この章では,AlphaServer ES40 システムで OpenVMS Galaxy コンピューティング環境を
構築するための要件と手順について説明します。
この章には,当初は OpenVMS Alpha VMS721_DS20E_ES40 修正キットに含まれていた手順の改訂版が含まれています。
AlphaServer ES40 システムで OpenVMS Galaxy を構築するには,次の手順に従います。
AlphaServer ES40 の構成およびハードウェアに関して,
次の要件を十分理解しておく必要があります。
最大 2 つのインスタンス
AlphaServer ES40 では,OpenVMS のインスンタスを最大 2 つ実行できます。
コンソール・ファームウェア
AlphaServer ES40 システムで OpenVMS Galaxy 環境を構築するには,
次の場所から V6.2 コンソール・ファームウェアの最新バージョンを
ダウンロードしなければなりません。
http://ftp.digital.com/pub/DEC/Alpha/firmware/
AlphaServer ES40 のクロック
AlphaServer ES40 には 1 つのクロックがあります。OpenVMS Galaxy の場合,
これは 2 つのインスタンスを異なる時刻に実行できないことを意味します。
また,SET TIME コマンドは両方のインスタンスに影響します。
しかし,かなり時間が経過するまで,これが明らかにならない可能性があります。
コンソール・ポート
ラック・マウント・システムの場合:
COM1 (下) はインスタンス 0 のコンソール・ポートです。
COM2 (上) はインスタンス 1 のコンソール・ポートです。
ペデスタル・システムの場合:
COM1 (左) はインスタンス 0 のコンソール・ポートです。
COM2 (右) はインスタンス 1 のコンソール・ポートです。
AlphaServer 8400 で OpenVMS Galaxy を構築する場合と異なり,
2 つ目のコンソール用に追加ハードウェアは必要ありません。
この目的で COM2 が使用されます。
CPU
CPU0 はインスタンス 0 のプライマリでなければなりません。
CPU1 はインスタンス 1 のプライマリでなければなりません。
CPU2 と 3 はオプションのセカンダリ CPU であり,マイグレードすることができます。
AlphaServer ES40 における CPU 環境変数の設定例については,
8.5 項 「ステップ 4: 環境変数の設定」 を参照してください。
I/O アダプタ
ラックマウント・システムの場合:
PCI hose 0 (PCI0) はインスタンス 0 に属しています (上の 4 つの PCI スロット)。
PCI hose 1 (PCI1) はインスタンス 1 に属しています (下の 6 つの PCI スロット)。
ペデスタル・システムの場合:
PCI hose 0 (PCI0) はインスタンス 0 に属しています (右側のスロット)
PCI hose 1 (PCI1) はインスタンス 1 に属しています (左側のスロット)
PCI0 には内蔵型の ISA コントローラがあります。
I/O アダプタの構成例については,8.2 項 「ステップ 1: AlphaServer ES40 の構成を確かめる」 を参照してください。
ストレージ・コントローラ
インスタンスごとに 1 つのストレージ・コントローラ (KZPSA など) が必要です。
それぞれのインスタンスに対して,コントローラは個別の StorageWork ボックスに収納することができ,SCSI クラスタとして稼働するために,
同じボックスに収納することもできます。
ネットワーク・カード
各インスタンスでネットワーク・アクセスが必要な場合は,
各インスタンスに対してネットワーク・カード (DE600 など) が必要です。
カードは 1 枚ずつ,PCI0 と PCI0 に接続されます。
メモリ分割に関する制限事項
プライベート・メモリは 64MB 境界から開始しなければなりません。
共用メモリは 8MB 境界から開始しなければなりません。
インスタンス 0 は 64MB の倍数でなければなりません。
SHOW CONFIG コマンドを使用して,
OpenVMS Galaxy 環境を構築するために使用する AlphaServer ES40 が,
8.1 項 「コンピューティング環境を構築する前に」 で説明した要件を満たしているかどうか確認します。
コンソール・プロンプトに対して次のコマンドを入力します。
コンソールには次の例のような情報が表示されます。
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Firmware
SRM Console: X5.6-2323
ARC Console: v5.70
PALcode: OpenVMS PALcode V1.61-2, Tru64 UNIX PALcode V1.54-2
Serial Rom: V2.2-F
RMC Rom: V1.0
RMC Flash Rom: T2.0
Processors
CPU 0 Alpha 21264-4 500 MHz 4MB Bcache
CPU 1 Alpha 21264-4 500 MHz 4MB Bcache
CPU 2 Alpha 21264-4 500 MHz 4MB Bcache
CPU 3 Alpha 21264-4 500 MHz 4MB Bcache
Core Logic
Cchip DECchip 21272-CA Rev 9(C4)
Dchip DECchip 21272-DA Rev 2
Pchip 0 DECchip 21272-EA Rev 2
