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HP OpenVMS V8.4: インストレーション・ガイド

付録 C ネットワーク・ブートの準備と実行

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OpenVMS ドキュメント ライブラリ

タイトルページ/目次
まえがき
第1章:はじめに
第2章:クラスタ環境でのインストールの準備
第3章:インストール手順
第4章:アップグレードの準備作業
第5章:クラスタ環境でのアップグレードの準備作業
第6章:アップグレード手順
第7章:インストールおよびアップグレード後の作業
付録A:Alphaシステムのブートとシャットダウン
付録B:I64システムのブートとシャットダウン
付録C:ネットワーク・ブート
付録D:SIMおよびvMediaによるプロビジョニング
付録E:Fibre Channelストレージデバイス
付録F:システムディスクのバックアップとリストア
付録G:国際化キットのインストール
付録H:Management Station
付録I:オペレーティングシステムの削除
付録J:システムディスクの初期化
用語集
索引
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この付録では,OpenVMS InfoServer ユーティリティを使用して LAN 経由でシステムをブートするために必要な手順を説明します。InfoServer ユーティリティは,V8.3 以降の OpenVMS Alpha システムと V8.2-1 以降の OpenVMS Integrity システムで利用できるソフトウェア・アプリケーションです。また,仮想 DVD/CD からネットワーク経由でブートする方法についても説明します。

C.1 OpenVMS InfoServer ユーティリティについて

InfoServer によるネットワーク・ブートは,すべての OpenVMS Alpha システムと,OpenVMS をサポートする Integrity サーバの各モデルで,OpenVMS をインストールまたはアップグレードする際に利用できます。OpenVMS Integrity システムの場合,InfoServer によるネットワーク・ブートは,EFI で利用可能なすべての LAN カード (LAN デバイスまたは LAN アダプタとも呼ばれる) でサポートされています。

OpenVMS V8.4 のインストールやアップグレードで OpenVMS InfoServer ユーティリティを使用すると,LAN 上の仮想 DVD/CD ドライブから Alpha システムや Integrity サーバをブートできます。 InfoServer ソフトウェア・アプリケーションは,V8.2-1 以降の OpenVMS Integrity システムと,DVD ドライブをサポートしている OpenVMS Alpha V8.3 システムで使用できます。また,このサポートには,ネットワーク上の複数の OpenVMS システムを 1 枚の OpenVMS 配布メディア (CD/DVD) からブートできるという利点もあります。

Integrity サーバで InfoServer ユーティリティを使用してネットワーク・ブートを実行する場合は,その前に OpenVMS Integrity に特有な構成手順をいくつか実行しておく必要があります (この設定を行うのは 1 回限りです)。OpenVMS Alpha サーバで InfoServer ユーティリティを使用する場合も同様で,ソフトウェアの追加構成を 1 回だけ行う必要があります。 Alpha システムでは従来からネットワーク・ブートに InfoServer ハードウェア・システムが使用されてきましたが,そのための構成プロシージャは,システムが OpenVMS Integrity であるか OpenVMS Alpha であるかに関係なく,OpenVMS の InfoServer ソフトウェア・アプリケーションで使用できません。

OpenVMS Integrity の InfoServer ユーティリティで Integrity サーバをブートする方法は,従来から OpenVMS Alpha システムで使用されてきた InfoServer ハードウェア・システムによるブートや,OpenVMS Alpha システムの InfoServer ユーティリティによるブートとは大幅に異なっています。たとえば,Alpha システムは,ブートの開始に必要な 1 次ブートストラップ・ファイルを MOP (Maintenance Operations Protocol) で要求しますが,Integrity サーバのコンソールでは Intel PXE (Preboot Execution Environment) ブートストラップ・プロトコルと,TCP/IP Services for OpenVMS BOOTP サーバおよび TFTP を組み合わせて使用します。つまり Integrity サーバの EFI コンソールでは,最初に EFI と互換性のある 1 次ブートストラップ・ファイル (VMS_LOADER.EFI) をロードし,その VMS_LOADER.EFI が TFTP を使用してブート・サーバに 1 次ブートストラップ (IPB.EXE) を要求します。IPB.EXE は OpenVMS Integrity オペレーティング・システムをブートするために必要なファイルで,その形式は OpenVMS の ODS ファイル構造になっています。

OpenVMS Integrity システムでは,オペレーティング・システムをネットワーク経由でインストールまたアップグレードする際に,InfoServer ユーティリティが必要です (InfoServer ユーティリティは,OpenVMS オペレーティング・システムに統合されています)。その理由は,OpenVMS Alpha システムで従来から使用されてきた InfoServer ハードウェアには,OpenVMS Integrity 配布メディアに必要な DVD ドライブを扱うための機器が装備されていないからです。 一方,OpenVMS Alpha システムでは,OpenVMS InfoServer ユーティリティだけでなく,従来から使用されてきた,OpenVMS に依存しない InfoServer ハードウェア・システムも使用できます。 また,OpenVMS Alpha システムでは,DVD ドライブに配布 CD を挿入して,そこからブートすることもできます (DVD ドライブでは DVD と CD をどちらも使用できます)。 表 C-1 「InfoServer によるブート: Alpha システムと Integrity システムの相違点」 に,InfoServer を使用して Alpha システムと Integrity システムをブートする場合の主な相違点を示します。

表 C-1 InfoServer によるブート: Alpha システムと Integrity システムの相違点

コンポーネントAlphaIntegrity
ダウンライン・ロード・プロトコルMOPPXE (DHCP/BOOTP/TFTP)
ブート・ファイルAPB_version (例: APB_084)VMS_LOADER.EFI および IPB.EXE (どちらも各バージョン専用)
ブート・サーバ指定されたファイルが存在する任意の MOP 対応システムBOOTP データベース内でネットワーク・デバイスの MAC アドレスが定義されている BOOTP サーバだけ
LAN サーバInfoServer ハードウェア,あるいは,OpenVMS Alpha V8.3 以降または OpenVMS Integrity V8.2-1 以降のシステムで動作している InfoServer ユーティリティOpenVMS Alpha V8.3 以降または OpenVMS Integrity V8.2-1 以降のシステムで動作している InfoServer ソフトウェア・アプリケーション

 

両者にはこれらの相違点があるため,OpenVMS Alpha システムを InfoServer ハードウェアからブートするためのセットアップ手順は,OpenVMS InfoServer ユーティリティからブートするためのセットアップとしていっさい使用できません。また,InfoServer ユーティリティによるネットワーク・ブートのセットアップ手順も,OpenVMS Integrity システムと OpenVMS Alpha システムの間で異なっています。表 C-2 「InfoServer によるネットワーク・ブートのセットアップ手順」 に,OpenVMS Integrity システムと OpenVMS Alpha システムで OpenVMS InfoServer ユーティリティを使用してネットワーク・ブートを行うために必要な作業を示します。特に明記されていない限り,どの作業も 1 回実行するだけで十分です。

表 C-2 InfoServer によるネットワーク・ブートのセットアップ手順

InfoServer クライアントのセットアップ 
アーキテクチャ必要な作業説明箇所

Integrity クライアントだけ

  1. ローカルの Integrity サーバでネットワーク・ブートに使用する LAN I/O カードを決め,それに関連付けられている OpenVMS のデバイス名,IP アドレス,および MAC アドレスを,BOOTP サーバのセットアップを担当するネットワーク管理者に知らせます。

  2. 上記のネットワーク・デバイスを EFI のブート・オプションに追加します (省略可,推奨)。この作業は,ネットワーク・ブートに同じ InfoServer サーバを使用する LAN 上の各システムで,必要に応じて繰り返します。

  3. EFI で上記のネットワーク・デバイスがブート可能デバイスとしてサポートされていることを確認します。

C.2 項 「システムを InfoServer クライアントとして使用するためのセットアップ」
InfoServer ユーティリティのセットアップ 
アーキテクチャ必要な作業 (担当者またはネットワーク管理者が実行)説明箇所
Integrity と Alpha

InfoServer サーバとして,LAN 上にある OpenVMS システムを少なくとも 1 台指定します。必要に応じて,そのシステムを OpenVMS Integrity V8.2-1 以降 (Integrity の場合),または OpenVMS Alpha V8.3 以降 (Alpha の場合) にアップグレードします。

