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OpenVMS マニュアル


 

OpenVMS ドキュメント
ライブラリ

タイトルページ
目次
まえがき
第1章:OpenVMS Cluster システムの管理の概要
第2章:OpenVMS Cluster の概念
第3章:OpenVMS Cluster インターコネクト構成
第4章:OpenVMS Cluster オペレーティング環境
第5章:共用環境の準備
第6章:クラスタ・ストレージ・デバイス
第7章:クラスタ・キューの設定と管理
第8章:OpenVMS Cluster システムの構成
第9章:大規模な OpenVMS Cluster システムの構築
第10章:OpenVMS Cluster システムの保守
付録A :クラスタ・システム・パラメータ
付録B :共通ファイルの作成
付録C :クラスタのトラブルシューティング
付録D :LAN 制御のためのサンプル・プログラム
付録E :LAN 制御のためのサブルーチン
付録F :NISCA プロトコルのトラブルシューティング
付録G :NISCA トランスポート・プロトコル輻輳制御
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OpenVMS Cluster システム


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OpenVMS Version 8.2 で DCL コマンド SHOW LOGICAL に /CLUSTER 修飾子が追加されています。 SHOW LOGICAL/CLUSTER コマンドを実行した場合,次の例のようにすべてのクラスタワイド論理名が表示されます。

$ SHOW LOGICAL/CLUSTER 
 
(LNM$CLUSTER_TABLE) 
 
(LNM$SYSCLUSTER_TABLE) 
 
  "MSCPMOUNT$_AMALFI_LAST" = "2005-10-10 14:25:03.74" 
  "MSCPMOUNT$_AMALFI_LOGINTIM" = " 8-OCT-2005 01:02:22.17" 
  "MSCPMOUNT$_AMALFI_NEXT" = "2005-10-10 14:40:03.74" 
  "MSCPMOUNT$_AMALFI_PID" = "26200462" 
  . 
  . 
  . 
  "MSCPMOUNT$_ETNA_LAST" = "2005-10-10 14:25:18.78" 
  "MSCPMOUNT$_ETNA_LOGINTIM" = " 8-OCT-2005 07:44:37.89" 
  "MSCPMOUNT$_ETNA_NEXT" = "2005-10-10 14:40:18.79" 
  "MSCPMOUNT$_ETNA_PID" = "26A0044E" 
  . 
  . 
  . 
  "MSCPMOUNT$_MILAN_LAST" = "2005-10-10 14:25:19.64" 
  "MSCPMOUNT$_MILAN_LOGINTIM" = " 8-OCT-2005 07:22:08.05" 
  "MSCPMOUNT$_MILAN_NEXT" = "2005-10-10 14:40:19.64" 
  "MSCPMOUNT$_MILAN_PID" = "26600458" 
  . 
  . 
  . 
  "MSCPMOUNT$_ORVIET_LAST" = "2005-10-10 14:29:25.94" 
  "MSCPMOUNT$_ORVIET_LOGINTIM" = "30-SEP-2005 09:38:27.38" 
  "MSCPMOUNT$_ORVIET_NEXT" = "2005-10-10 14:44:26.61" 
  "MSCPMOUNT$_ORVIET_PID" = "25600139" 
  . 
  . 
  . 
  "MSCPMOUNT$_TURIN_LAST" = "2005-10-10 14:39:59.59" 
  "MSCPMOUNT$_TURIN_LOGINTIM" = "10-OCT-2005 09:22:48.46" 
  "MSCPMOUNT$_TURIN_NEXT" = "2005-10-10 14:54:59.59"            
  "MSCPMOUNT$_TURIN_PID" = "2760012C" 
  "PREPOPULATE_NEXT_STREAM$IGNORE_BUILD_MASTER_944" = "1" 
                                                                    
(CLU$ICC_ORBS_AMALFI) 
 
