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OpenVMS マニュアル


 

OpenVMS ドキュメント
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タイトルページ
目次
まえがき
第 1 章:日本語環境設定ユーティリティ (JSY$CONTROL) -- I64/Alpha のみ
第 2 章:日本語メール・ユーティリティ (JMAIL) -- Alpha/VAX のみ
第 3 章:日本語ソート/マージ (SORT/MERGE)
第 4 章:ローマ字・かな漢字変換型 INQUIRE (KINQUIRE)
第 5 章:個人辞書編集ユーティリティ (JDICEDIT)
第 6 章:漢字コード変換ユーティリティ (KCODE)
第 7 章:DEC 漢字コード変換ユーティリティ (KCONVERT) -- Alpha/VAX のみ
第 8 章:デバッガの日本語拡張機能
第 9 章:日本語DECnet/SNA リモート・ジョブ・エントリ (RJE) -- Alpha/VAX のみ
第 10 章:日本語DECnet/FNA リモート・ジョブ・エントリ (F-RJE) -- VAXのみ
第 11 章:日本語メッセージ -- Alpha/VAX のみ
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日本語ユーティリティ 利用者の手引き


目次 索引

第 1 章
日本語環境設定ユーティリティ (JSY$CONTROL)  -- I64/Alpha のみ

この章では,日本語環境設定ユーティリティ JSY$CONTROL について説明します。

JSY$CONTROL ユーティリティは,日本語 OpenVMS バージョン7.2 で追加され,バージョン 7.3 で機能が大幅に拡張された日本語環境設定のためのユーティリティです。

この機能は,日本語 OpenVMS I64 および日本語 OpenVMS Alpha でサポートされます。

1.1 機能概要

日本語環境設定ユーティリティ(JSY$CONTROL)は,日本語 OpenVMS の持つ,各種の日本語機能の設定を一括して制御します。以下の機能を制御できます。

日本語ファイル名の制御 (JSY$CONTROL)
日本語端末ドライバの制御 (KANJIGEN)
日本語テキスト表示ユーティリティの制御 (TYPE /PAGE=SAVE)
日本語 EVE エディタの制御 (JEVE/XTPU)
個人辞書の制御 (JSYKOJIN.JISHO, JSY$LEARN.DAT)
ロケールの制御 (LANG)
日本語ヘルプの制御 (JSY$SWITCH.COM)
IMLIB の制御 (IM$PROFILE)
日本語画面管理ライブラリの制御 (JSMG)

JSY$CONTROL ユーティリティでは,上記の機能を以下のカテゴリーに分けて,それぞれを一括して設定,変更,表示する機能を提供します。

日本語ファイル名の制御
ロケールの制御
かな漢字変換の制御


この節では,JSY$CONTROL ユーティリティの起動方法およびサブコマンドの入力方法について説明します。

JSY$CONTROL ユーティリティを起動するためには,DCL プロンプト上で以下のように入力して,フォーリン・コマンドを定義します。

        $ JSYCP :== $ JSY$CONTROL.EXE 

この例では JSYCP というフォーリン・コマンドが定義されます。コマンド名には任意の名前を使うことができますが,通常は他の DCL コマンド等と混同しない名前を使います。

上記のように定義した場合は,以下のように入力すると JSY$CONTROL ユーティリティを起動できます。

        $ JSYCP [サブコマンド] 

サブコマンドを指定した場合は JSY$CONTROL ユーティリティが起動され,指定されたサブコマンドを実行します。サブコマンドの実行が終了すると, DCL プロンプトに戻ります。

サブコマンドを指定しなかった場合は JSY$CONTROL ユーティリティが起動され,以下のようにプロンプトを表示してサブコマンドの入力を待ちます。この場合は EXIT サブコマンドが入力されるまで DCL プロンプトには戻りません。