第6章 「OpenVMS オペレーティング・システムのアップグレード」に記載されているアップグレード手順。 アップグレードの前に,第4章 「OpenVMS オペレーティング・システムをアップグレードするための準備」第5章 「OpenVMS Cluster 環境でのアップグレードの準備」に目を通してください。

Integrity と Alpha

  1. SYS$STARTUP:ESS$LAD_STARTUP.TEMPLATE を SYS$STARTUP:ESS$LAD_STARTUP.DAT にコピーしてから,SYS$STARTUP:ESS$LAD_STARTUP.DAT 内のパラメータを変更します。

  2. InfoServer の LAD 処理に使用するネットワーク・デバイスを選択します。

  3. SYS$STARTUP:ESS$LAST_STARTUP.TEMPLATE を SYS$STARTUP:ESS$LAST_STARTUP.DAT にコピーしてから,SYS$STARTUP:ESS$LAST_STARTUP.DAT 内のパラメータを変更します。

  4. SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM ファイルに行を追加して,スタートアップの時に SYS$STARTUP:ESS$LAD_STARTUP.COM が実行されるようにします。

  5. SYSGEN パラメータを変更した場合は,ここでリブートします。SYSGEN パラメータをいっさい変更しなかった場合は,リブートしないで SYS$STARTUP:ESS$LAD_STARTUP.COM ファイルを手動で実行します。

  6. InfoServer 制御プログラムを使用して,DVD ドライブ用のサービスを作成します。

C.3 項 「InfoServer サーバのセットアップ」

Alpha だけ

ブート・サーバで MOP を有効にした後,OpenVMS V8.4 の配布メディアに収録されている APB_084.SYS を MOP ダウンロード・データベース (LAN$DLL: デフォルトは MOM$SYSTEM) へコピーします。 『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (上巻)』の LANCP に関する章を参照してください。

Integrity だけ

TCP/IP Services for OpenVMS の BOOTP サーバと TFTP サーバをセットアップします (新しい OpenVMS Integrity がリリースされるたびに,BOOTP データベース内のクライアント・エントリが,新しいリリース専用のブート・ファイルを指すように更新されます)。 ブート・サーバのセットアップ担当者に,InfoServer クライアントに関する情報を知らせます。OpenVMS Integrity のブート・ファイルは,OpenVMS Integrity のそれぞれのバージョンで異なります。最新のブート・ファイルを入手できるようにして,それを BOOTP サーバ・データベース内で参照するようにしてください。C.4 項 「BOOTP ブート・サーバと TFTP サーバのセットアップ (Integrity のみ)

 

注意:

本書に記載されている InfoServer を使用したブートの説明では,ブート・クライアントとブート・サーバが同じ LAN 上に存在している環境を想定しています。環境がより複雑な場合の情報については,弊社顧客サポートにお問い合わせください。

C.2 システムを InfoServer クライアントとして使用するためのセットアップ

手元の OpenVMS Integrity システムをネットワーク・ブートの InfoServer クライアントとしてセットアップするには,次の手順を実行する必要があります。この手順の各操作を,この後,詳しく説明していきます。OpenVMS Alpha システムの場合は,InfoServer クライアントをセットアップする作業は必要ありません。 OpenVMS Alpha InfoServer クライアントは >>> プロンプトからブートできます。

  1. ローカル側の Integrity サーバでネットワーク・ブートに使用する LAN I/O カードを決定します。関連付けられている OpenVMS デバイス名,IP アドレス,および MAC アドレスを,BOOTP サーバのセットアップを担当するネットワーク管理者に知らせます。

  2. 上記のネットワーク・デバイスを,EFI Boot Manager のメニューにブート・オプションとして追加します (省略可,推奨)。

  3. EFI で上記のネットワーク・デバイスがブート可能デバイスとしてサポートされていることを確認します。

注意:

ネットワーク経由でブートできるようにするには,最も近い場所にあるスイッチまたはルータのオートネゴシエーションを有効に設定する必要があります。

C.2.1 使用するローカル・ネットワーク I/O カードの決定

Integrity サーバに実装されている LAN I/O カード (LAN I/O デバイスまたは LAN I/O アダプタとも呼びます) から,ネットワーク・ブートに使用するデバイスを選択します。選択するデバイスは,Integrity サーバの EFI ファームウェアでサポートされていなければなりませんが Integrity サーバに搭載されているコア I/O LAN カードであれば,確実にサポートされています。どの Integrity サーバでも,OpenVMS でサポートされているのは EI デバイスまたは EW デバイスです (例: EIA0 または EWA0)。また EFI ファームウェアでは,コア I/O カードと同じタイプの追加ネットワーク・インタフェース・カード (NIC) などが,コア I/O カードの派生製品としてサポートされていることがあります。さらに,Integrity システムに実装されているコア I/O カードとは種類の異なる NIC がサポートされている場合もあります。いずれにしても,選択したデバイスが EFI でサポートされていることを検証してください。

システムに利用可能な I/O カードが複数枚ある場合は,それらのいくつかをネットワーク・ブート用のカードとして選択することもできます。

OpenVMS Integrity システムに実装されている LAN I/O デバイスが認識されていれば,次の手順でそれらのリストを表示することができます。

  1. オペレーティング・システムが動作していなければ,OpenVMS Integrity OE DVD からブートし,OpenVMS オペレーティング・システムのメイン・メニューからオプション 8 (Execute DCL commands and procedures) を選択します。OpenVMS の DCL プロンプト ($$$) が表示されます。オペレーティング・システムが動作していれば,次の手順へ進みます。

  2. DCL のプロンプトに対して次のコマンドを実行し,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティを起動します。

    @SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS

  3. 次の例のように,LANCP ユーティリティを起動し,そのプロンプトに対して SHOW CONFIGURATION コマンドを実行します。 実行結果では,LAN デバイスが 4 個表示されています。 Link 列に示されているように,そのうちの 2 つが利用可能な状態 (オンライン) になっています (Up: 利用可能,Down: 利用不可)。別のプロトコルで使用されているデバイスも使用することができます。利用できるデバイスからネットワーク・ブートに使用するデバイスを選び,そのデバイスの名前,MAC アドレス,および IP アドレスを記録します (MAC アドレスは,デバイス本体に貼られたラベルに明記されています)。これらの情報は,選択した LAN デバイスが EFI でブートできることを確認した後,BOOTP サーバ・データベースの設定担当者に知らせます (C.4 項 「BOOTP ブート・サーバと TFTP サーバのセットアップ (Integrity のみ)を参照してください)。

$$$ RUN SYS$SYSTEM:LANCP
LANCP> SHOW CONFIGURATION
LAN Configuration:
       Parent or
Device  PrefCPU  Medium/User Version  Link  Speed  Duplex Auto BufSize   MAC Address            Type    ...
------  -------  ----------- -------  ----  -----  ------ ---- ------- ----------------    ------------ ...
 EIA0      0      Ethernet    X-21     Up    1000   Full   Yes   1500  AA-00-04-00-A5-38   UTP i82546   ...
                                                                       00-13-21-5B-85-E4 (default)      ...
 EIB0      1      Ethernet    X-21     Up    1000   Full   Yes   1500  AA-00-04-00-A5-38   UTP i82546   ...
                                                                       00-13-21-5B-85-E5 (default)      ...
 EWA0      0      Ethernet    X-59    Down     -      -    Yes   1500  00-11-0A-43-23-D8   UTP AB465A   ...
 EWB0      1      Ethernet    X-59    Down     -      -    Yes   1500  00-11-0A-43-23-D9   UTP AB465A   ...

