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OpenVMS マニュアル


 

OpenVMS ドキュメント
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目次
まえがき
第 1 章:日本語環境設定ユーティリティ (JSY$CONTROL) -- I64/Alpha のみ
第 2 章:日本語メール・ユーティリティ (JMAIL) -- Alpha/VAX のみ
第 3 章:日本語ソート/マージ (SORT/MERGE)
第 4 章:ローマ字・かな漢字変換型 INQUIRE (KINQUIRE)
第 5 章:個人辞書編集ユーティリティ (JDICEDIT)
第 6 章:漢字コード変換ユーティリティ (KCODE)
第 7 章:DEC 漢字コード変換ユーティリティ (KCONVERT) -- Alpha/VAX のみ
第 8 章:デバッガの日本語拡張機能
第 9 章:日本語DECnet/SNA リモート・ジョブ・エントリ (RJE) -- Alpha/VAX のみ
第 10 章:日本語DECnet/FNA リモート・ジョブ・エントリ (F-RJE) -- VAXのみ
第 11 章:日本語メッセージ -- Alpha/VAX のみ
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日本語ユーティリティ 利用者の手引き


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第 5 章
個人辞書編集ユーティリティ (JDICEDIT)

この章では,個人辞書編集ユーティリティ (JDICEDIT) について説明します。

5.1 機能概要

個人辞書編集ユーティリティ (JDICEDIT) は,日本語エディタなどの「かな漢字変換」が使用する単語辞書 ( 個人辞書 ) を編集するためのユーティリティで,次の機能があります。

  • 辞書に単語を登録する。

  • 辞書から単語を削除する。

  • 日本語エディタなどで作成した単語ファイルの単語を辞書に登録する。

  • 辞書に登録されている単語をファイルに出力する。

扱う単語辞書は「個人辞書」のみです。「システム辞書」の参照・変更はできません。また,文節学習,文節切り学習データファイルの参照,変更もできません。

5.2 JDICEDIT コマンド

この節では,JDICEDIT コマンドの形式,パラメータについて説明します。




個人辞書編集ユーティリティを起動します。

形式

JEDIT/PERSONAL_DICTIONARY [サブコマンド [ / 修飾子...] [パラメータ] ]


パラメータ



サブコマンド

JDICEDIT ユーティリティの持つサブコマンドを指定します。
サブコマンドを省略した場合は,

 
JDICEDIT> 
 

というプロンプトが表示され,サブコマンドの入力を要求します。

サブコマンドについての詳細は, 第 5.3 節 をご覧ください。



5.3 JDICEDIT サブコマンド

JDICEDIT ユーティリティには次のサブコマンドがあります。

サブコマンド 機能
APPEND 単語ファイルの単語を辞書ファイルに追加登録します。
CREATE 新しい辞書ファイルを作成します。
EDIT 画面上で単語を登録・削除・検索します。
EXIT 終了します。
EXTRACT 辞書ファイルの単語をファイルに出力します。
HELP ヘルプを表示します。
REBUILD 辞書ファイルを再構成します。
SHOW DICTIONARY 省略時の辞書ファイル名を表示します。

次の項から各サブコマンドについて説明します。

5.3.1 APPEND

日本語エディタなどで作成した単語ファイルの単語を辞書ファイルに追加登録します。辞書ファイルのバージョンは更新され,旧バージョンの辞書ファイルはそのまま残ります。単語ファイルの形式については, 第 5.6 節 を参照してください。

<形式>

JDICEDIT> APPEND   [/修飾子] [辞書ファイル名]

辞書ファイル名を省略した場合には,SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHO に追加登録します。論理名 JSY$KOJIN が定義されているときは,その辞書ファイルに追加登録します。

<修飾子>

/INPUT [=ファイル指定 [,...] ]

入力する単語ファイル名を指定してください。日本語ファイル名は指定できません。ファイル名の省略時設定値は‘辞書ファイル名.TANGO’です。

/LIST [=ファイル指定]
/NOLIST (省略時設定)

