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OpenVMS マニュアル


日本語 DECprint Supervisor for OpenVMS

日本語 DECprint Supervisor for OpenVMS
システム管理者ガイド


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シリアル・プリンタでは,電源投入時の初期化を実行するときに,ホスト・システムに余分なデータを送信します。OpenVMSオペレーティング・システムは通常,ターミナル装置からのデータをログイン要求として解釈します。 DCPS$STARTUP.COMはホスト・システムですべてのプリンタ・ターミナル装置の SECURE_SERVERターミナル属性を設定します。 SECURE_SERVERが設定されている場合には,OpenVMSホストとプリンタは,終了しない可能性のあるログイン時の対話を実行しません。

ログイン時の対話を実行しないようにするには,以下の手続きを行うことにより,ターミナル装置の属性を設定します。

  1. SYSGEN AUTOCONFIGURE

  2. SYSTARTUP_VMS

  3. DCPS$EXECUTION_QUEUE.COM

AUTOCONFIGUREはSYSGENパラメータを使用して,システムのすべてのターミナル装置に省略時のターミナル属性を設定します。SYSGENによってSECURE_SERVERが設定されている場合には,ログイン時の対話に関する問題が発生することはありません。この属性を設定するためのSYSGENパラメータはTTY_DEFCHAR2です。SYSGENパラメータの設定についての説明は『 HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

システム・スタートアップ・プロシージャもターミナル属性を設定する可能性があります。このコマンド・ファイルはプリンタ・セットアップ・ファイルより前に実行されるため,SYSTARTUP_VMSファイル内でプリンタ・ターミナル装置に対して SECURE_SERVERが設定されている場合には,ログイン時の対話に関する問題が発生する可能性はさらに低くなります。

DCPS$EXECUTION_QUEUE.COM (プリンタ実行キュー・コマンド・ファイル)は,省略時の設定により,プリンタ・ターミナル装置のSECURE_SERVERターミナル属性を設定します。このファイルはソフトウェア・キットに添付されています。

プリンタがローカル・エリアEthernet内の LAT 装置で構成されている場合には, LAT ポートとプリンタのターミナル・サーバ属性を設定することにより,ログイン時の対話をできるだけ少なくしてください。LAT ポート属性については『 DCPS インストレーション・ガイド』を参照してください。

11.6 印刷速度が期待される速度より遅い場合の処置

印刷速度が低下するのは次のいずれかの理由によります。

  • アプリケーションが複雑なテキスト・ジョブを印刷しているため

  • 複雑なPostScriptジョブを印刷しているため

  • テキスト・トランスレータ・プロローグの情報が正しく一致しないため

  • プリンタ・パスワードが省略時の設定から変更されたため
    (『 DCPS インストレーション・ガイド』を参照)

複雑なテキスト・ジョブとして,ダウンロードされた多くのフォントを1ページで使用するジョブや,外字を多く印刷するジョブがあります。このようなジョブは常に長い印刷時間を必要とします。

シリアル・プリンタでテキスト・ジョブの印刷の前に約30秒の遅延時間が必ずあるときは,テキスト・トランスレータとプリント・ジョブの間でテキスト・トランスレータ・プロローグが一致しないと考えることができます。この場合には,シリアル・プリンタの電源を切断した後,再度投入し,適切なプロローグを常駐させてください。最初のテキスト・ジョブはプロローグのロードのために遅延しますが,2番目以降のテキスト・ジョブはプロローグをロードする必要がないため,これまでより効率よく印刷されます。

異なるバージョンの印刷システムを実行している複数のノードにプリンタが接続されている場合には,プリンタの電源を切断した後,再度投入しても,30秒の遅延時間が発生します。プリンタに最初に接続されたノードは,プロローグを常駐させます。他のノードのプリント・ジョブは,毎回プロローグをロードしなければなりません。この場合,遅延時間が発生しないようにするには,各ノードで DECprint Supervisor ソフトウェアの同じバージョンを実行しなければなりません。

11.7 レイアップ定義ファイルを見つけることができないときの処置

DECprint Supervisor ソフトウェアは,次のサンプル・レイアップ定義ファイルを論理名 DCPS$LAYUP で指定されているロケーションに登録します。

LPS$HOLES.LUP
LPS$SINGLEHOLES.LUP
LPS$DOUBLEHOLES.LUP
LPS$NUP.LUP
COLOR-PRINTER-FULL-PAGE.LUP
PROPRINTER-FULL-PAGE.LUP

レイアップ・ディレクトリ論理名であるDCPS$LAYUPが
SYS$SYSDEVICE:[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS]を示すか,またはクラスタ内のすべてのノードで .LUP ファイルが登録されているディレクトリを示すことを確認してください。

