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日本語トランスレータリファレンス・マニュアル

日本語トランスレータ
リファレンス・マニュアル

AA-RH5TA-TE

オペレーティング・システム: 日本語VMS V5.3以降
  日本語ULTRIX/UWS V4.2以降
ソフトウェア・バージョン: 日本語テキスト・トランスレータ V4.5-J
  漢字ReGISトランスレータ V3.1-00
  カタカナTektronixトランスレータ V1.2-02


1999 年 4 月

(c) Compaq Computer K.K. 1999 All rights reserved.

以下は他社の商標です。

CG Triumvirateは,米国AGFA Compugraphic Division社の商標です。

ITC Souvenirは,米国International Typeface社の商標です。

LaserJetは,米国Hewlett-Packard社の商標です。

PCLは,米国Hewlett-Packard社の商標です。

PostScriptは,米国Adobe Systems社の商標です。

Swissは,米国Bitstream社の商標です。

Tektronixは,米国Tektronix社の商標です。

次へ 目次 索引


まえがき

対象読者

本書は,DECprint製品群で提供される日本語PostScriptのためのトランスレータを使用して,各種の印字・描画を行うプログラマ,およびそれらの印字・描画命令を生成するアプリケーションを作成するプログラマを対象としたマニュアルです。

本書は,下記のそれぞれの英語版マニュアルに記述されていない,日本語独自の関連機能についてのみ解説します。

-参考文献-

以上の他に,日本語トランスレータを含むソフトウェア製品のリリース・ノートも参照してください。

本書の構成

本書は,4つの章と5つの付録から作成されています。

第 1 章  日本語PostScript用に提供されるトランスレータの概要を説明します。

第 2 章  日本語テキスト・トランスレータについて説明します。

第 3 章  カタカナTektronixトランスレータについて説明します。

第 4 章  漢字ReGISトランスレータについて説明します。

付録 A  テキスト・トランスレータのエスケープ/コントロール・シーケンス一覧

付録 B  フォントID

付録 C  テキスト・トランスレータの初期設定値

付録 D  漢字ReGISトランスレータの初期設定値

付録 E  JIS漢字1978年版と1983年版の違い

表記法

本書では,日本語トランスレータのもととなった,英語版製品である ANSI text translator,ReGIS translator などの機能と日本語トランスレータの機能の違いを示すために,"英語版" という表記を用います。たとえば,"英語版 ANSI トランスレータ" というように記述します。

表 1 表記法
表記法 意味
英大文字 大文字は,DCLコマンド,修飾子,パラメータを示す。
[] 大括弧は,囲まれている項目を省略できることを示す。
[Ctrl/] x 制御キー・シーケンスを示す。CTRLキーを押した状態で, xによって表現される別のキーを同時に押さなければならない。
[Return] このシンボルは,Returnキーを押さなければならないことを示す。


第 1 章
日本語PostScriptのトランスレータ

日本語PrintServerなどのPostScriptプリンタは,ページ記述プログラミング言語 PostScript によって記述された出力ページを解釈し,プリンタの解像度に応じたビットマップ・イメージを生成し,それを印刷するプリンタです。DECprint製品群では, PostScript以外の各種の表示装置のプロトコルをサポートするために,それらをPostScriptプログラムに変換するトランスレータ・ソフトウェアも提供しています。トランスレータはVMSのPRINTコマンド,またはULTRIXのlprコマンドを発行したシステム上で動作し,PRINT コマンドの/PARAMETER 修飾子のDATA_TYPE またはlprのオプションの中で -D を指定することで呼び出せます(ULTRIXではリモートの場合,トランスレータはリモート・ノードで動作します)。たとえば,日本語のテキストファイル MEMO.TXTを印刷したい場合は,

のように指定することによって,自動的にKANJIトランスレータが呼び出され, MEMO.TXTの内容がPostScriptプログラムに変換され,さらにそれがプリント・キューMY_PRINTERに割り当てられたPostScriptプリンタに通信回線(イーサネットまたはRS-232C)を介して送られます。

日本語DECprint 製品群で提供するトランスレータの機能と DATA_TYPE,または -Dオプションとの対応を 表 1-1 に示します。

注意

日本語版のトランスレータが提供されていない英語版のトランスレータについては,本書では説明しません。

表 1-1 日本語トランスレータの種類
DATA_TYPEまたは-Dオプション1 プロトコル
ANSI LN03およびDEClaser2100/2200 テキスト 4
KANJI 漢字LN03/LN05テキスト(DEC漢字1983年版)
KANJI78 漢字LN03/LN05テキスト(DEC漢字1978年版)
LA_KANJI 漢字LA86/280/380テキスト
TEK4014 3 Tektronix 4014
TEK_KANA 2 カタカナTektronix 4014
REGIS 3 VT240 ReGIS
REGIS_KANJI 2 VT284漢字ReGIS(85桁表示)
REGIS_KANJI80 2 VT284漢字ReGIS(80桁表示)


