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HP OpenVMS V8.4: インストレーション・ガイド

第5章 OpenVMS Cluster 環境でのアップグレードの準備

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OpenVMS ドキュメント ライブラリ

タイトルページ/目次
まえがき
第1章:はじめに
第2章:クラスタ環境でのインストールの準備
第3章:インストール手順
第4章:アップグレードの準備作業
第5章:クラスタ環境でのアップグレードの準備作業
第6章:アップグレード手順
第7章:インストールおよびアップグレード後の作業
付録A:Alphaシステムのブートとシャットダウン
付録B:I64システムのブートとシャットダウン
付録C:ネットワーク・ブート
付録D:SIMおよびvMediaによるプロビジョニング
付録E:Fibre Channelストレージデバイス
付録F:システムディスクのバックアップとリストア
付録G:国際化キットのインストール
付録H:Management Station
付録I:オペレーティングシステムの削除
付録J:システムディスクの初期化
用語集
索引
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この章では,OpenVMS Cluster 環境で行うアップグレードのための準備作業について説明します。OpenVMS Cluster 環境ではなく,スタンドアロン・システムをアップグレードする場合は,第6章 「OpenVMS オペレーティング・システムのアップグレード」へ進んでください。

5.1 OpenVMS Cluster 環境で行うアップグレード前の作業

注意:

OpenVMS Cluster システムをアップグレードする前に,第4章 「OpenVMS オペレーティング・システムをアップグレードするための準備」に説明されている前作業を,必ず実施してください。

表 5-1 「OpenVMS Cluster 環境で行うアップグレード前の作業チェックリスト」 に,OpenVMS の環境でシステムをアップグレードする前に実施すべき作業を示します。このチェックリストを使用して,必要な作業をすべて確実に実施してください。

表 5-1 OpenVMS Cluster 環境で行うアップグレード前の作業チェックリスト

 作業説明箇所
OpenVMS オペレーティング・システムと OpenVMS Cluster の関連ドキュメントに目を通す。5.2 項 「参照ドキュメント」
OpenVMS Cluster システムにおけるバージョンの混在 (混成バージョン),アーキテクチャの混在 (混成アーキテクチャ),および移行のそれぞれのサポートについて理解を深める。5.3 項 「OpenVMS Cluster 環境での混成バージョンのサポート」
既存の OpenVMS Cluster に新しい OpenVMS コンピュータ・システムを追加する場合は,2 つのアップグレード方法からどちらかを選択する。5.4 項 「OpenVMS Cluster への新しいシステムの追加」

アップグレードのタイプに合わせて,必要な準備作業を実施する。

  • 同時アップグレード

  • ローリング・アップグレード

5.5 項 「アップグレードの種類」:

アップグレードを開始する。第6章 「OpenVMS オペレーティング・システムのアップグレード」

 

5.2 参照ドキュメント

OpenVMS Cluster 環境でオペレーティング・システムをアップグレードする場合は,次のドキュメントに記載されている OpenVMS Cluster 関連の情報に目を通してください。

  • 『日本語 HP OpenVMS Version 8.4 をご使用のお客様へ』

  • ソフトウェア仕様書

  • 『HP OpenVMS Version 8.4 リリース・ノート』

  • 『HP OpenVMS Version 8.4 新機能説明書』

  • 『HP OpenVMS Cluster システム』

  • 『HP OpenVMS Cluster 構成ガイド』

システム管理者およびネットワーク管理者にも相談してください。

5.3 OpenVMS Cluster 環境での混成バージョンのサポート

OpenVMS Cluster システムでは,バージョンの異なるシステムが混在する構成 (混成バージョン) やアーキテクチャの異なるシステムが混在する構成 (混成アーキテクチャ) が,保証サポートと移行サポートという 2 つのレベルでサポートされています。

保証サポート ― OpenVMS Cluster で弊社の指定する 2 つのバージョンが混在することを正式に認定するとともに,その構成を使用している顧客から報告されたすべての問題に対応するサポート・レベルです。

移行サポート ― OpenVMS の新しいバージョンへ段階的に移行している過程で,特定バージョンの併用を認定するサポートです。このサポート・レベルでもお客様から報告された問題に対応しますが,その解決策のひとつとして,保証構成への移行をお願いすることがあります (特別なケースは除きます)。移行サポートは,保証されている OpenVMS Cluster から他の保証されている OpenVMS Cluster へ移行する際に役立ちます。