        $ JSYCP 
        JSYCP> 



1.3 サブコマンドの概要

表 1-1 に JSY$CONTROL ユーティリティの持つサブコマンドを示します。

表 1-1 JSY$CONTROL サブコマンドの概要
サブコマンド サブパラメータ 説明
SET INPUT かな漢字変換の設定をする
  LOCALE コードセットの設定をする
  RMS 日本語ファイル名の設定をする
SHOW ALL 全ての設定を表示する
  INPUT かな漢字変換の設定を表示する
  LOCALE コードセットの設定を表示する
  RMS 日本語ファイル名の設定を表示する
HELP   ヘルプを表示する
EXIT   JSY$CONTROL ユーティリティを終了する



1.4 日本語ファイル名の制御

日本語ファイル名の制御は,JSY$CONTROL ユーティリティの主要な機能の一つです。日本語ファイル名についての詳細は『日本語 OpenVMS 概説書』を参照してください。

1.4.1 日本語ファイル名を有効または無効にする

日本語ファイル名を有効または無効にするためには,以下のコマンドを入力して, RMS の拡張機能であるファイル名コンバータを設定します。

〈形式〉

 JSYCP> SET RMS /FILENAME_CODESET=コードセット名 

コードセット名には以下の文字列を指定できます。大文字/小文字の違いは無視されます。

表 1-2 JSY$CONTROL コードセット名
キーワード 説明
sdeckanji Super DEC 漢字コードセット
DEFAULT システムの標準のコードセット

sdeckanji を指定するとファイル名コンバータが有効となり, RMS を経由するファイル名は全て Super DEC 漢字コードセットで入出力されます。また DCL のファイル名解析スタイルも Extended に切り替わります。

DEFAULT を指定するとファイル名コンバータが無効となります。また DCL のファイル名解析スタイルも Traditional に切り替わります。

  注意
日本語ファイル名の設定は SET LOCALE コマンドでも変更できます。



現在の日本語ファイル名の設定を知るためには,以下のコマンドを入力して,ファイル名コンバータを状態を表示させます。

〈形式〉

 JSYCP> SHOW RMS 

ファイル名コンバータが有効の場合は,その入出力コードセットを以下のように表示します。

        ファイル名コードセットは sdeckanji に設定されています。 

ファイル名コンバータが無効の場合は,以下のような表示がされます。

        ファイル名コードセットは DISABLE に設定されています。 



1.5 ロケールの制御

JSY$CONTROL は,ロケールと,それに伴うコードセット等の設定を一括して制御します。

プロセスに設定したいロケールを指定すると,以下の設定を自動的に行います。

プロセスのロケール
日本語テキスト表示ユーティリティのコードセット
日本語ヘルプの表示/非表示
日本語メッセージの表示/非表示
日本語画面管理ライブラリのコードセット
日本語ファイル名のコードセット
日本語端末ドライバの日本語行編集機能


現在のプロセスのコードセットを設定するためには,以下のコマンドを入力します。

〈形式〉

 JSYCP> SET LOCALE ロケール指定 

設定できるロケールは,システムにインストールされている XPG4 ロケール・データ・ファイルに依存します。通常は以下のロケールが使用できます。大文字/小文字の違いは無視されます。

表 1-3 システムにインストールされているロケール
キーワード 説明
ja_JP.deckanji2000 DEC 漢字 2000 ロケール
ja_JP.deckanji DEC 漢字ロケール
ja_JP.sdeckanji Super DEC 漢字ロケール
ja_JP.SJIS Shift JIS ロケール
ja_JP.eucJP 日本語 EUC ロケール

以下の機能が一括して設定されます。

  • プロセスのロケール
    プロセス論理名 LANG を設定し,プロセスのロケールを設定します。
    LC_CTYPE, LC_COLLATE, LC_TIME, LC_NUMERIC, LC_MONETARY, LC_MESSAGES および LC_ALL の各論理名が設定されていた場合は情報メッセージを表示しますが,それらの論理名の内容は変更されません。

  • 日本語テキスト表示ユーティリティのコードセット
    DCL の TYPE /PAGE=SAVE コマンド等によって日本語テキストを表示するためのプロセス論理名を設定します。
    ロケール指定の language と territory として ja_JP が指定された場合は,論理名 UTIL$SMGSHR に等価名 JSY$SMGSHR を定義し,日本語テキストが正しく表示されるように設定します。 ja_JP 以外が指定された場合は論理名 UTIL$SMGSHR を削除します。