1-Dオプションの場合,データ・タイプはすべて小文字です。
2これらのデータ・タイプは,ULTRIX/VAXおよびULTRIX/RISCではサポートされません。
3これらのデータ・タイプは,ULTRIX/RISCではサポートされません。
4このプロトコルをDigital ANSI準拠プリンティング・プロトコル・レベル3と呼びます。

注意

  1. ANSI データ・タイプは日本語テキスト処理用に拡張されています。この拡張された ANSI と KANJI,KANJI78,LA_KANJIデータ・タイプをあわせて,日本語テキスト・トランスレータと呼びます。

  2. ANSI,KANJI,KANJI78,およびLA_KANJIデータ・タイプでは,sixelイメージもサポートされます。

  3. サポートされるトランスレータの種類は,各DECprint ソフトウェア製品によって異なります。それぞれのソフトウェア機能仕様書(SPD)を参照してください。


第 2 章
テキスト・トランスレータ

この章では,コントロール・コードやエスケープ・シーケンスを含んだテキスト・データを解釈して,PostScript に変換する,テキスト・トランスレータについて説明します。

2.1 テキストのための4つのデータ・タイプ

日本語DECprint製品群では,従来のプリンタ装置に出力していたテキスト・ファイルを,ユーザがPostScriptを意識せずに,従来のプリンタ装置と同様のインターフェイスで出力できるように,以下の4種のデータ・タイプをサポートしています。これらの4種類のデータ・タイプは,弊社が提供している実際のプリンタ装置と対応しています。データ・タイプを適当に選択することによって,たとえば,従来漢字LA86に出力していたテキスト・ファイルを,内容を変更することなしに日本語PostScriptプリンタに出力することができます。機能の詳細な違いは次節以降で説明しますので,ここではおおまかな相違点のみを説明します。

  1. ANSI
    弊社のLN03およびDEClaser2100/2200プリンタに対応したインターフェイスを提供します。すなわち,ISO/ANSI標準のコントロール機能により,文字セット,フォント,タブ,マージン,文字間隔/行間隔などを変えたり,文字列に対してアンダーライン,反転,網掛けなどの属性を指定することができます。このデータ・タイプでの機能はKANJI データ・タイプと同じですが,初期状態での文字セット,フォント,文字間隔などが異なります。たとえば,このデータ・タイプでの初期文字セットは,ASCIIとDECサプリメンタル文字セットです。初期状態の詳細は 付録 C "テキスト・トランスレータの初期設定値" を参照してください。また,英語版 ANSIトランスレータとの違いは, 第 2.2 節 "拡張された機能" で説明します。

  2. KANJI
    弊社の漢字LN03およびDEClaser2300(漢字LN05)レーザ・プリンタに対応したインターフェイスを提供します。より正確には,DEClaser2300のLN05モードに対応したインターフェイスです。機能はANSIデータ・タイプと同じですが,初期状態が異なります。たとえば,このデータ・タイプでの初期文字セットは JISローマ字とDEC漢字です。初期状態の詳細は 付録 C "テキスト・トランスレータの初期設定値" を参照してください。

  3. KANJI78
    弊社の漢字LN03およびDEClaser2300レーザ・プリンタに対応したインターフェイスを提供します。KANJIデータ・タイプとの違いは,KANJIデータ・タイプが DEC漢字1983年版をサポートするのに対して,KANJI78はDEC漢字1978年版をサポートすることです。その他の機能には違いはありません。

  4. LA_KANJI
    弊社の漢字LA86ドットインパクト・プリンタに対応したインターフェイスを提供します。正確には,DEClaser2300のLA86モードに対応したインターフェイスです。 DEC漢字1983年版をサポートします。
    ANSI データ・タイプ,KANJI データ・タイプとの違いは, 第 2.2 節 で説明します。

これらのデータ・タイプでサポートされる命令(エスケープ・シーケンス,コントロール・シーケンス)の一覧を 付録 A に示します。

2.2 拡張された機能

日本語テキスト・トランスレータは英語版の ANSIトランスレータを日本語のために拡張したものです。ここではこのANSIトランスレータとの相違を,4つのデータ・タイプごとに説明します。ここで説明されていない部分については英語版 ANSI トランスレータと同じなので,次の2冊,