単語ファイルの内容をエラー情報を含めて出力します。RMS が日本語モードの場合には,最大 118 文字までの日本語ファイル名を指定できます。ファイル名の省略時設定値は‘単語ファイル名 .LIS’です。

/LOG (省略時設定)
/NOLOG

更新された辞書ファイル名を表示します。

5.3.2 CREATE

空の辞書ファイルを作成します。新規の辞書ファイルを作成する場合は,まず CREATE サブコマンドで辞書ファイルを作成し,次に APPEND または EDIT サブコマンドで単語を登録します。

<形式>

JDICEDIT> CREATE [ /修飾子 ] 辞書ファイル名

新規に作成する辞書ファイル名を指定します。日本語ファイル名は指定できません。また,辞書ファイル名は省略できません。

<修飾子>

/LOG (省略時設定)
/NOLOG

作成した辞書ファイル名を表示します。

5.3.3 EDIT

辞書ファイルの単語を画面に表示して単語の登録・削除・検索を行います。 EDIT 終了時に辞書ファイルの更新を指定すると,バージョンを更新した新しい辞書ファイルが作られ,旧バージョンの辞書ファイルはそのまま残ります。日本語ファイル名は指定できません。

<形式>

JDICEDIT> EDIT  [ /修飾子][ 辞書ファイル名]

辞書ファイル名を省略した場合には,SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHO を編集します。論理名 JSY$KOJIN が定義されている場合は,そのファイルを編集します。

<修飾子>

/LOG (省略時設定)
/NOLOG

出力した辞書ファイル名を表示します。



図 5-1 に EDIT の画面レイアウトを示します。

図 5-1 EDIT の画面レイアウト


  • 画面の最上段には辞書ファイル名と現在の単語数を表示します。

  • 単語は読み,表記,文法情報の順に表示されます。

  • 単語は50音順に並んでいます。

  • 文法情報に SYSUP などのキーワードの付いている単語があります。このキーワードは APPEND コマンドで辞書に追加登録する場合に JDICEDIT ユーティリティが使用するものです。このキーワードの付いている単語は削除しないでください。

  • 同音の読みが複数ある場合には,上位に位置する単語が「かな漢字変換」で優先されます。

  • 利用者による登録単語には,文法情報領域に登録語というキーワードが付きます。

  • カーソル(画面左端の>)のある行が,選択されている行を示します。



EDIT の画面を表示中はキーパッドに 図 5-2 の機能が定義されています。

図 5-2 キーパッドの機能


  • 単語検索 (GOLD PF3)
    読みをキーとして単語を検索します。GOLD キーの次に [PF3] キーを押し,検索する単語の読みを入力します。

  • 単語削除 ( [PF4] )
    カーソルが示している行を削除します。矢印キー ( [↓][↑] ) を押して,カーソルを削除する単語に移動し [PF4] キーを押します。

  • 削除回復 (GOLD PF4)
    GOLD キーの次に [PF4] キーを押すと,最後に削除した単語を回復します。同じ読みの単語が複数ある場合,カーソルがその読みを持つ単語を指しているときにはその行の上に挿入され,それ以外の単語を指しているときには,その読みを持つ単語の1番上に挿入されます。

  • 最後移動(GOLD KP4)
    編集中の辞書ファイルの最後の単語を選択します。

  • 先頭移動(GOLD KP5)
    編集中の辞書ファイルの先頭の単語を選択します。

  • 数行移動 ( [KP8] )
    [KP4] ( 後方向 ),[KP5] ( 前方向 ) で定められた方向に 10 行づつカーソルを移動します。

  • 行移動([KP0])
    [KP4] ( 後方向 ),[KP5] ( 前方向 ) で定められた方向に 1 行づつカーソルを移動します。

  • 後移動 ( [KP4] )
    行移動 ( [KP0] ) および数行移動 ( [KP8] ) の方向を,辞書ファイルの終わりに向かう方向にセットします。

