日本−日本語 |
|
|
HP OpenVMS: Volume Shadowing for OpenVMS 説明書第9章 シャドウ化されたシステムでのシステム管理作業 |
|
目次 この章では,ボリューム・シャドウイングを使っているスタンドアロン・システムや OpenVMS Cluster システムで, システム管理作業を行う方法を説明します。 オペレーティング・システムのアップグレードは,シャドウイングのサポートを無効にできるときに行うことが重要です。 これは,システム・ディスクがシャドウ化されているときには, OpenVMS オペレーティング・システムを新しいバージョンにアップグレードすることが,できない ためです。 システム・ディスクがシャドウセットのアクティブ・メンバのときに, アップグレードしようとすると,アップグレード手順は失敗します。 この手順は,4 つの部分に分かれています。
アップグレードが完了し,アップグレードされたノードで AUTOGEN の実行が終了すると,以下の手順に従ってアップグレードされたノードのシャドウイングを有効にすることができます。
アップグレードされたディスクから別のノードをブートすると, 各々のノードがブートしたときに,OpenVMS のアップグレード手順によって AUTOGEN が自動的にアップグレードされ実行されます。 アップグレードされたディスクから別のノードをブートする手順は, アップグレードされたディスクがシャドウセットになっているかどうかで異なります。
システムのアップグレードに成功し,(レイヤード・プロダクトのインストールのような) アップグレード後の作業を完了したら, 以下のステップに従ってください。
通常,ユーザやアプリケーションは仮想ユニットを通じてシャドウセットにアクセスします。 特定のシャドウセット・メンバのデータを変更し,変更したデータを他のシャドウセット・メンバに渡したい場合があります。 以下に示す一連のコマンドは,1 つのシャドウセット・メンバで特別な処理を実行し,その変更を他のシャドウセット・メンバに転送するためにシャドウセットを解除し,再び作成する方法を示しています。 次のコマンドで 3 つのシャドウセット・メンバからなるシャドウセットをマウントします。
次のコマンドで前のコマンドでマウントされたシャドウセットを解除し, 個々のシャドウセット・メンバが使えるようにします。
次のコマンドで前のシャドウセット・メンバの 1 つをディスク・ボリュームとしてシャドウセットの外部にマウントします。
このコマンドでは, 書き込みアクセス権を持つために /OVERRIDE=SHADOW_MEMBERSHIP 修飾子を使ってシャドウセット世代番号を 0 にしなければなりません。 この時点でディスクはシャドウ化されていないボリュームとしてマウントされ, 必要に応じて変更できます。 新しいシャドウセットを作成する前に, 次のように,$45$DUA2 物理ディスクをディスマウントします。
2 番目のコマンドで $45$DUA2 を唯一のメンバとして, シャドウセットが再び作成されます。 /OVERRIDE=SHADOW_MEMBERSHIP 修飾子を指定して $45$DUA2 をマウントすると, ボリューム・シャドウイング世代番号が,自動的に 0 になることに注意してください。 誤って Mount コマンドで $45$DUA2 も含めた以前のシャドウセットのメンバを すべて 指定すると, 以前のシャドウセットが再マウントされたと判断されるため, MOUNT コマンドが $45$DUA2 を無関係なボリュームとみなし, コピー操作が必要と判断されます。 これによって $45$DUA2 に行った変更が上書きされてしまいます。 $45$DUA2 の現在の内容を保存するためには,次の MOUNT コマンドによって以前の 2 つのシャドウセット・メンバを新しいシャドウセットに追加します。
