5.2.3 高速ミニコピーおよびミニマージ |
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シャドウ・ミニコピーとミニマージの性能の向上のために,書き込みビットマップに設定されている次ビットを先読みする機能を使用するようシャドウイング機能が拡張されています。
この機能を使用すると SHADOW_SERVER と SYS$SHDRIVER の間の QIO 数が大幅に減少し,ミニコピーとミニマージの処理がより高速になります。
5.2.4 SET SHADOW の新しい修飾子 |
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SET SHADOW コマンドに以下の新しいパラメータが追加されています。
- /DISABLE=SPLIT_READ_LBNS - LBN の分割読み取りを無効にし,この結果,読み取り処理は,同じ読み取りコストとデバイス・キュー長のソース・シャドウ・セット・メンバ間で交互に行なわれます。
- /ENABLE=SPLIT_READ_LBNS - 同じ読み取りコストのシャドウ・セット・メンバが,同等のグループの論理ブロック・メンバになるように論理的に分割します。仮想ユニットに対し読み取り操作が行なわれると,対応する LBN グループ・ディスクから読み取られます。この機能により,コントローラの先読みキャッシュの利用率が最大化されます。
- /STALL=WRITES[=nnn] - nnn に,書き込み操作を引き延ばす秒数を指定します。この修飾子は,書き込み処理を "nnn" に指定した秒数だけ引き延ばしたい場合に便利です。 "nnn" に値が指定されていない場合は,SHADOW_MBR_TMO 秒経過後にロックが解放されます。デフォルトの秒数は SHADOW_MBR_TMO です。
- /NOSTALL=WRITES[=nnn] - 書き込み操作が同じシャドウ・セットで継続されるように,nnn 秒経過後,書き込みロックを解放します。
5.2.5 書き込みビットマップにおける性能の改善 |
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書き込みビットマップ (WBM) は,シャドウイング・ミニマージおよミニコピーの操作中に OpenVMS が使用する機能です。ディスク上のどのブロックに書き込みが行なわれたかについての情報が,クラスタ内の他のノードへ転送されます。本リリースでは,以下の変更が行なわれています。
非同期的な SetBit メッセージ
マスタービットマップノードは 1 つのシャドウセットに対して複数持つことができます。これまでは,SetBit メッセージは複数のマスタービットマップノードへ同期的に送信されていました。つまり,最初のリモート・マスタービットマップノードから SetBit メッセージに対する応答を受け取ると次のマスタービットマップノードへメッセージが送信され,すべてのリモート・マスタービットマップノードから応答を受け取ると I/O が再開されました。本バージョンでは, SetBit メッセージはすべてのマスタービットマップノードへ非同期的に送信されます。そして,すべてのマスタービットマップノードから応答を受け取ると I/O 操作が再開されます。これにより,書き込みビットマップのコードによる I/O 操作の遅延が低減されています。
連続的な I/O のための SetBit メッセージの減少
ディスクに対する連続的な書き込みが発生すると,リモート・ノードに連続的なビットを設定するための Setbit メッセージの送信が発生します。本バージョンの WBM コードは,ビットマップのより前の部分で多数のビットが既に設定されているのはどのあたりかを認識します。このシナリオでは,WBM のコードは,連続書き込みが続く場合の Setbit メッセージの数が少なくて済むように追加ビットを設定します。連続的な I/O が続くと想定すると Setbit メッセージの数は 10 の倍数で減少し,この結果,連続書き込みの I/O レートが改善されます。