1.1.2 便利な機能 |
|
◆オンライン・ヘルプ
オンライン・ヘルプは,デバッガ・セッションの途中でいつでも利用することができます。オンライン・ヘルプには,すべてのデバッガ・コマンドについての情報と,選ばれたトピックについての情報が含まれています。
◆ソース・コードの表示
デバッガ・セッションでは,OpenVMS デバッガでサポートされる言語で作成されたプログラム・モジュールのソース・コードを表示できます。
◆画面モード
画面モード では,ウィンドウにいろいろな情報を表示したり,取り込んだりすることができます。このウィンドウは,画面内で移動したりサイズを変更したりできるスクロール可能なウィンドウです。自動的に更新されるディスプレイでリース,命令,レジスタをそれぞれ見ることができます。デバッガの入出力 (I/O) や診断メッセージを表示するよう選択することもできます。また,特定のコマンド・シーケンスの出力を取り込むディスプレイ・ユニットを作成することもできます。
◆保持デバッガ
保持デバッガ (kept debugger) でデバッガを実行すると,現在のデバッガ・セッションの内部から別のプログラム・イメージを実行したり,同じイメージを再実行することができ,そのためにデバッガを終了して再起動する必要はありません。プログラムを再実行する場合には,大部分のトレースポイントやウォッチポイントをはじめ,前に設定したブレークポイントを保持するのか,取り消すのかを選択できます。
◆DECwindows Motif ユーザ・インタフェース
OpenVMS デバッガには,オプションとして HP DECwindows Motif for OpenVMS グラフィカル・ユーザ・インタフェース (GUI) があり,プッシュ・ボタン,プルダウン・メニュー,ポップアップ・メニューを使用して,共通のデバッガ・コマンドにアクセスできます。GUI はオプションとして使用できるデバッガ・コマンド行インタフェースの拡張機能であり, DECwindows Motif を実行しているワークステーションで使用できます。 GUI を使用すると,DECwindows Motif 環境で関連するすべてのデバッガ・コマンドにコマンド行から完全にアクセスできます。
◆Microsoft Windowsインタフェース
OpenVMS デバッガには,オプションとしてクライアント/サーバ構成があり,ユーザの Microsoft オペレーティング・システムを実行している PC からデバッガにアクセスして,その機能を使用することができます。このデバッガは,OpenVMS (Alpha,または Integrity CPU) 上で実行されるデバッグ・サーバと,Microsoft オペレーティング・システム (Intel または Alpha CPU) 上で実行されるデバッグ・クライアント・インタフェースで運用します。
◆クライアント/サーバ構成
クライアント/サーバ構成により,DECwindows Motif ユーザ・インタフェースを使用している OpenVMS ノードから,あるいは Microsoft Windows インタフェースを使用している PC から,特定の OpenVMS ノード上でリモートに実行しているプログラムをデバッグすることができます。多くのデバッグ・オプションを可能とする同一デバッグ・サーバに対して,同時に最大 31 のデバッグ・クライアントがアクセスすることができます。
◆キーパッド・モード
デバッガの起動時には,よく使用されるいくつかのデバッガ・コマンド・シーケンスが省略時の設定により数値キーパッドのキーに割り当てられます (VT52,VT100,または LK201 のキーボードを使用している場合 )。そのため,キーボードでコマンドを入力するよりも少ないキーストロークでこれらのコマンドを入力することができます。また,ユーザが独自のキー定義を作成することもできます。
◆ソースの編集
デバッガ・セッションの途中でエラーを見つけたときに EDIT コマンドを使用すると,各自のシステムで使用可能なエディタを使用することができます。使用するエディタは SET EDITOR コマンドで設定します。ランゲージ・センシティブ・エディタ (LSE) を使用すると,画面モードのソース・ディスプレイに表示されているコードのソース・ファイルの中に自動的に編集カーソルが置かれます。
◆コマンド・プロシージャ
デバッガにコマンド・プロシージャ ( 複数のデバッガ・コマンドが入っているファイル ) を実行させることができます。これによって,デバッガ・セッションを再現したり,直前のセッションを続行したり, 1 つのデバッガ・セッションの中で同じデバッガ・コマンドを何度も入力する手間を省いたりすることができます。さらにコマンド・プロシージャへパラメータを渡すこともできます。
◆初期化ファイル
省略時のデバッグ・モード,画面ディスプレイ定義,キーパッド・キー定義,シンボル定義などを設定するコマンドの入っている初期化ファイルを作成することができます。デバッガを起動すると,これらのコマンドが自動的に実行され,各ユーザのニーズに合ったデバッグ環境が整います。
◆ログ・ファイル
デバッガ・セッション中に入力したコマンドや,それらのコマンドに対するデバッガの応答をログ・ファイルに記録することができます。ログ・ファイルを使用するとデバッグ作業の流れを追うことができます。また,以後のデバッガ・セッションにおいてログ・ファイルをコマンド・プロシージャとして使用することもできます。
◆シンボル定義
長いコマンドやアドレス式を表現するためのシンボルや,値を短縮形で表現するためのシンボルをユーザが独自に定義することができます。
プログラムをデバッガの制御下に置いて,最も効果的なシンボリック・デバッグを行うには,
第 1.2.1 項 および 第 1.2.2 項 で説明しているように,最初にコンパイラおよびリンカの /DEBUG 修飾子を使用してプログラム・モジュール ( コンパイル単位 ) をコンパイルおよびリンクしておく必要があります。
1.2.1 デバッグのためのプログラムのコンパイル |
|
例 1-1 では,FORMS.C と INVENTORY.C という 2 つのソース・モジュールにより構成されているデバッグのための C プログラム,FORMS.EXE のコンパイル方法を示しています。 FORMS.C はメイン・プログラム・モジュールです。