このコマンドで $45$DUA4 と $45$DUA8 がシャドウセット DSA9 に追加されます。 これによりオリジナルのシャドウセットが再び作成されますが, 各々のシャドウセット・メンバには,$45$DUA2 に対して行ったデータ変更が反映されているところが違います。 シャドウセットは,1 つの高度に可用性のあるディスクとみなすことができます。 そのため,シャドウ化されていないディスクをバックアップする技法がシャドウセット仮想ユニットに適用できます。 ただし,シャドウセットの整合性と完全性を維持するために, 7.11 項 「バックアップ用にシャドウセット・メンバを使う際のガイドライン」 のガイドラインに厳密に従わない限り, 仮想ユニットをディスマウントしないで, シャドウセットの物理メンバを削除することは行わないでください。 バックアップ操作のときにシャドウセットのいくつかのディスク・メンバをアクティブのままにしておくと,シャドウセットのいくつかのディスクではファイルがオープンされたままなので,データの完全性が失われる可能性があります。 シャドウセットのメンバをバックアップ操作のソースにする方法については, 4.10.4 項 「バックアップ用にメンバを 1 つ減らしてディスマウントと再マウントを行う」 を参照してください。 以下のリストでは,シャドウセットのバックアップで使えるオプションについて説明します。 これらは,シャドウ化されていないディスクでは使うことができません。
HSC の BACKUP と RESTORE 機能をシャドウセット・メンバの内容を保存したり復元するために使うことは,お勧めできません。 これらの HSC ユーティリティはディスクを物理的に扱うだけなので,OpenVMS ファイル・システムを扱うことはできません。 HSC の BACKUP と RESTORE 機能でも, (そのボリュームのファイル・システムで使われていないブロックを含め) ディスク・ボリューム全体の内容の保存や復元を行いますが,特定のファイル, ファイルのグループ,ディレクトリ,およびサブディレクトリなどの保存や復元は行いません。 また,これらのユーティリティは,ディスクの断片化の整理も行いません。 また,このユーティリティでは,シャドウセット仮想ユニットのコンテキストを復元することができません。 以降の項では, シャドウセットのバックアップ操作のいくつかのアプローチを説明します。 シャドウセットに対して BACKUP 操作を実行するのに, オペレーティング・システムの配布メディアに含まれているスタンドアロンの メニュー形式のプロシージャは使わないでください。 ボリューム・シャドウイングを使用するスタンドアロン BACKUP には以下の制限事項があります。
この例では,ボリューム・シャドウイングのコピー操作を使って, シャドウセットのバックアップに利用できる,同じ内容でオフラインのディスク・ボリュームを作成する方法を説明します。 次のコマンドで,1 つのシャドウセット・メンバからなるシャドウセットを作成します。
以下のコマンドで,シャドウセットに 2 番目のメンバ $1$DUA11 を追加します。
この時点で,シャドウセットをディスマウントする前に, コピー操作が完了するのを待つ必要があります。コピー操作が完了すると, システム・コンソールとメッセージを受け取るようになっているオペレータにメッセージが送られます。 以下のコマンドを実行すると,シャドウセットがディスマウントされ, $1$DUA10 と $1$DUA11 が論理的に同値なボリュームになります。
この時点で,いずれかのボリュームを使ってシャドウセットを再作成し, 残りをバックアップとして取っておくか, バックアップ操作のソースとして使うことができます。 通常,OpenVMS のバックアップ・ユーティリティ (BACKUP) は, 普通のボリュームの場合と同様に,シャドウセットに対しても使うことができます。 ボリュームのバックアップ方法については,『HP OpenVMS System Manager’s Manual』を参照してください。 入力指定子として, 物理デバイス名の代わりに,シャドウセット仮想ユニット名を使うことによって, シャドウセットの BACKUP セーブ・セット, あるいはコピーを作成することができます。 ただし,出力指定子として仮想ユニット名を指定することで,シャドウセットを復元できるとは限りません。 バックアップを復元する際の主な制限は, /FOREIGN 修飾子を指定してターゲット・ボリュームをマウントできないことです。 BACKUP/IMAGE による正しい復元の手順は, 9.3.4 項 「シャドウセットで BACKUP/IMAGE を使う」 で説明しています。 BACKUP コマンドの形式は次のとおりです。 BACKUP input-specifier output-specifier この形式は,他の BACKUP 操作と同じです。 たとえば,次のコマンドでは仮想ユニットを入力指定子として指定しています。
