本文に進む 日本−日本語
日本HPホーム 製品 & サービス OpenVMS製品情報
≫ お問い合わせ
日本HPホーム
HP OpenVMS Alpha: パーティショニングおよび Galaxy ガイド

第8章 AlphaServer ES40 システムでの OpenVMS Galaxy の構築

≫ 

OpenVMSドキュメント・ライブラリ

目次
まえがき
第1章:パーティションによる負荷の管理
第2章:OpenVMS Galaxyの概念
第3章:OpenVMSアプリケーションに対するNUMAの影響
第4章:GS140/GS60/GS60Eでの構築
第5章:AlphaServer 8400での構築
第6章:AlphaServer 8200での構築
第7章:AlphaServer 4100での構築
第8章:ES40での構築
第9章:GS80/160/320での構築
第10章:ES47/ES80/GS1280での構築
第11章:AlphaシステムでのシングルインスタンスGalaxyの使用
第12章:Galaxyに関するヒントと手法
第13章:Galaxy Configurationユーティリティ
第14章:Graphical Configuration Manager
第15章:DCL CLIを使ったCPUの最割り当て
第16章:GalaxyとNUMAのコマンドとレキシカル関数
第17章:共用メモリを使った通信
第18章:共用メモリ・プログラミング・インタフェース
第19章:Galaxyデバイス・ドライバ
付録A:Galaxy CPU Load Balancerプログラム
付録B:メモリサイズ設定の共通値
付録C:ライセンスのインストール
用語集
索引
PDF
OpenVMS ホーム
ここから本文が始まります

この章では,AlphaServer ES40 システムで OpenVMS Galaxy コンピューティング環境を 構築するための要件と手順について説明します。

この章には,当初は OpenVMS Alpha VMS721_DS20E_ES40 修正キットに含まれていた手順の改訂版が含まれています。

AlphaServer ES40 システムで OpenVMS Galaxy を構築するには,次の手順に従います。

  1. 8.1 項 「コンピューティング環境を構築する前に」に記載された,構成とハードウェアの要件を読みます。

  2. ステップ 1 からステップ 5 までの手順を実行します。

8.1 コンピューティング環境を構築する前に

AlphaServer ES40 の構成およびハードウェアに関して, 次の要件を十分理解しておく必要があります。

最大 2 つのインスタンス

AlphaServer ES40 では,OpenVMS のインスンタスを最大 2 つ実行できます。

コンソール・ファームウェア

AlphaServer ES40 システムで OpenVMS Galaxy 環境を構築するには, 次の場所から V6.2 コンソール・ファームウェアの最新バージョンを ダウンロードしなければなりません。

http://ftp.digital.com/pub/DEC/Alpha/firmware/

AlphaServer ES40 のクロック

AlphaServer ES40 には 1 つのクロックがあります。OpenVMS Galaxy の場合, これは 2 つのインスタンスを異なる時刻に実行できないことを意味します。 また,SET TIME コマンドは両方のインスタンスに影響します。 しかし,かなり時間が経過するまで,これが明らかにならない可能性があります。

コンソール・ポート

ラック・マウント・システムの場合:
COM1 (下) はインスタンス 0 のコンソール・ポートです。
COM2 (上) はインスタンス 1 のコンソール・ポートです。

ペデスタル・システムの場合:
COM1 (左) はインスタンス 0 のコンソール・ポートです。
COM2 (右) はインスタンス 1 のコンソール・ポートです。

AlphaServer 8400 で OpenVMS Galaxy を構築する場合と異なり, 2 つ目のコンソール用に追加ハードウェアは必要ありません。 この目的で COM2 が使用されます。

CPU

CPU0 はインスタンス 0 のプライマリでなければなりません。
CPU1 はインスタンス 1 のプライマリでなければなりません。
CPU2 と 3 はオプションのセカンダリ CPU であり,マイグレードすることができます。

AlphaServer ES40 における CPU 環境変数の設定例については, 8.5 項 「ステップ 4: 環境変数の設定」 を参照してください。

I/O アダプタ

ラックマウント・システムの場合:
PCI hose 0 (PCI0) はインスタンス 0 に属しています (上の 4 つの PCI スロット)。
PCI hose 1 (PCI1) はインスタンス 1 に属しています (下の 6 つの PCI スロット)。