  "ICC$ORB_ICC$PID_26200450_U" = "T" 
      = "M\.v....k...............æ...æ...þ...þ.....AMALFI::ICC$PID_26200450_U....." 
  "ICC$ORB_REG$SERVER_E" = "T" 
      = "p.O<....e...............æ...æ...þ...þ.....AMALFI::REG$SERVER_E044........" 
  "ICC$ORB_REG$SERVER_K" = "T" 
      = "p.O<....e...............æ...æ...þ...þ.....AMALFI::REG$SERVER_K044........" 
  "ICC$ORB_REG$SERVER_U" = "T" 
      = "p.O<....e...............æ...æ...þ...þ.....AMALFI::REG$SERVER_U044........" 
 
(CLU$ICC_ORBS_ETNA) 
 
(CLU$ICC_ORBS_MILAN) 
 
(CLU$ICC_ORBS_ORVIET) 
 
  "ICC$ORB_ICC$PID_26000450_U" = "T" 
      = "VQ.p....k...............æ...æ...þ...þ.....ETNA::ICC$PID_26000450_U......." 
 
(CLU$ICC_ORBS_TURIN) 
 
. 
. 
. 
(ICC$REGISTRY_TABLE) 



5.5 スタートアップ・コマンド・プロシージャの調整

コンピュータがブートされた直後に,サイトに依存しないコマンド・プロシージャ SYS$SYSTEM:STARTUP.COM が実行されてシステムが起動され,一連のスタートアップ・イベントが制御されます。STARTUP.COM プロシージャは,クラスタ固有およびノード固有のタスクを実行するその他の多くのスタートアップ・コマンド・プロシージャを呼び出します。

ここでは,適切なクラスタ固有スタートアップ・コマンド・プロシージャや他のシステム・ファイルを設定することによって,他のコンピュータをクラスタに追加する前に,最初にインストールしたコンピュータで OpenVMS Cluster オペレーティング環境を準備する方法について説明します。

関連項目: スタートアップ・コマンド・プロシージャの詳細については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』も参照してください。

5.5.1 OpenVMS スタートアップ・プロシージャ

OpenVMS オペレーティング・システムには,複数のスタートアップ・コマンド・プロシージャが添付されています。 SYS$SYSTEM:STARTUP.COM コマンド・プロシージャは, OpenVMS がブートされた直後に実行され,以下の表に説明するサイト固有のスタートアップ・コマンド・プロシージャを起動します。

プロシージャ名 起動元 機能
SYS$MANAGER:
SYPAGSWPFILES.COM
SYS$SYSTEM:
STARTUP.COM
ページ・ファイルとスワップ・ファイル (自動的にインストールされるプライマリ・ページ・ファイルとプライマリ・スワップ・ファイル以外のファイル) をインストールするためにコマンドを追加するファイル。
SYS$MANAGER:
SYCONFIG.COM
SYS$SYSTEM:
STARTUP.COM
特殊デバイスを接続し,デバイス I/O ドライバをロードする。
SYS$MANAGER:
SYSECURITY.COM
SYS$SYSTEM:
STARTUP.COM
セキュリティ監査サーバを起動する前に,セキュリティ監査ファイルとセキュリティ・アーカイブ・ファイルの場所を定義する。
SYS$MANAGER:
SYLOGICALS.COM
SYS$SYSTEM:
STARTUP.COM
システムワイド論理名を作成し,システム・コンポーネントをエグゼクティブ・モードの論理名として定義する (クラスタワイド論理名は SYSTARTUP_VMS.COM に定義しなければならない)。クラスタ共通ディスクはこのプロシージャの最後でマウントできる。
SYS$MANAGER:
SYSTARTUP_VMS.COM
SYS$SYSTEM:
STARTUP.COM
以下の多くのスタートアップ機能とログイン機能を実行する。

