OpenVMS
OpenVMS ユーザーズ・マニュアル
7.8.3 フォルダへのメッセージの移動 | |
現在選択されているメッセージを別のフォルダに格納する場合には, FILE コマンドまたは MOVE コマンドのいずれかを使用します。フォルダが存在しない場合には,フォルダを作成するかどうかを尋ねるメッセージが表示されます。メッセージが指定されたフォルダに格納されると,自動的に現在のフォルダから削除されます。
7.8.4 フォルダ間でのメッセージのコピー | |
Mail の COPY コマンドは,現在選択されているメッセージを指定したフォルダにコピーします。フォルダが存在しない場合には,作成するかどうかを尋ねるメッセージが表示されます。
次に示すコマンドは,MEETING という文字列が入っているすべてのメッセージを,現在のフォルダから SCHEDULE というフォルダにコピーします。コマンドの実行後,メッセージごとにコピーが 2 部作成され, 1 部は現在のフォルダに,もう 1 部は SCHEDULE フォルダに格納されます。
MAIL> SEARCH MEETING
MAIL> COPY SCHEDULE
Folder SCHEDULE does not exist.
Do you want to create it (Y/N, default is N)?Y
%MAIL-I-NEWFOLDER, folder SCHEDULE created
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次のコマンドは,meeting という文字列が入っている次のメッセージを選択して表示します。
MAIL> COPY SCHEDULE
MAIL> SEARCH
%MAIL-E-NOTFOUND, no messages containing 'MEETING' found
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7.8.5 フォルダの選択 | |
現在選択されているメール・ファイルにあるフォルダのリストを表示する場合には, DIRECTORY /FOLDER コマンドを入力します。新しいフォルダを選択する場合には,次のいずれかのコマンドを使用します。
- SELECT フォルダ名
指定されたフォルダを現在のフォルダとして選択します。これ以降に入力する READ,DIRECTORY などの Mail コマンドは,指定されたフォルダを使用します。コマンドごとにフォルダ名を指定する必要はありません。
- SET FOLDER フォルダ名
SELECT コマンドと同じように動作します。
- DIRECTORY フォルダ名
指定されたフォルダを現在のフォルダとして選択し,そのフォルダの中のメッセージをリストします。
- READ フォルダ名
指定されたフォルダを現在のフォルダとして選択し,指定されたメッセージ ( 省略時の設定では,フォルダの中の最初のメッセージ ) を表示します。
次の例では,MEMOS フォルダが選択されます。
MAIL> DIRECTORY/FOLDER
Listing of folders in SYS$LOGIN:[FRED]MAIL.MAI;1
Press CTRL/C to cancel listing
MAIL MEETING_MINUTES
MEMOS PROJECT_NOTES
STAFF
MAIL> SELECT MEMOS
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7.8.6 フォルダの削除 | |
メール・フォルダを削除するには,フォルダの中のすべてのメッセージを削除するか,別のフォルダに移動します。フォルダ内のすべてのメッセージを削除すると,別のフォルダを選択したときに,空のフォルダは自動的に削除されます。
次の例では,MUSIC フォルダの中のメッセージを削除する場合には,次のコマンドを入力しています。
MAIL> SELECT MUSIC
%MAIL-I-SELECTED, 2 messages selected
MAIL> DELETE/ALL
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7.8.7 メール・ファイルの作成とアクセス | |
メール・メッセージを整理するファイルを作成することもできます。メール・ファイルを作成する場合には,フォルダと同様, COPY,MOVE,FILE のいずれかのコマンドを使用します。フォルダの名前を求めるプロンプトの後に,ファイル名を求めるプロンプトも表示されます。 File: プロンプトに対して新しいファイル名を入力すると,そのファイルが新規に作成されます。
省略時のメール・ファイル以外のメール・ファイルを操作する場合には, Mail コマンドの SET FILE を使用して別のファイルを指定します。 SHOW FILE コマンドを使用すると,現在選択されているメール・ファイルの名前が表示されます。メール・ファイルを変更すると,現在選択されているメール・ファイルの WASTEBASKET フォルダが空にされてから削除され (AUTO_PURGE が設定されている場合),メール・ファイルはクローズされます。
図 7-1 にメールの一般的な構成例を示します。
図 7-1 メール・ディレクトリ構成
たとえば,現在選択されているメッセージを ACCOUNTS ファイルの中の FEED というフォルダに移動する場合には,次のように入力します。 MOVE コマンドは,メール・ファイル ACCOUNTS.MAI を作成して,現在選択されているメッセージを FEED フォルダに移動し,現在選択されているフォルダとファイルからメッセージを削除します。
MAIL> MOVE
_Folder: FEED
_File: ACCOUNTS
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次の例では,ACCOUNTS ファイル内にあるFEED フォルダが選択されています。
MAIL> SET FILE ACCOUNTS
MAIL> SET FOLDER FEED
MAIL> SHOW FILE
Your current mail file is SYS$LOGIN:[FRED.MAI]ACCOUNTS.MAI;1.