このコマンドは,最後にバックアップを行った後に作成もしくは変更されたシャドウセット DSA2 上のすべてのファイルを保存し, 現在の日時をバックアップの日付として記録します。 BACKUP/IMAGE セーブ・セットからシャドウセットを復元する際には, 特別な注意が必要です。 物理ボリュームによる BACKUP/IMAGE 操作については,『HP OpenVMS System Manager’s Manual』と『HP OpenVMS System Management Utilities Reference Manual』を参照してください。 BACKUP/IMAGE 操作は,ターゲット・ボリュームを他のシャドウセット・メンバより新しいものとしてマークします。 これは,このボリュームを使ってシャドウセットを再作成しようとすると, このボリュームがコピー操作のソースになることを意味します。 BACKUP のセーブ・セットやコピーをシャドウセットの仮想ユニットから作成することはできますが,BACKUP/IMAGE 復元を行うために /FOREIGN 修飾子を使ってシャドウセットをマウントすることはできません。 物理ディスクへ復元して,復元したディスクをシャドウセット・メンバとしてシャドウセットを作成し直す (例 2) か,保存操作が互換ディスクへのコピーだった場合は,そのディスクをメンバとしてシャドウセットを作成し直す (例 3) かの,いずれかが可能です。 BACKUP/IMAGE 操作のターゲットは, それを使ってシャドウセットを作成し直す場合は,コピー操作のソースになります。 例 1 この例ではシャドウセットの再構築が終わった後で, 以前のシャドウセット・メンバでバックアップを行う方法を示しています。
上記のコマンドではシャドウセット DSA0 をマウントしています。 次のコマンドを使ってシャドウセットをディスマウントする前に, すべてのコピー操作が完了していることを確認してください。
このコマンドでシャドウセットをディスマウントします。
このコマンドは $1$DUA11 無しでシャドウセットをオンラインに戻します。 シャドウセットがオンラインであれば,テープへのバックアップが可能です。
これらの 2 つのコマンドは,BACKUP コマンドの準備のために以前のシャドウセット・メンバと磁気テープをマウントします。
このコマンドは,$1$DUA10 をメンバするシャドウセットをオンラインで使っている間に $1$DUA11 から BACKUP/IMAGE セーブ・セットを作成します。 例 2 この例は,イメージ・セーブ・セットからシャドウセットを復元する方法を示します。 イメージ・セーブ・セットをシャドウセットに直接復元することはできません。 これは,BACKUP 出力メディア (シャドウセット) をフォーリン・ボリュームとしてマウントする必要があるためです。
これらの 2 つのコマンドは,復元操作のためにセーブ・セットの磁気テープを入力指定子として指定し,以前のシャドウセット・メンバを出力指定子として指定して,マウントします。
このコマンドは,セーブ・セットから $1$DUA10 を復元します。
このコマンドは,シャドウセットにマウントする準備のため, 復元したボリュームをディスマウントします。
このコマンドは,復元したシャドウセット・メンバをシャドウセットに マウントします。イメージ・バックアップ操作の出力は, シャドウセットの以前のメンバより新しい世代番号を持っています。 したがって,シャドウセットを構成しようとすると, $1$DUA10 (復元されたボリューム) がコピー操作のソースになります。 例 3 この例は,シャドウセットの BACKUP/IMAGE コピー操作を示しています。 イメージのバックアップ操作では,出力ファイルが連続的に格納され, ディスクの断片化がなくなります。この操作の出力デバイスは, /FOREIGN 修飾子を指定してマウントする必要があるため, 以下のコマンドで示すような特別なステップを実行する必要があります。