  • システム・ディスクを除き,他のすべてのボリュームをマウントする。

  • デバイスの属性を設定する。

  • クラスタワイド論理名を定義する。

  • バッチ・キューとプリント・キューを初期化し,起動する。

  • イメージをインストールする。

  • レイヤード製品を起動する。

  • DECnet ソフトウェアを起動する。

  • 最新のシステム障害を分析する。

  • 古いオペレータ・ログ・ファイルを消去する。

  • LAT ネットワークを起動する (使用する場合)。

  • 会話型ユーザの最大数を定義する。

  • システムが起動され,稼動していることを通知する。

  • ユーザがログインすることを許可する。

ディレクトリ SYS$COMMON:[SYSMGR] には,編集可能な各コマンド・プロシージャのテンプレート・ファイルが格納されています。システムのスタートアップおよびログイン属性のカスタマイズの例として,コマンド・プロシージャ・テンプレート (SYS$COMMON:[SYSMGR]*.TEMPLATE) を利用すると便利です。

5.5.2 スタートアップ・プロシージャの作成

OpenVMS Cluster 共用環境を準備する場合,最初に SYSTARTUP_VMS コマンド・プロシージャを作成します。各コンピュータは,スタートアップ時にこのプロシージャを実行して,オペレーティング環境を定義します。

SYSTARTUP_VMS.COM プロシージャは以下の方法で準備します。

手順 操作
1 各コンピュータの SYS$SPECIFIC:[SYSMGR] ディレクトリで, SYSTARTUP_VMS.TEMPLATE ファイルを編集して,以下のように SYSTARTUP_VMS.COM プロシージャを設定する。

  • 以下のようなコンピュータ固有のスタートアップ機能を実行する。

    • デュアル・ポート・ディスクとローカル・ディスクの設定

    • デバイス・ドライバのロード

    • ローカル・ターミナルとターミナル・サーバ・アクセスの設定

  • 共通スタートアップ・プロシージャの起動 (この後の説明を参照)

2 すべてのコンピュータに共通のスタートアップ・コマンドを格納した共通コマンド・プロシージャを作成する。共通プロシージャには以下のコマンドを格納できる。

  • イメージのインストール

  • 論理名の定義

  • キューの設定

  • 物理的にアクセス可能なマス・ストレージ・デバイスの設定とマウント

  • 他の共通のスタートアップ機能の実行

注意: これらのコマンドは,共通プロシージャから起動される個々のコマンド・プロシージャに格納することもできる。たとえば, SYS$EXAMPLES ディレクトリの MSCPMOUNT.COM ファイルは,クラスタ・ディスクをマウントするために通常使用されるコマンドを格納した共通コマンド・プロシージャの例である。この例には,プロシージャの各フェーズを説明するコメントが含まれている。

3 共通プロシージャを共通システム・ディスクまたは他のクラスタ・アクセス可能ディスクの SYS$COMMON:[SYSMGR] ディレクトリに格納する。

重要: 共通プロシージャは通常,共通システム・ディスクの SYS$COMMON:[SYSMGR] ディレクトリに格納されるが,クラスタ全体でアクセス可能で,プロシージャの起動時にマウントされているディスクであれば,どのディスクにでも格納できる。各コンピュータに対して共通プロシージャのコピーを作成する場合,変更時に必ず各コピーを更新することを忘れないようにしなければならない。



5.5.3 既存のプロシージャの組み合わせ

既存のコンピュータの組み合わせで構築される OpenVMS Cluster システムのスタートアップ・プロシージャを作成するには,コンピュータ固有の SYSTARTUP_VMS プロシージャと共通スタートアップ・コマンド・プロシージャの両方を各コンピュータで比較し,必要な調整を行わなければなりません。たとえば,各コンピュータのプロシージャを比較し,同じ論理名を定義するコマンドを共通の SYSTARTUP_VMS コマンド・プロシージャに指定することができます。

