5.3.3 検索順序 |
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論理名 SYS$SYSROOT は,最初はローカル・ルート (SYS$SYSDEVICE:[SYS0.SYSEXE]) を指し,次に共通ルート (SYS$COMMON:[SYSEXE]) を指す検索リストとして定義されています。したがって,システム・ディレクトリの論理名 (SYS$SYSTEM, SYS$LIBRARY,SYS$MANAGER など) は,2 つのディレクトリを指します。
図 5-4 は,論理名 SYS$SYSTEM がファイル指定で使用されているときに,共通システム・ディスクのディレクトリがどのように検索されるかを示しています。
図 5-4 共通システム・ディスクでのファイルの検索順序
重要: 共通システム・ディスクのシステム・ファイルを操作する場合は,この検索順序を念頭に置いておかなければなりません。コンピュータ固有のファイルは,常に該当するコンピュータのシステム・サブディレクトリに格納し,更新しなければなりません。
例
- MODPARAMS.DAT は SYS$SPECIFIC:[SYSEXE] に格納しておかなければなりません。これは, JUPITR では [SYS0.SYSEXE] であり,SATURN では [SYS1.SYSEXE] です。したがって,JUPITR にログインするときに,JUPITR の新しい MODPARAMS.DAT ファイルを作成するには,以下のコマンドを入力します。
$ EDIT SYS$SPECIFIC:[SYSEXE]MODPARAMS.DAT
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ファイルが作成された後,JUPITR にログオンするときに,以下のコマンドを使用してファイルを変更することができます。
$ EDIT SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT
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このコマンドを入力したときに,MODPARAMS.DAT ファイルが JUPITR の SYS$SPECIFIC:[SYSEXE] ディレクトリに存在せず, SYS$COMMON:[SYSEXE] ディレクトリに MODPARAMS.DAT ファイルがある場合,このコマンドは共通ディレクトリの MODPARAMS.DAT ファイルを編集します。 MODPARAMS.DAT ファイルがいずれのディレクトリにもない場合は,このコマンドは JUPITR の SYS$SPECIFIC:[SYSEXE] ディレクトリにファイルを作成します。
- 同じ共通システム・ディスクからブートされる他のコンピュータにログインするときに,JUPITR の MODPARAMS.DAT を変更するには,以下のコマンドを入力します。
$ EDIT SYS$SYSDEVICE:[SYS0.SYSEXE]MODPARAMS.DAT
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- 1 つのクラスタ共通システム・ディスクを使用するクラスタ内で,クラスタ共通システム登録ファイルのレコードを変更するには,任意のコンピュータから以下のコマンドを入力します。
$ SET DEFAULT SYS$COMMON:[SYSEXE]
$ RUN SYS$SYSTEM:AUTHORIZE
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- 同じクラスタ共通システム・ディスクからブートされる別のコンピュータにログインするときに,コンピュータ固有のシステム登録ファイルのレコードを変更するには,デフォルト・ディレクトリを特定のコンピュータに設定しなければなりません。たとえば,JUPITR コンピュータのコンピュータ固有のシステム登録ファイル (SYSUAF.DAT) を設定している場合,以下に示すように,AUTHORIZE を起動する前に,デフォルト・ディレクトリを JUPITR コンピュータの固有の [SYSEXE] ディレクトリに設定する必要があります。
$ SET DEFAULT SYS$SYSDEVICE:[SYS0.SYSEXE]
$ RUN SYS$SYSTEM:AUTHORIZE
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OpenVMS バージョン 7.2 でサポートされたクラスタワイド論理名により,共用可能な論理名の便利さと使いやすさが OpenVMS Cluster システムでも利用可能です。クラスタワイド論理名は OpenVMS Integrity と OpenVMS Alpha の単一アーキテクチャ・クラスタでも,あるいはアーキテクチャ混成クラスタのどちらでも利用可能です。
既存のアプリケーションは,アプリケーション・コードを変更せずに,クラスタワイド論理名を利用できます。ただし,アプリケーションから (直接的または間接的に) 参照される論理名テーブルを少しだけ変更しなければなりません。
デフォルト設定では,新しい論理名はローカルでのみ有効です。クラスタワイド論理名は,ある論理名テーブルの属性です。新しい論理名をクラスタ単位で有効になるように設定するには,クラスタワイド論理名テーブルにその論理名を作成しなければなりません。
クラスタワイド論理名の最も重要な機能は以下のとおりです。
- 新しいノードがクラスタに参加する場合,現在設定されているクラスタワイド論理名全部を自動的に受け取ります。
- クラスタワイド論理名または論理名テーブルが作成,変更,削除されると,その変更は OpenVMS バージョン 7.2 以降が稼動するクラスタ内の他のすべてのノードに自動的に伝達されます。クラスタ単位のテーブルに対するセキュリティ・プロファイルの変更も,この方法で自動的に伝達されます。
- クラスタ単位の名前の変換によってパフォーマンスができるだけ低下しないように,変換はローカルに行われます。
- LNM$CLUSTER_TABLE と LNM$SYSCLUSTER_TABLE は, OpenVMS バージョン 7.2 以降が稼動するすべてのシステムに存在するため,クラスタワイド論理名を使用するプログラムとコマンド・プロシージャは,クラスタに接続されていないシステムでも開発,テスト,実行することができます。
5.4.1 デフォルトのクラスタワイド論理名テーブル |
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クラスタワイド論理名をサポートするために,オペレーティング・システムは, 表 5-1 に示すように,システム・スタートアップ時に 2 つのクラスタワイド論理名テーブルとそれぞれの論理名を作成します。これらの論理名テーブルと論理名は,プロセス論理名テーブル,ジョブ論理名テーブル,グループ論理名テーブル,システム論理名テーブルに加えて提供されるものです。クラスタワイド論理名テーブルの名前はシステム論理名ディレクトリ LNM$SYSTEM_DIRECTORY に格納されます。