  • 日本語ヘルプの表示/非表示
    ロケール指定の language と territory として ja_JP が指定された場合は,日本語ヘルプを表示するようにプロセス論理名 SYS$HELP を設定します。 ja_JP 以外が指定された場合は論理名 SYS$HELP を削除します。

  • 日本語メッセージの表示/非表示
    ロケール指定の language と territory として ja_JP が指定された場合は,日本語メッセージを表示するようにプロセス論理名 SYS$MESSAGE を設定します。 ja_JP 以外が指定された場合は論理名 SYS$MESSAGE を削除します。

  • 日本語画面管理ライブラリのコードセット
    日本語 SMG で使用するコードセットを制御するための論理名を設定します。
    ロケール指定の codeset に deckanji2000, sdeckanji, eucJP が指定された場合は,プロセス論理名 SMG$DEFAULT_CHARACTER_SET に SDK を設定します。 deckanji が指定された場合は,論理名 SMG$DEFAULT_CHARACTER_SET に KANJI を設定します。これら以外が指定された場合は,論理名 SMG$DEFAULT_CHARACTER_SET を削除します。

  • 日本語ファイル名のコードセット
    ロケール指定の codeset に deckanji2000, deckanji, sdeckanji, eucJP が指定された場合は,sdeckanji 用ファイル名コンバータを有効にし,日本語ファイル名を使用できるようにします。また同時に DCL のファイル名解析スタイルも Extended に設定します。
    deckanji2000, deckanji, sdeckanji, eucJP 以外が指定された場合は,ファイル名コンバータを無効にし,標準版 OpenVMS のファイル名を使用します。また同時に DCL のファイル名解析スタイルも Traditional に設定します。

      注意
    日本語ファイル名の設定は SET RMS コマンドでも変更できます。

  • 日本語端末ドライバの日本語行編集機能
    ロケール指定の language と territory として ja_JP が指定された場合は,日本語端末ドライバの日本語行編集機能を有効にします。これは KANJIGEN ユーティリティで以下のコマンドを入力した場合に相当します。

            KANJIGEN> SET /INPUT=KANJI /EDIT=ENABLE 
    


    ja_JP 以外が指定された場合は日本語行編集機能を無効にします。
    なお DECnet ログイン時は日本語行編集機能 (/EDIT=ENABLE) は有効にできません。



1.5.2 プロセスのロケールを表示する

プロセスの現在のロケールを知るためには,以下のコマンドを入力して,ロケールの設定を表示させます。

〈形式〉

 JSYCP> SHOW LOCALE 

以下のようにロケール情報が表示されます。

 現在のロケールは JA_JP_DECKANJI2000 です。 

LC_CTYPE, LC_COLLATE, LC_TIME, LC_NUMERIC, LC_MONETARY, LC_MESSAGES および LC_ALL の各論理名が設定されていた場合は,追加の情報メッセージを表示します。

〈修飾子〉

/FULL
以下のようにプロセスの現在のロケールについての詳細な情報を表示します。

    現在のロケールは JA_JP_SDECKANJI です。 
    論理名 SYS$HELP の値は SYS$SYSROOT:[SYSHLP.JA_JP] です。 
    論理名 HLP$LIBRARY の値は SYS$SYSROOT:[SYSHLP]HELPLIB.HLB です。 
    論理名 SYS$MESSAGE の値は SYS$SYSROOT:[SYSMSG.JA_JP] です。 
    論理名 UTIL$SMGSHR の値は JSY$SMGSHR です。 
    論理名 SMG$DEFAULT_CHARACTER_SET の値は SDK です。 
    端末の入力コードは KANJI に設定されています。 
    端末のマルチバイト行編集は ENABLE されています。 
 
