一部の DCL コマンドと OpenVMS ユーティリティは,拡張ファイル指定を完全にサポートしています。これらのコマンドおよびユーティリティは,拡張ファイル名のすべての特徴を活用できるように変更されており,拡張ファイル指定をエラーなしに,また,大文字と小文字の区別を変更せずに受け付け,処理することができます。さらに,ディレクトリ ID(DID) またはファイル ID(FID) 形式に短縮せずに,従来課せられていた 255 バイトの制限を超える長いファイル指定を受け付け,また生成することができます。 1
省略時サポート・レベルの DCL コマンドおよび OpenVMS ユーティリティには,拡張ファイル名を活用するための変更がほとんど,またはまったく加えられていません。これらのユーティリティおよびコマンドは,拡張ファイル指定のほとんどの属性 ( 新しい文字や深いディレクトリ構造など ) を正しく処理します。ただし,ファイル名を作成したり表示するときに,大文字と小文字の区別に誤りが生じる可能性があります。
完全サポート・レベルのユーティリティとは異なり,省略時サポート・レベルのユーティリティは,長いファイル指定を扱うために RMS が提供する DID および FID の短縮機能に依存しています。このため,これらのユーティリティには, DID および FID の短縮に関連した次の制限事項があります。
DID および FID の短縮形についての詳細は,『Guide to OpenVMS File Applications』を参照してください。
特定のコマンドまたはユーティリティについての詳細は, OpenVMS ドキュメント・セットの中の該当するマニュアルを参照してください。
◆拡張ファイル名非サポート
拡張ファイル名をサポートしていない OpenVMS ユーティリティおよびコマンドは, ODS-5 ボリューム上で機能することができるものの,処理できる対象が従来のファイル指定に限られます。これらのユーティリティおよびコマンドは,拡張ファイル指定を処理するときに正しく動作することが保証されていないため, ODS-5 ボリューム上では慎重に使用する必要があります。
◆ODS-5 非サポート
ODS-5 ボリューム構造をサポートしていない OpenVMS ユーティリティおよびコマンドは,拡張ファイル名を処理することができません。これらのユーティリティおよびコマンドは,従来のファイル指定を処理するときでも正しく動作することが保証されていないため, ODS-5 ボリューム上では慎重に使用する必要があります。
表 5-3 には,拡張ファイル名または ODS-5 構造の処理に制限があるため, Extended File Specifications をサポートしていない OpenVMS ユーティリティおよびコマンドが示されています。