C.2.2 EFI Boot Manager へのネットワーク・ブート・オプションの追加

LAN デバイス (仮想 DVD ドライブ) をネットワーク・ブート・オプションとして追加するには,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティを使用して,次の手順を実行します。

  1. DCL のプロンプトに対して次のコマンドを実行し,OpenVMS Integrity Boot Manager ユーティリティを起動します。

    $ @SYS$MANAGER:BOOT_OPTIONS

  2. OpenVMS Integrity Boot Manager の Boot Options メイン・メニューが表示されるので,プロンプトに対して 1 を入力して,ネットワーク・ブート・オプションの追加を選択します。

     
      OpenVMS I64 Boot Manager Boot Options List Management Utility
     
      (1) ADD an entry to the Boot Options list
      (2) DISPLAY the Boot Options list
      (3) REMOVE an entry from the Boot Options list
      (4) MOVE the position of an entry in the Boot Options list
      (5) VALIDATE boot options and fix them as necessary
      (6) Modify Boot Options TIMEOUT setting
    
      (B) Set to operate on the Boot Device Options list
      (D) Set to operate on the Dump Device Options list
      (G) Set to operate on the Debug Device Options list
    
      (E) EXIT from the Boot Manager utility
    
      You can also enter Ctrl-Y at any time to abort this utility
    
    Enter your choice:  1

    注意:

    このユーティリティを使用しているときに,すでに入力した応答を後から変更する場合は,対応するプロンプトに戻るまで,キャレット記号 (^) を繰り返し入力します。Boot Manager を終了して DCL のプロンプトへ戻る場合は,Ctrl/Y を押します。

  3. デバイス名の入力を求めるプロンプトが表示されるので,デバイス名を入力します。次の例では,デバイス名として EIA0: を入力しています。

    Enter the device name (enter "?" for a list of devices):  EIA0:

  4. 追加するエントリを EFI のブート・オプション・リスト内でどの位置に表示するか (つまり順序) を指定するように求めるプロンプトが表示されるので,1 以外の番号を入力します (1 を指定すると,そのデバイスが自動リブート用に設定されてしまうので,アップグレードに支障が出ます)。

    Enter the desired position number (1,2,3,,,) of the entry.
    To display the Boot Options list, enter "?" and press Return.
    Position [1]:  4

  5. OpenVMS のブート・フラグを設定するように求めるプロンプトが表示されます。値を指定しないと,ブート・フラグは設定されません。OpenVMS フラグの値として,たとえば 0,1 を入力するか,次の例に示すように,デフォルト (NONE) を受け入れます。デフォルトを受け入れると,フラグは一切設定されません。

    Enter the value for VMS_FLAGS in the form n,n.
    VMS_FLAGS [NONE]:

    OpenVMS Integrity Version 8.4 以降をブートしている場合は, VMS_FLAGS の値を 0,200400 に設定することをお勧めします。

  6. OpenVMS Integrity Version 8.4 以降で ブート・フラグとして 0,200400 を入力した場合は, サービス名を指定するためのプロンプトが表示されます。 このサービス名は必須です。

    INFOSERVER_SERVICE:
    注記: サービス名は大文字で入力してください。
  7. クラスタのサテライト・ブートにそのデバイスを使用するかどうかを尋ねるプロンプトが表示されます。次の例のように,NO を入力します。

    Will EIA0 be used for cluster satellite boot? (Yes/No):  NO

    (デバイスをクラスタのサテライト・ブート用に設定する方法についての詳細は,『HP OpenVMS Cluster システム』を参照してください。)

  8. ブート・オプションのエントリに表示する文字列,つまり説明を入力するように求められます。特に指定しなければ,デバイス名と MAC アドレスが説明として使用されます。次の例のように,より具体的な説明を入力することもできます。ただし,説明を入力した場合でも,そのブート・エントリの行にデバイス名と MAC アドレスが表示されます。また,MAC アドレスにはマイナス記号 (-) が含まれていません。

    Enter a short description (do not include quotation marks).
    Description ["EIA0"]:  I64 UPGRADE VIA NET
    
    efi$bcfg: eia0 (Boot0002) Option successfully added

    Boot Manager のメイン・メニューでオプション 2 を選択すると,登録されているデバイスのリストが次のように表示されるので,追加したデバイスが含まれていることを確認できます。

    Enter your choice: 2
    
    To display all entries in the Boot Options list, press Return.
    To display specific entries, enter the entry number or device name.
    (Enter "?" for a list of devices):
       
    EFI Boot Options list:   Timeout = 10 secs.
    ----------------------------------------------------------------------------
    01. DKB0 PCI(0|20|1|1) Scsi(Pun0,Lun0) "Boot VMS from DKB0" OPT
    02. DKB200 PCI(0|20|1|1) Scsi(Pun2,Lun0) "Boot VMS from DKB200" OPT
    03. VenHw(d65a6b8c-71e5-4df0-d2f009a9) "EFI Shell [Built-in]"
    04. EIA0 PCI(0|0|2|0) Mac(0013215b85e4) "I64 Upgrade VIA NET"
    ----------------------------------------------------------------------------
    4 entries found.

  9. プロンプトに対して E と入力し,Boot Manager を終了します。

    Enter your choice:  E

注記: ブート・エントリの追加のための代替方法として, EFI のブート構成メニューあるいは EFI ツール VMS_BCFG が使用できます。 EFI ツールについての詳細は,『システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』 を参照してください。

C.2.3 EFI でデバイスをブートできるかどうかの確認

最後に,選択したデバイス,つまりシステムの InfoServer クライアントで使用する LAN デバイスとして選択したデバイスが,EFI でブートできることを確認します。選択したデバイスが Integrity サーバに実装されているコア I/O LAN デバイスでない場合は,この確認を行うようお勧めします。選択した LAN デバイスが EFI でブートできることを確認するには,次の手順を実行します。

  1. Integrity サーバで EFI のコンソールを表示します。オペレーティング・システムが動作している場合は,シャットダウンし,EFI のコンソールへアクセスしてください (EFI へアクセスする方法とその使用方法についての詳細は,ハードウェア・マニュアルを参照してください)。

  2. EFI のメイン・メニューで,「Boot Configuration」オプションを選択します (EFI の一部のバージョンでは「Boot Option Maintenance Menu」)。この選択は,EFI がタイムアウトする前に行ってください。タイムアウトすると,EFI Boot Manager の最初にあったエントリが自動的に選択されます。EFI の Shell プロンプトが表示されたら,そのプロンプトに対して exit コマンドを実行し,EFI のメイン・メニューへ戻ります。自動ブートが開始された場合は,Integrity サーバをコールド・リセットして EFI のコンソールへ戻ります (詳細については,ハードウェア・マニュアルを参照してください)。あるいは,システムがブートするのを待った後,もう一度シャットダウンします。

  3. EFI Boot Configuration メニューで,「Boot From a File」オプションを選択します。Boot From a File リストが表示されるので,ネットワーク・ブート用に選択した LAN デバイスに対応するロード・ファイルを見つけます。次の例のように,該当するファイルの名前には,選択したデバイスと同じ MAC アドレスが含まれています。

    Load File [Acpi(HWP0002,0)/Pci(2|0)/Mac(0013215b85e4)]

    前述の手順で選択した EIA0 ネットワーク・デバイスの MAC アドレスは 00-13-21-5B-85-E4 で,この例の MAC アドレス (マイナス記号なし) と一致しています。この方法で,選択したファイルが EFI のコンソールで認識されていることを確認できます。Boot From a File メニューのどのオプションにも選択したデバイスがない場合は,利用可能な別のデバイスを調べて選択します (そのようなデバイスを調べるには,C.2.1 項 「使用するローカル・ネットワーク I/O カードの決定」で説明したように LANCP の SHOW CONFIGURATION コマンドを使用します)。

  4. 選択したデバイスのデバイス名,IP アドレス,および MAC アドレスを,BOOTP サーバのセットアップ担当者に知らせます。

C.3 InfoServer サーバのセットアップ

InfoServer サーバには,LAN 上のシステムを少なくとも 1 台指定する必要があります。 OpenVMS Integrity Version 8.4 以降で,適切なブート・フラグとサービス名を指定してメモリ・ディスクによるブートを選択した場合,LAN サーバとブート・サーバは同じシステムになるようにしてください。 InfoServer サーバとはネットワーク・ブートに使用するシステムのことで,物理 DVD ドライブが使用できるようになっている必要があります。またこのシステムでは,V8.2-1 以降の OpenVMS Integrity か,V8.3 以降の OpenVMS Alpha が動作している必要があります。これらのシステムには,基本オペレーティング・システムの一部として InfoServer ソフトウェアが付属しています。