共通のプロシージャに指定するコマンドを選択した後, OpenVMS Cluster コンピュータのいずれかで共通プロシージャを作成することができます。

5.5.4 複数のスタートアップ・プロシージャの使用

多重環境クラスタを定義するには,1 つ以上のシステム・ファイルのコンピュータ固有のバージョンを設定します。たとえば, URANUS で通常より大きなワーキング・セット・クォータを割り当てる場合は,SYSUAF.DAT のコンピュータ固有のバージョンを作成し,そのファイルをシステムのルート・ディレクトリに格納します。そのディレクトリは共通システム・ディスクの URANUS のルート,または URANUS で設定した個々のシステム・ディスクに格納できます。

多重環境 OpenVMS Cluster の SYSTARTUP コマンド・ファイルおよび SYLOGIN コマンド・ファイルを作成するには,以下の操作を実行します。

手順 操作
1 コンピュータ固有の論理名やシンボルを定義するコマンドなど,コンピュータ固有の設定にしておく要素を SYSTARTUP_VMS.COM に指定する。
2 これらのファイルを各コンピュータの SYS$SPECIFIC ルートに格納する。

例: JUPITR,SATURN,PLUTO というコンピュータで構成される 3 メンバ・クラスタについて考えてみましょう。JUPITR と SATURN のタイムシェアリング環境は同じです。しかし, PLUTO では特定のユーザ・グループ用のアプリケーションが実行されます。このクラスタでは,JUPITR と SATURN に対しては,これらのコンピュータで同一の環境を定義する共通の SYSTARTUP_VMS コマンド・プロシージャを作成できます。しかし,PLUTO のコマンド・プロシージャは異なります。このコマンド・プロシージャには,PLUTO の特別なアプリケーション環境を定義するためのコマンドを指定しなければなりません。

5.6 OpenVMS Cluster システムのセキュリティの提供

OpenVMS セキュリティ・サブシステムは,すべての登録情報とプロジェクト・セキュリティ・プロファイルがクラスタ内のすべてのノードで一貫性のあるものであることを保証します。 OpenVMS オペレーティング・システムでは,個別のクラスタ・メンバで異なるセキュリティ・ドメインをサポートするのに必要な分離レベルを適用できないため,複数のセキュリティ・ドメインはサポートされません。

5.6.1 セキュリティ・チェック

OpenVMS Cluster システムでは,セキュリティ・チェックの結果,クラスタ内のどのノードからも同じ応答が返されるように保証するアクセス制御を調整するために,個々のノードで共通の登録情報が使用されます。OpenVMS オペレーティング・システムは以下の方法で基本的な保護レベルを提供します。

  • 登録されているユーザは,OpenVMS Cluster のどのメンバでもプロセスを実行できます。

  • プロセスは登録ユーザの代わりに,クラスタ・オブジェクトへのアクセスを要求します。

  • 調整ノードは,共通登録データベースのコピーと,アクセスされるオブジェクトのセキュリティ・プロファイルを比較することで,結果を判断します。

OpenVMS オペレーティング・システムは,ファイルの保護とキューの保護に関して同じ方式を提供し,デバイス,ボリューム,ロック・リソース・ドメインなど,クラスタで確認できる他のすべてのオブジェクトを統合します。

OpenVMS バージョン 7.3 からは,あらゆるタイプの不正侵入に対する保護をクラスタ全体に拡張し,クラスタ単位侵入検出機能を提供します。各個別システムの侵入データおよび情報は,クラスタ全体を保護するために統合されます。バージョン 7.3 以前では,システムは個別に保護されていました。

SECURITY_POLICY システム・パラメータは,各システムでローカル侵入データベースまたはクラスタ単位侵入データベースのいずれかを管理するように制御します。デフォルト設定はクラスタワイド・データベースであり,この設定を使用しているすべてのクラスタ・メンバに対する未許可の侵入の試みと,侵入イベントの状態がすべて記録されます。クラスタ単位侵入データベースを使用しているクラスタ・メンバは,クラスタ・メンバが攻撃を受けている場合,または侵入イベントが記録されたかどうかを知ることができます。 1 つのシステムに記録されたイベントにより,そのクラスタにある別のシステムではアクションが制限されます (たとえば,ログインを試みたユーザはよりきびしく監視され,制限時間内のログイン試行回数が制限されます。制限時間または制限回数を超えた場合は,そのユーザはログインすることができません)。

