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HP OpenVMS: Volume Shadowing for OpenVMS 説明書第3章 ボリューム・シャドウイングを使うための準備 |
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目次 この章では,システム・パラメータの設定,ライセンスのインストール (OpenVMS Integrity オペレーティング環境で Volume Shadowing がライセンスされていない場合) などの,ボリューム・シャドウイングを使うためにシステムで実行する必要がある構成作業について説明します。 また,システム・ディスクからのブート,サテライト・ノードからのブートについても説明します。 シャドウセットの構成を決定した後は,以下の手順に従います。
MOUNT コマンドについての詳細は,第4章 「DCL コマンドによるシャドウセットの作成と管理」 を参照してください。 システム・ディスクはシャドウ化することができます。 そのシステム・ディスクからブートするすべてのノードでは, シャドウイングのライセンスをインストールし,有効にしていなければなりません。 Volume Shadowing ソフトウェアは OpenVMS オペレーティング・システムの一部ですが OpenVMS Alpha でこの製品を使うためには,ライセンスを購入する必要があります。 OpenVMS Integrity では,Volume Shadowing のライセンスは EOE (Enterprise OE),MCOE (Mission Critical OE),および HA-OE (High Availability OE) に含まれています。 FOE (Foundation OE) あるいは BOE (Base OE) には含まれていません。 FOE あるいは BOE を購入した場合は,Volume Shadowing for OpenVMS のライセンスを別途購入する必要があります。 詳細は OpenVMS Integrity のソフトウェア仕様書を参照してくさい。 OpenVMS Product Authorization Key (PAK) を登録して OpenVMS のライセンスを有効にした後,OpenVMS Alpha システムの管理者,あるいは OpenVMS Integrity の FOE あるいは BOE システムの管理者が,Volume Shadowing の PAK を使用して Volume Shadowing for OpenVMS のライセンスを有効にする必要があります。 PAK の情報を LICENSE データベースに入力したら,OpenVMS License Management Facility (LMF) が Volume Shadowing の使用を許可します。 Volume Shadowing for OpenVMS のライセンスは,OpenVMS Cluster のサテライトも含め,シャドウセットをマウントしている各ノードごとに登録し,有効にする必要があります。 Volume Shadowing を使用するノードでライセンスを登録および有効にしていない場合, その後のシャドウセットのマウント操作は成功せず,例 3-1 「ボリューム・シャドウイングの登録をしていないノード」 のようなエラー・メッセージが表示されます。 例 3-1 ボリューム・シャドウイングの登録をしていないノード
Volume Shadowing の PAK を登録した後,シャドウイングを有効にしたい各ノードでシャドウイング・パラメータを設定する必要があります。 Volume Shadowing のライセンスについての詳細は, 『HP Volume Shadowing for OpenVMS Software Product Description (SPD 27.29.xx)』 参照してください。 License Management Facility についての詳細は, OpenVMS オペレーティング・システムのソフトウェア仕様書を参照してください。 また,『OpenVMS License Management Utility Manual』も参照してください。 表 3-1 「ボリューム・シャドウイングのパラメータ」 に,Volume Shadowing for OpenVMS の使用を指定するために必要なシステム・パラメータと,シャドウイング・ソフトウェアをシステムに適合させるために使用できるシステム・パラメータを示します。 これらのパラメータは,以下のものを除き OpenVMS Version 7.1 で導入されています。