ペデスタル・システムの場合:
PCI hose 0 (PCI0) はインスタンス 0 に属しています (右側のスロット)
PCI hose 1 (PCI1) はインスタンス 1 に属しています (左側のスロット)

PCI0 には内蔵型の ISA コントローラがあります。

I/O アダプタの構成例については,8.2 項 「ステップ 1: AlphaServer ES40 の構成を確かめる」 を参照してください。

ストレージ・コントローラ

インスタンスごとに 1 つのストレージ・コントローラ (KZPSA など) が必要です。 それぞれのインスタンスに対して,コントローラは個別の StorageWork ボックスに収納することができ,SCSI クラスタとして稼働するために, 同じボックスに収納することもできます。

ネットワーク・カード

各インスタンスでネットワーク・アクセスが必要な場合は, 各インスタンスに対してネットワーク・カード (DE600 など) が必要です。

カードは 1 枚ずつ,PCI0 と PCI0 に接続されます。

メモリ分割に関する制限事項

プライベート・メモリは 64MB 境界から開始しなければなりません。

共用メモリは 8MB 境界から開始しなければなりません。

インスタンス 0 は 64MB の倍数でなければなりません。

8.2 ステップ 1: AlphaServer ES40 の構成を確かめる

SHOW CONFIG コマンドを使用して, OpenVMS Galaxy 環境を構築するために使用する AlphaServer ES40 が, 8.1 項 「コンピューティング環境を構築する前に」 で説明した要件を満たしているかどうか確認します。

コンソール・プロンプトに対して次のコマンドを入力します。

P00>>> show config

コンソールには次の例のような情報が表示されます。

Firmware
SRM Console:    X5.6-2323
ARC Console:    v5.70
PALcode:        OpenVMS PALcode V1.61-2, Tru64 UNIX PALcode V1.54-2
Serial Rom:     V2.2-F
RMC Rom:        V1.0
RMC Flash Rom:  T2.0

Processors
CPU 0           Alpha 21264-4 500 MHz  4MB Bcache
CPU 1           Alpha 21264-4 500 MHz  4MB Bcache
CPU 2           Alpha 21264-4 500 MHz  4MB Bcache
CPU 3           Alpha 21264-4 500 MHz  4MB Bcache

Core Logic
Cchip           DECchip 21272-CA Rev 9(C4)
Dchip           DECchip 21272-DA Rev 2
Pchip 0         DECchip 21272-EA Rev 2
Pchip 1         DECchip 21272-EA Rev 2
TIG             Rev 10

Memory
  Array       Size       Base Address    Intlv Mode
---------  ----------  ----------------  ----------
    0       4096Mb     0000000000000000    2-Way
    1       4096Mb     0000000100000000    2-Way
    2       1024Mb     0000000200000000    2-Way
    3       1024Mb     0000000240000000    2-Way

     10240 MB of System Memory

 Slot   Option                  Hose 0, Bus 0, PCI
   1    DAPCA-FA ATM622 MMF
   2    DECchip 21152-AA                                Bridge to Bus 2, PCI
   3    DEC PCI FDDI            fwb0.0.0.3.0            00-00-F8-BD-C6-5C
   4    DEC PowerStorm
   7    Acer Labs M1543C                                Bridge to Bus 1, ISA
  15    Acer Labs M1543C IDE    dqa.0.0.15.0
                                dqb.0.1.15.0
                                dqa0.0.0.15.0           TOSHIBA CD-ROM XM-6302B
  19    Acer Labs M1543C USB

        Option                  Hose 0, Bus 1, ISA
        Floppy                  dva0.0.0.1000.0

 Slot   Option                  Hose 0, Bus 2, PCI
   0    NCR 53C875              pkd0.7.0.2000.0         SCSI Bus ID 7
   1    NCR 53C875              pke0.7.0.2001.0         SCSI Bus ID 7
                                dke100.1.0.2001.0       RZ1BB-CS
                                dke200.2.0.2001.0       RZ1BB-CS
                                dke300.3.0.2001.0       RZ1CB-CS
                                dke400.4.0.2001.0       RZ1CB-CS
   2    DE500-AA Network Con    ewa0.0.0.2002.0         00-06-2B-00-0A-58

