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HP OpenVMS CIFS Version 1.2 ECO1: 管理者ガイド第7章 WINBIND のサポート |
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目次 この章では,HP CIFS winbind機能について説明し,使用方法と最適な構成方法について説明します。 ユーザとグループの識別に,OpenVMSとMicrosoft Windowsでは異なる技術を使用しています。HP CIFS Serverを使用すると,この問題が解消されます。Windowsに実装されたユーザとグループのセキュリティIDであるSIDをOpenVMSに実装されたユーザとグループのIDであるUID/GIDにマップする機能として,CIFSでは複数の方法が用意されています。WINBINDもその1つです。 winbindの目的は,UIDとGIDを自動生成し,最小限のID管理作業でWindows SIDとの対応を維持することです。 ご使用の環境に対して適切な構成を選択することがIT管理上の問題を最小限に抑えるために重要となるため,HP CIFS Serverの構成を行う前にWINBINDについて理解しておくことが必要です。 ディレクトリとファイルは,所有者のIDに基づく権限に従ってファイルシステムで管理されるため,ご使用中の環境で最善のマッピング方法を選択することが重要です。最初から適切な構成を選択しておかないと,時間が経つに連れてユーザマップを変更することが難しくなります。この章は,winbindを理解し,HP CIFSを適切に構成する際に役立ちます。 winbindについての詳細は,以下のURLの『Samba 3.0 HOWTO and Reference Guide』を参照してください。 http://us3.samba.org/samba/docs/man/Samba-HOWTO-Collection/
図 7-1 に示すのは,メンバーサーバーとしてHP CIFSを構成したWindowsドメイン環境におけるwinbindの処理フローです。 図 7-1に示したwinbindの処理フローを以下に示します。
WINBIND は,次のような機能を提供する HP CIFS Server の特別な機能です。
CIFS Server が提供する WINBIND 機能は,論理名 WINBNDD_DONT_ENV で制御されます。 また,idmap uid および idmap gid パラメータの有効な範囲が,HP CIFS Server 構成ファイルで指定されていなければなりません。 これらのパラメータが省略されている場合,自動マッピング機能は使用できません。 この論理名が無効あるいは未定義の場合,HP CIFS Server は WINBIND 機能を提供します。 次のようにこの論理名に 1 を定義すると,すべての WINBIND 機能が無効になります。
デフォルトでは,WINBINDD_DONT_ENV 論理名は定義されていません。 WINBIND 機能は,CIFS サーバーがメンバーとなるドメインあるいは信頼されたドメインに属するようなユーザおよびグループの処理において重要な役割を果たすため, スタンドアロン・サーバーである場合を除き, WINBIND 機能は無効にしないことをお勧めします。 WINBIND は,OpenVMS ユーザ・アカウントとリソース識別子(POSIX GID 形式)を作成し, 適切な Windows SID に対するそれらの対応を維持して ID 管理のための労力を最小化します。 WINBIND ID マッピング・データベース・ファイル SAMBA$ROOT:[VAR.LOCKS]WINBINDD_IDMAP.TDB は,Windows SID と OpenVMS ユーザ・アカウントおよびリソース識別子との間のマッピングを維持します。 Windows SID と OpenVMS ユーザ・アカウントあるいはリソース識別子との間のマッピングは,このデータベース・ファイルに既存のマッピング・エントリが無い場合のみ作成されます。 必要なマッピングが無い場合,以下のような状況で, OpenVMS ユーザ・アカウントとリソース識別子の自動作成とマッピングが発生します。
各 OpenVMS アカウントごとにユーザ名と UIC が必要です。 WINBIND は,HP CIFS Server 構成パラメータ idmap uid で指定された範囲から,新しいアカウントのユーザ名と UIC を取得します。 この範囲の開始値および終了値は,ハイフンで区切られた整数で指定されます。 次に例を示します。 idmap uid = 1000 - 2000 同様に,WINBIND は, HP CIFS Server 構成パラメータ idmap gid で指定された範囲から, 名前と OpenVMS (POSIX グループ) リソース識別子の値を取得します。 次に例を示します。 idmap gid = 1000 - 2000 以下の項では WINBIND がどのように自動処理を実行するかを説明しています。
以下の状況に当てはまる場合は,WINBIND による自動マッピングを使用する必要はありません。
ドメイン・グローバル・グループの許可モードを設定するには, 以下のいずれかの方法を使用します。
WINBIND は,idmap uid の値を使用して 新しいアカウントの OpenVMS ユーザ名と UIC を取得します。 uid の値は 16 進値に変換され,文字列 CIFS$ に追加されて, OpenVMS ユーザ名が導き出されます。 この uic の値は 8 進に変換され,この 8 進値が UIC グループおよびメンバー番号として使用されます。