表 3-1 「ボリューム・シャドウイングのパラメータ」 にある 動的 という用語は,実行中のシステムでアクティブな値を変更できることを示しています。 システム・パラメータの設定方法の詳細については, 『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。 OpenVMS バージョン 7.3 では,表 3-4 「ビットマップのシステム・パラメータ」 で説明する 4 つのビットマップ・システム・パラメータも導入されました。 これらのシステム・パラメータは,第7章 「ミニコピーによるデータのバックアップ (Integrity および Alpha)」で説明するシャドウイングのミニコピー操作と,第8章 「ホストベース・ミニマージ (HBMM)」 で説明するホストベース・ミニマージ(HBMM) 操作をサポートします。 表 3-1 ボリューム・シャドウイングのパラメータ
この節では, ボリューム・シャドウイング・パラメータを使う上でのガイドラインを説明します。 ALLOCLASS ALLOCLASS パラメータは,デバイス名の一部を形成する割り当てクラスを指定するために使われます。割り当てクラスの目的は, 固有で不変のデバイス名を提供することです。 単一システムまたは OpenVMS Cluster システムに Volume Shadowing for OpenVMS を使用する場合は, シャドウセット内の各々の物理デバイスに対して 0 以外の割り当てクラス値が必要になります。 割り当てクラスの使用方法の詳細については, 『OpenVMS Cluster システム』を参照してください。 SHADOWING SHADOWING パラメータは,表 3-2 「SHADOWING パラメータの設定」 に示すように,システム上のボリューム・シャドウイングを有効にしたり無効にしたりします。 表 3-2 SHADOWING パラメータの設定
SHADOW_HBMM_RTC (Integrity および Alpha) SHADOW_HBMM_RTC は, 各シャドウセットがどの程度の頻度で変更ブロック数とリセットしきい値と比較するか,秒数を指定するのに使用します。 変更ブロック数がリセットしきい値を超える場合,そのシャドウセットのビットマップはゼロ・クリアされます。 この比較は,HBMM ビットマップを持つシステムにマウントされているすべてのシャドウセットに対して行なわれます。 リセットしきい値は,SET SHADOW コマンドの /POLICY 修飾子の RESET_THRESHOLD キーワードで指定されます。 比較が行なわれたとき,変更ブロック数がリセットしきい値をわずかに超える場合と大きく超える場合があります。 この違いは,ボリュームに対する書き込み処理の状況とこのパラメータの設定により発生します。 SHADOW_HBMM_RTC のデフォルト値は 150 秒です。 リセットしきい値の設定と,最後にリセットされてからの変更ブロック数は, SHOW SHADOW コマンドで表示できます。 リセットしきい値の設定に関するガイドラインと SHOW SHADOW の表示例は,8.5.2 項 「ビットマップの RESET_THRESHOLD 値の設定の考え方」 を参照してください。 リセットしきい値を超えるサイズの変更ブロック数を含む SHOW SHADOW 表示については,『OpenVMS DCL ディクショナリ』 の SHOW SHADOW の例 9 を参照してください。 SHADOW_MAX_COPY SHADOW_MAX_COPY パラメータは,指定したノードでマージ操作やコピー操作 (詳細は,第6章 「シャドウセットの整合性の保証」 を参照) を並列に実行する数を制御します。 このパラメータで,マージ操作やコピー操作を同時に実行する数を制限します。 SHADOW_MAX_COPY の値は,0~200 です。デフォルト値は,OpenVMS のバージョンに依存します。 パラメータの設定値を見れば,デフォルト値を確認できます。 SHADOW_MAX_COPY パラメータの値が 4 で,すべてコピーが必要な 5 個のマルチボリューム・シャドウセットをマウントすると,最初は 4 つのコピーしか実行されません。 5 番目のコピーは,最初の 4 つのコピーのどれかが終わるまで待たされます。 SHADOW_MAX_COPY パラメータの値を選択するときは,次の条件を考慮してください。
