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HP OpenVMS V8.4: インストレーション・ガイド付録 F システム・ディスクのバックアップとリストア |
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目次 この付録では,システム・ディスクのバックアップ方法とリストア方法を説明します。これらの作業は,専用のバックアップ環境からコマンドを入力することで実行します。この環境へは OpenVMS Alpha CD または OpenVMS Integrity OE DVD からブートしたときに表示されるメニューから入ることができますが,その CD や DVD を使用しない方法もあります。 専用のバックアップ環境を使用する理由は,システム・ディスクの正確なコピーを作成する必要があるからです。オペレーティング・システムの標準的な環境で OpenVMS の Backup ユーティリティを使用しても,保存されるのは,BACKUP コマンドを実行した時にそのディスクに存在する内容だけです。その時に開かれているファイルがあると,そのファイルのメモリにロードされている部分や,ディスクにまだ保存されていないデータ (キャッシュ) の部分は,バックアップに含められません。 ファイルやディレクトリのバックアップとリストアを含めたバックアップ操作についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』を参照してください。 システム・ディスクをバックアップする最大の理由は,ハードウェアやソフトウェアに障害が発生して使用しているシステム・ディスクの整合性が損なわれたときや,使用しているシステム・ディスクへアクセスできなくなったときに,システムを完全にリストアできるようにするためです。たとえば,次のような場合に,バックアップ・コピーからシステムをリストアします。
ディスクの断片化解消も,システム・ディスクをバックアップする理由の 1 つです。ディスクの断片化は,ファイルがディスク上の連続していない場所に格納されることで発生します。BACKUP/IMAGE コマンドを使用すると,ファイルを連続領域に格納したコピーを作成できます。 バックアップとリストアに関する推奨事項を以下に示します。
この付録で説明しているバックアップ作業では,クラスタ内のあるノードで BACKUP コマンドを実行しているときにそれ以外のノードがブートされると,そのクラスタは分断されてしまいます。つまり,同じクラスタにそれまで属していたノードが複数のグループに分けられ,それぞれのグループが独立したクラスタを形成するようになってしまいます。このようなクラスタの分断は,データ・ファイルが破損する原因となります。 また,そのような環境では,BACKUP コマンドだけでなく DCL コマンドも使用できるため,ディスク上のデータを誤って破壊してしまうリスクがさらに大きくなります。したがって,データの整合性を危険にさらさないようにするためにも,システム・ディスクをバックアップする前に,OpenVMS Cluster システム全体をシャットダウンするようお勧めします。 ここでは,システム・ディスクのバックアップ方法について説明します。 システム・ディスクをバックアップする前に,次の手順を実行してください。
ソース・ドライブとターゲット・ドライブを特定したら,バックアップを開始する前に,それらのデバイス (および使用するその他の出力デバイス) をマウントします。MOUNT コマンドを次の形式で実行します。
説明 システム・ディスクと出力デバイスをマウントしたら,BACKUP コマンドを次の形式で実行して,システム・ディスクをバックアップします。
例 1この例では,システム・ディスクとターゲット・ディスクをマウントした後,BACKUP コマンドでバックアップ・ディスクを作成しています (バックアップ・ディスクはシステム・ディスクとして使用可能です)。
例 2この例では,システム・ディスクとターゲット・テープ・デバイスをマウントした後,BACKUP コマンドでバックアップ・テープを作成しています。
BACKUP/IMAGE コマンドでは,入力側ボリュームの一連のディスク・ボリューム・パラメータを基本的に維持しますが,ディスク・ボリュームのクラスタ・サイズといったような属性は,ターゲット・デバイスに合わせて変更します (クラスタ・サイズとは,ディスク上のスペースを割り当てるときの基本単位であり,OpenVMS Cluster 環境とは直接関係ありません)。 ディスク・ボリュームのクラスタ・サイズを変更するには,バックアップしたディスクの内容を (BACKUP/IMAGE/NOINITIALIZE を使用して),適切なクラスタ・サイズで初期化されたディスクへリストアする必要があります。ディスクの初期化と BACKUP コマンドの使用法についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル (上巻)』と『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (上巻)』を参照してください。また『HP OpenVMS DCL ディクショナリ』の INITIALIZE コマンドと BACKUP コマンドの説明も参照してください。 ここでは,システム・ディスクのリストア方法について説明します。システム・ディスクのリストアには,ディスクの断片化を解消する効果もあります。また,バックアップの検証も行われるので,バックアップしたシステム・ディスクが問題なく使用できるかどうかもチェックされます。 システム・ディスクをリストアする前に,次の手順を実行します。
ソース・ドライブとターゲット・ドライブを特定したら,リストアを開始する前に,それらのデバイス (および使用するその他の出力デバイス) をマウントします。MOUNT コマンドを次の形式で実行します。
説明
BACKUP コマンドを次の形式で実行して,システム・ディスクをリストアします。
例 1この例では,バックアップ・ディスクとターゲット・ディスクをマウントした後,BACKUP コマンドでバックアップ・ディスクからシステム・ディスクをリストアしています。
例 2この例では,バックアップ・テープとターゲット・ディスクをマウントした後,BACKUP コマンドでバックアップ・テープからシステム・ディスクをリストアしています。
この節では,別方法によるバックアップとリストアの実行方法について説明します。OpenVMS VAX やバージョンの古い一部の OpenVMS Alpha では SYS$UPDATE.STABACKIT.COM による Standalone Backup ディレクトリの作成がサポートされていますが,この方法はそれと似ています。 OpenVMS Alpha システムと OpenVMS Integrity システムの両方でサポートされているこの方法では,(オプションを含まない) 最小限の OpenVMS 環境を別のディスクへインストールして,そのディスクからシステム・ディスクのバックアップやリストアを行います。 最小限の OpenVMS 環境は,ディスク上の SYSE ルート ([SYSE]) に作成されます。この最小限の OpenVMS 環境では OpenVMS のサブセットが実行され,プロンプトは連続する 3 つのドル記号 ($$$) になります。この方法は,次の場合に使用します。
代替システム・ディスクは,次の手順で作成します。
代替システム・ディスク (つまり,オペレーティング・システムをオプションなしでインストールしたディスク) を使用し,次の手順でバックアップとリストアを実行します。
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