指定したシステムで InfoServer ソフトウェアをセットアップするには,次の手順を実行します。

  1. SYS$STARTUP:ESS$LAD_STARTUP.TEMPLATE を ESS$LAD_STARTUP.DAT にコピーします (ESS$LAD_STARTUP.TEMPLATE ファイルは,あらかじめバックアップしておきます)。

  2. SYS$STARTUP:ESS$LAD_STARTUP.DAT を編集して,パラメータに必要な変更を加えます。このファイルは構成ファイルになっていて,その中に OpenVMS LASTport/Disk (LAD) サーバに影響を与える InfoServer パラメータが設定されています。この InfoServer 用のパラメータを編集することで,DVD ドライブへアクセスできるようにすることができます。この構成ファイルの例を,次に示します (この例では,すべてのパラメータにデフォルト値が設定されています)。

       !++
       ! ESS$LAD_STARTUP.TEMPLATE
       !
       ! Copy this file to SYS$STARTUP:ESS$LAD_STARTUP.DAT and edit it
       ! to suit your local situation.
       !
       ! This file is used by SYS$STARTUP:ESS$LAD_STARTUP.COM to set up
       ! the parameters for the InfoServer Application on OpenVMS
       ! LASTport/Disk (LAD) server.
       !
       ! Note:
       ! The LAD disk block cache is structured as a number of fixed-size
       ! buckets.  You must specify both the bucket size and the number of
       ! buckets for the cache.
       !
       ! The LAD cache is allocated from non-paged pool and is in no way
       ! associated with the XFC cache. The total LAD cache size in bytes
       ! may be determined by the formula:
       !
       ! cache-bytes = bucket-size-in-blocks * number-of-buckets * 512
       !
       ! Be sure the SYSGEN parameters NPAGDYN/NPAGEVIR are sized appropriately.
       !
       ! The following keywords with values are accepted by this procedure:
       !
       !       BUFFER_SIZE -   A number between 3 and 8 denoting the
       !                       bucket size in blocks as follows:
       !                       3 -   8 blocks
       !                       4 -  16 blocks
       !                       5 -  32 blocks
       !                       6 -  64 blocks
       !                       7 - 128 blocks
       !                       8 - 256 blocks
       !       CACHE_BUCKETS - Number of buckets
       !       MAXIMUM_SERVICES - Maximum number of services (max=1024)
       !       WRITE_LIMIT -   Server wide count of asynchronous writes
       !--
       
       BUFFER_SIZE = 3         ! default (8 block buckets)
       CACHE_BUCKETS = 512     ! Default setting
       WRITE_LIMIT = 0         ! No async writes
       MAXIMUM_SERVICES = 256  ! default (typically more than enough)
    

    次の表に,各パラメータの概要を示します。

    パラメータ概要
    BUFFER_SIZE

    InfoServer のブロック・キャッシュは,固定長のバッファ (バケット) を配列にした構造になっています。BUFFER_SIZE パラメータの値によって,このキャッシュを構成する各バッファ (バケット) のサイズが決まります。BUFFER_SIZE の値として指定できる値は 3 から 8 の範囲にある整数で,この値がバケットを構成するブロック (512 B) の数を表しています。バケットの長さを 32 ブロックより大きくしても,実用的にほとんど意味がありません。また,OpenVMS クライアントでは,1 回の I/O 要求で 32 ブロック以上のバケットが指定されると,31 ブロック長のチャンクに分割してしまうので,ディスクに対する I/O の負荷が増えすぎてしまうことがあります。このブロック・キャッシュは,ページングの対象になっていないメモリ・プールから割り当てられて,LAD ドライバ専用に使用されます。

     3

    8 ブロック (デフォルト)

     416 ブロック

    532 ブロック

    664 ブロック

    7128 ブロック

    8256 ブロック

    CACHE_BUCKETS

    キャッシュ内のバケット数です。デフォルトは 512 です。この値が 16384 より大きいと,性能が低下する可能性があります。キャッシュ・サイズを最適化するためには,この BUFFER_SIZE パラメータの値を増やすことを検討してください。

    MAXIMUM_SERVICES

    InfoServer サーバで同時に定義しておけるサービスの最大数です。このパラメータの値は 2 の累乗になっている必要があります。最小値は 256 で,この値がデフォルトになっています。ほとんどの環境には,このデフォルト値が適しています。最大値は 1024 です。個々のサービス記述子にはページングの対象になっていないメモリ・プールが使用されますが,使用されていないサービスについては,1 サービスあたり 4 バイトが消費されるだけです。

    WRITE_LIMIT

    サーバで同時に処理できる非同期書き込みの数です。デフォルトは 0 で,非同期書き込みはできません。

    注意:

    上記の構成ファイルの例にあるコメントでも示されているように,LAD キャッシュは,ページングの対象になっていないメモリ・プールから割り当てられます。そのため,LAD キャッシュのサイズを極端に大きくした場合は,ページングの対象になっていないメモリ・プールの SYSGEN パラメータ (NPAGEDYN,NPAGEVIR) も,値を増やさなければならないことがあります。

  3. InfoServer の LAD 処理に使用するネットワーク・デバイスを選択します。OpenVMS が認識できるネットワーク・デバイスであれば,どれでも使用できます。特に,DECnet や TCP/IP Services for OpenVMS に対応しているネットワーク・デバイスであれば,問題なく動作するはずです。LANCP の SHOW CONFIGURATION コマンドを実行して,使用するデバイスを決定します (C.2.1 項 「使用するローカル・ネットワーク I/O カードの決定」の説明を参照してください)。

    このリリースの OpenVMS では,LASTport プロトコルが 1 つのネットワーク・デバイスでしか動作しません。 そのデバイスで LASTport プロトコルを有効にするには,SYS$STARTUP:ESS$LAST_STARTUP.TEMPLATE ファイルを SYS$STARTUP:ESS$LAST_STARTUP.DAT ファイルにコピーしてから,SYS$STARTUP:ESS$LAST_STARTUP.DAT ファイルをエディタで開いて,次のように変更します。

    1. 文字列「DEVICE = ()」が含まれているコメント行から疑問符 (!) を削除し (コメントの解除),括弧内にデバイス名を入力します (例: DEVICE = (EIA))。

    2. 「ALL_CONTROLLERS = ON」が指定されている行をコメント化します。 行の先頭に疑問符 (!) を挿入することで,その行をコメント化できます。

    このように変更した SYS$STARTUP:ESS$LAST_STARTUP.DAT ファイルの例を次に示します (変更箇所は太字で示してあります)。

    !++
     ! This file will be used to set the appropriate LASTCP qualifiers. The following
     ! LASTCP qualifiers: ALL_CONTROLLERS, CHECKSUM, TRANSMIT_QUOTA, or SLOW_MODE
     ! can be set by using the following statement format:
     ! LASTCP qualifier = 1 to enable   e.g. SLOW_MODE = 1 enables  SLOW_MODE
     ! LASTCP qualifier = 0 to disable  e.g. SLOW_MODE = 0 disables SLOW_MODE
     ! The remaining LASTCP qualifiers will require the appropriate value settings.
     DEVICE          = (EIA)    ! Uncommented; device name specified
     ! TIMEOUT         = n                           minimum interval in seconds
     ! CIRCUIT_MAXIMUM = n                           maximum number of nodes
     ! GROUP           = n                           Group number
     ! NODE_NAME       = name                        Node name
     ! CONTROLLERS     = ([{controller letter,}...]) Controller list
     ! TRANSMIT_QUOTA  = n                           Number of transmit buffers
     !--
     !ALL_CONTROLLERS = ON      ! Commented out

  4. システム・スタートアップ・ファイル (SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM) に次の行を追加します。

    @SYS$STARTUP:ESS$LAD_STARTUP.COM

  5. SYSGEN パラメータを変更した場合は,AUTOGEN を実行してリブートします (AUTOGEN の実行方法については,7.24 項 「AUTOGEN によるシステムの調整」を参照してください)。SYSGEN パラメータを変更していない場合は,リブートしないで,SYS$STARTUP:ESS$LAD_STARTUP.COM ファイルを手動で実行します。