OpenVMS Cluster システムを設定するときのクラスタ・マネージャの動作は,システムのセキュリティ操作に影響を与える可能性があります。この後の説明を参照すれば,OpenVMS Cluster のセキュリティ管理を容易に行うことができます。

シングル・セキュリティ・ドメインを確保するための最も簡単な方法は,OpenVMS Cluster システムのどこからでもアクセス可能な 1 つ以上のディスクに,以下の各ファイルのコピーを 1 つずつ格納しておく方法です。複数のシステム・ディスクを使用するようにクラスタが構成されている場合は,システム論理名 ( 第 5.8 節 を参照) を使用することで,各ファイルのコピーが 1 つしか存在しないことを確認できます。

OpenVMS セキュリティ・ドメインは,以下のファイルに格納されているデータによって制御されます。

SYS$MANAGER:VMS$AUDIT_SERVER.DAT
SYS$SYSTEM:NETOBJECT.DAT
SYS$SYSTEM:NETPROXY.DAT
TCPIP$PROXY.DAT
SYS$SYSTEM:PE$IP_CONFIG.DAT
SYS$SYSTEM:QMAN$MASTER.DAT
SYS$SYSTEM:RIGHTSLIST.DAT
SYS$SYSTEM:SYSALF.DAT
SYS$SYSTEM:SYSUAF.DAT
SYS$SYSTEM:SYSUAFALT.DAT
SYS$SYSTEM:VMS$PASSWORD_HISTORY.DATA
SYS$SYSTEM:VMSMAIL_PROFILE.DATA
SYS$LIBRARY:VMS$PASSWORD_DICTIONARY.DATA
SYS$LIBRARY:VMS$PASSWORD_POLICY.EXE

注意: 共用ファイルを使用することだけが,シングル・セキュリティ・ドメインを実現するための方法ではありません。クラスタ内の複数のノードで,これらの 1 つ以上のファイルのコピーを複数使用しなければならないこともあります。たとえば,Alpha ノードでは,システム固有の利用者登録ファイル (SYSUAF) を導入して,異なるノード間で異なるメモリ管理ワーキング・セット・クォータを設定することができます。クラスタ内の各ノードから使用できるセキュリティ情報が同一である限り,このような構成は完全にサポートされます。

5.6.2 OpenVMS Cluster のセキュリティに関連するファイル

表 5-3 では,シングル・セキュリティ・ドメインが確実に存在するように,すべてのクラスタ・メンバ間で共通でなければならないセキュリティ関連ファイルについて説明しています。

注意:

  • これらのファイルの一部は,要求された場合にだけ作成されるもので,すべての構成に存在するわけではありません。

  • ファイルはすべてのノードに存在するか,すべてのノードに存在しないかのどちらかです。

  • あるノードで必須ファイルが作成されると,そのファイルはただちにクラスタの他のすべてのノードで作成するか,または共通に参照されなければなりません。

以下の表では, 表 5-3 でファイルに対して使用しているキーワードを説明しています。

表のキーワード 意味
必須 シングル・セキュリティ環境が存在することを保証するために,すべてのクラスタ・メンバで共通にしておかなければならないデータがファイルに格納されていることを示す。
推奨 サイト・セキュリティ管理者またはシステム管理者の裁量で共通に設定することができるデータがファイルに格納されていることを示す。しかし,推奨ファイルも同期をとっておくことが望ましい。