たとえば,デフォルト値の 4 は,小規模ノードには大きすぎる値です。 特に,サテライト・ノードでは,SHADOW_MAX_COPY の値は 0 に設定してください。 SHADOW_MAX_COPY の値を小さくしすぎても,システムの効率的な処理を阻害し,すべてのシャドウセットをマージするのに要する時間が増加します。 SHADOW_MAX_COPY は動的なパラメータです。 ただし,これを変更しても,以降のマージ操作とコピー操作に効果があるだけで, 現在の操作 (保留中のものや実行中のもの) には効果がありません。 SHADOW_MAX_UNIT SHADOW_MAX_UNIT では,1 つのノードに存在できるシャドウセットの数を指定します。 また,各シャドウセットの書き込みビットマップに予約されるメモリを決定します (1.3.1 項 「メモリ要件」を参照)。 この値で重要なことは,作成されたシャドウセットは, 使われているかいないかにかかわらず,この数に含めるということです。 これは動的なシステム・パラメータではないので, 使う値を決定するときには十分考慮する必要があります。 この値を変更する場合は,システムのリブートが必要です。 OpenVMS Alpha システムのデフォルト値は 500 です。
このパラメータはシャドウセットの命名には影響しないことに注意してください。 たとえば,デフォルト値の 100 にしても,DSA999 というデバイス名は有効です。 SHADOW_MBR_TMO SHADOW_MBR_TMO パラメータは,シャドウセットの物理メンバをシャドウセットから削除する前に,システムがフェールオーバを試みる時間を制御します。SHADOW_MBR_TMO は,稼働中のシステムで変更できる動的なパラメータです。 SHADOW_MBR_TMO パラメータには,シャドウセット・メンバの復旧を試みる時間として,1~65,535 秒が指定できます。
0 を指定した場合は,デフォルトの待ち時間が使われます。 デフォルトの待ち時間は,OpenVMS のバージョンに依存します。 OpenVMS Cluster 構成のシャドウセットの場合,SHADOW_MBR_TMO の値はすべてのノードで同じ値にする必要があります。 SHADOW_MBR_TMO の適切な値は,迅速な回復と高可用性のトレードオフとして, 決定する必要があります。迅速に回復する必要がある場合は, SHADOW_MBR_TMO には小さな値を設定します。 そうすれば障害のあるシャドウセット・メンバはシャドウセットから迅速に削除され,ユーザのシャドウセットへのアクセスが継続します。 ただし,シャドウセット・メンバが削除されるとデータ可用性が低下し,障害のあったメンバが復旧したときに,シャドウセットにマウントし直すために,全体をコピーする操作が必要になります。 高可用性が重要な場合は,SHADOW_MBR_TMO に大きな値を設定します。 これにより,シャドウイング・ソフトウェアは,障害が発生したメンバへのアクセスを復旧するための時間を長くとることができます。 ただし,シャドウセットへのユーザ・アクセスは復旧処理の間,中断します。 復旧が成功すれば,全体をコピーすることなくシャドウセットへのアクセスが継続でき,データ可用性が低下することはありません。 シャドウセット・メンバが LAN にまたがって構成されている場合には,SHADOW_MBR_TMO に大きな値を設定する必要があります。 これは,ブリッジを介した復旧には時間がかかるからです。 シャドウイングでは SHADOW_MBR_TMO パラメータで指定された秒数に従ったタイマを使いますが,電源が落ちたり,ポーリングに応答しない直接接続の SCSI デバイスの場合には,デバイスをシャドウセットから削除するのに数分を要することもあります。 一部のシステム・パラメータのデフォルト設定を使用すると,マルチパス・サポート用に構成されているシャドウセット・メンバ (Volume Shadowing for OpenVMS を使用しているボリューム) が削除されることがあります。 このため,Volume Shadowing for OpenVMS を使用してマルチパス・シャドウセットを構成する場合は,表 3-3 「マルチパス・シャドウセット用のシステム・パラメータ設定」 の推奨事項に従ってください。 表 3-3 マルチパス・シャドウセット用のシステム・パラメータ設定