 Slot   Option                  Hose 1, Bus 0, PCI
   1    NCR 53C895              pka0.7.0.1.1            SCSI Bus ID 7
                                dka100.1.0.1.1          RZ2CA-LA
                                dka300.3.0.1.1          RZ2CA-LA
   2    Fore ATM 155/622 Ada
   3    DEC PCI FDDI            fwa0.0.0.3.1            00-00-F8-45-B2-CE
   4    QLogic ISP10x0          pkb0.7.0.4.1            SCSI Bus ID 7
                                dkb100.1.0.4.1          HSZ50-AX
                                dkb101.1.0.4.1          HSZ50-AX
                                dkb200.2.0.4.1          HSZ50-AX
                                dkb201.2.0.4.1          HSZ50-AX
                                dkb202.2.0.4.1          HSZ50-AX
   5    QLogic ISP10x0          pkc0.7.0.5.1            SCSI Bus ID 7
                                dkc100.1.0.5.1          RZ1CB-CS
                                dkc200.2.0.5.1          RZ1CB-CS
                                dkc300.3.0.5.1          RZ1CB-CS
                                dkc400.4.0.5.1          RZ1CB-CS
   6    DECchip 21154-AA                                Bridge to Bus 2, PCI

 Slot   Option                  Hose 1, Bus 2, PCI
   4    DE602-AA                eia0.0.0.2004.1         00-08-C7-91-0A-AA
   5    DE602-AA                eib0.0.0.2005.1         00-08-C7-91-0A-AB
   6    DE602-TA                eic0.0.0.2006.1         00-08-C7-66-80-9E
   7    DE602-TA                eid0.0.0.2007.1         00-08-C7-66-80-5E

8.3 ステップ 2: OpenVMS Alpha バージョン 7.3-2 をインストールする

OpenVMS Galaxy ソフトウェアを実行するために, 特別なインストール手順は必要ありません。 Galaxy 機能は基本オペレーティング・システムに組み込まれており, この章で後述するコンソール・コマンドとシステム・パラメータ値を使用して, 有効または無効に設定することができます。

AlphaServer ES40 が SCSI クラスタに属していない場合は,各インスタンスに対して 1 つずつ,2 つのシステム・ディスクに OpenVMS バージョン 7.3-2 をインストールしなければなりません。

AlphaServer ES40 がクラスタで共通のシステム・ディスクを持つ SCSI クラスタの一部である場合は, 1 つのシステム・ディスクに OpenVMS バージョン 7.3-2 をインストールします。

OpenVMS Alpha オペレーティング・システムのインストールの詳細については,『OpenVMS インストレーション・ガイド[翻訳版]』を参照してください。

8.4 ステップ 3: ファームウェアをアップグレードする

ファームウェアのアップグレードには,次の手順のいずれかを使います。

AlphaServer ES40 にアクセス可能である,MOP が有効になったサーバの MOM$SYSTEM にファームウェア・ファイルをコピーします。 コンソールから次のコマンドを入力します。

P00>>> boot -fl 0,0 ewa0 -fi {firmware filename}
UPD> update srm*
power-cycle system

あるいは,次のコマンドを使います。

P00>>> BOOT -FLAGS 0,A0 cd_device_name
.
.
.
Bootfile: {firmware filename}
.
.
.

8.5 ステップ 4: 環境変数の設定

インスタンス 0 に対してプライマリ・コンソールを構成します。

CPU0 はインスタンス 0 のプライマリです。 CPU1 はインスタンス 1 のプライマリです。

次の例は CPU 3 つと 256 MB + 192 MB + 64 MB に分割された 512 MB のメモリを装備した AlphaServer ES40 の場合の例です。

P00>>> set  lp_count            2
P00>>> set  lp_cpu_mask0        1
P00>>> set  lp_cpu_mask1        6
P00>>> set  lp_io_mask0         1
P00>>> set  lp_io_mask1         2
P00>>> set  lp_mem_size0        10000000
P00>>> set  lp_mem_size1        c000000
P00>>> set  lp_shared_mem_size  4000000
P00>>> set  console_memory_allocation new
P00>>> set auto_action halt

CPU が 4 つあり,すべてのセカンダリ CPU をインスタンス 1 に割り当てる場合は, LP_CPU_MASK1 変数が E になります。2 つのインスタンスで CPU を分割する場合は, CPU 0 がインスタンス 0 のプライマリ CPU になり, CPU 1 がインスタンス 1 のプライマリ CPU にならなければなりません。

