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OpenVMS マニュアル |
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HP OpenVMS
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1.9.5 ヘッダ・ファイルの読み込み |
ここでは, HP C RTL ヘッダ・ファイルで使用されるポインタ・サイズの操作について説明します。これらのヘッダ・ファイルの読み込みについてより理解を深め,各自のヘッダ・ファイルを変更するのに役立つように,次の例を使って説明します。
#1 |
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: #if __INITIAL_POINTER_SIZE (1) # if (__VMS_VER < 70000000) || !defined __ALPHA (2) # error " Pointer size usage not permitted before OpenVMS Alpha V7.0" # endif # pragma __pointer_size __save (3) # pragma __pointer_size 32 (4) #endif : : #if __INITIAL_POINTER_SIZE (5) # pragma __pointer_size 64 #endif : : #if __INITIAL_POINTER_SIZE (6) # pragma __pointer_size __restore #endif : |
/POINTER_SIZE 修飾子をサポートするすべての HP C コンパイラでは, __INITIAL_POINTER_SIZE マクロがあらかじめ定義されています。 HP C RTL ヘッダ・ファイルは,マクロが定義されていない場合,暗黙の値として 0 を使用するという ANSI の規則に従います。
/POINTER_SIZE 修飾子が使用された場合は,マクロは 32 または 64 として定義されます。修飾子が使用されない場合は,マクロは 0 として定義されます。 (1) に指定されている文は,「ユーザが /POINTER_SIZE=32 または /POINTER_SIZE=64 をコマンド・ラインに指定した場合」と考えることができます。
OpenVMS の多くのバージョンでは, C コンパイラがサポートされます。 (2) に示した行は,コンパイラの対象が 64 ビット・ポインタをサポートしないプラットフォームの場合,エラー・メッセージを生成します。
ヘッダ・ファイルでは,ヘッダ・ファイルが取り込まれたときに有効な実際のポインタ・サイズ・コンテキストに関して,何も仮定することができません。さらに, HP C コンパイラでは, __INITIAL_POINTER_SIZE マクロとポインタ・サイズを変更するための機能だけが提供され,現在のポインタ・サイズを判断するための方法は提供されません。
ポインタ・サイズに依存するすべてのヘッダ・ファイルは,ポインタ・サイズ・コンテキストの保存 (3),初期化 (4),変更 (5),復元 (6) を行う責任があります。
#2 |
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: #ifndef __CHAR_PTR32 (1) # define __CHAR_PTR32 1 typedef char * __char_ptr32; typedef const char * __const_char_ptr32; #endif : : #if __INITIAL_POINTER_SIZE # pragma __pointer_size 64 #endif : : #ifndef __CHAR_PTR64 (2) # define __CHAR_PTR64 1 typedef char * __char_ptr64; typedef const char * __const_char_ptr64; #endif : |
一部の関数プロトタイプでは, 64 ビット・ポインタ・サイズ・コンテキストで 32 ビット・ポインタを参照しなければなりません。また,32 ビット・ポインタ・サイズ・コンテキストで 64 ビット・ポインタを参照しなければならない関数プロトタイプもあります。
HP C は, typedefが作成されるときに, typedefで使用されるポインタ・サイズをバインドします。このヘッダ・ファイルを /POINTER_SIZE 修飾子なしで,または /POINTER_SIZE=SHORT を指定してコンパイルしたと仮定すると, __char_ptr32の typedef宣言 (1) は, 32 ビット・コンテキストで行われます。 __char_ptr64の typedef宣言 (2) は 64 ビット・コンテキストで行われます。
#3 |
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: #if __INITIAL_POINTER_SIZE # if (__VMS_VER < 70000000) || !defined __ALPHA # error " Pointer size usage not permitted before OpenVMS Alpha V7.0" # endif # pragma __pointer_size __save # pragma __pointer_size 32 #endif : (1) : #if __INITIAL_POINTER_SIZE (2) # pragma __pointer_size 64 #endif : (3) : int abs (int __j); (4) : __char_ptr32 strerror (int __errnum); (5) : |
64 ビット・ポインタをサポートする関数プロトタイプを宣言する前に,ポインタ・コンテキストは 32 ビット・ポインタから 64 ビット・ポインタに変更されます (2)。
32ビット・ポインタに制限される関数は,ヘッダ・ファイルの 32 ビット・ポインタ・コンテキスト・セクション (1) に配置されます。他のすべての関数は,ヘッダ・ファイルの 64 ビット・コンテキスト・セクション (3) に配置されます。
ポインタ・サイズの影響を受けない関数 ((4) と (5)) は 64 ビット・セクションに配置されます。 32 ビットのアドレス戻り値以外はポインタ・サイズの影響を受けない関数 (5) も 64 ビット・セクションに配置され,前に説明したように, 32 ビット固有の typedefを使用します。
#4 |
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: #if __INITIAL_POINTER_SIZE # pragma __pointer_size 64 #endif : : #if __INITIAL_POINTER_SIZE == 32 (1) # pragma __pointer_size 32 #endif : char *strcat (char *__s1, __const_char_ptr64 __s2); (2) : #if __INITIAL_POINTER_SIZE # pragma __pointer_size 32 : char *_strcat32 (char *__s1, __const_char_ptr64 __s2); (3) : # pragma __pointer_size 64 : char *_strcat64 (char *__s1, const char *__s2); (4) : #endif : |
この例では, 32 ビット版と 64 ビット版の両方が用意されている関数の宣言を示しています。これらの宣言はヘッダ・ファイルの 64 ビット・セクションに配置されます。
関数に対する通常のインタフェース (2) は, /POINTER_SIZE 修飾子に指定したポインタ・サイズを使用して宣言されます。ヘッダ・ファイルは 64 ビット・ポインタ・コンテキストに配置され, (1) に示した文が指定されているため, (2) の宣言は,/POINTER_SIZE 修飾子と同じポインタ・サイズ・コンテキストを使用して行われます。
32 ビット固有のインタフェース (3) は 32 ビット・ポインタ・サイズ・コンテキストで宣言され, 64 ビット固有のインタフェース (4) は 64 ビット・ポインタ・サイズ・コンテキストで宣言されます。
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