OpenVMS Version 8.4 では,以下の Integrity サーバで WBEM Providers ソフトウェアをサポートします。
- Integrity Blade サーバ: BL860c および BL870c
- セルベースでない Integrity サーバ・システム: rx1620,rx2600,rx3600,rx4640,および rx6600
- セルベースの Integrity サーバ・システム: Superdomes,rx7620,rx8620,および rx8640
OpenVMS Version 8.4 では,iLO をサポートする Integrity サーバあるいは BladeSystem によって提供される iLO (Integrated Lights Out) Integrated Remote Console 機能のサポートが追加されています。この機能により,仮想的なキーボード,ビデオ,マウス,すなわち vKVM がサポートされます。
Integrated Remote Console 機能により,内蔵グラフィックス・チップからの表示を Integrity サーバ・システムの iLO ファームウェアに接続されたリモート Web ブラウザで参照することが可能です。そのコンピュータのマウスおよびキーボードが, Integrity サーバの USB デバイスと同様に使用されます。この結果,リモート・ユーザは,まるでローカル・システムのキーボード,ビデオ,およびマウスを使用してローカル・システムと対話しているかのように,リモートの Integrity サーバと対話することができます。
iLO Integrated Remote Console ウィンドウでは,テキスト・ベースの VGA コンソールと DECwindows 表示が利用できます。 iLO ファームウェアの仕様により,DECwindows 表示に使用される最も高密度な解像度は 1024x768 (OpenVMS のデフォルト) です。
iLO Integrated Console ファームウェアは,画面の変更をネットワーク越しに圧縮イメージで Web ブラウザへ送信します。このため,性能と反応性に制約があります。この性能に関する制約があるため,グラフィック要素の大きな DECwindows の使用はお勧めしません。
ローカルのキーボード,ビデオ,マウスとリモートの Integrated Remote Console 機能は,同時に使用することができます。
vKVM により,OpenVMS 上のソフトウェアに iLO Integrated Remote Console の機能を越える以下のような機能が追加されます。
- キーボードとマウスが接続されていなくてもDECwindows を起動することができます。 15 秒のカウントダウンで USB キーボードとマウスが構成されるのを待つ必要はありません。
- 任意のタイミングでキーボードやマウスを動的に取り外したり接続したりすることが可能で,これらのデバイスは DECwindows や OpenVMS VGA コンソールで機能し続けます。
- 複数のキーボードおよびマウスを接続することができ,それらを OpenVMS VGA コンソールの 1 つの DECwindows セッションで同時に使用することができます。たとえば,補助的な USB キーボードを標準のキーボードや,タッチパッド,マウスと共に使用することができます。
| 注意
Motif がインストールされている場合,キーボード,マウス,あるいはモニタが接続されていなくても,内蔵型グラフィック・チップを持つシステムで DECwindows が起動します (このグラフィックス・チップは Integrity サーバの管理プロセッサと統合されています)。 SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM を編集することで DECwindows を無効にできます。 DECW$IGNORE_DECWINDOWS のシンボル定義を TRUE に設定するには,コメントを外す必要がありま。
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vKVM を有効にするために,IMX0,IKX0,KBX0,および MOX0 などのいくつかの擬似デバイスが作成されます。
OpenVMS Version 8.4 では,Integrity サーバ上で CPU Component Indictment - Dynamic Processor Resilience (DPR) をサポートします。この機能は,Alpha プロセッサに対しては OpenVMS Version 7.3-2 で導入されています。コンポーネント・インダイトゥメント処理は,HP Web-Based Enterprise Services (WEBES) と連動して機能します。
Alpha で利用できる既存機能に加え,Integrity サーバ・システムでは次の機能がサポートされます。
- インダイトゥメント機能で検出されたプロセッサは構成から外すことができ,システム・ブート時には起動されません。
- スペアの iCAP CPU を利用できる場合は,インダイトゥメント機能で検出されたプロセッサの代わりにこれが自動的に開始されます。
DPR のサポートおよび使用方法については,WEBES および iCAP のドキュメントを参照してください。
8.4.1 インダイトゥメント・サーバの有効化および無効化 |
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SYS$MANAGER:SYS$INDICTMENT_POLICY.COM により,システム管理者はインダイトゥメント・サーバおよびインダイトゥメント・メカニズムの有効/無効を切り替えることができます。インダイトゥメント・メカニズムは,検出した CPU をオペレーティング・システムが停止させる操作を有効あるいは無効にするためのポリシーです。デフォルトでは,インダイトゥメント・サーバが起動されてもインダイトゥメント・メカニズムは無効になっています。システム管理者は SYS$INDICTMENT_POLICY.COM を手動で変更してこの機能を有効にする必要があります。この際,システムのリブートが必要です。
8.4.2 インダイトゥメント機能で検出された CPU の状態表示 |
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OpenVMS Version 8.4 では,インダイトゥメント機能で検出された CPU の状態を表示するための新しい CPU 状態文字列が追加されています。インダイトゥメント機能で検出された CPU に対して SHOW CPU/FULL を実行すると,この新しい CPU 状態が "DEALLOCATED" として表示されます。
OpenVMS では,V8.2-1 以降,SYSGEN パラメータ CPU_POWER_MGMT および CPU_POWER_THRSH を使用した,アイドル時の省電力機能をサポートしています。 OpenVMS V8.4 では,OpenVMS 電力管理機能で Intel Itanium プロセッサ 9100 シリーズ以降の CPU で提供されるプロセッサ p-states をサポートしており,CPU がアイドル状態でない間も電力の使用を減らすことができます。また,新たなユーザ・インタフェースおよびプログラミング・インタフェースのサポートも追加されています。 OpenVMS V8.4 では,いくつかのプラットフォームで, iLO コンソールおよび Insight Power Manager (IPM) ソフトウェアからの電源管理インタフェースをサポートしています。新しいシステム・サービス $POWER_CONTROL がすべての Integrity サーバでサポートされています。新しいシステム・サービスの詳細については,『OpenVMS System Services Reference Manual』を参照してください。
OpenVMS V8.4 の電源管理機能は, IPM をサポートしないプラットフォームでもこれまでどおり使用できます。動作はこれまでどおりですが,アイドル状態での省電力アルゴリズムの性能が向上しています。また,アイドル状態の省電力を有効にするために, CPU_POWER_MGMT パラメータのデフォルト値が 0 から 1 に変更されています。
iLO をサポートするプラットフォームの場合,ファームウェアのデフォルト設定は動的省電力で,OpenVMS ではアイドル状態の省電力アルゴリズムに相当します。
Integrity サーバ上のすべてのオペレーティング・システムの標準の動作では, iLO または IPM 電源インタフェースがある場合は,そのインタフェースが他のオペレーティング・システムのインタフェースよりも優先されます。 OpenVMS システムでは,CPU_POWER_MGMT および $POWER_CONTROL よりも iLO または IPM インタフェースが優先します。
OpenVMS ゲスト・システムでは低電力モードがデフォルトで,この動作は変更できません。
表 8-1 に示すのは,iLO あるいは IPM インタフェースで設定可能な省電力値です。