表 5-2 「クラスタで保証サポートの対象となるバージョンの組み合わせ」 に,クラスタで保証サポートの対象となるバージョンの組み合わせを示します。

表 5-2 クラスタで保証サポートの対象となるバージョンの組み合わせ

オペレーティング・システム保証される組み合わせ

OpenVMS Alpha Version 8.4

OpenVMS Integrity servers Version 8.4

OpenVMS Integrity Version 8.4

OpenVMS Integrity Version 8.4

OpenVMS Alpha Version 8.4

 

上記以外に,以下の組み合わせが保証されています。 なお,同じプラットフォームおよび同じバージョンの組み合わせに関しては常に保証されるため,ここではリストに示していません。

  • OpenVMS Alpha V8.3 と OpenVMS Integrity V8.3 あるいは V8.3-1H1

  • OpenVMS Alpha V8.2 と OpenVMS Integrity V8.2-1

  • OpenVMS Alpha V7.3-2 と OpenVMS Integrity V8.2-1

  • OpenVMS Alpha V8.2 と OpenVMS Alpha V7.3-2

  • OpenVMS VAX V7.3 と V7.3-2 以降の任意のバージョンの OpenVMS Alpha

    OpenVMS VAX と OpenVMS Integrity の組み合わせはサポートされません。

注意:

OpenVMS Cluster 内で混在させることが可能なアーキテクチャは 2 つだけです (OpenVMS Integrity と OpenVMS Alpha,または OpenVMS Alpha と OpenVMS VAX)。 OpenVMS Integrity と OpenVMS VAX の組み合わせはサポートされていません。

システム・ディスクは,アーキテクチャごとに固有です。そのため,システム・ディスクを共用できるのは,アーキテクチャが同じシステム間だけです。Alpha システムと Integrity システム,また Alpha システムと VAX システムは,同じシステム・ディスクからブートできません。しかし,Alpha システムと VAX システムの間では,クロス・アーキテクチャのサテライト・ブートがサポートされています。このクロス・アーキテクチャ・ブートが利用できるような OpenVMS Cluster を構成するときは,混在しているアーキテクチャごとに,インストール/アップグレードに使用できるディスクを備えたシステムを,少なくとも 1 台ずつ確保してください。詳細は,『HP OpenVMS Cluster 構成ガイド』と『HP OpenVMS Cluster システム』を参照してください。

表 5-3 「移行サポートの対象となるバージョンの組み合わせ」 に,移行サポートの対象となるバージョンの組み合わせを示します。

表 5-3 移行サポートの対象となるバージョンの組み合わせ

OpenVMS Integrity Version 8.4 への移行がサポートされているバージョン OpenVMS Alpha Version 8.4 への移行がサポートされているバージョン

OpenVMS Integrity Version 8.3-1H1

OpenVMS Integrity Version 8.3

OpenVMS Integrity Version 8.2-1

OpenVMS Alpha Version 8.3

OpenVMS Alpha Version 8.2

OpenVMS Alpha Version 7.3-2

 

有効なアップグレード・パスについての情報は,4.3.1 項 「アップグレード・パス」を参照してください。

詳細は,次に示す OpenVMS テクニカル・ソフトウェア・サポート・サービスの Web サイトを参照してください。

http://www.hp.com/go/openvms/support

また,次の Web サイトにある OpenVMS オペレーティング・システムのサポート・チャートもご覧ください。

http://www.hp.com/go/openvms/supportchart

既存の OpenVMS Cluster に OpenVMS V8.4 システムを導入する場合は,その前に OpenVMS の旧バージョンが動作しているクラスタ・メンバへパッチ・キット (修正キット) をインストールしなければならないこともあります。混成アーキテクチャ・クラスタでは,OpenVMS V7.3-2 Alpha の全メンバに,LMF パッチをインストールする必要があります。必要なパッチ・キットは, 『HP OpenVMS Version 8.4 リリース・ノート』 にすべて記載されています。

OpenVMS Cluster で Performance Data Collector 基本ソフトウェア (TDC_RT) をサポートする方法については,7.9.9.5 項 「OpenVMS Cluster でのインストール」を参照してください。

5.4 OpenVMS Cluster への新しいシステムの追加

既存の OpenVMS Cluster 構成に新しい OpenVMS V8.4 の Alpha システムまたは Integrity システムを追加する場合は,クラスタ内のすべての既存 OpenVMS Alpha ノードで V7.3-2 以降の OpenVMS Alpha が動作していることと,すべての既存 OpenVMS Integrity ノードで V8.2-1 以降の OpenVMS Integrity が動作していることが必要です。 同じクラスタ内でこれらのバージョンより古い OpenVMS が動作しているノードはすべて,V8.4 のノードを追加する前に適切なバージョンへアップグレードする必要があります。 また,VAXcluster で V7.3 より古いバージョンの OpenVMS VAX が動作しているノードはすべて,OpenVMS Alpha V8.4 のノードを追加する前に OpenVMS VAX V7.3 へアップグレードする必要があります。