表 5-3 セキュリティ・ファイル
ファイル名 内容
CLUSTER_AUTHORIZE.DAT クラスタ登録ファイル SYS$COMMON:[SYSEXE]CLUSTER_AUTHORIZE.DAT には無秩序な形態でクラスタ・グループ番号とクラスタ・パスワードが含まれる。 CLUSTER_AUTHORIZE.DAT ファイルは SYSPRV 特権を持つユーザのみアクセス可能。
PE$IP_CONFIG.DAT
[推奨]
IP ユニキャストを使用する Cluster over IP 構成のために,リモート・ノード IP アドレスは SYS$SYSTEM:PE$IP_CONFIG.DAT ファイルの既存のクラスタ・メンバ・ファイルに存在するべきである。異なる IP マルチキャスト・ドメインにあるリモート・ノードは, IP ユニキャスト・メッセージング技術を使用してクラスタに参加することができる。
VMS$AUDIT_SERVER.DAT
[推奨]
セキュリティ監査に関連する情報。たとえば,有効に設定されているセキュリティ監査イベントの一覧や,システム・セキュリティ監査ジャーナル・ファイルの宛先が格納されている。 このファイルのコピーが複数存在する場合は, SET AUDIT コマンドを実行した後,すべてのコピーを更新しなければならない。

OpenVMS Cluster システム管理者は,セキュリティ監査ジャーナル・ファイルに割り当てられている名前が次の場所として解釈されるようにしなければならない。

SYS$COMMON:[SYSMGR]SECURITY.AUDIT$JOURNAL

規則: 監査ジャーナル・ファイルをシステム・ディスク以外の場所に移動しなければならない場合 (または複数のシステム・ディスクを使用している場合),クラスタ内のすべてのノードで同じように監査ジャーナルをリダイレクトしなければならない。コマンド SET AUDIT/JOURNAL=SECURITY/DESTINATION= file-name を使用し,クラスタ全体で同じファイルに解釈されるファイル名を指定する。

変更は,監査サーバ・データベース SYS$MANAGER:VMS$AUDIT_SERVER.DAT で自動的に行われる。このデータベースはまた,どのイベントが有効に設定されるのか,および監査システムによるリソースの使用の監視方法を識別し,システムがリブートされるたびに,監査システムの設定を復元する。

注意: このファイルの複数のコピーの同期を正しくとっておかないと,監査ドメインが分割される可能性がある。

関連項目: 詳細については,『OpenVMS システム・セキュリティ・ガイド』を参照。

NETOBJECT.DAT
[必須]
DECnet オブジェクト・データベース。たとえば,既知の DECnet サーバ・アカウントとパスワードの一覧がこのファイルに格納される。このファイルのコピーが複数存在する場合は, NCP コマンド SET OBJECT または DEFINE OBJECT を使用するたびに,すべてのコピーを更新しなければならない。

注意: このファイルの複数のコピーの同期を正しくとっておかないと,何の説明もなくネットワーク・ログイン障害が発生したり,不正なネットワーク・アクセスが実行される可能性がある。シングル・コピーの管理の詳細については, 第 5.8.1 項 を参照。

関連項目: 対応する NCL コマンドの説明については,DECnet-Plus のマニュアルを参照。

NETPROXY.DAT および NET$PROXY.DAT
[必須]
ネットワーク・プロキシ・データベース。 OpenVMS Authorize ユーティリティで管理される。このファイルのコピーが複数存在する場合は,UAF プロキシ・コマンドを実行した後,すべてのコピーを更新しなければならない。

注意: NET$PROXY.DAT ファイルと NETPROXY.DAT ファイルは同じファイルである。NET$PROXY.DAT は DECnet-Plus 用のファイルであり,NETPROXY.DAT は DECnet for OpenVMS 用のファイルである。

注意: このファイルの複数のコピーの同期を正しくとっておかないと,何の説明もなくネットワーク・ログイン障害が発生したり,不正なネットワーク・アクセスが実行される可能性がある。シングル・コピーの管理の詳細については, 第 5.8.1 項 を参照。