    以上の手順が完了すると InfoServer サーバ・ソフトウェアが起動して,ブート要求に応えられるようになります。ネットワーク・デバイスとして,LAD0 (LAD サーバ仮想デバイス) と LAST0 (LAST トランスポート層仮想デバイス) が使用されていることに注意してください。

  6. InfoServer サーバは,InfoServer クライアントと同じシステムで動作させることができます。InfoServer クライアントを InfoServer サーバと同じシステムで起動すれば,そのシステムに InfoServer デバイスをマウントできます。InfoServer クライアントを起動する場合は,DCL プロンプトに対して次のコマンドを実行します。

     @SYS$STARTUP:ESS$STARTUP DISK

    また,システムのブートで InfoServer クライアントが自動的に起動するようにする場合は,SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM にこのコマンドを追加します。

  7. これで InfoServer サーバのセットアップと有効化が完了しました。続いて,InfoServer 制御プログラムを使用して,DVD ドライブ用のサービスを作成する必要があります。以下に,その手順を示します。

    1. システム全体で OpenVMS の配布メディアをマウントします。次の例では,DVD ドライブ名として DQA0 を (通常は,DQA0 がドライブ名になります),またボリューム・ラベルとして I64084 (OpenVMS Integrity を表す) をそれぞれ指定しています。

      $ MOUNT/SYSTEM DQA0 I64084
    2. DCL のプロンプトで次のコマンドを入力して InfoServer 制御プログラムを外部コマンドとして定義するか,このコマンド行をスタートアップ・ファイルまたはログイン・コマンド・ファイルに追加します。

      $ INFOSERVER :== $ESS$INFOSERVER

      あるいは,次のコマンドを実行して,InfoServer 制御プログラムを起動してもかまいません。

      $ RUN SYS$SYSTEM:ESS$INFOSERVER

    3. 次の例に示すように,InfoServer 制御プログラムを起動してサービスを作成します。デバイス名 DQA0 の直後には必ずコロン (:) を付けてください。

      $ INFOSERVER
      INFOSERVER> CREATE SERVICE I64084 DQA0:
      INFOSERVER> EXIT

      作成したサービスは,LAN 上のすべての InfoServer クライアントで使用できます (各クライアントが,LAN 経由でサービスの要求をブロードキャストします)。

      上記の例のように起動した InfoServer 制御プログラムでは,最後に EXIT コマンドを入力して (または Ctrl/Z を押して) 終了するまでの間に,複数のコマンドを実行することができます。また次のように,DCL のプロンプトに対して単独でコマンドを実行することもできます。その場合は,コマンドを入力すると,ただちに DCL プロンプトへ戻ります。

      $ INFOSERVER CREATE SERVICE I64084 DQA0:
      $

      InfoServer 制御プログラムのコマンドは,OpenVMS Alpha システムで従来から使用されてきた InfoServer ハードウェアのコマンドに似ていますが,同じではありません。 詳細については,INFOSERVER のヘルプ,または 『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』 を参照してください。 INFOSERVER のヘルプを表示するには,INFOSERVER のプロンプトに対し HELP と入力します。

  8. OpenVMS Alpha システムでは,次の手順をさらに実行する必要があります。

    1. OpenVMS InfoServer ユーティリティが使用されているシステムで MOP を有効にし,LANACP または DECnet を使用できるようにします。MOP を有効にする方法については,『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (上巻)』の LANCP に関する章を参照してください。

    2. OpenVMS Alpha の配布メディアに収録されている APB_084.SYS ファイルを,MOP のダウンロード・ディレクトリ (LAN$DLL: デフォルトは MOM$SYSTEM) へコピーします。

C.4 BOOTP ブート・サーバと TFTP サーバのセットアップ (Integrity のみ)

OpenVMS Integrity Version 8.3-1H1 あるいはそれ以前のバージョンでは, OpenVMS Integrity InfoServer ユーティリティ用の BOOTP ブート・サーバは,InfoServer アプリケーションと同じシステムか,同じ LAN に属している他のいずれかのシステムに配置することができます。 OpenVMS Version 8.4 以降は, メモリ・ディスクによるブートの場合は,BOOTP サーバと LAN サーバが同じシステムになるようにしてください。 ブート・サーバからクライアント・システムへブート・ファイルを供給する場合は,ブート・サーバ側に TFTP サーバが必要です。

ブート・サーバとブート・ファイルのセットアップに必要な手順は,以下のとおりです。

重要: OpenVMS Integrity Version 8.4 以降をブートする際,ブート・フラグに 0,200400 を設定している場合は手順2 および手順3 を実行する必要はありません。
注意:

以下の説明と例は,どの場合も TCP/IP Services for OpenVMS の使用を前提としています。他の IP 製品でも行える可能性がありますが,弊社ではそのような製品を使用した試験は実施していないため,現時点ではサポートの対象になっていません。

  1. TCP/IP Services for OpenVMS がインストールされていることを確認し,さらに次の 3 点を確認します。

    • IP インタフェースが少なくとも 1 つは定義されている

    • BOOTP サーバと TFTP サーバがすでに構成されていて,動作している

    • TELNET サーバと FTP サーバがすでに構成されていて,動作している (省略可)

    IP インタフェースの情報を表示するには,TCPIP SHOW INTERFACE コマンドを使用します。

    BOOTP サーバと TFTP サーバが構成されて起動されているかどうかを確認するには,HP TCP/IP Services for OpenVMS の SYS$MANAGER:TCPIP$CONFIG.COM 構成プロシージャを使用します。 [Main Configuration] メニューから,オプション 3 (サーバ・コンポーネント) を選択します。 BOOTP サービスまたは TFTP サービスが有効になっていないか,有効になっていても起動されていない場合は,適切なサーバ・オプションを選択してから,そのサービスを有効にして起動します。 TCP/IP Services for OpenVMS コンポーネントの構成と有効化についての詳細は,『TCP/IP Services for OpenVMS インストレーション/コンフィグレーション・ガイド』と『HP TCP/IP Services for OpenVMS Management』を参照してください。

    注意:

    DHCP サービスを使用している場合は,必ず無効にしてください。代わりに BOOTP サービスを有効にする必要があります。サービスの有効/無効を切り替える方法については,『HP TCP/IP Services for OpenVMS Management』を参照してください。

  2. ブート・ファイルを格納する場所として,次の例のように,TFTP でアクセス可能なディレクトリを作成します (OpenVMS のバージョンに合わせて,それぞれに専用のブート・ファイル・ディレクトリを作成するようお勧めします)。

    $ CREATE/DIRECTORY TCPIP$TFTP_ROOT:[V831H1]

    重要:

    OpenVMS がバージョンアップした場合は,そのたびに,その新しいバージョンの OpenVMS で専用に使用するブート・ファイルのディレクトリをそれまでとは別に作成する必要があります。またその際に,クライアントごとに登録されているブート・ファイルのパスも,必要に応じて変更する必要があります (手順 6 を参照)。システム全体,またはクラスタ全体で共通の論理名を使用しておけば,以降のアップグレードが簡単になります。

  3. 次の 2 つのファイルを,配布 DVD から TCPIP$TFTP_ROOT:[V831H1] ディレクトリへコピーします。

    • [SYS0.SYSCOMMON.SYSEXE]VMS_LOADER.EFI

    • [SYS0.SYSCOMMON.SYSEXE]IPB.EXE

  4. ブート・クライアント (配布 DVD からネットワーク経由でブートする各ノード) ごとに,必要なデータを収集します。このデータには,クライアント側のネットワーク・デバイス (クライアントの Integrity サーバ・コア I/O カード) に関する情報として以下の情報が含まれている必要があります。

    • IPアドレス

    • MAC アドレス

  5. TCPIP SET HOST コマンドを使用して,TCP/IP Services for OpenVMS のローカル・ホスト・データベースに,各ブート・クライアントのホスト名を登録します。 次の例では,hostname にブート・クライアントのホスト名を,また ipaddress にその IP アドレスをそれぞれ指定します。