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7.8.8 メール・メッセージ・カウントの訂正 | |
画面に表示される新しい ( 未読の ) メール・メッセージの数が実際の新しいメッセージ数と一致しない場合には,新しいメールがなくなったときに, READ/NEW コマンドを入力します。READ/NEW コマンドを入力して次のいずれかのシステム・メッセージが表示された場合には,新しいメールがないことを示しています。
"%MAIL-W-NONEWMAIL, no new messages"
"%MAIL-E-NOMOREMSG, no more messages"
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現在選択されているフォルダからメール・メッセージを削除する場合には,メッセージの読み込み中 ( 選択中 ) に DELETE コマンドを入力するか, DELETE コマンドの後に削除したいメッセージの番号 ( または番号の範囲 ) を入力します。削除するメッセージの範囲は,ハイフン (-) またはコロン (:) を使用して指定します。
たとえば,メッセージ 4,5,6,11,12,14,15,16,17 を削除するには, MAIL> プロンプトに対して,次のように入力してから Return を押します。
MAIL> DELETE 4-6,11,12,14:17
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7.9.1 削除したメッセージの回復 | |
メッセージを削除すると,メッセージは WASTEBASKET フォルダに移されます。削除されたメッセージは,Mail を終了するか,別のメール・ファイルを指定するかして現在のメール・ファイルを終了するまで WASTEBASKET フォルダに残されます。 SET AUTO_PURGE コマンドを実行した場合は,現在のメール・ファイルを終了すると, WASTEBASKET は空になり,WASTBASKET フォルダ自体が削除されます。つまり,Mail ユーティリティを会話形式で使用している間は,メッセージを WASTEBASKET フォルダから移動すれば,削除したメッセージを回復することができます。 PURGE コマンドを入力して,WASTEBASKET フォルダを空にすることもできます。
次の例では,番号 12 によって識別されるメール・メッセージが削除され,その後,WASTEBASKET フォルダから回復されます。
MAIL> DELETE 12
MAIL> SELECT WASTEBASKET
%MAIL-I-SELECTED, 1 message selected
MAIL> DIRECTORY
# top
>From Date Subject
1 FABLES::WEST 11-DEC-1999 Meeting this week
MAIL> MOVE MAIL
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メール・メッセージを印刷する場合には, MAIL> プロンプトに対して PRINT コマンドを入力します。省略時の設定では,メッセージは SYS$PRINT キューに送信されます。メール・ファイルは,Ctrl/Z を押すか,EXIT と入力するか,または PRINT/PRINT コマンドを入力するまで印刷キューに送信されません。
別のキューを指定する場合には,PRINT コマンドの /QUEUE 修飾子を使用します。 SET QUEUE キュー名コマンドを使用すれば,別のキューを選択することもできます。このキューは,Mail を終了しても,別の SET QUEUE コマンドを入力するまでは省略時の印刷キューのままです。
次の例では,メール・メッセージは AK34$PRINT 印刷キューに発信されています。
MAIL> PRINT/QUEUE=AK34$PRINT
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次の例では,省略時の印刷キューがSYS$PRINT から AK34$PRINT に変更されています。
MAIL> SET QUEUE AK34$PRINT