11.8 印刷結果が予想と異なる場合の処置

DECprint Supervisor ソフトウェアは,プリント・パラメータの指定やプリント・ジョブ属性の指定に問題がある場合でも,すべてのプリント・ジョブのすべてのファイルを印刷しようとします。省略時のパラメータにエラーのあるプリント・キューもファイルを印刷できますが, 第 11.8.1 項 で説明するように,プリント・パラメータはすべて無効になり,問題のあることを示すメッセージが出力されます。

誤ったデータ・タイプ・トランスレータを使用してファイルが印刷される場合には,ファイルのデータ・タイプは DECprint Supervisor ソフトウェアによって正しく判断されていないことになります。自動的なデータ・タイプ検出機能に関する問題の解決方法については, 第 11.8.2 項 を参照してください。

11.8.1 省略時のキュー・パラメータが有効でないときの処置

DCPS$STARTUP.COMにパラメータを誤って入力した場合には,そのプリント・キューに送信したプリント・ジョブは印刷されますが,誤りのあるパラメータとその後に続くパラメータはプリント・ジョブに適用されません。

誤ったプリント・パラメータがキュー定義に指定されている場合には,印刷システムはエラー・メッセージを出力します。このメッセージは画面に表示され,関連するキューに送信された各プリント・ジョブのジョブ・トレーラ・ページにも印刷されます。処理されないパラメータの値は省略時の設定になります。

次の例では, 2番目のパラメータ,PAGE_ORIENTATIONの引数に余分なLが指定されています。したがって,プリンティング・システムは3番目のパラメータ,NUMBER_UP=2を無視し,最初のパラメータ,SHEET_SIZE=Bだけが処理されます。

@sys$startup:dcps$generic_queue -     ! Landscape queue 
     DCPS$WIDE$PRINT -                ! P1 - Generic queue name 
     TEK4014_TTB4 -                   ! P2 - /GENERIC = execution queues 
     "SHEET_SIZE=B,PAGE_ORIENTATION=LLANDSCAPE,NUMBER_UP=2" 
                                      ! P3 - Default queue parameter 

このキューに登録されたすべてのプリント・ジョブに対して,次のようなエラー・メッセージが画面に表示され,ジョブ・トレーラ・ページのメッセージ・セクションにも同じメッセージが印刷されます。

10- MAR-  2012    15:21 %DCPS-E-PARSYNERR, Syntax error in the /PARAMETERS 
qualifier at or near PAGE_ORIENTATION=LANDSCAPE 



11.8.2 ファイル・データ・タイプが認識されないときの処置

DECprint Supervisor ソフトウェアがファイルのデータ・タイプを正しく判断できない場合には,ユーザはDATA_TYPEパラメータを明示的に指定できます。必要な場合には,ジェネリック・キューに対して特定のデータ・タイプを設定できます。このキューを使用して印刷されるファイルはすべて,指定されたデータ・タイプになります。ただし,ユーザがDATA_TYPEパラメータを使用して明示的に別のデータ・タイプを指定した場合は例外です。ユーザはまた, DATA_TYPE=AUTOMATICパラメータを指定することにより,自動的なデータ・タイプの検出を明示的に指定することもできます。

自動的なデータ・タイプ検出機能は,ファイルのデータ・タイプを判断するために次のことを確認します。

  1. PRINTのDATA_TYPEパラメータの値

  2. DCPS$STARTUP.COMファイルに指定されたキューの省略時のデータ・タイプ

  3. OpenVMSファイル・タグ(たとえば,DDIF stored_semantics タグ)

  4. ファイルの内容

  5. ファイル拡張子

DECprint Supervisor ソフトウェアがこれらの要素からファイルのデータ・タイプを判断できない場合には,省略時のテキスト・データ・タイプが使用されます。省略時のテキスト・データ・タイプの設定については, 第 4.2.2 項 を参照してください。省略時のテキスト・データ・タイプが使用される場合には, PostScriptデータの前にテキストが付加されていても構いません。このようなファイルも正しく印刷されます。しかし,PostScriptデータの後に追加テキストがある場合には,ファイルは正しく印刷されません。この場合には,ファイルを編集し,テキスト・データとPostScriptデータを別々のファイルとして印刷しなければなりません。

しかし一般に,データ・タイプを判断できるようにするために,ユーザがファイルの内容を変更したり,ファイル拡張子を変更することは望ましくありません。このような場合には,ファイルを作成するアプリケーションを確認し,必要に応じてアプリケーションを変更してください。また,システム管理者はシステム固有のファイル拡張子とデータ・タイプを関連づけるためのシステム固有のデータ・ファイル,省略時のテキスト・データ・タイプ,または省略時のデータ・タイプを割り当てたジェネリック・キューを作成することもできます。

