ディスク・デバイスとコンソールを併用する方法を説明します。 FC マルチパス・デバイスとコンソールを併用する方法については, 第 7.6 節 を参照してください。

コンソールでは,一般的な,パス依存の SCSI デバイス名を使用します。たとえば,ディスクのデバイス名形式では,DK の後に,ホスト・アダプタを表す文字,SCSI ターゲット ID,LUN を続けます。

つまり,マルチパス・デバイスでは,アクセス時に使用するすべてのホスト・アダプタ名からなる複数の名前が使用されます。以下のコンソール出力例では,デバイス・コマンド,つまりコンソール・デバイス名が左列に表示されています。中央と右の列は,デバイス・タイプ固有のその他情報です。

ここで,たとえばデバイス dkb100とデバイス dkc100が同じデバイスまでの 2 本のパスとします。 dkb100は,アダプタ PKB0 を通るパスの名前であり, dkc100はアダプタ PKC0 を通るパスの名前です。これは中央の列を見ればわかります。ここでは,情報名に HSZ 割り当てクラスが指定されています。 HSZ 割り当てクラスにより,同じ HSZ デバイスまでの"デバイス"がどれかわかります。

  注意
コンソールでは,コンソール INIT コマンドを発行するまで HSZ 割り当てクラスの値の変更を認識できません。

>>>SHOW DEVICE 
dkb0.0.0.12.0              $55$DKB0                       HSZ70CCL  XB26 
dkb100.1.0.12.0            $55$DKB100                        HSZ70  XB26 
dkb104.1.0.12.0            $55$DKB104                        HSZ70  XB26 
dkb1300.13.0.12.0          $55$DKB1300                       HSZ70  XB26 
dkb1307.13.0.12.0          $55$DKB1307                       HSZ70  XB26 
dkb1400.14.0.12.0          $55$DKB1400                       HSZ70  XB26 
dkb1500.15.0.12.0          $55$DKB1500                       HSZ70  XB26 
dkb200.2.0.12.0            $55$DKB200                        HSZ70  XB26 
dkb205.2.0.12.0            $55$DKB205                        HSZ70  XB26 
dkb300.3.0.12.0            $55$DKB300                        HSZ70  XB26 
dkb400.4.0.12.0            $55$DKB400                        HSZ70  XB26 
dkc0.0.0.13.0              $55$DKC0                       HSZ70CCL  XB26 
dkc100.1.0.13.0            $55$DKC100                        HSZ70  XB26 
dkc104.1.0.13.0            $55$DKC104                        HSZ70  XB26 
dkc1300.13.0.13.0          $55$DKC1300                       HSZ70  XB26 
dkc1307.13.0.13.0          $55$DKC1307                       HSZ70  XB26 
dkc1400.14.0.13.0          $55$DKC1400                       HSZ70  XB26 
dkc1500.15.0.13.0          $55$DKC1500                       HSZ70  XB26 
dkc200.2.0.13.0            $55$DKC200                        HSZ70  XB26 
dkc205.2.0.13.0            $55$DKC205                        HSZ70  XB26 
dkc300.3.0.13.0            $55$DKC300                        HSZ70  XB26 
dkc400.4.0.13.0            $55$DKC400                        HSZ70  XB26 
dva0.0.0.1000.0            DVA0 
ewa0.0.0.11.0              EWA0              08-00-2B-E4-CF-0B 
pka0.7.0.6.0               PKA0                  SCSI Bus ID 7 
pkb0.7.0.12.0              PKB0                  SCSI Bus ID 7  5.54 
pkc0.7.0.13.0              PKC0                  SCSI Bus ID 7  5.54 

コンソールでは,現在のパスで I/O に障害が発生すると,デバイスまでの代替パスに自動的に切り替えます。多くのコンソール・コマンドでは,コンソールがアクセスするデバイスのリストを優先順に指定できます。デバイスの複数のパスに対応するマルチパス構成では,デバイスの複数のパスに対応するコンソール・デバイス名のリストを指定できます。たとえば,以下のようなブート・コマンドでは,最初に DKB100 パスでマルチパス・デバイスがブートされ,それが失敗すると,DKC100 パスでブートされます。

BOOT DKB100, DKC100 


目次 索引

© 2012 Hewlett-Packard Development Company, L.P.