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これ以降の節では,メール・ファイルの保護について説明します。
7.11.1 省略時の保護の設定 | |
メール・ファイル ( たとえば,MAIL.MAI) は,他のユーザが読んだり,間違って削除してしまうことがないように保護されています。 .MAI ファイルの保護コードは (S:RW,O:RW,G:,W:) です。システム (Mail 自体も含む ) と所有者は,ファイルを読み込んだりファイルに書き込んだりできますが,グループとワールドはすべてのアクセスが拒否されます。
Mail ユーティリティには,メールへの不正アクセスを防止するための省略時のファイル保護も設定されています。ただし,Mail は完全に不正アクセスから保護されるわけではなく,十分な特権をもっていれば,保護を変更してメール・ファイルにアクセスすることも可能です。
7.11.2 セキュリティの測度 | |
メール・ファイルはそれぞれユーザのディレクトリに格納されていますので, 第 10 章 に説明するようなファイル保護手法を重要なファイルに適用することもできます。加えて,次の点にも注意してください。
- メール要求に応える際にも,ユーザの適切な判断が要求されます。ノードがローカルな OpenVMS Cluster の外部にある場合には,そのノードが故意にまたは偶然に間違って識別される可能性もあります。
- メール・メッセージの内容の決定や送信相手の選択にあたっては,慎重さが要求されます。
- パスワードやアカウントの詳細な使用方法は,決して漏らさないようにしてください。メール・メッセージの情報は,一旦送信してしまうと,後で取り消すことはできません。
これ以降の節では,Mail でテキスト・エディタを使用する方法を説明します。
7.12.1 EVE の使用方法 | |
テキスト・エディタを使用してメッセージを作成してからメッセージを送信することもできます。この場合,SEND コマンドに /EDIT 修飾子を指定します。 To: プロンプトと Subj: プロンプトに応答すると,テキスト・エディタが起動されます。別のエディタを選択しない限り,DECTPU に基づく EVE エディタが起動されます。
[End of file] マーカは,テキストを入力すると下に移動していきます。 EVE エディタについての詳細は, 第 8 章 を参照してください。メッセージを送信する場合には,Do キーを押してから EXIT コマンドを入力します。送信を取り消す場合には,Do キーを押してから QUIT コマンドを入力します。
次の例では,メール・メッセージの作成に EVE が使用されています。
[End of file]
Buffer: MAIN | Write | Insert | Forward
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| 注意
.DDIF メール・ファイルは編集しないでください。一度編集してしまうと .DDIF ファイルとして使用できなくなるためです。 .DDIF メール・ファイルを編集してしまうと,以後そのファイルのテキストにしかアクセスできなくなります。
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7.12.2 /EDIT 修飾子キーワードの使用方法 | |
Mail を起動するときに /EDIT 修飾子を指定すると,Mail を終了するまで,エディタを使用した送信,返信,転送操作を行うことができます。 /EDIT と一緒にキーワードを使用すれば, Mail の省略時の値を設定することもできます。
メッセージを返信するときにだけエディタを起動する場合には, MAIL/EDIT コマンドに REPLY キーワードを指定します。エディタを起動して,返信先のメッセージを表示する場合には, =EXTRACT オプションとともに REPLY キーワードを指定します。 /EDIT にキーワードを指定しない場合,省略時の値は /EDIT=(SEND,REPLY) になります。
メッセージを送信または返信する場合には, Do キーを押して EXIT コマンドを入力してエディタを終了します。 SEND または REPLY 操作を取り消す場合には, Do キーを押して QUIT コマンドを入力してエディタを終了します。
例
次の例では,送信または転送される各メール・メッセージに対して,エディタが起動されます。