既存のシャドウセット・メンバの SHADOW_MBR_TMO を変更するには 4.8 項 「コピー操作とマージ操作の管理 (Integrity および Alpha)」で説明する SET SHADOW/RECOVERY_OPTIONS=DELAY_PER_SERVED_MEMBER=n コマンドを使用してください。 SHADOW_PSM_DLY SHADOW_PSM_DLY は, 複数のシステムにマウントされているシャドウセットでコピー操作またはマージ操作が必要な場合に,シャドウイング機能が自動的に追加する遅延時間をシステム管理者が調整するのを可能にします。 シャドウイング機能は,すべてのシャドウセットにローカルに接続されたシステム上で操作を実行しようとします。 シャドウイングは,MSCP でシステムに提供されているシャドウセット・メンバの数に応じて時間の遅れを追加することで,コピーあるいはマージ操作を実現します。 ローカル・メンバには遅延は追加されません。 このため,ローカルにアクセス可能なシャドウセット・メンバを持つシステムは, 1 つあるいはそれ以上のメンバのサービスを受けるため遅延が発生するシステムよりも先にコピーおよびマージを行なうことになります。 システムにシャドウセットがマウントされた場合, そのシャドウセットのデフォルトのリカバリ遅延値として SHADOW_PSM_DLY の値が使用されます。 既存のシャドウセットの SHADOW_PSM_DLY の変更には, 4.8 項 「コピー操作とマージ操作の管理 (Integrity および Alpha)」 で説明する SET SHADOW/RECOVERY_OPTIONS=DELAY_PER_SERVED_MEMBER=n コマンドを使用してください。 SHADOW_PSM_DLY は,0 ~ 65535 秒の値を持つ静的なパラメータです。 各 MSCP 提供のシャドウセット・メンバのデフォルト値は,30 秒です。 SHADOW_REC_DLY SHADOW_REC_DLY は, システム障害が発生した後あるいはシャドウセットが中断した後の システムの動作を管理します。 SHADOW_REC_DLY パラメータの値は RECNXINTERVAL パラメータの値に追加され, マウントされているシャドウセットでのマージあるいはコピー操作の 実行をシステムが待つ長さを決定します。 SHADOW_REC_DLY は,OpenVMS Cluster でリカバリ操作を実行できるシステムを指定するのに使用できます。 これは,リカバリ操作をさせたいシステムの SHADOW_REC_DLY にそれ以外のシステムの SHADOW_REC_DLY の値よりも小さな値を設定することで実行できます。 SHADOW_REC_DLY は動的パラメータで 0 ~ 65535 秒の範囲で指定します。 デフォルト値は 20 秒です。 どのシステムがマージあるいはコピー操作を行なうかを制御する方法については, 4.9.5 項 「どのシステムがマージ操作やコピー操作を行うかを制御する」 を参照してください。 SHADOW_SYS_DISK SHADOW_SYS_DISK パラメータの値を 1 にすると,システム・ディスクのシャドウイングが有効になります。 値を 0 にすると,システム・ディスクのシャドウイングが無効になります。 値を 4097 にすると,ミニマージが有効になります。 デフォルト値は 0 です。 システム・ディスクのミニマージを有効にする場合,指定した,シャドウ化されていない非システム・ディスクにダンプができるようにシステムを構成する必要があります。 これを DOSD (dump off system disk) と言います。 DOSD の詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル(下巻)』を参照してください。 また,システム・ディスクのシャドウセット仮想ユニット番号は, そのシステム・ディスク仮想ユニット番号が DSA0 でない場合は, SHADOW_SYS_UNIT システム・パラメータに指定する必要があります。 SHADOW_SYS_TMO SHADOW_SYS_TMO パラメータは,ブート処理と,通常動作の 2 つの段階で使うことができます。 SHADOW_SYS_TMO は動的なパラメータなので, システムの稼働中に変更することができます。 ブート処理の段階では,このパラメータは,クラスタの中で最初にブートして,特定のシャドウセットを作成するノードで使います。 要求したシャドウセットがクラスタにまだマウントされていなかった場合に,システム・ディスク・シャドウセットの以前のメンバがすべて使用可能になるまで,ブート中のシステムが待つ時間を,このパラメータによって延長します。 このパラメータの 2 番目の使い方は,システムがシャドウセットのマウントに成功し,通常動作を開始した後に有効になります。 SHADOW_MBR_TMO パラメータが,アプリケーション・ディスクのシャドウセットの障害のあったメンバがシャドウセットに再び戻ってくるまでオペレーティング・システムを待たせる時間を制御するのと同じように,SHADOW_SYS_TMO パラメータでは,システム・ディスクのシャドウセットの障害をおこしたメンバについてオペレーティング・システムを待たせる時間を制御します。 