  • 前移動 ( [KP5] )
    行移動 ( [KP0] ) および数行移動 ( [KP8] ) の方向を,辞書ファイルの先頭に向かう方向にセットします。

  • 単語登録([KP9])
    キーパッド 9 番 ( [KP9] ) キーを押すと,単語登録が開始します。単語登録時の画面レイアウトを 図 5-3 に示します。

図 5-3 単語登録時の画面レイアウト


単語の読み・表記を入力後,矢印キーとスペース・キーを用いて文法情報をセットし,[ENTER] キーで登録してください。登録された単語が画面上に表示されます。
登録前の単語をキャンセルしたいときは [CTRL/C] を,単語登録モードを終了するときは [CTRL/Z] を押してください。単語の読み,表記,文法情報については 第 5.4 節第 5.5 節 を参照してください。

単語の読み・表記の入力には,かな漢字変換の機能が利用できます。漢字変換キーパッドの設定は日本語環境設定ユーティリティ (JSY$CONTROL) を使うと簡単に設定できます。詳しくは 第 1 章 を参照してください。

5.3.4 EXIT

JDICEDIT ユーティリティを終了します。

<形式>

JDICEDIT> EXIT


辞書ファイルの単語を単語ファイルに出力します。

<形式>

JDICEDIT> EXTRACT  [ /修飾子 ][ 辞書ファイル名]

辞書ファイル名には日本語ファイル名は指定できません。省略した場合には,SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHO の単語を出力します。論理名 JSY$KOJIN が定義されているときは,その辞書ファイルの単語を出力します。

<修飾子>

/OUTPUT=file-spec

出力する単語ファイル名を指定します。RMS が日本語モードの場合には,最大 118 文字までの日本語ファイル名を指定できます。ファイル名の省略時設定値は‘辞書ファイル名 .TANGO’です。

/USER_REGISTERED

辞書ファイルの単語の中から利用者登録語だけを単語ファイルに出力します。省略時は,すべての単語を出力します。

/LOG (省略時設定)
/NOLOG

出力した単語ファイル名と出力した単語数を表示します。

5.3.6 HELP

JDICEDIT ユーティリティの HELP を表示します。

<形式>

JDICEDIT> HELP  [トピック]

HELP を表示するトピックを指定します。
トピックが指定されなかった場合は,すべてのトピックが表示され,会話的に選ぶことができます。
[CTRL/Z] または [Return] を押すと,もとのモードに戻ります。

5.3.7 REBUILD

辞書ファイルを再構成し,新しいバージョンの辞書ファイルを作ります。旧バージョンの辞書ファイルはそのまま残ります。REBUILD サブコマンドによる辞書ファイルの再構成は,以下のようなときに有効です。

  • XTPU/JEVE で「%XTPU-E-DICUPDERR, Error updating dictionary file.」というエラーが出たとき。

ある特定の読みの単語の数が多すぎて,追加登録ができないときは上記のエラーが発生します。このような辞書ファイルを REBUILD サブコマンドで再構成します。ただし,再構成しても,なおかつ特定の読みの単語の数が多すぎるときは警告メッセージで通知しますから,その場合は不要な単語を EDIT サブコマンドを使用して削除してください。

<形式>

JDICEDIT> REBUILD  [/修飾子][辞書ファイル名]

辞書ファイル名には日本語ファイル名は指定できません。省略した場合には,SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHO を再構成します。論理名 JSY$KOJIN が定義されているときは,その辞書ファイルを再構成します。

<修飾子>

/LOG (省略時設定)
/NOLOG

出力した辞書ファイル名を表示します。

5.3.8 SHOW DICTIONARY

各サブコマンドにおいて辞書ファイル名の指定を省略した場合に使用する省略時設定の辞書ファイル名を表示します。省略時設定の辞書ファイルは,論理名 JSY$KOJIN が定義されているときはそのファイル,定義されていないときは SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHO です。