11.9 診断情報の入手

DCPS あるいは印刷の問題を診断する際の参考情報として,以下のようなデータを収集することができます。問題発生時に, HP のサポート・チームやエンジニアリング・グループからこの種の情報の提供が求められる場合があります。参考になる情報しては,以下のような 3 種類のデータがあります。

  1. プリンタとホスト・システム間で送信されたすべてのデータ
    このデータは,オープンソース・アプリケーションの Wireshark などのネットワーク・プロトコル探知ソフトウェアによって収集できます。この種のソフトウェアを効率的に使用するためには,データを収集するシステムが,ネットワーク上でプリンタとホスト・システム間のすべてのデータを収集するのに適した場所に存在することが必要になります。

  2. DCPS プリント・ジョブの内容
    具体的には,以下のファイルが参考になります。

    • DCPS 診断ファイル
      DCPS 診断ファイルは,OpenVMS システムとプリンタ間の通信を診断する際の参考になります。
      DCPS 診断ファイルを生成するには,まず次の論理名を定義してください。

          $ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$TEST 1
      


      この後,STOP/QUEUE/NEXT コマンドあるいは STOP/QUEUE/RESET コマンドを実行して DCPS キューを停止させ,再び起動してください。
      次に,下記のようなコマンドを実行します。

          $ PRINT /NOTIFY /PARAMETERS=(DIAGNOSTIC=FILE=BOTH[,parameters]) filename
      


      以下のような診断ファイルが生成され,これらのファイルにホストとプリンタ間で送信されたすべてのデータが含まれています。

          SYS$LOGIN:DCPS$JOB_entry_DIAG_FROM.LOG 
          SYS$LOGIN:DCPS$JOB_entry_DIAG_TO.LOG 
      


      ジョブに含まれている制御文字とエスケープ・シーケンスはこのログファイルからは削除され,テキスト表現に置き換えられます。たとえば,DCPS が Ctrl/D 文字をプリンタに送信した場合,ログファイルには "<CTRL-D(OUT)>" と記録されます。このため,ログファイルはプリントできませんが,エディタで調べることができます。
      診断ファイルにはすべてのプリント・データが含まれますので,印刷されるファイルに機密情報が含まれる場合は注意してください。

    • DCPS LPD スプール・ファイル
      スプールされた LPD を DCPS ジョブで使用している場合, DCPS$SPOOL_DIRECTORY ディレクトリに作成された一時的なスプール・ファイルは,そのジョブの最後に削除されます。以下のように DCPS$SPOOL_KEEP 論理名を定義することにより,このファイルが削除されないように設定することができます。

          $ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$SPOOL_KEEP TRUE
      


      この論理名はシステム上でプリントするすべてのジョブに影響するので,診断時にのみ定義すべきです。 DCPS$SPOOL_KEEP 論理名を定義することによりスプール・ディレクトリに残されるファイルの削除は,手作業で行う必要があります。
      ファイルには制御文字とエスケープ・シーケンスが含まれますが,プリンタに対する LPD 固有のインストラクションである LPD 制御レコードは含まれません。このため,スプール・ファイルはエディタでオープンすると共にプリンタに送信することもできます。

  3. DCPS トレース・ファイル
    DCPS トレース・ファイルは,DCPS 内部の問題を診断するのに役立ちます。前述の診断ファイルほど使用される頻度は高くありませんが,診断のために HP のサポート・チームやエンジニアリング・グループへの提供が求められる場合があります。
    DCPS トレース・ファイルを作成するには,まず以下の論理名を定義します。

        $ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$TRACE        -1
        $ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$TRACE_PREFIX -1
        $ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$TRACE_FILE   filename
    


    この後,STOP/QUEUE/NEXT コマンドあるいは STOP/QUEUE/RESET コマンドを実行して DCPS キューを停止させ,再び起動してください。
    トレース・ファイルは,DCPS$TRACE 論理名が定義されている間に起動された DCPS シンビオント・プロセスが制御するすべての DCPS ジョブについての情報を収集します。システムで多数の印刷処理が行われるとこのファイルは非常に大きくなるため, DCPS$TRACE 論理名の定義はデータ収集時にのみ行うべきです。
    DCPS$MAX_STREAMS 論理名が 1 より大きな値に定義されている場合,データを収集したいキューは新しい DCPS シンビオント・プロセスで起動されるようにする必要があります。このため,データを収集したい間のみ DCPS$MAX_STREAMS を定義することをお勧めします。

      注意
    どのキューがどの DCPS シンビオント・プロセスによって制御されているかかを調べるには,SHOW LOGICAL DCPS$*_PID コマンドを使用します。


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