日本語 HP OpenVMS
日本語 HP OpenVMS 概説書
ここでは,日本語 ESCP トランスレータで使用する PRINT コマンドの /PARAMETERS 修飾子について説明します。
日本語 ESCP トランスレータは,OpenVMS オペレーティング・システムの PRINT コマンドのすべてのコマンド修飾子をサポートしています。このため,日本語 ESCP トランスレータを使用した環境でのユーザのプリント・オペレーションは,通常の OpenVMS 環境でサポートされているプリンタに印字する場合と同等のオペレーションでできます。
PRINT コマンドの使用例を示します。
$ PRINT/QUEUE=que-name file-name.txt
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また,日本語 ESCP トランスレータの固有な機能に関する設定を行うために,/PARAMETERS 修飾子に以下のパラメータが追加されています。
- ZEROFONT
- FONTTYPE
- DECKANJI
- KANJIPITCH
- PAGEWIDTH
| 注意
PRINT コマンドの /PARAMETERS 修飾子にパラメータを指定する方法は下記のようにかっこで囲い,各パラメータはコンマで区切ります。
/PARAMETERS=(param1=xxx,param2=xxx,param3=xxx)
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パラメータを1つしか指定しない場合には,かっこを省略できます。
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追加されたパラメータについての説明を以下に示します。
- ZEROFONT
零の字形('0' または 'φ' (0 にスラッシュ))を指定します。
形式は以下のとおりです。
/PARAMETERS=ZEROFONT=NORMAL 零の字形に '0' を指定します。
/PARAMETERS=ZEROFONT=WITHSLASH 零の字形に 'φ' を指定します。
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ZEROFONT パラメータが省略された場合,論理名 ESCJ$que-name_ZEROFONT で指定された値が使用されます。論理名 ESCJ$que-name_ZEROFONT が定義されていない場合, NORMAL が省略時の設定となります。
- FONTTYPE
英数文字に OCR-B フォントを使用するかどうかを指定します。
形式は以下のとおりです。
/PARAMETERS=FONTTYPE=NORMAL OCR-B フォントを使用しません。
/PARAMETERS=FONTTYPE=OCRB OCR-B フォントを使用します。
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FONTTYPE パラメータが省略された場合,論理名 ESCJ$que-name_FONTTYPE で指定された値が使用されます。論理名 ESCJ$que-name_FONTTYPE が定義されていない場合, NORMAL が省略時の設定となります。
- DECKANJI
DEC 漢字セット(83 年版または 78 年版)を指定します。
形式は以下のとおりです。
/PARAMETERS=DECKANJI=KANJI78 78 年版 DEC 漢字セット。
/PARAMETERS=DECKANJI=KANJI83 83 年版 DEC 漢字セット。
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DECKANJI パラメータが省略された場合,論理名 ESCJ$que-name_DECKANJI で指定された値が使用されます。論理名 ESCJ$que-name_DECKANJI が定義されていない場合, KANJI83 が省略時の設定となります。
- KANJIPITCH
漢字の文字間隔(相対または固定)を指定します。 形式は以下のとおりです。
/PARAMETERS=KANJIPITCH=RELATIVE 漢字の文字間隔を相対にします。
/PARAMETERS=KANJIPITCH=FIXED 漢字の文字間隔を固定にします。
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KANJIPITCH パラメータが省略された場合,論理名 ESCJ$que-name_KANJIPITCH で指定された値が使用されます。論理名 ESCJ$que-name_KANJIPITCH が定義されていない場合, RELATIVE が省略時の設定となります。
- PAGEWIDTH
ESC/P プリンタの用紙幅を指定します。
形式は以下のとおりです。
/PARAMETERS=PAGEWIDTH=value
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value は,ESC/P プリンタの英数カナ 10 CPI のときの印字桁数で 80 または 136 を指定できます。使用する ESC/P プリンタに合わせてください。 PAGEWIDTH パラメータが省略された場合,論理名 ESCJ$que-name_PAGEWIDTH で指定された値が使用されます。論理名 ESCJ$que-name_PAGEWIDTH が定義されていない場合, 136 が省略時の設定となります。
本章では,日本語 ESCP トランスレータを PRINT コマンドを使用しないで単体で使用する方法について説明します。これにより ESC/P に変換されたファイルを得ることができます。
シンボルの設定
日本語 ESCP トランスレータを単体で使用できるようにシンボル名を設定します。
$ ESCJ$TRANS == "$SYS$LIBRARY:ESCJ$TRANSSHR.EXE"
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使用方法
入力ファイル名および出力ファイル名とともに,日本語 ESCP トランスレータを実行します。出力ファイル名を省略した場合には SYS$OUTPUT に出力されます。
$ ESCJ$TRANS [OPTIONS] input-file [output-file]
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実行時には以下のオプションが指定できます。
-k:
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DEC漢字セットに78年版を使用します。
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-o:
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英数文字にOCR-Bフォントを使用します。
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-z:
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零の字形に 'φ' (0 にスラッシュ) を指定します。
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-f:
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漢字の文字間隔に固定を指定します。
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-8:
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プリンタの用紙幅を10 CPI時80桁にします。
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単体で使用する場合,論理名や /PARAMETER 修飾子による設定の影響は受けません。
| 注意
単体使用で出力されたファイルを日本語 ESCP トランスレータで設定されたプリンタ・キューに出力することはできません。トランスレータを2回通すことになり,正常な印字結果になりません。
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ESCJ がサポートする制御文字/制御命令は以下のとおりです。各制御文字/制御命令の説明は『LA88 ユーザガイド』を参照してください。(サポートされていても LA88 と動作が異なるものがあります。詳しくは
第 3.7 節 を参照してください。)
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BS
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Back space
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CAN
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Cancel
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CR
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Carriage return
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DECAUPSS
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Assign UPSS
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DECAWM
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Auto wrap mode
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DECCRNLM
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CR new line mode
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DECDHLB
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Double height line bottom
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DECDHLT
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Double height line top
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DECDWL
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Double width line
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DECSHORP
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Select horizontal pitch
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DECSHTS
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Set horizontal tab stop