「 Digital ANSI-Compliant Printing Protocol Level 3 Programming Reference Manual 」

「 Digital ANSI-Compliant Printing Protocol Level 3 Programming Supplement 」

を参照してください。

注意

ANSIデータ・タイプを指定したときに,英語版ANSIトランスレータを用いるか,日本語拡張版ANSIトランスレータを用いるかは,トランスレータをサポートするソフトウェアの設定によって変更できます。英語版ANSIトランスレータを使用している場合は,以下で説明される拡張された機能は使用できません。

2.2.1 日本語拡張版ANSIデータ・タイプ

以下の項目が拡張されています。

2.2.1.1 フォント


日本語フォントとして以下のフォントがサポートされています。

注意

  1. 明朝体とゴシック体のフォントは,実際には PostScript のアウトラインフォントを使用しているので,ここで示したドット数は目安です。

  2. 32×32は8ポイント9.38cpi,40×40は10ポイント7.5cpiです。対応する半角フォントはそれぞれ18.75cpi,15cpiです。

  3. 32×32は6.7ポイント6.8cpiフォントとしても用いられます。これは6.7ポイント13.6cpiフォントに対応する全角漢字フォントを提供するためです。

  4. これらの追加されたフォントはゴシック体を除いて,DEC BUILTIN1ファミリとしても登録されています。このことにより,英文書体であるクーリエと明朝体の違いを意識せずに,文字セットの切り替えや文字サイズの切り替えが行えます。

  5. ゴシック体,縦32ドット×横32ドット相当のDEC漢字フォントは存在しません。

ANSIおよびKANJIデータ・タイプでサポートされる,すべてのフォントのフォントIDとサンプル文字列を 付録 B に示します。

2.2.1.2 文字セット


文字セット指示命令SCS(Select Character Set)でサポートされる文字セットとして,JISカタカナ・セットとDEC漢字指示セットが追加されています。DEC漢字指示セットについては,「DEC漢字コード表」(AA-A056C-TE-JO)を参照してください。それ以外の文字セットのコード表は「 Digital ANSI-Compliant Printing Protocol Level 3 Programming Reference Manual 」のAppendix Aを参照してください。

  1. JISカタカナ
    JIS カタカナは標準の94文字セットのSCSシーケンスを用いてG0,G1, G2,G3 のいずれかのコード・テーブルに指示(designate)することができます。文字セット識別コードは "I"(4/9)です。

  2. 漢字
    漢字を使用するときは必ず,DEC漢字指示セットがG3コード・テーブルに指示 (designate)されていなければなりません。以下のシーケンスは,すべてDEC漢字指示セットをG3コード・テーブルに指示します。G3に指示された漢字セットは通常の文字セットの呼び出し(invoke)と同様に,GLまたはGRコード・テーブルに呼びだして用います。

    ESC
    1/11
    $
    2/4
    +
    2/11
    3
    3/3
    DEC漢字指示セット
    1983年版
    ESC
    1/11
    $
    2/4
    +
    2/11
    B
    4/2
    JISX0208漢字指示セット
    1983年版



    以下の1978年版の指示シーケンスもサポートします。ただし,実際に指示されるのは1983年版です。

    ESC
    1/11
    $
    2/4
    +
    2/11
    1
    3/1
    DEC漢字指示セット
    1978年版(新コマンド)
    ESC
    1/11
    $
    2/4
    +
    2/11
    @
    4/0
    JISX0208漢字セット
    1978年版
    ESC
    1/11
    +
    2/11
    "
    2/2
    0
    3/0
    DEC漢字指示セット
    1978年版(旧コマンド)

注意

  1. 旧コマンドは,既存のプリンタとの互換性を保つためにサポートされていますが,新しくテキスト・ファイルを生成する場合で,DEC漢字指示セットの指示が必要なときは,旧コマンドは使わないようにしてください。

  2. DEC漢字指示セットをGLコード・テーブルに呼びだした場合,DEC拡張漢字 領域は使用できません。

  3. ANSIデータ・タイプ,KANJIデータ・タイプ,およびLA_KANJI データ・タイプでは,DEC漢字1983年版のみをサポートします。
    DEC漢字1978年版は,KANJI78データ・タイプでサポートされています。
    DEC漢字1983年版では,DEC拡張罫線文字(コードFE21〜FE2B(16進)) はサポートされません。


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