    $ TCPIP SET HOST hostname/ADDRESS=ipaddress

    IP アドレスは,ブート・クライアント・ホストへ実際に割り当てるアドレスと必ずしも一致させる必要はありません。ただし,その場合は,IP アドレスが BOOTP サーバと同じ LAN に属していることと,使用されていないことが条件です。IP アドレスを静的に割り当てている場合は,ブート・クライアント側のネットワーク・デバイスに割り当てられているアドレスを使用して,作業が簡単になるようにすることをお勧めします。 割り当てられている IP アドレスを表示して確認するには,TCPIP SHOW HOST コマンドを使用します。

  6. 次の例に示すように,ブート・クライアントごとに BOOTP データベースへエントリを追加し,クライアント側にある LAN デバイスの MAC アドレスを,ブート・サーバからロードするブート・ファイルと関連付けます。この例では,hostname にブート・クライアントのホスト名を,また MACaddress に,クライアント側にある LAN デバイスの MAC アドレスをそれぞれ指定します。MAC アドレスは,xx-xx-xx-xx-xx-xx の形式で指定します。 手順 2および手順 3 を実行し,VMS_LOADER.EFI および IPB.EXE を新しく作成したディレクトリにコピーした場合は, ブート・ファイルの指定文字列には必ずしも 「TCPIP$TFTP_ROOT:」 は必要ありません。 そうでない場合,ブート・ファイル指定には VMS_LOADER.EFI の絶対パス名を使用します。 次の例では,デバイス DQA0: は DVD です。

    $ TCPIP SET BOOTP hostname /HARDWARE=ADDRESS=MACaddress-
    _$ /FILE=[V831H1]VMS_LOADER.EFI (Version 8.3-1H1 あるいはそれ以前の場合)
    $ TCPIP SET BOOTP hostname /HARDWARE=ADDRESS=MACaddress-
    _$ /FILE=DQA0:[SYS0.SYSCOMMON.SYSEXE]VMS_LOADER.EFI  (Version 8.4 以降の場合)

    ゲートウェイ (/GATEWAYS) とネットワーク・マスク (/NETWORK_MASK) の指定が必要になることもあります。 ゲートウェイの名前やサブネットの情報を調べる場合は,ネットワーク管理者に相談してください。 このコマンドの詳細については,TCP/IP Services for OpenVMS のドキュメントを参照してください。 BOOTP サーバの構成を表示して確認するには,TCPIP の SHOW BOOTP/FULL コマンドを使用してください。

    重要:

    OpenVMS Integrity の新しいバージョンごとに,BOOTP データベース内のクライアント・エントリを変更し,新しいバージョンで専用に使用するブート・ファイルを指すように更新する必要があります。

例 C-1 「ブート・サーバとクライアントのセットアップ (V8.3-1H1 以前の場合)」 および 例 C-2 「ブート・サーバとクライアントのセットアップ (Version 8.4 の場合)」 に,MOZART という名前のクライアントに対してブート・サーバをセットアップするコマンドを示します。 各コマンドの説明は,この例の後にあります。

例 C-1 ブート・サーバとクライアントのセットアップ (V8.3-1H1 以前の場合)

$ CREATE/DIRECTORY TCPIP$TFTP_ROOT:[V831H1] 1
$ COPY DQA0:[SYS0.SYSCOMMON.SYSEXE]VMS_LOADER.EFI TCPIP$TFTP_ROOT:[V831H1]VMS_LOADER.EFI 2
$ COPY DQA0:[SYS0.SYSCOMMON.SYSEXE]IPB.EXE TCPIP$TFTP_ROOT:[V831H1]IPB.EXE 3
$ TCPIP SET HOST MOZART/ADDRESS=16.32.110.117 4
$ TCPIP SET BOOTP MOZART/HARDWARE=ADDRESS=00-13-21-5B-85-E4 -
_TCPIP> /FILE=[V831H1]VMS_LOADER.EFI 5
$ TCPIP SHOW HOST MOZART 6

     BIND Database
Server:   15.227.128.41

Host address       Host name
16.32.110.117      MOZART...
$TCPIP SHOW BOOTP MOZART/FULL  7

Host:         16.32.110.117   mozart

                            Hardware Address: 00-13-21-5B-85-E4
Network mask: 255.0.0.0                          Type:    Ethernet
File:         [V831H1]VMS_LOADER.EFI

Time offset:            0
Vendor: ACME, Inc.

Gateways:     not defined

Servers:
        .
        .
        .
1

TFTP サーバおよび BOOTP サーバとして使用するシステムに,TCPIP$TFTP_ROOT:[V831H1] ディレクトリを作成する。

2

配布 DVD に収録されている [SYS0.SYSCOMMON.SYSEXE]VMS_LOADER.EFI を,TCPIP$TFTP_ROOT:[V831H1] へコピーする。

3

配布 DVD に収録されている [SYS0.SYSCOMMON.SYSEXE]IPB.EXE を,TCPIP$TFTP_ROOT:[V831H1] へコピーする。

4

TCP/IP ホスト・データベースへブート・クライアントのホスト名 MOZART を追加するとともに,IP アドレスとして 16.32.110.117 を指定する。

5

BOOTP データベースに,クライアント・エントリとしてホスト名 MOZART を追加する。 上記の例では,MOZART にある LAN デバイスの MAC アドレスとして 00-13-21-5B-85-E4 を (C.2.1 項 「使用するローカル・ネットワーク I/O カードの決定」の例で確認済み),またクライアント用のブート・ファイルとして [V831H1]VMS_LOADER.EFI をそれぞれ指定している。

6

ローカル・ホスト・データベースに格納されているブート・クライアント MOZART に関して情報を表示する (クライアントが正しく設定されているかどうかを,このコマンドで確認している)。

7

BOOTP データベースに格納されているブート・クライアント MOZART に関して情報を表示する (クライアントが正しく設定されているかどうかを,このコマンドで確認している)。

例 C-2 ブート・サーバとクライアントのセットアップ (Version 8.4 の場合)

$ TCPIP SET HOST MOZART/ADDRESS=1.1.110.117 1
$ TCPIP SET BOOTP MOZART/HARDWARE=ADDRESS=00-13-21-5B-85-E4 - 
$ _TCPIP> /FILE=DQA0:[SYS0.SYSCOMMON.SYSEXE ]VMS_LOADER.EFI 2
$ $ TCPIP SHOW HOST MOZART  3

     BIND Database
Server:   1.1.128.41

Host address       Host name
16.32.110.117      MOZART...
$TCPIP SHOW BOOTP MOZART/FULL  4

Host:         1.1.110.117   mozart

                            Hardware Address: 00-13-21-5B-85-E4
Network mask: 255.0.0.0                          Type:    Ethernet
File:         [DQA0: [SYS0.SYSCOMMON.SYSEXE ]VMS_LOADER.EFI

Time offset:            0
Vendor: ACME, Inc.

Gateways:     not defined

Servers:
        .
        .
        .
1

MOZART の IP アドレスとして 1.1.110.117 を指定して,TCP/IP ホスト・データベースにブート・クライアント・ホスト MOZART を追加する。

2

BOOTP データベースのクライアント・エントリとしてホスト MOZART を追加する。 クライアントの LAN デバイスの MAC アドレスは 00-13-21-5B-85-E4 で, クライアントのブート・ファイルは DQA0:[SYS0.SYSCOMMON.SYSEXE ]VMS_LOADER.EFI。

3

ローカル・ホスト・データベースに保管されているブート・クライアント MOZART についての情報を表示する (このコマンドは,クライアントが適切に構成されていることを確認するのに使用する)。

4

BOOTP データベースに保管されているブート・クライアント MOZART についての情報を表示する (このコマンドは,クライアントが適切に構成されていることを確認するのに使用する)。

この節より前に示した必須手順に加えて上記の手順を実行すると,InfoServer アプリケーションを使用して,ネットワーク経由でクライアントをブートできるようになります。InfoServer からブートする方法については,C.5 項 「InfoServer からのブート」を参照してください。また,トラブルシューティングについては,C.6 項 「InfoServer によるブートで発生した問題のトラブルシューティング」を参照してください。

C.5 InfoServer からのブート

InfoServer ソフトウェアとブート・サーバを正しくセットアップして,InfoServer サービスが利用できるようになっていることを確認すると,InfoServer の提供しているリモート DVD をブートすることができます。 その手順は,次のとおりです。