WINBIND が作成したアカウントは対話型ログインが許可されておらず, NETMBX および TMPMBX 特権のみが付与されています。 OpenVMS アカウントが正常に作成されると, ユーザのドメイン・アカウント SID に割り当てられた uid (上記の例では 1000) のマッピング情報は,SAMBA$ROOT:[VAR.LOCKS]WINBINDD_IDMAP.TDB ファイルに保管されます。 このファイルは,オブジェクトのセキュリティを維持するために重要なファイルなので, 必要なマッピング情報の損失を避けるために定期的にバックアップを取る必要があります。 WINBIND は idmap gid の次の整数値を使用して,OpenVMS リソース識別子 (グループ) の名前と値を導き出します。 idmap gid 値は 16 進値に変換され, リソース識別子に割り当てられる値として使用されるとともに, 文字列 CIFS$GRP に追加され, これによりリソース識別子の名前が導き出されます。
例として,次のようなパラメータを含む SMB.CONF について説明します。 idmap gid = 5000-10000 WINBIND まず GID 5000 を割り当て,CIFS$GRP1388 という名前の OpenVMS リソース識別子を作成します。 識別子が正常に作成されると, 割り当てられた gid (5000) に対応するドメイン・グループ SID へのマッピングが SAMBA$ROOT:[VAR.LOCKS}WINBINDD_IDMAP.TDB に保管されます。 オブジェクトのセキュリティを維持するのに必要なマッピングを失わないように, このファイルは定期的にバックアップを取ることが重要です。
WINBIND は,OpenVMS ユーザ名およびリソース識別子を作成する際, CIFS Server 構成ファイルの idmap uid および idmap gid パラメータで範囲指定された値を使用します。 WINBIND をこれらのいずれかの idmap 範囲を超えて実行すると, CIFS クライアント・ログ・ファイルにエラーが出力されます。 クライアント・ログ・ファイルは,デフォルトでは SAMBA$ROOT:[VAR] ディレクトリに作成されます(作成場所は HP CIFS Server 構成ファイルの log file パラメータで指定されます)。 WINBIND で作成された OpenVMS ユーザ名とリソース識別子と,それらに対応するドメイン・ユーザおよびグループへのマッピングを表示するために,WBINFO ユーティリティが提供されています。 WBINFO ユーティリティは,以下のように実行することができます。
--hostusers-to-domainusers オプションを指定すると, CIFS ドメイン・ユーザとそれらにマッピングされている OpenVMS ユーザ名が表示されます。 --hostgroups-to-domaingroups オプションを指定すると, CIFS ドメイン・グループとそれらにマッピングされている OpenVMS リソース識別子が表示されます。 これらの 2 つのオプションは,割り当てられたユーザとグループを表示するためのオプションです。 すべてのユーザおよびグループの表示には使用できません。 1 つの OpenVMS ユーザ名あるいはリソース識別子(グループ)とドメイン・ユーザあるいはグループのマッピングを確認するには,次のようなコマンドを実行します。 WBINFO --hostname-to-domainname=<OpenVMS-identifier> <OpenVMS-identifier> には,OpenVMS ユーザ名かリソース識別名のどちらかを指定します。 グループ内のグループは入れ子グループと呼ばれます。 WINBIND が提供する入れ子グループ機能を使用すると,以下のようなユーザおよびグループを CIFS ローカル・グループのメンバーとして追加できます。
入れ子グループの機能により,CIFS ローカル・グループに基づいたファイル・セキュリティを確立することができます。 自動マッピング機能が有効でない場合も, WINBIND は入れ子グループをサポートします。 Linux/UNIX 版の Samba とは異なり,HP CIFS for OpenVMSでは,Windbind機能はSMBDプロセスに統合されています。 そのため,独立したwinbindデーモン・プロセスは作成されません。 WINBIND機能はすべてのHP CIFS構成に必要なわけではありません。 CIFSをスタンドアロン・サーバーとして構成する場合は,winbindを構成し有効にすることは必須ではありません。 HP CIFSでwinbindを無効にするには,次の論理名を定義してください。
SMB.CONFにidmap UIDおよびidmap GIDパラメータが含まれない場合もwinbindは無効となります。 winbind機能のサポートを使用するには,HP CIFS Serverのセットアップと構成を行う必要があります。 表 7-1 に,winbindの動作を制御するために使われる新しいグローバルパラメータを示します。 これらのパラメータは,SAMBA$ROOT:[LIB]SMB.CONFファイルの[global]セクションに設定されます。 詳細は,SMB.CONFマンページを参照してください。 表 7-1 windind関連のグローバルパラメータ
複数のCIFS ServerがWindows NTまたはWindows ADSドメインに存在しており,これらがwinbindを使用する場合,複数のCIFS ServerがLDAPディレクトリにIDマップを格納するように構成できます。 LDAPサーバーを使用し,SMB.CONFでidmap backend パラメータを指定して CIFSサーバーを構成すると,すべてのUIDおよびGIDがドメイン内でユニークとなるように設定することができます。 wbinfoツールを使用すると,winbindから情報を取得できます。 このツールについての詳細は11.1.2 項 「wbinfo」を参照してください。 |
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