上記以外の方法としては,アップグレードの必要な OpenVMS Alpha ノードや Integrity ノードを一時的にクラスタから外し,アップグレードした後でクラスタへ戻すという方法もあります。 この方法では,アップグレードしたノードをクラスタに戻すことでサポート対象のクラスタをただちに作成することができます。 なお,追加するノードの数によっては,ボート・メンバとなるノード数と,クォーラム・ディスクのボート数 (クォーラム・ディスクを使用している場合) に合わせて,EXPECTED_VOTES システム・パラメータの値を調整しなければならない場合もあります。また,クラスタから外すノードについては,システムをシャットダウンするときに REMOVE_NODE オプションを指定して,残りのノードのクォーラムが正しく調整されるようにする必要があります。

5.5 アップグレードの種類

クラスタのアップグレード方法には,同時アップグレードローリング・アップグレードがあります。 使用するアップグレードの種類は,アップグレード中でもクラスタを使用できる状態に維持しておく必要があるかどうかと,システム・ディスクの数に左右されます。この章に目を通した後で運用環境に適したアップグレード方法 (同時アップグレードまたはローリング・アップグレード) を決め,それに合った準備作業を実施してください。

5.5.1 同時アップグレード

この項では,次の内容について説明します。

  • 同時アップグレードの仕組み

  • 同時アップグレードの準備

5.5.1.1 同時アップグレードの仕組み

同時アップグレードでは,アップグレードの途中でクラスタ全体をシャットダウンして,クラスタ内の各システム・ディスクをアップグレードする必要があります。システム・ディスクのアップグレードがすべて完了して,すべてのマシンをリブートするまでは,どのユーザもクラスタを使用できません。クラスタがリブートすると,各マシンで,アップグレードされた OpenVMS オペレーティングが動作し始めます。

OpenVMS Cluster 環境内のシステムを 1 つのシステム・ディスクからすべてブートする場合は,必ず同時アップグレードを選択してください。

5.5.1.2 同時アップグレードの準備

同時アップグレードの準備は,次の手順で行います。

  1. ローカル・マシンに SYSTEM アカウントでログインします。

    システム・ディスクが複数個存在する場合は,アップグレードするすべてのシステム・ディスクでアップグレード前の作業が完了していることを確認します。また,クラスタ内の他のノードにターゲット・ディスクがいっさいマウントされていないことも確認します。この状態は,アップグレードが終わるまで維持する必要があります。ターゲット・ディスクは,アップグレードを実行するシステムにだけマウントしてください (ディスクのマウントを解除する方法については,5.5.2.3 項 「ローリング・アップグレードの準備」を参照してください)。 第6章 「OpenVMS オペレーティング・システムのアップグレード」へ進んで,各システム・ディスクをアップグレードします。システム・ディスクごとにオペレーティング・システムのメディアをリブートする必要はありません。アップグレードのたびに,メニューからオプション 1 を選択するだけです。

  2. 各システムで次のコマンドを実行し,すべてのシステムをシャットダウンします (サテライト・ノードはブート・ノードより先にシャットダウンしてください)。

    $ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN

  3. システムを自動的にリブートするかどうかを尋ねるプロンプトが表示されたら,N (NO) と入力します。

  4. すべてのサテライト・ノードをシャットダウンさせた後,CLUSTER_SHUTDOWN オプションを選択します。

  5. すべてのノードをシャットダウンしたら,Ctrl/P または Halt を押して,各システムを停止します。Integrity サーバの停止方法についての詳細は,B.7.1 項 「ハングアップとクラッシュから回復するための Integrity サーバの停止」を参照してください。 Alpha マシンの停止方法についての詳細は,A.3.1 項 「システムの停止方法」を参照してください。

  6. クラスタのシステム・ディスクが 1 台しかない場合は,第6章 「OpenVMS オペレーティング・システムのアップグレード」 へ進んでアップグレードを開始します。

    アップグレードが完了すると,アップグレードの後処理を開始する前に OpenVMS Cluster 環境内のマシンをすべてリブートするように求めるメッセージが表示されます。