Pchip 1 DECchip 21272-EA Rev 2
TIG Rev 10
Memory
Array Size Base Address Intlv Mode
--------- ---------- ---------------- ----------
0 4096Mb 0000000000000000 2-Way
1 4096Mb 0000000100000000 2-Way
2 1024Mb 0000000200000000 2-Way
3 1024Mb 0000000240000000 2-Way
10240 MB of System Memory
Slot Option Hose 0, Bus 0, PCI
1 DAPCA-FA ATM622 MMF
2 DECchip 21152-AA Bridge to Bus 2, PCI
3 DEC PCI FDDI fwb0.0.0.3.0 00-00-F8-BD-C6-5C
4 DEC PowerStorm
7 Acer Labs M1543C Bridge to Bus 1, ISA
15 Acer Labs M1543C IDE dqa.0.0.15.0
dqb.0.1.15.0
dqa0.0.0.15.0 TOSHIBA CD-ROM XM-6302B
19 Acer Labs M1543C USB
Option Hose 0, Bus 1, ISA
Floppy dva0.0.0.1000.0
Slot Option Hose 0, Bus 2, PCI
0 NCR 53C875 pkd0.7.0.2000.0 SCSI Bus ID 7
1 NCR 53C875 pke0.7.0.2001.0 SCSI Bus ID 7
dke100.1.0.2001.0 RZ1BB-CS
dke200.2.0.2001.0 RZ1BB-CS
dke300.3.0.2001.0 RZ1CB-CS
dke400.4.0.2001.0 RZ1CB-CS
2 DE500-AA Network Con ewa0.0.0.2002.0 00-06-2B-00-0A-58
Slot Option Hose 1, Bus 0, PCI
1 NCR 53C895 pka0.7.0.1.1 SCSI Bus ID 7
dka100.1.0.1.1 RZ2CA-LA
dka300.3.0.1.1 RZ2CA-LA
2 Fore ATM 155/622 Ada
3 DEC PCI FDDI fwa0.0.0.3.1 00-00-F8-45-B2-CE
4 QLogic ISP10x0 pkb0.7.0.4.1 SCSI Bus ID 7
dkb100.1.0.4.1 HSZ50-AX
dkb101.1.0.4.1 HSZ50-AX
dkb200.2.0.4.1 HSZ50-AX
dkb201.2.0.4.1 HSZ50-AX
dkb202.2.0.4.1 HSZ50-AX
5 QLogic ISP10x0 pkc0.7.0.5.1 SCSI Bus ID 7
dkc100.1.0.5.1 RZ1CB-CS
dkc200.2.0.5.1 RZ1CB-CS
dkc300.3.0.5.1 RZ1CB-CS
dkc400.4.0.5.1 RZ1CB-CS
6 DECchip 21154-AA Bridge to Bus 2, PCI
Slot Option Hose 1, Bus 2, PCI
4 DE602-AA eia0.0.0.2004.1 00-08-C7-91-0A-AA
5 DE602-AA eib0.0.0.2005.1 00-08-C7-91-0A-AB
6 DE602-TA eic0.0.0.2006.1 00-08-C7-66-80-9E
7 DE602-TA eid0.0.0.2007.1 00-08-C7-66-80-5E
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OpenVMS Galaxy ソフトウェアを実行するために,
特別なインストール手順は必要ありません。
Galaxy 機能は基本オペレーティング・システムに組み込まれており,
この章で後述するコンソール・コマンドとシステム・パラメータ値を使用して,
有効または無効に設定することができます。
AlphaServer ES40 が SCSI クラスタに属していない場合は,各インスタンスに対して 1 つずつ,2 つのシステム・ディスクに OpenVMS バージョン 7.3-2 をインストールしなければなりません。
AlphaServer ES40 がクラスタで共通のシステム・ディスクを持つ SCSI クラスタの一部である場合は,
1 つのシステム・ディスクに OpenVMS バージョン 7.3-2 をインストールします。
OpenVMS Alpha オペレーティング・システムのインストールの詳細については,『OpenVMS インストレーション・ガイド[翻訳版]』を参照してください。
ファームウェアのアップグレードには,次の手順のいずれかを使います。
AlphaServer ES40 にアクセス可能である,MOP が有効になったサーバの MOM$SYSTEM にファームウェア・ファイルをコピーします。
コンソールから次のコマンドを入力します。
P00>>> boot -fl 0,0 ewa0 -fi {firmware filename}
UPD> update srm*
power-cycle system
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あるいは,次のコマンドを使います。
P00>>> BOOT -FLAGS 0,A0 cd_device_name
.
.
.
Bootfile: {firmware filename}
.
.
.