注意:

DVD を LD デバイスにコピーして,LD デバイスからブートすることもできます。 この処理の方が,DVD を使用するよりも速くなります。

  1. InfoServer サーバとして動作している OpenVMS システムで,配布メディアの CD または DVD がシステム全体でマウントされていることを確認するとともに,DVD ドライブ用の InfoServer サービスがネットワークから利用できる状態になっていることと,クライアント・システム (つまり,InfoServer からブートするシステム) から InfoServer サービスへアクセスできることを確認します。InfoServer サービスは,OpenVMS の配布メディアがマウントされているサーバの DVD ドライブを指している必要があります。InfoServer サービスがネットワーク経由で利用できる状態になっていることを確認するには,次のコマンドを使用します。

    $ MC ESS$LADCP SHOW SERVICES

    次に,このコマンドからの表示例を示します。

    Interrogating network for Disk services, please wait...
        .
        .
        .
    Disk services offered by node MOOSIC (LAD V3.1, Address: AA-00-04-00-AB-4E)
    
                                                       Current       Writes
    Service:                      Device:      Rating: Connects:     Allowed?:
    I64084                        OpenVMS      65535       0          No
        .
        .
        .

    この例に示されているサービス I64084 は,InfoServer サーバ MOOSIC の DVD ドライブに対応した仮想ディスク・ユニットです。このドライブから OpenVMS の配布メディアをブートします。この表示例では,このサービスが利用できる状態になっていて,しかも InfoServer DVD ドライブにバインドされています。

  2. Integrity サーバの EFI へアクセスします。EFI Boot Manager のブート・オプション・リストに InfoServer によるネットワーク・ブートを追加してある (C.2.2 項 「EFI Boot Manager へのネットワーク・ブート・オプションの追加」を参照) 場合は,そのブート・オプションを選択します。リストに表示されているオプションの間を移動するには,上下の矢印キーを使用します。ターミナル・エミュレータの設定によっては,下方へのスクロールに「v」を,また上方へのスクロールにキャレット文字 (^) をそれぞれ入力する場合もあります。また,選択のオン/オフを切り替えるには,Enter を押します。 ブート・オプションを選択したら,手順 3 へ進みます。

    注意:

    ブート・オプションがタイムアウトする (デフォルト: 10 秒) 前にオプションを選択しないと,リストの先頭にあるオプションが自動的に選択されます。

    EFI Boot Manager のブート・オプション・リストに InfoServer によるブートを追加しなかった場合は,「EFI Boot Manager によるブート」の手順に従うか,一部の新しい Integrity サーバでは,「EFI の lanboot select コマンドによるブート」で説明されている簡単な方法を使用して,ブートを開始してください。

    EFI Boot Managerによるブート

    1. EFI Boot Manager のメイン・メニューで,Boot Configuration オプション (EFI の一部のバージョンでは Boot Option Maintenance Menu) を選択します。

    2. EFI Boot Configuration メニューで,Boot From a File オプションを選択します。

    3. Boot From a File メニューに,ブート可能なデバイス (EFI ではロード・ファイル) のリストが表示されます。リストの各項目には,デバイスの MAC アドレスも示されています。このリストの内容は,Integrity サーバの構成によって異なります。MAC アドレスを見て,適切なデバイスを選択します。たとえば,LAN デバイスの MAC アドレスが 00-13-21-5B-85-E4 であると,それに対応するロード・ファイルは,Boot From a File メニューのリストで,次のように表示されます。

      Load File [Acpi(HWP0002,0)/Pci(2|0)/Mac(0013215b85e4)]

      デバイスの識別は,ハードウェア・ベンダによって割り当てられたユニークな MAC アドレスで行うことができます。MAC アドレスは,通常,デバイス本体に貼られたラベルに明記されています。詳細は,使用しているデバイスのハードウェア・マニュアルを参照してください。

      LAN デバイスの選択では,EFI の pci コマンドを使用して,すべてのデバイスを表示することもできます。あるいは,適切な LAN デバイスが見つかるまで,LAN デバイスを一度に 1 つずつ順に選択してブートを試すこともできます。また,すべての LAN デバイスが同じネットワークに接続されていることと,InfoServer でブートできることが判明すれば,どのデバイスを選択してもかまいません。OpenVMS の運用をすでに開始していれば,DCL のプロンプトに対して LANCP の SHOW CONFIG コマンドを実行することでも,各デバイスとその MAC アドレスを表示できます。このコマンドを実行すると,各デバイスに対応した OpenVMS のデバイス名とともに,MAC アドレスなどの関連情報が表示されます。 同様に,動作中の OpenVMS で EFI Utilities for OpenVMS の vms_show コマンドを使用すれば,ローカル・システムのデバイスについてその他の情報が得られることもあります。

    EFI の lanboot select コマンドによるブート

    OpenVMS Version 8.3-1H1 およびそれ以前のバージョンの場合:

    1. EFI Boot Manager の画面から,[EFI Shell [Built-in]] オプションを選択します。

    2. Shell プロンプトに対して,lanboot select コマンドを入力します。

    3. 入力を求められたら,C.4 項 「BOOTP ブート・サーバと TFTP サーバのセットアップ (Integrity のみ)で BOOTP を構成したときに指定した MAC アドレスを持つ LAN デバイスの数を入力します。

    OpenVMS Version 8.4 以降の場合:

    1. EFI Boot Manager 画面から,EFI Shell [Built-in]オプションを選択します。

    2. シェル・プロンプトから次のようなコマンドを入力して,適切なブート・フラグとサービス名を設定します。

      Shell> SET VMS_FLAGS 0,200400
      Shell> SET INFOSERVER_SERVICE I64084 
      
      I64084 は,ブートあるいはインストレーション時に使用される InfoServer サービス名です。このサービス名は大文字で入力する必要があります。

    3. シェル・プロンプトで lanboot select を入力します。 プロンプトが表示されたら,C.4 項 「BOOTP ブート・サーバと TFTP サーバのセットアップ (Integrity のみ) で BOOTP を構成した時に指定した MAC アドレスを持つ LAN デバイスの番号を入力します。

    代替方法として,次のようにオプションデータにフラグと InfoServer サービス名を指定して Directed Boot プロファイルを設定する方法があります。

    dbprofile -dn <profile name> -sip <server IP address> -cip
    <Client IP address> -m <subnet mask> -gip <gateway IP> -b <full path
    to VMS_LOADER.EFI in the boot server> -od “-fl 0,200400 -service I64084”
    
    

    DBPROFILE コマンドについての詳細は,EFI のオンライン・ヘルプを参照してください。 ここで次のように lanboot select コマンドを実行します。

    lanboot select -dn <profile name>
    
  3. 適切なオプションを選択すると,数行にわたってメッセージが出力された後,次の例に示すような InfoServer のブート・メニューが表示されます (Alpha システムで表示されるメニューもこれと同じです)。 DHCP (Dynamic Host Communication Protocol) のメッセージは,ローダ・イメージ (VMS_LOADER.EFI) がロードされていることを示しています。 このローダ・イメージが EFI のコンソールを使用して OpenVMS のブートストラップ・プログラム (IPB.EXE) をロードし,起動します。 ブートストラップ・プログラムのロードには TFTP (Trivial File Transfer Protocol) が使用されます。 最初の例では,InfoServer サービスのブート・オプションとして「I64 Upgrade VIA NET」が起動されています。このオプションは,EFI Boot Manager のブート・オプション・リストで選択されています (この例には含まれていません)。 2 つ目の例では,IPB のロードが始まる前のメモリ・ディスクのローディング・メッセーに注目してください。 サービス名は環境変数によって事前に定義されているので,あるいは BOOT_OPTIONS.COM によって指定されているので,2 つ目の例では InfoServer サービス・メニューは表示されません。

       
       Loading.: Network Boot, 10/100
       Running LoadFile()
       
       CLIENT MAC ADDR: 00 13 21 5H 85 E4
       DHCP./
       CLIENT IP: 16.32.24.219   MASK: 255.0.0.0   DHCP IP: 0.240.0.0
       Running LoadFile()
      