5.5.2 ローリング・アップグレード

この項では,次の内容について説明します。

  • ローリング・アップグレードの仕組み

  • 注意事項と制約

  • ローリング・アップグレードの準備

5.5.2.1 ローリング・アップグレードの仕組み

ローリング・アップグレードを使用すれば,混成バージョン・クラスタを作成することができます。ローリング・アップグレードでは,クラスタ内の一部のマシンをアップグレードしながら,残りのマシンを継続的に動作させて,利用可能な状態に保つことができます (ただしシステム・ディスクが複数個必要です)。この方法ではシステム・ディスクを 1 台ずつアップグレードするため,バージョンの古いオペレーティング・システムとバージョンの新しいオペレーティング・システムが同じクラスタ内で一緒に動作することになります。

5.5.2.2 注意事項と制約

ローリング・アップグレードには,以下の制約があります。互換性と制約に関するその他の情報については,『HP OpenVMS Version 8.4 リリース・ノート』を参照してください。

  • アップグレードされているシステムが,OpenVMS Cluster 内の他のシステムからアクセスされているディスクにアクセスすることはできません。

  • OpenVMS Cluster 内の他のシステムが,アップグレードされているシステムのターゲット・ディスクにアクセスすることはできません。

    アップグレードされているターゲット・ディスクは,アップグレードを実行しているシステムにローカルに接続されているため,OpenVMS Cluster 内の他のシステムからはアクセスできません (オペレーティング・システムのメディアからブートした OpenVMS システムは,ローカル・ディスクの MSCP サーバとして機能しません)。アップグレードは,可能な限りローカル・ディスクを対象にして実行するか,または同時アップグレードを実行することをお勧めします。

    アップグレード中に選択するターゲット・ディスクと,DCL のメニュー・オプションからアクセスするディスクはすべて,ローカル・ディスクか,または OpenVMS Cluster の他のメンバからアクセスされていないディスクであることを確認してください。また,クラスタ内の他のノードにターゲット・ディスクがいっさいマウントされていないことも確認してください。この状態は,アップグレードが終わるまで維持する必要があります。ターゲット・ディスクは,アップグレードを実行するシステムにだけマウントしてください (ディスクのマウントを解除する方法については,5.5.2.3 項 「ローリング・アップグレードの準備」を参照してください)。

    注意:

    ターゲット・ディスクに OpenVMS Cluster の他のメンバからアクセスを試みると,ターゲット・ディスクの内容が壊れてしまいます。ターゲット・システム・ディスクをマウントしている他のクラスタ・メンバが 1 つしかなくて,しかもファイルへアクセスしていない場合でも,ターゲット・ディスクの内容はほぼ確実に破損します。このような理由で内容が破損したディスクを復元する方法としては,破損したディスクのバックアップ・コピーしかサポートされていません。

  • 同じクラスタ内のすべての Alpha マシンで使用している OpenVMS Alpha オペレーティング・システムは,同じバージョン (最新バージョンが望ましい) で揃えることをお勧めします。同様に,同じクラスタ内のすべての Integrity サーバで使用している OpenVMS Integrity オペレーティング・システムも同じバージョンで揃えることをお勧めします。

  • 1 つのシステム・ディスクからすべてのシステムをブートする場合は,ローリング・アップグレードを使用できません。代わりに同時アップグレードを使用してください。

  • アップグレードに関連して,キューイング・システムに次のような影響があります。

    • アップグレードしているシステムではキューイング・システムが無効になっています。START/QUEUE/MANAGER コマンドは実行しないでください。

    • オペレーティング・システム CD/DVD には,キュー・データベースを作成できません (書き込み不可です)。

    • クラスタ内の他のノードで動作しているキュー・マネージャ・プロセスは,キュー・データベースの存在するディスクがアップグレード対象のディスクでない限り,アップグレード中でも動作し続けることができます。

5.5.2.3 ローリング・アップグレードの準備

ローリング・アップグレードの準備は,次の手順で行います。

  1. ターゲット・ディスクをデータ・ディスクとしてだけマウントしているいずれかのノードにログインします (そのターゲット・ディスクに対して,第4章 「OpenVMS オペレーティング・システムをアップグレードするための準備」 に説明してあるアップグレード前の作業がすでに実行されている必要があります)。

  2. ボートをチェックして調整し,アップグレード中でもクラスタの運用を続けられるように,適切なクォーラムを維持します (詳しい手順については,『HP OpenVMS Cluster システム』を参照してください)。