関連項目: 複数の NETPROXY.DAT ファイルと RIGHTSLIST.DAT ファイルを調整する方法については, 付録 B を参照。

TCPIP$PROXY.DAT このデータベースでは,リモートの NFS クライアント・ユーザには, OpenVMS,ローカルの NFS クライアント・ユーザには UNIX 流の識別子を提供し,リモート・プロセスにプロキシ・アカウントを提供する。このファイルの詳細については,『 TCP/IP Services for OpenVMS Management』を参照。
QMAN$MASTER.DAT
[必須]
マスタ・キュー・マネージャ・データベース。このファイルには,すべての共用バッチ・キューとプリント・キューのセキュリティ情報が格納される。

規則: 2 つ以上のノードが共用キュー登録システムに参加する場合は,このファイルの 1 つのコピーを共用ディスク上で管理しなければならない。シングル・コピーの管理の詳細については, 第 5.8.1 項 を参照。

RIGHTSLIST.DAT
[必須]
ライト識別子データベース。このファイルは, OpenVMS Authorize ユーティリティおよびさまざまなライト識別子システム・サービスで管理される。このファイルのコピーが複数存在する場合は,識別子または保有者レコードを変更した後,すべてのコピーを更新しなければならない。

注意: このファイルの複数のコピーの同期を正しくとっておかないと,不正なシステム・アクセスが実行されたり,保護されているオブジェクトに対して不正なアクセスが実行されることがある。シングル・コピーの管理の詳細については, 第 5.8.1 項 を参照。

関連項目: 複数の NETPROXY.DAT ファイルと RIGHTSLIST.DAT ファイルを調整する方法については, 付録 B を参照。

SYSALF.DAT
[必須]
システムのオートログイン機能データベース。 OpenVMS SYSMAN ユーティリティによって管理される。このファイルのコピーが複数存在する場合は, SYSMAN ALF コマンドを実行した後,すべてのコピーを更新しなければならない。

注意: このファイルはすべての構成に存在するわけではない。

注意: このファイルの複数のコピーの同期を正しくとっておかないと,何の説明もなくログイン障害が発生したり,不正なシステム・アクセスが実行されることがある。シングル・コピーの管理の詳細については, 第 5.8.1 項 を参照。

SYSUAF.DAT
[必須]
システム利用者登録ファイル。このファイルは OpenVMS Authorize ユーティリティで管理され, $SETUAI システム・サービスを使用して変更できる。このファイルのコピーが複数存在する場合は,各ユーザ・レコードに対して SYSUAF および関連の $SETUAI コードの同期をとるようにしなければならない。以下の表は,SYSUAF のフィールドおよびそれに関連する $SETUAI のアイテム・コードを示している。

内部フィールド名 $SETUAI アイテム・コード
UAF$R_DEF_CLASS UAI$_DEF_CLASS
UAF$Q_DEF_PRIV UAI$_DEF_PRIV
UAF$B_DIALUP_ACCESS_P UAI$_DIALUP_ACCESS_P
UAF$B_DIALUP_ACCESS_S UAI$_DIALUP_ACCESS_S
UAF$B_ENCRYPT UAI$_ENCRYPT
UAF$B_ENCRYPT2 UAI$_ENCRYPT2
UAF$Q_EXPIRATION UAI$_EXPIRATION
UAF$L_FLAGS UAI$_FLAGS
UAF$B_LOCAL_ACCESS_P UAI$_LOCAL_ACCESS_P
UAF$B_LOCAL_ACCESS_S UAI$_LOCAL_ACCESS_S
UAF$B_NETWORK_ACCESS_P UAI$_NETWORK_ACCESS_P
UAF$B_NETWORK_ACCESS_S UAI$_NETWORK_ACCESS_S
UAF$B_PRIME_DAYS UAI$_PRIMEDAYS
UAF$Q_PRIV UAI$_PRIV
UAF$Q_PWD UAI$_PWD
UAF$Q_PWD2 UAI$_PWD2
UAF$Q_PWD_DATE UAI$_PWD_DATE
UAF$Q_PWD2_DATE UAI$_PWD2_DATE
UAF$B_PWD_LENGTH UAI$_PWD_LENGTH
UAF$Q_PWD_LIFETIME UAI$_PWD_LIFETIME
UAF$B_REMOTE_ACCESS_P UAI$_REMOTE_ACCESS_P
UAF$B_REMOTE_ACCESS_S UAI$_REMOTE_ACCESS_S
UAF$R_MAX_CLASS UAI$_MAX_CLASS
UAF$R_MIN_CLASS UAI$_MIN_CLASS
UAF$W_SALT UAI$_SALT
UAF$L_UIC Not applicable