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インスタンス 0 に対してプライマリ・コンソールを構成します。
CPU0 はインスタンス 0 のプライマリです。
CPU1 はインスタンス 1 のプライマリです。
次の例は CPU 3 つと 256 MB + 192 MB + 64 MB に分割された 512 MB のメモリを装備した AlphaServer ES40 の場合の例です。
P00>>> set lp_count 2
P00>>> set lp_cpu_mask0 1
P00>>> set lp_cpu_mask1 6
P00>>> set lp_io_mask0 1
P00>>> set lp_io_mask1 2
P00>>> set lp_mem_size0 10000000
P00>>> set lp_mem_size1 c000000
P00>>> set lp_shared_mem_size 4000000
P00>>> set console_memory_allocation new
P00>>> set auto_action halt
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CPU が 4 つあり,すべてのセカンダリ CPU をインスタンス 1 に割り当てる場合は,
LP_CPU_MASK1 変数が E になります。2 つのインスタンスで CPU を分割する場合は,
CPU 0 がインスタンス 0 のプライマリ CPU になり,
CPU 1 がインスタンス 1 のプライマリ CPU にならなければなりません。
次の例は,セカンダリ CPU 2 をプライマリ CPU 0 に割り当て,
セカンダリ CPU 3 をプライマリ CPU 1 に割り当てる LP_CPU_MASK 値を示しています。
>>> set lp_cpu_mask0 5
>>> set lp_cpu_mask1 A
CPU Selection LP_CPU_MASK
0(primary partition 0) 2^0 = 1
1(primary partition 1) 2^1 = 2
2(secondary) 2^2 = 4
3(secondary) 2^3 = 8
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MEM_SIZE 変数は,システム構成とメモリの分割方法に応じて異なります。
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lp_io_mask0 は 1 に設定しなければなりません。
-
lp_io_mask1 は 2 に設定しなければなりません。
コンソール環境変数 AUTO_ACTION は HALT に設定しなければなりません。
これにより,システムはブートされず,LPINIT コマンドを入力できるようになります。
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次のコマンドを入力して,システムを初期化し,Galaxy ファームウェアを起動します。
P00>>> init ! initialize the system
P00>>> lpinit ! start firmware
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自己診断テストを完了した後,
Galaxy コマンドはインスタンス 1 でコンソールを起動します。
I/O バスが 2 つの Galaxy パーティション間で分割される場合は,
装置のポート名が変化することに注意してください。
たとえば,AlphaServer ES40 がシングル・システムの場合に,
DKC300 として指定されるディスクは,
OpenVMS Galaxy のパーティション 0 として構成した場合は,DKA300 になります。
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インスタンス 1 のコンソールを構成します。
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システム・ルート,ブート装置,他の関連変数を構成します。
次の設定例は OpenVMS Engineering システムの場合の例です。
それぞれの環境の要件に適合するように,これらの変数は適宜変更してください。
Instance 0
P00>>> set boot_osflags 12,0
P00>>> set bootdef_dev dka0
P00>>> set boot_reset off !!! must be OFF !!!
P00>>> set ewa0_mode twisted
Instance 1
P01>>> set boot_osflags 11,0
P01>>> set bootdef_dev dkb200
P01>>> set boot_reset off !!! must be OFF !!!
P01>>> set ewa0_mode twisted
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次のように,インスタンス 1 をブートします。
インスタンス 1 がブートされた後,システム・アカウントにログインし,
SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルに次の行を挿入します。
SCSNODE パラメータと SCSSYSTEMID SYSGEN パラメータが正しいことを確認してください。次のように AUTOGEN を実行して,
インスタンス 1 を Galaxy メンバとして構成し,
システムを停止したままの状態にします。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA SHUTDOWN INITIAL
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次のように,インスタンス 0 をブートします。
インスタンス 0 がブートされた後,システム・アカウントにログインし,
SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルに次の行を追加します。
SCSNODE パラメータと SCSSYSTEMID SYSGEN パラメータが正しいことを確認してください。次のように AUTOGEN を実行して,
インスタンス 0 を Galaxy メンバとして構成し,
システムを停止したままの状態にします。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA SHUTDOWN INITIAL
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初期化またはシステムの電源投入で自動的に起動されるように,Galaxy を準備します。
両方のインスタンスで AUTO_ACTION 環境変数を RESTART に設定します。
P00>>> set auto_action restart
P01>>> set auto_action restart
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プライマリ・コンソールから次のコマンドを入力して,Galaxy を再び初期化します。
コンソールに次の確認メッセージが表示されたら,Y と入力します。
Do you REALLY want to reset all partitions? (Y/N)
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また,システムの電源をいったんオフにした後,オンにすることもできます。
このようにすると,
両方のインスタンスで Galaxy が自動的にブートストラップされます。
操作はこれで終了です。
AlphaServer ES40 システムに OpenVMS Galaxy が構築されました。