  3. DCL の DISMOUNT/CLUSTER コマンドを使用して,データ・ディスクのマウントを解除します (この操作は SYSMAN ユーティリティでも実行できます)。

    指定したデータ・ディスクをシステム・ディスクとして使用しているノードからメッセージが出されても,無視してかまいません。

  4. 次のコマンドを実行して,データ・ディスクのマウントが正しく解除されたことを確認します。

    $ MCR SYSMAN
    SYSMAN> SET ENVIRONMENT/CLUSTER
    SYSMAN> DO SHOW DEVICE disk-name

    コマンドの出力を調べて,指定したディスクがどのノードにもデータ・ディスクとしてマウントされていないことを確認します。Trans Count フィールドの値を見れば,簡単に判断できます。値が 50 未満の場合は,そのディスクがシステム・ディスクとしてではなく,データ・ディスクとしてマウントされていることを示しています。逆に値がかなり大きな場合 (300 など) は,そのディスクがシステム・ディスクである可能性がきわめて高いことを示しています。

  5. ディスクをまだデータ・ディスクとしてマウントしているノードがあれば,SYSMAN ユーティリティを使用してそのディスクのマウントを解除します。そのようなノードが存在しなければ,SYSMAN ユーティリティを終了します。

  6. アップグレードするシステム・ディスクからブートしたすべてのノードを,次のコマンドでシャットダウンします (サテライト・ノードを先にシャットダウンしてください)。

    $ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN

    1. システムを自動的にリブートするかどうかを尋ねるプロンプトが表示されたら,N (NO) と入力します。

    2. すべてのサテライト・ノードをシャットダウンさせた後,REMOVE_NODE オプションを選択します。

アップグレードの途中で適切なクォーラムを維持できなくなると,シャットダウン・プロシージャによってクラスタがハングさせられます。シャットダウン中にクラスタがハングした場合は,IPC (Interrupt Priority C) ファシリティを使用してください。クラスタ・メンバとして残っているいずれかのシステムでシステム・コンソールからクォーラムを調整することができます。

OpenVMS Alpha のクラスタ・メンバからクォーラムを調整する場合は,Ctrl/P を押します。IPC ファシリティから,IPC コマンドのヘルプ情報が表示されます。コンソールで,次のようにコマンドを入力します。

$ Ctrl/P
>>> D SIRR C
>>> C
Interrupt Priority C

Commands:

  C device    Cancel Mount Verification
  Q           Adjust Quorum
  CTRL-Z      Exit IPC
  CTRL-P      Prompt for Crash
IPC> Q
IPC> Ctrl/Z

OpenVMS Integrity のクラスタ・メンバからクォーラムを調整する場合は,Ctrl/P を押します。システムが IPC ファシリティに直接移行して,IPC コマンドのヘルプ情報が表示されます。クォーラムを調整するには,次の例に示すコマンドを入力します。ただし,XDELTA を有効にしてブートした OpenVMS Integrity システムでは,Ctrl/P を押すと,システムが XDELTA に移行します。その場合は,IPC を使用できません。

$ Ctrl/P
Interrupt Priority C

Commands:

  C device    Cancel Mount Verification
  Q           Adjust Quorum
  CTRL-Z      Exit IPC
  CTRL-P      Prompt for Crash
IPC> Q
IPC> Ctrl/Z

クォーラムは Availability Manager や DECamds でも調整できます。これらの方法は,コンソールを使用する必要がない点を除けば IPC と同等ですが,Data Analyzer が OpenVMS Cluster 以外のシステムで動作していることが前提です。Data Analyzer は OpenVMS Cluster 以外で動作させることをお勧めします。詳細は,『Availability Manager User's Guide』または『DECamds User's Guide』の「Adjust Quorum」を参照してください。『Availability Manager User's Guide』は,次の Web ページから入手できます。

http://www.hp.com/products/openvms/availabilitymanager

すべてのノードでシャットダウン・プロシージャが終了したら,第6章 「OpenVMS オペレーティング・システムのアップグレード」 へ進んでアップグレードを開始します。

注意:

これは非常に重要なことですが,アップグレードを進めている間は,ターゲット・システム・ディスクにアクセスできるノードを,アップグレードを実行しているノードだけに限定してください。ターゲット・ディスクが,HSC デバイスや HSJ デバイスなどを経由してクラスタ内の他のノードからアクセスできる場合には,アクセスを行わないように徹底する必要があります。ファイルへアクセスしなくても,他のノードにマウントされているだけでターゲット・ディスクが破損する可能性があります。

ディスクをマウントしている可能性があるユーザには,必ず,アップグレードしているシステム・ディスクにアクセスしてはならない旨を周知させてください。また,アップグレードが終了するまでは,ターゲット・ディスクをマウントする可能性があるプロシージャをいっさい実行しないようにしてください。定期的にディスクをチェックして再マウントするようなプロシージャがあれば,アップグレードが終了するまでそれらを無効にしておくことをお勧めします。

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