<形式>

JDICEDIT> SHOW DICTIONARY


この節では,単語の読みと表記について説明します。

単語の読み

  • 読みは 16 文字以内の全角ひらがなで,濁点・半濁点も1文字と数えます。

  • 特殊な用途として読みに‘#’,‘*’を用いることができます。詳細は,次の項を参照してください。

単語の表記

  • 表記は 80 バイト ( 全角 40 文字 ) 以内の文字列です。

  • 表記の文字列のコードには制限はありませんが,制御コードなどを登録してエディタ,ワープロを使った場合には結果は保証されません。

  • 語尾を活用する単語は次の表の下線部のように各活用形によって変化しない語幹のみを登録してください。

      サ変名詞 5段動詞 上1 下1 形容詞 形容動詞
    未然 運転しない かない ない 投げない かろう 静かだろう
    連用 運転します きます ます 投げます 静か
    終止 運転する 投げ 静か
    連体 運転するとき くとき るとき 投げるとき いとき 静か
    仮定 運転すれば けば れば 投げれば ければ 静かならば
    命令 運転せよ 投げ    


  • ‘#’の利用方法
    単語の表記に‘#’を使うと,その部分がかな漢字変換入力時の数字部分と置き換えられます。
    【例】

      注意
    ‘#’は1つの単語に1つしか使えません。また‘*' と同時に使用することはできません。

  • ‘*’の利用方法
    単語の表記に‘*’を使うと,その部分がかな漢字変換入力時のカタカナ・全角・半角文字列部分と置き換えられます。
    【例】

      注意
    ‘*’だけからなる表記は,登録可能ですが,かな漢字変換に悪影響を及ぼすことがありますので,登録しないように注意してください。
    ‘*’は1つの単語に1つしか使えません。また‘#' と同時に使用することはできません。
    XTPU/JEVE,日本語ライブラリの JLB$GET_INPUTルーチンなどでは,入力文字列を全角ひらがな変換してから,かな変換ルーチンを渡すため‘*’は変換に反映されません。



5.5 単語の文法情報

単語の文法情報について 表 5-1 にまとめます。

表 5-1 文法情報キーワードと国文法との対応
キーワード 国文法
普通名詞,固有名詞(人名・地名を除く),代名詞,人称代名詞,数詞 万年筆,コンピュータ,あれ,私
サ名 サ変名詞 運転,テスト,プレイ
人名 苗字,名前 織田信長,シェークスピア
地名 地域の名前 シカゴ,デトロイト
副詞 とても,すっごく
感動 感動詞 ほんとー,ウワー
接続 接続詞 しかし,ばってん
連体 連体詞 あの,その,偉大なる
接頭 接頭語 純〜,初〜
形容 形容詞 白(い),寒(い),カワイ(い)
形動 形容動詞 静か(な),アンティック(な)
トタル 形容動詞トタル活用 堂々(たる),正々堂々(たる)
尾名 名詞に付く接尾語 〜制,〜仕込み
尾人 人名に付く接尾語 〜君,〜ちゃん
尾地 地名に付く接尾語 〜産
上下 上1段活用動詞,下1段活用動詞 落ち(る),起き(る)
サ変 サ行変格活用動詞で終止形が「する」 愛(する),決(する)
ザ変 サ行変格活用動詞で終止形が「ずる」 信(ずる),重ん(ずる)
カ変 カ行変格活用動詞 来(る),(来)た
カ5 カ行5段活用動詞 書(く),咲(く)
ガ5 ガ行5段活用動詞 泳(ぐ),漕(ぐ)
サ5 サ行5段活用動詞 指(す),示(す)
タ5 タ行5段活用動詞 立(つ),打(つ)
ナ5 ナ行5段活用動詞 死(ぬ)
バ5 バ行5段活用動詞 呼(ぶ),遊(ぶ)
マ5 マ行5段活用動詞 読(む),囲(む)
ラ5 ラ行5段活用動詞 乗(る),切(る)
ワ5 ワ行5段活用動詞 買(う),思(う)


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