    ファイル名コードセットは sdeckanji に設定されています。 
    ファイル名解析スタイルは EXTENDED に設定されています。 



日本語入力プロセス (FIP) や日本語 EVE エディタ等で使用するローマ字かな漢字変換の設定を行います。

漢字変換キーパッドの設定
漢字変換辞書の設定


日本語入力プロセス (FIP) や日本語 EVE エディタ等で使用するローマ字かな漢字変換キーパッドをを設定するためには,以下のコマンドを入力します。

〈形式〉

 JSYCP> SET INPUT /KEYPAD=キーパッド・タイプ 

キーパッド・タイプには,文字列を指定できます。大文字/小文字の違いは無視されます。

表 1-4 キーパッド・タイプ
キーワード 説明
JVMS 日本語 OpenVMS 標準キーパッド
EVEJ EVEJ エディタ・キーパッド
LEIA LEIA エディタ・キーパッド
TARO 一太郎 1キーパッド

1一太郎は株式会社ジャストシステムの登録商標です

以下の設定が行なわれます。

  • 日本語入力プロセス (FIP) の設定
    指定されたキーパッド・タイプに従い,プロセス論理名 IM$PROFILE に以下の値が設定されます。詳しくは『日本語入力プロセス 利用者の手引き』を参照してください。

    表 1-5 キーパッド・タイプ
    キーワード 設定される等価名
    JVMS IM$PROFILE_JVMS
    EVEJ IM$PROFILE_EVEJ
    LEIA IM$PROFILE_LEIA
    TARO IM$PROFILE_TARO

  • 日本語 EVE 漢字変換キーパッド設定ファイルの設定
    SYS$SCRATCH ディレクトリにある JEVE$CNVKEY.DAT ファイルに,指定されたキーパッド・タイプが設定されます。ファイルが存在しない場合は新しく作成されます。詳しくは『日本語 EVE ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

設定されたキーパッドは,以下の機能および日本語ユーティリティでのローマ字かな漢字変換に使用できます。

日本語入力プロセス (FIP)
日本語 EVE エディタ (JEVE)
日本語メール・ユーティリティ (JMAIL)
個人辞書編集ユーティリティ (JDICEDIT)
デバッガの日本語拡張機能 (DEBUG)
日本語画面管理ライブラリ (JSMG)

  注意
日本語 EVE エディタの漢字変換キーパッドの設定は,日本語 EVE エディタの SET KEYPAD コマンドまたは SET CONVERSION コマンドでも設定できます。

また,この設定は JEVE$CNVKEY.DAT ファイルに記憶されるので,次回ログインした時にも設定は有効です。



個人辞書 (JSYKOJIN.JISHO) と文節学習辞書 (JSY$LEARN.DAT) に関する各種設定を行います。詳細は『日本語ライブラリ 利用者の手引き』を参照してください。

〈形式〉

 JSYCP> SET INPUT /KOJIN_DICTIONARY[=個人辞書ファイル] 
                  /KOJIN_LEARN[=個人辞書学習モード] 
                  /KOJIN_MODE[=個人辞書共有モード] 
                  /LEARN_DICTIONARY[=文節学習辞書ファイル] 

〈修飾子〉

/KOJIN_DICTIONARY[=個人辞書ファイル]
論理名 JSY$KOJIN を設定し,指定された個人辞書ファイルを漢字変換に使用します。通常はユーザのログイン・ディレクトリの JSYKOJIN.JISHO を使用します。

/KOJIN_LEARN[=個人辞書学習モード]
個人辞書ファイルを他のプロセスと共有するか否かを設定します。以下の値を設定できます。通常は漢字・ひらがな・カタカナおよび文節学習モードです。

表 1-6 個人辞書学習モード
数値 説明
0 漢字・ひらがな・カタカナおよび文節学習モード
1 漢字・ひらがな・カタカナ学習モード
2 漢字・ひらがな学習モード
3 漢字・カタカナ学習モード
4 漢字学習モード


/KOJIN_MODE[=個人辞書共有モード]
個人辞書ファイルを他のプロセスと共有するか否かを設定します。以下の値を設定できます。通常は共有モードです。

表 1-7 個人辞書共有モード
数値 説明
0 共有モード
1 学習モード
2 参照モード
3 不使用モード


/LEARN_DICTIONARY[=文節学習辞書ファイル]
論理名 JSY$LEARN を設定し,指定された文節学習辞書ファイルを漢字変換に使用します。通常はユーザのログイン・ディレクトリの JSY$LEARN.DAT を使用します。


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