特定のシステム・ディスクのシャドウセットを使っているすべてのノードでは,通常動作が開始されたら,SHADOW_SYS_TMO パラメータに同じ値が設定されている必要があります。 したがって,ブートが終われば,このパラメータはシステム・ディスクのシャドウセットのメンバにだけ適用されることになります。 デフォルト値は,OpenVMS のバージョンによって異なります。すべてのメンバがシャドウセットに参加できるように,デフォルトより長くシステムを待たせたい場合は,最大 65,535 秒まで指定できます。 SHADOW_SYS_UNIT SHADOW_SYS_UNIT パラメータには,システム・ディスクの仮想ユニット番号が格納され,SHADOW_SYS_DISK パラメータが 1 に設定されている場合に設定する必要があります。 SHADOW_SYS_UNIT パラメータは,システム・ディスクの仮想ユニット番号を示す整数値です。 デフォルト値は,0 です。許される最大値は,9999 です。 このパラメータは,SHADOW_SYS_DISK パラメータの値が 1 のときだけ有効です。このパラメータは,特定のシステム・ディスクのシャドウセットからブートするすべてのノードで同じ値を設定する必要があります。 SHADOW_SYS_UNIT は動的パラメータではありません。 SHADOW_SYS_WAIT SHADOW_SYS_WAIT パラメータは, システム・ディスク・シャドウセットの, 現在マウントされているすべてのメンバが,このノードで使用可能になるまでブート・システムを待たせる時間を延長するために使います。 SHADOW_SYS_WAIT は,稼働中のシステムで変更できる動的パラメータです (デバッグ目的のためだけ)。 このパラメータが効果を持つのは,少なくとも 1 つの別のクラスタ・ノードにこのシャドウセットがマウントされているときです。デフォルト値は,255 秒です。 すべてのメンバがシャドウセットに参加できるように,256 秒のデフォルト値より長くシステムを待たせたい場合は,大きな値を設定します。この値の範囲は,1~65,535 秒です。 OpenVMS Version 7.3 で,ミニコピー・ビットマップ・メッセージを管理するための 4 つのシステム・パラメータが導入されています。 この 4 つのパラメータは,HBMM ビットマップ・メッセージの管理にも同様に適用されます。 3 つのパラメータは,OpenVMS Cluster システムにおけるマスター・ビットマップとそれに対応するローカル・ビットマップのアップデート・トラフィックの管理に使用されます。 4 つめのパラメータは,ビットマップ・システム・メッセージをオペレータ・コンソールに送信するかどうか,および,送信する場合はメッセージの量を制御します。 これらのシステム・パラメータは動的パラメータでシステム実行中に変更できます。 表 3-4 にビットマップ・システム・パラメータを示します。 ビットマップ・システム・パラメータは, メッセージをバッファリングしてその後 1 つの SCS (System Communications Services) メッセージにまとめてマスター・ビットマップをアップデートするか,あるいは各メッセージをすぐに送信するかを制御します。 これらのシステム・パラメータは, メッセージ・トラフィックのしきい値の上限および下限と トラフィックを計測する周期を設定するのに使用されます。 各リモート・ノードで発行される書き込みは,デフォルトでは,個々の SCS メッセージで 1 度に 1 つずつマスタ・ビットマップを持つノードへ送信されます。 この動作をシングルメッセージ・モードと呼びます。 リモート・ノードによって送信された書き込みが一定の期間中にしきい値の上限へ達すると,シングルメッセージ・モードからバッファードメッセージ・モードに切り替わります。 バッファードメッセージ・モードでは,一定の間隔でメッセージが集められ(最大 9),その後 1 つの SCS メッセージで送信されます。 メッセージ・トラフィックが増加する間,複数のメッセージを 1 つの SCS メッセージにまとめる方が,個々のメッセージを個別に送信するよりも効率的です。 表 3-4 ビットマップのシステム・パラメータ