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DECSLPP
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Set lines per page
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DECSLRM
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Set left and right margin
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DECSTBM
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Set top and bottom margin
|
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DECSTR
|
Soft terminal reset
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DECSWL
|
Single width line
|
|
DECVERP
|
Select vertical pitch
|
|
DEL
|
Delete
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FF
|
Form feed
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GSM
|
Graphic size modification
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HT
|
Horizontal tab
|
|
HTS
|
Horizontal tab set
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IND
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Index
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LF
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Line Feed
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LNM
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LF new line mode
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LS0 (SI)
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Locking shift 0 (Shift in)
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LS1 (SO)
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Locking shift 1 (Shift out)
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LS1R
|
Locking shift 1 right
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LS2
|
Locking shift 2
|
|
LS2R
|
Locking shift 2 right
|
|
LS3
|
Locking shift 3
|
|
LS3R
|
Locking shift 3 right
|
|
NEL
|
Next line
|
|
NUL
|
Null
|
|
PLD
|
Partial line down
|
|
RIS
|
Reset to initial state
|
|
Sixel protocol
|
|
SGR
|
Select graphic rendition
|
|
|
Normal
|
|
|
Bold
|
|
|
Underline
|
|
|
Italic
|
|
|
Reverse
|
|
|
Vertical
|
|
|
Double under line
|
|
SP
|
Space
|
|
SS2
|
Single shift 2
|
|
SS3
|
Single shift 3
|
|
SUB
|
Substitute
|
|
TBC (0,2,3)
|
Tab clear
|
|
VT
|
Vertical tab
|
LA88 ではサポートされているが ESCJ ではサポートされない制御文字/制御命令は以下のとおりです。
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BEL
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Bell
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CUU
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Cursor up
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DA(1)
|
Primary Device attributes
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|
DA(2)
|
Secondary device attributes
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DECDEN
|
Select printing density
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|
DECDRLBR
|
Draw a ruled line between in pattern
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|
DECNVR
|
NVR save/restore
|
|
DECRQUPSS
|
Request UPSS
|
|
DECTST
|
Test
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|
DSR
|
Device status report
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PLU
|
Partial line up
|
|
RI
|
Reverse index
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S7C1T
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Select 7-bit C1 transmission
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S8C1T
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Select 8-bit C1 transmission
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|
SGR
|
Select graphic rendition
|
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Faint
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XOFF (transmit only)
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XON (transmit only)
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3.7.1 トランスレータの既知の問題点と制限事項 | |
ESC/P プリンタでは逆改行動作を行うコントロールコードを持っていません。このため以下の制御文字は無視されます。
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・ CUU
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Cursor up
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・ PLU
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Partial line up
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・ RI
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Reverse index
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日本語 ESCP トランスレータでサポートしている文字セットのうち以下の文字セットは ESC/P プリンタが持っていないため,日本語 ESCP トランスレータで用意されたフォント (以下内部フォント) を使用しています。このため ESC/P プリンタが持っているフォントと内部フォントのデザインが同一であることは保証されません。
- JIS カタカナ (12.86 CPI 以上のとき)
- DEC 特殊文字 (VT100 Line Drawing)
- DEC テクニカル文字
- ユーザ選択補助文字
- DEC 補助文字
- ISO Latin-1 補助文字
また,ESC/P プリンタの英数カナ 15 CPI 文字セットは漢字に比べて文字の高さが低いデザインになっています (ESC/P プリンタの各機種に依存します)。この 15 CPI 文字セットは日本語 ESCP トランスレータが 12.86 CPI 以上の文字ピッチの場合に使用されます。
内部フォントには以下の制限があります。
- 文字属性(濃印字, 右斜体, 反転)は設定できません。
- 縦倍文字は設定できません。
- ビットイメージとして印字されるため,データ量が多くなり, ESC/P プリンタの使用条件によっては印字に時間がかかることがあります。
アンダーラインには以下の制限があります。
- アンダーラインは文字の最下位置に引かれるため,文字とアンダーラインが重なることがあります。
- ビットイメージとして印字されるため,データ量が多くなり, ESC/P プリンタの使用条件によっては印字に時間がかかることがあります。
二重アンダーラインは印刷できません。アンダーラインとして印刷されます。
ESC/P プリンタでは反転文字を印字するためのコントロールコードを持っていません。日本語 ESCP トランスレータでは代用として反転文字を袋文字として印字します。
漢字罫線は接続されません。
行間罫線はサポートされません。
3.7.1.9 プリローディング/オンデマンドローディング
- プリローディングのフォント文字の拡張はされません。
- 1行に印字できるプリローディング/オンデマンドローディング文字は 93文字までです。 94文字以上を印字しようとすると文字化けを起こすことがあります。
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