       Starting: I64 Upgrade VIA NET
       %EIA-I-BOOTDRIVER, Starting auto-negotiation
       %EIA-I-BOOTDRIVER, Auto-negotiation selected 100BaseTX FDX
       
       Network Initial System Load Function
       Version 1.2
       
       
         FUNCTION         FUNCTION
           ID
           1     -        Display Menu
           2     -        Help
           3     -        Choose Service
           4     -        Select Options
           5     -        Stop
     
       Enter a function ID value:
  4. 表示される各プロンプトごとに,応答を入力して Enter を押します。サービス名には,表示されるデフォルトのサービス名か,システム管理者から提案された名前を使用します。

    1. 機能 ID として 3 を入力します。

    2. オプション ID として 2 を入力します。

    3. サービス名を入力します。 (InfoServer ハードウェアの場合,省略時のサービス名は ALPHA084 です。 OpenVMS Integrity OE DVD の省略時のサービス名は,I640831H1 です。 InfoServer ユーティリティを使用している場合に指定するサービス名については,システム管理者またはネットワーク管理者に問い合わせてください)。

    次に,その表示例を示します。

      Enter a function ID value: 3
      OPTION          OPTION
        ID
        1     -       Find Services
        2     -       Enter known Service Name
       
     Enter an Option ID value: 2
     Enter a Known Service Name: I64084

システムがブートされると,OpenVMS のメニューが表示されます。OpenVMS オペレーティング・システムをインストールする場合は3.4 項 「OpenVMS オペレーティング・システムのインストール (システム・ディスクへ)」の説明に,またシステムをアップグレードする場合は6.3 項 「アップグレードの実行」の説明にそれぞれ従ってください。

例 C-3  メモリ・ディスク・メッセージのロード

Loading.: Network Boot Mac(00-15-60-04-f4-1e)

Client MAC Address: 00 15 60 04 F4 1E .- Client IP Address: 1.1.238.63 
Subnet Mask: 255.255.240.0 
BOOTP Server IP Address: 1.1.238.239 
DHCP Server IP Address: 0.240.0.0 
Boot file name: LDA3:[VMS$COMMON.SYSEXE]VMS_LOADER.EFI

Retrieving File Size.|
Retrieving File (TFTP).Loading memory disk from IP 1.1.238.239 
................................................................................
Loading file: LDA3:[VMS$COMMON.SYSEXE]IPB.EXE from IP 1.1.238.239 
%IPB-I-SUCCESS, HP OpenVMS IPB version E8.4 successfully loaded.


    HP OpenVMS Industry Standard 64 Operating System, Version E8.4
    © Copyright 1976-2009 Hewlett-Packard Development Company, L.P.


%SMP-I-CPUTRN, CPU #1 has joined the active set.
%SMP-I-CPUTRN, CPU #2 has joined the active set.
%SMP-I-CPUTRN, CPU #3 has joined the active set.
%EIA0, Link up: 100 mbit, full duplex, flow control (receive only)



    Installing required known files...

    Configuring devices...

%PKA0, Copyright (c) 1998 LSI Logic PKW V3.2.20 ROM 4.19 %PKA0, 
SCSI Chip is SYM53C1010/66, Operating mode is LVD Ultra3 SCSI %PKB0, 
Copyright (c) 1998 LSI Logic PKW V3.2.20 ROM 4.19 %PKB0, 
SCSI Chip is SYM53C1010/66, Operating mode is LVD Ultra3 SCSI %EIB0, 
Link up: 100 mbit, full duplex, flow control (receive only)


    ****************************************************************

    You can install or upgrade the OpenVMS I64 operating system
    or you can install or upgrade layered products that are included
    on the OpenVMS I64 distribution media (CD/DVD).

    You can also execute DCL commands and procedures to perform
    "standalone" tasks, such as backing up the system disk.

    Please choose one of the following:

        1)  Upgrade, install or reconfigure OpenVMS I64 Version E8.4
        2)  Display layered products that this procedure can install
        3)  Install or upgrade layered products
        4)  Show installed products
        5)  Reconfigure installed products
        6)  Remove installed products
        7)  Find, Install or Undo patches; Show or Delete Recovery Data
        8)  Execute DCL commands and procedures
        9)  Shut down this system

Enter CHOICE or ? for help: (1/2/3/4/5/6/7/8/9/?)
注意:

InfoServer から OpenVMS Alpha オペレーティング・システム CD または OpenVMS Integrity OE DVD をブートして,インストール手順やアップグレード手順を実行しているときに接続が切れた場合 (つまり,システムが応答しなくなって,Ctrl/Y を押してもメニューに戻らない場合) は,次のように対処してください。

条件対処方法

INITIALIZE オプションを選択して手順を進めていた場合

  1. OpenVMS の CD/DVD をリブートする。

  2. メニューからインストール/アップグレード・オプション (1) を選択して,インストールまたはアップグレードを再実行する。

PRESERVE オプションを選択して手順を進めていた場合

  1. OpenVMS の CD/DVD をリブートする。

  2. メニューからオプション 8 を選択して,DCL 環境に入る。

  3. ターゲット・ディスクのバックアップ・コピーが入っているデバイスと,ターゲット・ディスクを入れるデバイスをマウントする。

  4. BACKUP コマンドを実行して,バックアップ・コピーからターゲット・ディスクをリストアする (MOUNT コマンドと BACKUP コマンドを使用してシステム・ディスクをリストアする方法についての詳細は,付録 F 「システム・ディスクのバックアップとリストア」 を参照のこと)。

  5. DCL 環境からログアウトする。

  6. メニューからインストール/アップグレード・オプション (1) を選択し,インストールまたはアップグレードを再実行する。

C.6 InfoServer によるブートで発生した問題のトラブルシューティング

OpenVMS Integrity InfoServer ソフトウェアを使用している最中に問題が発生した場合は,次の点に注意して,対処してください。

  1. ネットワーク経由でブートを試みる際に,コンソール・ディスプレイで次の情報をチェックしておきます。

    • EFI のコンソールに OpenVMS Integrity ローダ・ファイル (VMS_LOADER.EFI) を送るブート・サーバの IP アドレス: この IP アドレスが予想していたものと異なっていれば,間違ったブート・サーバのデータベースにクライアント・ホストを登録した可能性があります。クライアント・ホストの IP アドレスを,正しいブート・サーバのデータベースへ登録 (C.4 項 「BOOTP ブート・サーバと TFTP サーバのセットアップ (Integrity のみ)手順 5 を参照) するとともに,その他すべてのブート・サーバのデータベースからその IP アドレスを削除してください。

    • ロードされた IPB.EXE ブートストラップ・ファイルのバージョン番号 (現リリースでは 8.4): このバージョン番号が OpenVMS Integrity のバージョン番号と異なっている場合は,不一致を知らせるメッセージが表示されます。この場合は,ブート・サーバ側に問題が存在する可能性があります。ブート・サーバ側で正しく構成されていることを確認してください。またブート・サーバ側のデータベースに登録されているクライアントのエントリがバージョンの正しいロード・ファイルを指すように更新されていることを確認してください (C.4 項 「BOOTP ブート・サーバと TFTP サーバのセットアップ (Integrity のみ)手順 3手順 6 を参照)。

    • DHCP の状態: 無効になっている必要があります。ネゴシエーションの開始を知らせるメッセージが表示されない場合は,最も近い場所にあるネットワーク・デバイスやスイッチでオートネゴシエーションが有効になっていることを確認します。

  2. ネットワーク・ブートには成功しても,InfoServer のメニューでサービスの選択や表示を試みるとエラーになる場合は,LAD (LASTport/Disk) プロトコルをフィルタリングして通さないデバイスが存在する可能性があります。LAD プロトコルにはルーティング機能がなく,使用できる範囲も 1 つの LAN だけに限られています。拡張 LAN でフィルタ・デバイスを使用している場合は,LAD プロトコル (プロトコル・タイプ: 80-41) をフィルタリングの対象外にして,クライアントがフィルタ・デバイス経由で InfoServer へアクセスできるようにする必要があります。

LANCP と LANACP に関する問題についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。

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