6.2.2.3 複合インターコネクトの場合のノード割り当てクラスの例
図 6-5 では,複合インターコネクト・クラスタでデバイス名を指定する典型的な方法を示しています。この図では,各 FC コンピュータに対して関連するシステム・パラメータ値を設定する方法も示しています。
図 6-5 複合インターコネクト・クラスタでのデバイス名
この構成で,以下のことに注意してください。
- ディスクとテープは,VOYGR1 および VOYGR2 という HSG または HSV サブシステムにデュアル・パス接続されています。これらのサブシステムはスター・カプラを介して JUPITR, SATURN,URANUS,NEPTUN に接続されています。
- MSCP サーバと TMSCP サーバは JUPITR と NEPTUN にロードされ (MSCP_LOAD = 1,TMSCP_LOAD = 1), ALLOCLASS パラメータと TAPE_ALLOCLASS パラメータは,これらのコンピュータおよび両方の HSG サブシステムまたは HSV サブシステムで同じ値 (1) に設定されています。
注意: 最適な可用性のためには,2 台以上の FC 接続されたコンピュータがクラスタに対して,HSG デバイスまたは HSV デバイスをサービスすべきです。
6.2.2.4 ノード割り当てクラスと RAID Array 210 および 230 デバイス
StorageWorks RAID Array 210 または 230 サブシステムに RAID デバイスが接続されている場合,0 以外のノード割り当てクラスを使用すると,クラスタ環境で実行中にデバイス名の問題が発生することがあります。この場合は, RAID デバイスに $n$DRcu という名前が付けられます。ただし,n は (0 以外の) ノード割り当てクラスであり,c はコントローラ名, u はユニット番号です。
クラスタ内の複数のノードが同じ (0 以外の) ノード割り当てクラスを持ち,これらのノードに RAID コントローラが接続されている場合,異なる RAID デバイスに同じ名前 (たとえば $1$DRA0) が割り当てられることがあります。このような問題があると,データが壊れる可能性があります。
このような問題を防止するには, DR_UNIT_BASE システム・パラメータを使用します。このパラメータを使用すると,DR デバイスには,指定した DR_UNIT_BASE 値から順に番号が付けられます。たとえば,ノード割り当てクラスが $1,コントローラ名が A のときに,あるクラスタ・メンバの DR_UNIT_BASE を 10 に設定すると, RAID コントローラによって生成される最初のデバイス名は $1$DRA10 になり,次の名前は $1$DRA11,その次の名前は $1$DRA12 になります。
DR デバイス名が固有の名前になるようにするには,作成されるデバイス番号が重なり合わないように,各クラスタ・メンバで DR_UNIT_BASE の値を設定します。たとえば,3 つのクラスタ・メンバで DR_UNIT_BASE の値を 10,20,30 に設定することができます。各クラスタ・メンバに接続されているデバイスの台数が 10 台以下の場合は,DR デバイス番号は固有の値になります。
6.2.3 ポート割り当てクラスを使用する理由 |
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ノード割り当てクラスが 0 以外の値の場合,デバイスが共用インターコネクトで接続されているかどうかとは無関係に,接続されているすべてのデバイスに対して,ノード割り当てクラスがデバイス名の接頭辞になります。クラスタ内で固有の名前を確保するには,デバイスがプライベート・バスにある場合でも,ディスク・デバイス名の
ddcu の部分 (たとえば DKB0) が割り当てクラスの中で固有の値になるようにしなければなりません。
DIGITAL Storage Architecture (DSA) デバイスの場合,システム管理者は,固有の値になるように大きなユニット番号空間から適切な値を選択できるため,この制限はかなり簡単に回避できます。しかし,コントローラ名とユニット番号の両方をハードウェア構成で決定される SCSI のような他のデバイス・タイプの場合は,この制限の回避はもう少し困難です。
たとえば, 図 6-6 に示す構成では,各システムにアダプタ名 A のプライベート SCSI バスが接続されています。固有の名前を取得するには,ユニット番号が異なる値でなければなりません。このため,構成に含むことができるデバイスの最大数は 2 つのバスで最大 8 台になります (1 つ以上のバスでワイド・アドレッシングを使用できる場合は 16)。この結果,空の StorageWorks ドライブ・ベイが発生し,システムの最大記憶容量が小さくなってしまいます。
図 6-6 ノード割り当てクラスを使用する SCSI デバイス名
6.2.3.1 デバイス名での SCSI コントローラ名の制約
SCSI デバイス名の一部は,デバイスにアクセスするときに使用される SCSI コントローラによって決定されます (たとえば, DKBn の B)。したがって,各ノードが各デバイスに対して同じ名前を使用するようにするには,共用 SCSI バスに接続されているすべての SCSI コントローラで同じ OpenVMS デバイス名を使用しなければなりません。
図 6-6 では,各ホストはコントローラ PKB によって共用 SCSI バスに接続されています。
この要求を満たすには,共用 SCSI バスの構成が難しくなります。これは,システム管理者が SCSI コントローラ・デバイス名の割り当てに関して,ほとんどあるいはまったく制御できなくなるからです。特に,1 台以上のシステムに以下のものが接続されている場合,異なるシステム・タイプでコントローラ名を一致させるのは困難です。
- SCSI クラスタでサポートされていない内蔵 SCSI コントローラ
- 一部のコントローラを SCSI クラスタにとって不適切なものとする長い内部ケーブル
6.2.3.2 ポート割り当てクラスによって解除された制約
ポート割り当てクラスには,以下の 2 つの利点があります。
- システム管理者は,ノード単位ではなく,ポート固有の割り当てクラス値を指定できます。
- ポートに 0 以外のポート割り当てクラスが割り当てられている場合,そのポートを通じてアクセスされるデバイスのコントローラ名は常に A になります。
SCSI,IDE,フロッピィ・ディスクおよび PCI RAID コントローラ・デバイスの名前を指定するときに,ポート割り当てクラスを使用すると, 第 6.2.2.4 項 , 第 6.2.3 項 および 第 6.2.3.1 項 で説明した構成の制約が解除されます。
第 6.2.2.4 項 にある DR_UNIT_BASE システム・パラメータを使用する必要はありません。各バスに固有の割り当てクラス値を与えることができるため,ディスク・デバイス名の
ddcu の部分 (たとえば DKB0) がすべてのバスで固有の値である必要はなくなります。さらに,デバイス名の異なるコントローラを同じバスに接続できるようになります。これは,ディスク・デバイス名がコントローラ名に依存しないようになるためです。
図 6-7 は, 図 6-6 と同じ構成を示していますが,CHUCK という名前のホストと,左下の SCSI バスに追加ディスクが接続されている点が異なります。この図では,デバイス名でポート割り当てクラスが使用されています。共用される SCSI インターコネクトに対しては,ポート割り当てクラス 116 が使用されており,共用されない SCSI インターコネクトに対しては,ポート割り当てクラス 0 が使用されています。この構成でポート割り当てクラスを使用すれば,以下に示すように,これまで不可能だったことが可能になります。
- ポートのポート割り当てクラスが同一である限り (この例では 116),共用 SCSI インターコネクトに接続されている他のアダプタの名前 (PKB) と異なる名前 (PKA) を持つアダプタを接続できます。
- コントローラ名と番号が同一 (DKA300) である 2 台のディスクを使用できます。これは,各ディスクが共用されない SCSI インターコネクトに接続されるためです。
図 6-7 ポート割り当てクラスを使用するデバイス名