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OpenVMS マニュアル |
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目次 | 索引 |
この章では,個人辞書編集ユーティリティ (JDICEDIT) について説明します。
個人辞書編集ユーティリティ (JDICEDIT) は,日本語エディタなどの「かな漢字変換」が使用する単語辞書 ( 個人辞書 ) を編集するためのユーティリティで,次の機能があります。
扱う単語辞書は「個人辞書」のみです。「システム辞書」の参照・変更はできません。また,文節学習,文節切り学習データファイルの参照,変更もできません。
この節では,JDICEDIT コマンドの形式,パラメータについて説明します。
というプロンプトが表示され,サブコマンドの入力を要求します。
サブコマンドについての詳細は, 第 5.3 節 をご覧ください。
5.1 機能概要
5.2 JDICEDIT コマンド
JDICEDIT
個人辞書編集ユーティリティを起動します。
形式
JEDIT/PERSONAL_DICTIONARY [サブコマンド [ / 修飾子...] [パラメータ] ]
パラメータ
サブコマンド
JDICEDIT ユーティリティの持つサブコマンドを指定します。
サブコマンドを省略した場合は,
JDICEDIT>
サブコマンド | 機能 |
---|---|
APPEND | 単語ファイルの単語を辞書ファイルに追加登録します。 |
CREATE | 新しい辞書ファイルを作成します。 |
EDIT | 画面上で単語を登録・削除・検索します。 |
EXIT | 終了します。 |
EXTRACT | 辞書ファイルの単語をファイルに出力します。 |
HELP | ヘルプを表示します。 |
REBUILD | 辞書ファイルを再構成します。 |
SHOW DICTIONARY | 省略時の辞書ファイル名を表示します。 |
次の項から各サブコマンドについて説明します。
5.3.1 APPEND
日本語エディタなどで作成した単語ファイルの単語を辞書ファイルに追加登録します。辞書ファイルのバージョンは更新され,旧バージョンの辞書ファイルはそのまま残ります。単語ファイルの形式については, 第 5.6 節 を参照してください。
<形式>
JDICEDIT> APPEND [/修飾子] [辞書ファイル名]
辞書ファイル名を省略した場合には,SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHO に追加登録します。論理名 JSY$KOJIN が定義されているときは,その辞書ファイルに追加登録します。
<修飾子>
/INPUT [=ファイル指定 [,...] ]
入力する単語ファイル名を指定してください。日本語ファイル名は指定できません。ファイル名の省略時設定値は‘辞書ファイル名.TANGO’です。
/LIST [=ファイル指定]
/NOLIST (省略時設定)
単語ファイルの内容をエラー情報を含めて出力します。RMS が日本語モードの場合には,最大 118 文字までの日本語ファイル名を指定できます。ファイル名の省略時設定値は‘単語ファイル名 .LIS’です。
/LOG (省略時設定)
/NOLOG
更新された辞書ファイル名を表示します。
5.3.2 CREATE
空の辞書ファイルを作成します。新規の辞書ファイルを作成する場合は,まず CREATE サブコマンドで辞書ファイルを作成し,次に APPEND または EDIT サブコマンドで単語を登録します。
<形式>
JDICEDIT> CREATE [ /修飾子 ] 辞書ファイル名
新規に作成する辞書ファイル名を指定します。日本語ファイル名は指定できません。また,辞書ファイル名は省略できません。
<修飾子>
/LOG (省略時設定)
/NOLOG
作成した辞書ファイル名を表示します。
5.3.3 EDIT
辞書ファイルの単語を画面に表示して単語の登録・削除・検索を行います。 EDIT 終了時に辞書ファイルの更新を指定すると,バージョンを更新した新しい辞書ファイルが作られ,旧バージョンの辞書ファイルはそのまま残ります。日本語ファイル名は指定できません。
<形式>
JDICEDIT> EDIT [ /修飾子][ 辞書ファイル名]
辞書ファイル名を省略した場合には,SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHO を編集します。論理名 JSY$KOJIN が定義されている場合は,そのファイルを編集します。
<修飾子>
/LOG (省略時設定)
/NOLOG
出力した辞書ファイル名を表示します。
5.3.3.1 画面レイアウト
図 5-1 EDIT の画面レイアウト
EDIT の画面を表示中はキーパッドに 図 5-2 の機能が定義されています。
図 5-2 キーパッドの機能
図 5-3 単語登録時の画面レイアウト
単語の読み・表記を入力後,矢印キーとスペース・キーを用いて文法情報をセットし,[ENTER] キーで登録してください。登録された単語が画面上に表示されます。
登録前の単語をキャンセルしたいときは
[CTRL/C] を,単語登録モードを終了するときは [CTRL/Z] を押してください。単語の読み,表記,文法情報については
第 5.4 節 と 第 5.5 節 を参照してください。
単語の読み・表記の入力には,かな漢字変換の機能が利用できます。漢字変換キーパッドの設定は日本語環境設定ユーティリティ (JSY$CONTROL) を使うと簡単に設定できます。詳しくは
第 1 章 を参照してください。
5.3.4 EXIT
JDICEDIT ユーティリティを終了します。
<形式>
JDICEDIT> EXIT
5.3.5 EXTRACT |
辞書ファイルの単語を単語ファイルに出力します。
<形式>
JDICEDIT> EXTRACT [ /修飾子 ][ 辞書ファイル名]
辞書ファイル名には日本語ファイル名は指定できません。省略した場合には,SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHO の単語を出力します。論理名 JSY$KOJIN が定義されているときは,その辞書ファイルの単語を出力します。