ボリューム・シャドウイング・パラメータの設定や変更を行う場合は, [SYSn.SYSEXE]MODPARAMS.DAT ファイルか, 適切な AUTOGEN インクルード・ファイルを編集します。 これらのファイルを編集した後で,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』で説明しているように,SYS$UPDATE:AUTOGEN を実行します。 OpenVMS Cluster システムの場合は, 各々のノードでシステム・パラメータをアップデートする必要があります。 例 3-2 「MODPARAMS.DAT ファイル」 は,シャドウイング・パラメータを設定する割り当て文を含む,MODPARAMS.DAT ファイルの例です。 例 3-2 MODPARAMS.DAT ファイル
AUTOGEN の起動と,必要な AUTOGEN 操作を実行するための適切なコマンド修飾子についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。 システム・パラメータの値を表示するために,SYSGEN コマンドの SHOW を使うと,役に立つ場合があります。 SYSGEN ユーティリティの実行には,特別な特権は不要です。 SHOW コマンドには,修飾子とシステム・パラメータ名のどちらかを指定することができます。 あるいは,すべてのシステム・パラメータの情報を表示するために,SHOW/ALL コマンドを使うことができます。 SHOW コマンドの詳細を表示するには,SYSGEN> プロンプトで HELP SHOW と入力してください。 次の例は,SHADOWING パラメータの現在のデフォルト値,最小値,および最大値を調べる方法を示しています。
動的ボリューム拡張 (DVE) の基本は,拡張用のビットマップ・スペースを,そのボリュームで使用する予定の最大サイズまであらかじめ割り当てておくことです。 現在の上限は,1 TB です。 拡張用のビットマップ・スペースをあらかじめ割り当てる処理は,ディスク初期化時に INITIALIZE/LIMIT コマンドで実行するか,マウントされたボリューム上で SET VOLUME/LIMIT コマンドにより実行します。 拡張用のビットマップ・スペースを割り当てておくと,その後,そのデバイスをマウントしたまま SET VOLUME volume-name/SIZE=xxx コマンドを使用して論理ボリューム・サイズを拡張できます (論理ボリューム・サイズは,ファイル・システムに割り当てられているディスク・スペースの量です)。 たとえば,1 TB のストレージ用にディスクを準備して (1 TB のビットマップ・スペースを割り当てます),現時点では 18 GB だけを使用することもできます。 翌年には 36 GB まで大きくするなど,最大 1 TB になるまで拡張できます。 ディスク上のストレージの最大サイズを割り当てることにより,アプリケーションを停止したり,ディスクをディスマウントすることなく,ボリュームのサイズを大きくすることができます。 SET VOLUME/LIMIT コマンドを使用して追加ビットマップ・スペースを割り当てるには,ディスクをプライベートにマウントしなければなりません。 ただし,一旦割り当てると,ディスクを共有可能 (MOUNT/SHARE) でマウントしている間も,ボリュームを拡張できます。 物理ボリュームに拡張用のスペースがなくても,追加ビットマップ・スペースを割り当てておくことができます。 拡張用のビットマップ・サイズを割り当てるためのコマンドと,ボリューム・サイズを拡張するためのコマンドは, OpenVMS Integrity Version 8.2 以降および OpenVMS Alpha Version 7.3-2 以降で利用できます。 DVE を使用するボリュームは,OpenVMS Integrity Vrersion 8.2 以降または OpenVMS Alpha Version 7.2 以降で使用できます。
次のコマンドは,新しいボリュームに拡張用のビットマップ・サイズを割り当てます。
次のコマンドは,マウント済みのボリューム上に,余裕を持たせたビットマップ・サイズを割り当てます。
これらのコマンドのデフォルトの /LIMIT サイズは 1 TB です。 このサイズは,現在 OpenVMS でサポートされている最大サイズでもあります。 特殊な状況では,これより小さいサイズを指定することもできます。 INITIALIZE あるいは SET VOLUME コマンドで /LIMIT 修飾子を使用する際に BITMAP.SYS ファイルを数百ブロック増やしておくと,将来柔軟な対応が可能になります。 追加の物理ストレージが利用可能になった場合 (シャドウセットに大きなデバイスを追加して小さいメンバを削除するか,ストレージ・サブシステム上のサイズを大きくした場合),次のコマンドを入力して,ボリューム・サイズを大きくすることができます。