$ MAIL/EDIT=(SEND,FORWARD)
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次の例では,返信される各メッセージに対して,エディタが起動されます。
次の例では,エディタが起動され,メッセージに返信するたびに,返信の対象となっているメッセージがテキストとして含まれます。
$ MAIL/EDIT=(REPLY=EXTRACT)
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7.12.3 エディタの選択 | |
省略時の設定では,Mail コマンドの SEND/EDIT を指定すると, DECTPU に基づく EVE エディタが起動されます。
Mail コマンドの SET EDITOR を入力すれば, EVE の代わりのエディタを起動するように指定できます。たとえば,EDT エディタを選択する場合には,SET EDITOR EDT と入力します。 SET EDITOR コマンドを入力するまでは ( たとえ一度ログアウトしても ), EDT エディタが省略時の Mail エディタになります。
選択された Mail エディタの名前を表示するには,SHOW EDITOR を入力します。
7.12.4 コマンド・ファイルを使用したメールの編集 | |
Mail を入力する前に,論理名 MAIL$EDIT をコマンド・ファイルとして定義することができます。ここでエディタを起動する Mail コマンドを実行すると,コマンド・ファイルが呼び出されて編集操作が実行されます。コマンド・ファイルでは,スペル・チェッカなど,コマンド・ファイルで実行できるユーティリティや機能を指定することができます。 MAILEDIT.COM コマンド・プロシージャの注釈付きの例については, 付録 B を参照してください。コマンド・ファイルについての詳細は,
第 13 章 および 第 14 章 を参照してください。
7.12.5 選択したエディタの一時的な無効化 | |
選択したエディタを一時的に無効にする場合は,文字列 "CALLABLE_" の後に使用するエディタ名を追加したものを MAIL$EDIT として定義します。たとえば,EVE の代わりに EDT を使用する場合には,次のコマンドを入力します。
$ DEFINE MAIL$EDIT CALLABLE_EDT
|
MAIL$EDIT が定義された状態で起動されたセッションにおいて SET EDITOR コマンドを実行すると,永久エディタと現在のエディタの設定値が両方とも無効になります。 MAIL$EDIT によって定義されたコマンド・ファイルをもう一度使用するには, Mail を起動し直さなくてはなりません。
Mail では,キーボード上にある数値キーパッドを使用してコマンドを実行できます。ほとんどのキーパッド・キーには,2 つのコマンドが割り当てられています。
図 7-2 に示す各キーの上側のコマンドを入力する場合には,該当キーだけを押します。下側のコマンドを入力する場合には,PF1 キーを押してから該当キーを押します。
図 7-2 Mail ユーティリティ・キーパッド
たとえば,Mail コマンドの SEND を実行する場合には,KP7 を押します。これに対して,Mail コマンドの SEND/EDIT を実行する場合には,最初に PF1 キーを押してから,KP7 を押します。
7.13.1 キーパッド・キーの再定義 | |
キーパッド・キーの定義を変更して,Mail コマンドを実行させることもできます。キーを再定義する場合,それまでのキー定義は新しい定義で置き換えられることに注意してください。
Mail でのキーパッド・キーの定義は, DCL コマンドでのキーパッド・キーの定義と似ています。
次の例では, KP2 キーは Mail コマンド PRINT/PARAM=PAGE_ORIENT=LANDSCAPE として定義されます。このように定義しておけば, KP2 を押すだけで PRINT/PARAM=PAGE_
ORIENT=LANDSCAPE コマンドを実行することができます。
MAIL> DEFINE/KEY KP2 "PRINT/PARAM=PAGE_ORIENT=LANDSCAPE"
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