<修飾子>
/OUTPUT=file-spec
出力する単語ファイル名を指定します。RMS が日本語モードの場合には,最大 118 文字までの日本語ファイル名を指定できます。ファイル名の省略時設定値は‘辞書ファイル名 .TANGO’です。
/USER_REGISTERED
辞書ファイルの単語の中から利用者登録語だけを単語ファイルに出力します。省略時は,すべての単語を出力します。
/LOG (省略時設定)
/NOLOG
出力した単語ファイル名と出力した単語数を表示します。
5.3.6 HELP
JDICEDIT ユーティリティの HELP を表示します。
<形式>
JDICEDIT> HELP [トピック]
HELP を表示するトピックを指定します。
トピックが指定されなかった場合は,すべてのトピックが表示され,会話的に選ぶことができます。
[CTRL/Z] または [Return] を押すと,もとのモードに戻ります。
5.3.7 REBUILD
辞書ファイルを再構成し,新しいバージョンの辞書ファイルを作ります。旧バージョンの辞書ファイルはそのまま残ります。REBUILD サブコマンドによる辞書ファイルの再構成は,以下のようなときに有効です。
ある特定の読みの単語の数が多すぎて,追加登録ができないときは上記のエラーが発生します。このような辞書ファイルを REBUILD サブコマンドで再構成します。ただし,再構成しても,なおかつ特定の読みの単語の数が多すぎるときは警告メッセージで通知しますから,その場合は不要な単語を EDIT サブコマンドを使用して削除してください。
<形式>
JDICEDIT> REBUILD [/修飾子][辞書ファイル名]
辞書ファイル名には日本語ファイル名は指定できません。省略した場合には,SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHO を再構成します。論理名 JSY$KOJIN が定義されているときは,その辞書ファイルを再構成します。
<修飾子>
/LOG (省略時設定)
/NOLOG
出力した辞書ファイル名を表示します。
5.3.8 SHOW DICTIONARY
各サブコマンドにおいて辞書ファイル名の指定を省略した場合に使用する省略時設定の辞書ファイル名を表示します。省略時設定の辞書ファイルは,論理名 JSY$KOJIN が定義されているときはそのファイル,定義されていないときは SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHO です。
<形式>
JDICEDIT> SHOW DICTIONARY
5.4 単語の読みと表記 |
この節では,単語の読みと表記について説明します。
サ変名詞 | 5段動詞 | 上1 | 下1 | 形容詞 | 形容動詞 | |
---|---|---|---|---|---|---|
未然 | 運転しない | 書かない | 見ない | 投げない | 寒かろう | 静かだろう |
連用 | 運転します | 書きます | 見ます | 投げます | 寒く | 静かに |
終止 | 運転する | 書く | 見る | 投げる | 寒い | 静かだ |
連体 | 運転するとき | 書くとき | 見るとき | 投げるとき | 寒いとき | 静かな |
仮定 | 運転すれば | 書けば | 見れば | 投げれば | 寒ければ | 静かならば |
命令 | 運転せよ | 書け | 見ろ | 投げろ |
注意 ‘#’は1つの単語に1つしか使えません。また‘*' と同時に使用することはできません。 |
注意 ‘*’だけからなる表記は,登録可能ですが,かな漢字変換に悪影響を及ぼすことがありますので,登録しないように注意してください。 ‘*’は1つの単語に1つしか使えません。また‘#' と同時に使用することはできません。 XTPU/JEVE,日本語ライブラリの JLB$GET_INPUTルーチンなどでは,入力文字列を全角ひらがな変換してから,かな変換ルーチンを渡すため‘*’は変換に反映されません。 |
単語の文法情報について 表 5-1 にまとめます。
キーワード | 国文法 | 例 |
---|---|---|
名 | 普通名詞,固有名詞(人名・地名を除く),代名詞,人称代名詞,数詞 | 万年筆,コンピュータ,あれ,私 |
サ名 | サ変名詞 | 運転,テスト,プレイ |
人名 | 苗字,名前 | 織田信長,シェークスピア |
地名 | 地域の名前 | シカゴ,デトロイト |
副 | 副詞 | とても,すっごく |
感動 | 感動詞 | ほんとー,ウワー |
接続 | 接続詞 | しかし,ばってん |
連体 | 連体詞 | あの,その,偉大なる |
接頭 | 接頭語 | 純〜,初〜 |
形容 | 形容詞 | 白(い),寒(い),カワイ(い) |
形動 | 形容動詞 | 静か(な),アンティック(な) |
トタル | 形容動詞トタル活用 | 堂々(たる),正々堂々(たる) |
尾名 | 名詞に付く接尾語 | 〜制,〜仕込み |
尾人 | 人名に付く接尾語 | 〜君,〜ちゃん |
尾地 | 地名に付く接尾語 | 〜産 |
上下 | 上1段活用動詞,下1段活用動詞 | 落ち(る),起き(る) |
サ変 | サ行変格活用動詞で終止形が「する」 | 愛(する),決(する) |
ザ変 | サ行変格活用動詞で終止形が「ずる」 | 信(ずる),重ん(ずる) |
カ変 | カ行変格活用動詞 | 来(る),(来)た |
カ5 | カ行5段活用動詞 | 書(く),咲(く) |
ガ5 | ガ行5段活用動詞 | 泳(ぐ),漕(ぐ) |
サ5 | サ行5段活用動詞 | 指(す),示(す) |
タ5 | タ行5段活用動詞 | 立(つ),打(つ) |
ナ5 | ナ行5段活用動詞 | 死(ぬ) |
バ5 | バ行5段活用動詞 | 呼(ぶ),遊(ぶ) |
マ5 | マ行5段活用動詞 | 読(む),囲(む) |
ラ5 | ラ行5段活用動詞 | 乗(る),切(る) |
ワ5 | ワ行5段活用動詞 | 買(う),思(う) |
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