このコマンド構文では,x はブロック数です。
INITIALIZE/SIZE コマンドを使用すると,ボリュームの現在の物理サイズよりも小さいファイル・システムを作成できます。 36 GB のディスクがあり,将来 18 GB のディスクの追加を予定している場合は,次のコマンドでディスクを初期化します。
この例で 35,500,000 ブロックは約 17.75 GB に相当します。 Volume Shadowing を利用する場合,オリジナル・ディスクのサイズを 後から追加する 18 GB よりも小さなサイズで初期化しておく必要があることに注意してください。 システムに新しいボリュームを追加する場合,ディスクを INITIALIZE/LIMIT で初期化して,ボリュームの拡張限界値を大きくしておきます。 使用中のボリュームの拡張限界値を大きくするには,SET VOLUME/LIMIT コマンドを使用します。 次のメンテナンス時などの都合のよいタイミングで,SET VOLUME/LIMIT コマンドを使用して拡張限界値を大きくすることを検討してください。 INITIALIZE/LIMIT を使用した場合,デフォルトのクラスタ・サイズ (/CLUSTER_SIZE 用) は 8 です。 この値により,ビットマップが占めるスペースの量が決まります。 ストレージの必要量が予想外に増えた場合,デバイスがマウントされた状態のまま,後でボリュームを拡張することができます (SET VOLUME volume-name/SIZE=xxxx コマンドを使用します)。 複数のノードが共通のシステム・ディスク・シャドウセットからブートする場合,すべてのノードがシステム・ディスク・シャドウセットのソース・メンバの物理ディスクを指定していることを確認してください。 ブート時に,ボリューム・シャドウイング・ソフトウェアは,ブート・デバイスの SCB (ストレージ制御ブロック) に含まれるシャドウイング・メンバシップ情報に基づいて,完全なシステム・ディスク・シャドウセットを構築しようと試みます。 SCB は,各々のストレージ・デバイスに含まれる ODS-2 または ODS-5 のファイル・システム・データ構造を持ち, シャドウセット・メンバシップに関する情報を持ちます (6.1 項 「シャドウセットの整合性」 で説明)。 ブート時に SCB に入っている情報に応じて,以下のシナリオが考えられます。
ブート処理では,システム・ディスク・シャドウセットのすべてのメンバを, 自動的に検索します。スタートアップ・プロシージャの中では, 以前フェーズ I シャドウイングがサポートされていたときに推奨されていたような, システム・ディスク・シャドウセット・メンバの追加は行わないでください。
ブート・デバイスで障害が発生すると, 次のコンソール警告メッセージが表示されます。
ブート・デバイスが修復されたら, 手作業でそれをシステム・ディスク・シャドウセットに戻します。 OpenVMS オペレーティング・システムは,サテライト・ノードをブートするのに, MOP (Maintenance Operations Procedure) プロトコルを使います。 MOP プロトコルは,LANCP ユーティリティが制御する LANACP プロセス,または NCP や NCL ユーティリティが制御する DECnet ソフトウェアによってサポートされます。 LANCP コマンド,NCP コマンド,または NCL コマンドを使用して (サテライトのブートにどのコマンドを使用しているかによります),サテライトのシステム・ディスクの名前を指定しなければなりません。 システム・ディスクがシャドウ化されている場合,コマンドでは, 物理ユニットではなく仮想ユニットか仮想ユニット論理名を指定する必要があります。 MOP サーバは,サテライトへのダウンライン・ロード操作を行うために, (定義された仮想ユニットを使って) システム・ディスク・シャドウセットにアクセスします。 この操作には,サテライトへの物理ブート・デバイス名のダウンライン・ローディングも含まれます。 ダウンライン・ローディングが完了すると, サテライトは MSCP サーバへの接続が可能になり,物理ブート・デバイスへ直接アクセスします。 その後,サテライトのシャドウイング・パラメータは, 非サテライト・ノードと同様に使われます。 MOP サーバ,MSCP サーバ,およびサテライト・パラメータを自動的に設定するために, SYS$MANAGER:CLUSTER_CONFIG_LAN.COM プロシージャ, または SYS$MANAGER:CLUSTER_CONFIG.COM プロシージャを使うことができます。 