最初のコマンドはシャドウセット DSA0 をマウントします。2 番目のコマンドは, ボリューム $1$DUA20 を BACKUP/IMAGE 操作の出力としてマウントします。 /FOREIGN 修飾子が必要です。
このコマンドは,仮想ユニット名を入力指定子として指定して, イメージ・バックアップを行います。 シャドウセットのイメージ・バックアップ・コピーは, シャドウセットの既存メンバより新しいバックアップ・リビジョン番号を持ちます。
これらのコマンドは,シャドウセットを作成し直す準備として, イメージ・バックアップのターゲットとシャドウセットをディスマウントします。
このコマンドは,イメージ・バックアップ・ディスクをシャドウセット・メンバの 1 つとしてシャドウセットを再構築します。 その他の以前のシャドウセット・メンバは,コピー操作の対象になります。 複数メンバのシステム・ディスク・シャドウセットがマウントされていて, システム障害が発生した場合,その結果作成されるクラッシュ・ダンプ情報は, 最初は 1 つのシャドウセット・メンバのダンプ・ファイルのみに書き込まれます。 ダンプ操作が正しく完了すると,ダンプ・ファイルが書き込まれたメンバのユニット番号が,コンソール・デバイスに表示されます。ダンプが書き込めなかった場合 (たとえば,ダンプ・ユニットへのパスがないか,適切でない場合) は,エラー・メッセージが表示されます。
HBMM あるいは HSC あるいは HSJ ストレージ・コントローラを使用している場合, 以下の手順に従って,シャドウ化されたシステム・ディスクでミニマージを有効にしたり,シャドウ化されていない非システム・ディスクにダンプを書き込むようにすることができます。
クラッシュ・ダンプが書き込まれるシステム・ディスクで誤ってミニマージを有効にし,DOSD を設定していない場合,どのディスクに正しいダンプが存在するかわかっていれば回復できます。 そのメンバを削除してマウントし直し,そのメンバからダンプを削除してください。 システムがリブートされると,シャドウイング・ソフトウェアは自動的にマージ操作を開始します。 このマージ操作は,自動的にダンプ・ファイルをすべての他のメンバに転送し,システム障害によって生じたその他の不整合も修正します。 システムは,オリジナルのブート・デバイスか, 現在のマスタ・メンバ・デバイスのいずれかからリブートできます。 ブート時に,シャドウセットのすべてのメンバのパスが同じタイプのアダプタ上にある場合,シャドウイング・ソフトウェアは,ブートするすべてのノードで, 現在のマスタ・デバイスとダンプ・デバイスを正しく指定することができます。 ブート時には,いくつかの OPCOM メッセージで, ダンプ・デバイスのステータスやシステムのリブート条件に関する情報が表示されます。 ブート・デバイスがシャドウセットの現在のメンバでない限り, システムをリブートすることはできません。 複数メンバのシステム・ディスク・シャドウセットからブート・デバイスが無くなると, 警告がコンソール・デバイスに表示され,OPCOM メッセージが表示されます。
システムによっては,複数のデバイスを同じシステム・ディスク・シャドウセットのメンバにすることができます。 詳細は,システムのマニュアルを参照してください。 マージ操作の最中に SDA (System Dump Analyzer) を使って, 仮想ユニットのダンプ・ファイルにアクセスすると, シャドウセットでマージ操作を行っているときに, SDA コマンドの ANALYZE/CRASH を入力してダンプを調べることができます。 SDA がダンプ・ファイル内のマージの済んでいない部分にアクセスすると, 読み取りデータが SDA に返される前にシャドウイング処理がシャドウセット・メンバ間のデータの不整合を解消します。 マージ操作の最中に,CLUE (Crash Log Utility Extractor) コマンドを使って仮想ユニットにあるダンプ・ファイルにアクセスすることもできます。 CLUE コマンドは,クラッシュ・ファイルのフットプリントを .LIS ファイルに自動的に作成し,将来参照できるように格納します。
|
|