  注意: SYSUAF ファイルの複数のコピーの同期を正しくとっておかないと,何の説明もなくログイン障害が発生したり,不正なシステム・アクセスが実行されることがある。シングル・コピーの管理の詳細については, 第 5.8.1 項 を参照。

関連項目: OpenVMS Cluster で共通の SYSUAF.DAT 登録ファイルのさまざまな要素を作成および管理する方法の詳細については, 付録 B を参照。

SYSUAFALT.DAT
[必須]
システム代替利用者登録ファイル。このファイルは SYSUAF.DAT のバックアップとして機能し, SYSUAFALT システム・パラメータによって有効に設定される。このファイルのコピーが複数存在する場合は,このファイルの登録レコードを変更した後,すべてのコピーを更新しなければならない。

注意: このファイルはすべての構成に存在するわけではない。

注意: このファイルの複数のコピーの同期を正しくとっておかないと,何の説明もなくログイン障害が発生したり,不正なシステム・アクセスが実行されることがある。

VMS$PASSWORD_HISTORY.DATA
[推奨]
システム・パスワード履歴データベース。システム・パスワード変更機能によって管理される。このファイルのコピーが複数存在する場合は,パスワードを変更した後,すべてのコピーを更新しなければならない。

注意: このファイルの複数のコピーの同期を正しくとっておかないと,システム・パスワード・ポリシーの違反が発生することがある。

VMSMAIL_PROFILE.DATA
[推奨]
システム・メール・データベース。このファイルは OpenVMS Mail ユーティリティで管理され,すべてのシステム・ユーザのメール・プロファイルが格納されている。たとえば,システムで使用されているすべてのメール転送アドレスの一覧がこのファイルに格納される。このファイルのコピーが複数存在する場合は,メール転送を変更した後,すべてのコピーを更新しなければならない。

注意: このファイルの複数のコピーの同期を正しくとっておかないと,情報が不正に漏洩される可能性がある。

VMS$PASSWORD_DICTIONARY.DATA
[推奨]
システム・パスワード辞書。システム・パスワード辞書とは,アカウント・パスワードとして使用することができない英語の単語や文節を登録した一覧である。このファイルのコピーが複数存在する場合は,サイト固有の単語を追加した後,すべてのコピーを更新しなければならない。

注意: このファイルの複数のコピーの同期を正しくとっておかないと,システム・パスワード・ポリシーの違反が発生することがある。

VMS$PASSWORD_POLICY.EXE
[推奨]
サイト固有のパスワード・フィルタ。サイト・セキュリティ管理者またはシステム管理者が作成およびインストールする。このファイルのコピーが複数存在する場合は,すべてのコピーが同一でなければならない。

注意: このファイルの複数のコピーの同期を正しくとっておかないと,システム・パスワード・ポリシーの違反が発生することがある。

注意: システム管理者はローカル・パスワード・ポリシーを適用するために,このファイルをイメージとして作成できる。これはアーキテクチャ固有のイメージ・ファイルであり,アーキテクチャの異なるシステム間で共用することはできない。


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