サテライト・ノードをクラスタ構成コマンド・プロシージャで構成する場合は, シャドウ・システム・ディスクの仮想ユニットをサテライトのシステム・ディスクとして指定できます。 そうすると,クラスタ構成コマンド・プロシージャはサテライトのシステム・パラメータである SHADOW_SYS_DISK と SHADOW_SYS_UNIT を, 自動的に設定します。これらのパラメータの値は,VAX サテライトの場合は, VAXVMSSYS.PAR システム・パラメータ・ファイルへ,Alpha サテライトの場合は, ALPHAVMSSYS.PAR システム・パラメータ・ファイルへ,自動的に転送されます。 このコマンド・プロシージャの使用法の詳細は, 『OpenVMS Cluster システム』を参照してください。 例 3-3 「サテライト・ノードの LANCP データベースの例」 は,LANCP サテライト・データベースのエントリを表示するために入力するコマンドを示します。 例 3-3 サテライト・ノードの LANCP データベースの例
DECnet--Plus のコマンドについては, 『DECnet--Plus』のドキュメントを参照してください。 例 3-4 「サテライト・ノードの DECnet データベースの例」 は,サテライトの DECnet データベース・エントリを表示するために,MOP サーバに入力する NCP コマンドを示します。 Load Assist Parameter は,サテライト・ノード HIWAY1 をダウンライン・ロードするシャドウセット仮想ユニット名を表示していることに注意してください。 例 3-4 「サテライト・ノードの DECnet データベースの例」 では明示的な仮想ユニット名を使っていますが, 仮想ユニットに変換される論理名を使うほうが良いかもしれません。 例 3-4 サテライト・ノードの DECnet データベースの例
サテライト・ノードの SHADOW_MBR_TMO パラメータと SHADOW_MAX_COPY パラメータの設定は,調整する必要があります。これらのパラメータは, クラスタ構成コマンド・プロシージャでは,自動的には設定されません。 詳細は,3.3 項 「ボリューム・シャドウイングのパラメータ」 を参照してください。 サテライト・ノードでシステム・ディスクをシャドウ化したいときは, クラスタ構成コマンド・プロシージャで,シャドウイングを自動的に有効にできます。 システム・ディスクのシャドウ化は不要だが,シャドウイングは有効にしたい場合は, クラスタ構成コマンド・プロシージャの完了後,手作業で行う必要があります。 サテライト・ノードの MODPARAMS.DAT ファイル内のシャドウイング・パラメータを設定し,3.3 項 「ボリューム・シャドウイングのパラメータ」 と 3.4.1 項 「システム・パラメータの設定」 で説明している AUTOGEN を実行してください。 図 3-1 「サテライト・ノードのブート」 は,OpenVMS Cluster システム構成に配置されたシャドウ化されたシステム・ディスクを持つ,2 台のサテライト・ノードを示します。 この構成で,デバイスの $254$DUA1 と $254$DUA2 は,2 メンバのシャドウセットを構成しています。 サテライトの HIWAY1 と BYWAY2 は, 2 台のブート・ノードで稼働している MSCP サーバを経由して, Ethernet を通じてシャドウセット・メンバにアクセスします。 図 3-1 「サテライト・ノードのブート」 のサテライト・ノードがブートする際に, ブート・ノード (MOP サーバ) は,初期ブートストラップ・コードを仮想ユニット DSA1 からダウンライン・ロードします。 ブート・ノードは, サテライトに対し,ブート処理の残りの部分では,ブート・デバイスとして $254$DUA1 か $254$DUA2 のいずれかを使うように指示します。 ブート・ノードには仮想ユニットがマウントされている必要があることに注意してください。 その後,サテライトは,ブート・デバイスの SCB に格納されているシャドウセット・メンバシップ情報に従って, システム・ディスク・シャドウセットをローカルに構成します。 次に示す SHOW DEVICES コマンドでは,サテライト・ノード HIWAY1 のブート後のシャドウセットの見え方を示しています。 この例では,物理ディスク・デバイスは MSCP サーバ・ノードの BTNODE を通じてアクセスされます。
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