次の例は,セカンダリ CPU 2 をプライマリ CPU 0 に割り当て, セカンダリ CPU 3 をプライマリ CPU 1 に割り当てる LP_CPU_MASK 値を示しています。


>>> set lp_cpu_mask0 5
>>> set lp_cpu_mask1 A


CPU Selection                         LP_CPU_MASK
              
0(primary partition 0)                2^0 =   1
1(primary partition 1)                2^1 =   2
2(secondary)                          2^2 =   4
3(secondary)                          2^3 =   8

MEM_SIZE 変数は,システム構成とメモリの分割方法に応じて異なります。

  • lp_io_mask0 は 1 に設定しなければなりません。

  • lp_io_mask1 は 2 に設定しなければなりません。

コンソール環境変数 AUTO_ACTION は HALT に設定しなければなりません。 これにより,システムはブートされず,LPINIT コマンドを入力できるようになります。

8.6 ステップ 5: システムを初期化し,コンソール装置を起動する

  1. 次のコマンドを入力して,システムを初期化し,Galaxy ファームウェアを起動します。

    P00>>> init      ! initialize the system 
    P00>>> lpinit    ! start firmware
    

    自己診断テストを完了した後, Galaxy コマンドはインスタンス 1 でコンソールを起動します。

    I/O バスが 2 つの Galaxy パーティション間で分割される場合は, 装置のポート名が変化することに注意してください。 たとえば,AlphaServer ES40 がシングル・システムの場合に, DKC300 として指定されるディスクは, OpenVMS Galaxy のパーティション 0 として構成した場合は,DKA300 になります。

  2. インスタンス 1 のコンソールを構成します。

  3. システム・ルート,ブート装置,他の関連変数を構成します。

    次の設定例は OpenVMS Engineering システムの場合の例です。 それぞれの環境の要件に適合するように,これらの変数は適宜変更してください。

          Instance 0
    P00>>> set boot_osflags	12,0		
    P00>>> set bootdef_dev	dka0		
    P00>>> set boot_reset	off             !!! must be OFF !!!
    P00>>> set ewa0_mode	twisted
    
    
          Instance 1
    P01>>> set boot_osflags	11,0
    P01>>> set bootdef_dev	dkb200
    P01>>> set boot_reset	off             !!! must be OFF !!!
    P01>>> set ewa0_mode	twisted
    
  4. 次のように,インスタンス 1 をブートします。

    P01>>> boot
    

    インスタンス 1 がブートされた後,システム・アカウントにログインし, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルに次の行を挿入します。

    GALAXY=1
    

    SCSNODE パラメータと SCSSYSTEMID SYSGEN パラメータが正しいことを確認してください。次のように AUTOGEN を実行して, インスタンス 1 を Galaxy メンバとして構成し, システムを停止したままの状態にします。

    $ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA SHUTDOWN INITIAL
    
  5. 次のように,インスタンス 0 をブートします。

    P00>>> boot
    

    インスタンス 0 がブートされた後,システム・アカウントにログインし, SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルに次の行を追加します。

    GALAXY=1
    

    SCSNODE パラメータと SCSSYSTEMID SYSGEN パラメータが正しいことを確認してください。次のように AUTOGEN を実行して, インスタンス 0 を Galaxy メンバとして構成し, システムを停止したままの状態にします。

    $ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA SHUTDOWN INITIAL
    
  6. 初期化またはシステムの電源投入で自動的に起動されるように,Galaxy を準備します。 両方のインスタンスで AUTO_ACTION 環境変数を RESTART に設定します。

    P00>>> set auto_action restart
    
    P01>>> set auto_action restart
    
  7. プライマリ・コンソールから次のコマンドを入力して,Galaxy を再び初期化します。

    P00>>> init
    

    コンソールに次の確認メッセージが表示されたら,Y と入力します。

    Do you REALLY want to reset all partitions? (Y/N)
    

    また,システムの電源をいったんオフにした後,オンにすることもできます。 このようにすると, 両方のインスタンスで Galaxy が自動的にブートストラップされます。

操作はこれで終了です。 AlphaServer ES40 システムに OpenVMS Galaxy が構築されました。

プライバシー 本サイト利用時の合意事項
© 2009 Hewlett-Packard Development Company, L.P.