2.7.2 ATI RADEON グラフィックス・カード付きシステムでのピクセル深度の調整 |
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V1.5
ATI RADEON グラフィックス・カードのデフォルト設定では,ピクセル深度はピクセル当たり 24 ビットで,ビジュアル・カラーは TrueColor です。これらの設定は, DECwindows Motif グラフィックス・アプリケーションあるいはユーティリティで特定のピクセル深度あるいはビジュアル・タイプ値を想定している場合,フェールの原因となる可能性があります。たとえば DECW$PAINT は,PseudoColor モードでピクセル深度 8 ビットを想定しています。
ATI RADEON カードを使用しているシステムで表示の問題が発生した場合は,『HP OpenVMS リリース・ノート[翻訳版]』の記述を参考に,システム論理名 DECW$SERVER_PIXEL_DEPTH あるいは DECW$SERVER_DEFAULT_VISUAL_CLASS を使用してデフォルト設定を調整してください。
2.7.3 XINERAMA マルチヘッド・システムでの性能の低下 |
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V1.3
XINERAMA 拡張を使用するように構成されているマルチヘッド・システムでは,シングルヘッドあるいは XINERAMA を使用しない従来のマルチヘッド・システムよりも,性能が低い場合があります。システム性能の低下は,3 つ以上のグラフィックス・カードを使用し複数のアプリケーションが同時に集中的な要求の発行を行うようなマルチヘッド・システムでしばしば発生します。
これは予測範囲内の動作で,X.Org の XINERAMA の実装に内在するシステム性能の低下をもたらす次のような設計により発生するものです。
- 描画アイテムを表示する際の処理レイヤの追加
典型的な Proc* 関数を使用してスクリーン上 (ウィンドウなど) に描画アイテムを表示する代わりに,XINERAMA は,レンダリング関数を呼び出す前に新たに処理のレイヤを追加する独自の関数を使用します。この構成における各スクリーンでは, XINERAMA 関数がレンダリング関数に対してスクリーン固有の適切なリソース値を供給します。この特別な処理レイヤは,描画範囲の比較,適用可能なスクリーンの判断,各スクリーンのリソースの変更,新たな呼び出しの実行などのためにより多くの計算時間を必要とします。
- セカンダリ・スクリーンのためのより複雑なイベント処理
通常,イベントは単一のスクリーンに送られます。マルチヘッド・システムでは,XINERAMA はディスパッチ・レイヤから個々のスクリーンへ表示のためのイベントを送ります。セカンダリ・スクリーン (スクリーン 0 以外) からイベントが起こるたびに,適切なスクリーン・リソースを探すためにリバース・ルックアップが必要になります。 XINERAMA はその後,イベントを仮想スクリーン 0 にイベントを割り当て,その後,最終的にクライアントに割り当てます。
- グラフィックス最適化の適用の困難さ
それぞれのグラフィックス・カードは,表示性能を最適化できるよう個々にフレームバッファを持っています。シングルヘッドおよび従来のマルチヘッド構成では,表示の最適化は DRI (Direct Rendering Infrastructure) やオンカード・ハードウェア・アクセラレーションなどのメカニズムにより制御可能です。
しかしながら XINERAMA では, これらの個別のフレームバッファは単一の場所にマージされます。それぞれのカードではフレームバッファ全体で 1 つのセグメントだけを維持するため,マージされたフレームバッファは,グラフィックスの最適化の妨げになる場合があります。
XINERAMA ベースのマルチヘッド・システムを構成しておりシステム性能の大幅な低下が発生した場合は,応答時間を改善するための以下のいずれかあるいは複数の対処を行うことをお勧めします。
- 構成内のヘッドの数を減らす。
- 要求を集中的に発行する複雑なアプリケーションの同時実行の数を制限する。
- X サーバ・システムは表示ノードとして使用し,すべてのクライアントは別のノードを使用する
システムのレスポンスに改善が見られない場合は XINERAMA 拡張を無効にし,『日本語 DECwindows Motif for OpenVMS 環境設定の手引き』で説明しているように従来のマルチヘッド・システムを構成します。
2.7.4 New Desktop システムでの XINERAMA の使用 |
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V1.3--1
XINERAMA ベースのマルチヘッド・システムで New Desktop を使用する場合,次の制限があります。
DECwindows Motif の一部のダイアログ・ボックスは,画面の中心に表示されるように設計されています。縦横いずれかの方向で,表示されている画面の数が偶数の場合,ダイアログ・ボックスは 2 つの画面が接合する部分に表示されるため見づらくなります。一部のダイアログ・ボックスは画面上で移動できますが,次のダイアログ・ボックスは,ウィンドウ・マネージャが動作していないときに表示されるので,画面上で移動することができません。
[ログイン] ダイアログ・ボックス
[ログイン・ヘルプ] ダイアログ・ボックス
[ログイン・パスワード設定] ダイアログ・ボックス
[Kerberos ログイン] ダイアログ・ボックス
[ログアウト確認] ダイアログ・ボックス
[ワークスペース再起動確認] ダイアログ・ボックス
ワークスペース・マネージャが表示する [座標の移動/サイズ設定]
CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[CONFIG.C]: にある XRESOURCES.DAT ファイルで次のリソースを設定すると,ログイン・ダイアログ・ボックスを手動で移動できます。