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HP OpenVMS: システム管理者マニュアル (下巻)第10章 ローカル・エリア・ネットワーク (LAN) ソフトウェアの管理 |
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目次
この章では,LAN ソフトウェアの動作について説明するとともに,LAN ソフトウェアを管理するためにシステム上で実行する作業について説明します。 この章の内容この章では次の作業について説明します。
さらに,次の項目について説明します。
ローカル・エリア・ネットワーク (LAN) は,部屋,建物,あるいは建物群 (たとえば大学) のような限られた範囲内において,情報処理デバイスを接続するための,通信チャネルを提供します。 LAN 内のノードは,次のタイプのデータ転送媒体によってリンクすることができます。
LAN コントローラは,追加の外部ハードウェアとともに,イーサネット,FDDI,トークン・リング,ATM または Classical IP (RFC 1577) を介した LAN エミュレーションの仕様をインプリメントするデバイスです。 LAN コントローラとローカル・システムでノードを構成します。 LAN コントローラはシステム・バスを介してローカル・システムと通信します。 また通信媒体を介して,イーサネット,FDDI,トークン・リング,または ATM を介した LAN エミュレーションの仕様をインプリメントする 遠隔システムと通信します。 イーサネットの仕様については 『The Ethernet--Data Link Layer and Physical Layer Specification』と,IEEE から入手可能な仕様書に記述されています。 FDDI の仕様は ANSI から入手可能です。 トークン・リング の仕様は IEEE から入手可能です。 ATM を介した LAN エミュレーションの仕様は ATM Forum から入手可能です。 アプリケーション・プログラムは,LAN ドライバの QIO インタフェースおよび VCI インタフェースを使って,LAN 上の他のノードとの間で入出力処理を実行します。 QIO インタフェースおよび VCI インタフェースについての詳細は,『HP OpenVMS I/O User’s Reference Manual』を参照してください。 表 10-1 「LAN 媒体の特性」 に,LAN 媒体のタイプの相違点を要約します。 表 10-1 LAN 媒体の特性
イーサネット・ネットワークは,各種のケーブルで接続され,CSMA/CD プロトコルに従って通信を行うノード群からなっています。 最も簡単な形式のネットワークでは,2 つのシステムが,ポイント・ツー・ポイント形式でケーブル 1 本で接続されます。 より複雑な構成では,より多くのシステムを接続するために,イーサネット・スイッチやハブが追加されます。 FDDI はツリー・トポロジのデュアル・リングを使用します。 一方のリングを 1 次リング,他方をバックアップとして使用し,柔軟性,管理の容易さ,可用性を高めるために,ツリー構造を採用しています。 FDDI ネットワークとイーサネット・ネットワークを組み合わせると,1 つの拡張 LAN を形成できます。 こうすることにより,FDDI に接続されたシステム上で実行されるアプリケーションを,イーサネットに接続されたシステムで実行されるアプリケーションに接続できます。 FDDI 集信デバイスまたはスイッチは,VAX や Alpha ノード,または FDDI とイーサネット間のブリッジのような FDDI デバイスを,LAN に接続することができます。 トークン・リング・コントローラは,シールドまたは非シールドのツイストペア・ワイヤを使って,リングにアクセスします。 ブリッジで直接接続されたトークン・リング LAN を 他のタイプの LAN に接続するのは難しいので,注意してください。 ただし,他の LAN へのルーティング・プロトコルにより相互接続が可能です。 ATM を介した LAN エミュレーションは,接続に基づいた光ファイバ・ネットワークから構成されます。 OpenVMS ATM ネットワークは,データ転送には AAL5 ATM 適応層を使用します。 ATM を介した LAN エミュレーションについては,OpenVMS では LAN エミュレーション・クライアント (LEC) だけをインプリメントしており,LAN エミュレーション・サーバ (LES),Broadcast and Unknown (BUS),または LAN エミュレーション構成サーバ (LECS) はインプリメントしていません。 LES,BUS,および LECS は,ATM スイッチなど他のファシリティにより提供されなければなりません。 OpenVMS がサポートしているのは,ATM アダプタ 1 つにつき 8 つの LAN エミュレーション・クライアントです。 ATM を介した Classical IP (CLIP) は,イーサネット・インタフェース (802.3) と同じ意味を持つ データリンク・レベル・デバイス・インプリメントします。 このイーサネット・インタフェースは,ATM ネットワークを介して 802.3 (IEEE イーサネット) フレームを送信するときに TCP/IP プロトコルにより使用されます。 OpenVMS が ATM を介して IP データグラムを交換する場合,RFC1577 (ATM を介した Classical IP) に基づいたモデルに従います。 LAN 上のノードは,一意のアドレスで識別されます。 使用するアドレスによって,メッセージを LAN 上の 1 つ,数個,またはすべてのノードに同時に送信することができます。 適用の際,IEEE はアドレス・ブロックを LAN ノードの製作者に割り当てます。 したがって,どのメーカも固有のアドレス・セットを持っています。 通常,割り当てられた物理アドレス・ブロックのうちの 1 アドレスが,永久に各コントローラ (通常は読み込み専用メモリ) に対応付けられます。 このアドレスは,コントローラのハードウェア・アドレス (MAC アドレス) と呼ばれます。 各コントローラには固有のハードウェア・アドレスがあります。 LAN アドレスは長さが 48 ビットです。 LAN アドレスは,6 対の 16 進数字 (6 バイト) をハイフンで区切って表現します (たとえば AA-01-23-45-67-FF)。 バイトは転送される順に,左から右に表示されます。 各バイト中のビットは右から左に転送されます。 この例では,バイト AA が最初に転送され,バイト FF が最後に転送されます。 LAN アドレスは,アドレスの最初のバイトの最下位ビット (このビットが最初に転送される) の値によって,単一ノードのアドレス,またはマルチキャスト・アドレスになります。 ノード・アドレスの 2 つのタイプは次のとおりです。
ローカル・エリア・ネットワーク (LAN) ソフトウェアには,OpenVMS LAN ドライバ・システム・ソフトウェアとともに動作する次の 2 つのシステム管理ツールが含まれています。
LAN システム管理ツールは次のことを行います。
表 10-2 「LAN システム管理の強化」 は,LAN 管理ソフトウェアと,OpenVMS Alpha,OpenVMS VAX,および OpenVMS I64 を実行するシステムでサポートされる機能についての説明です。 表 10-2 LAN システム管理の強化
LANACP LAN サーバ・プロセスを実行して,次の処理を行うことができます。
LANCP ユーティリティを使用すると,LANACP プロセスに対して命令を出すことができます。 LANACP に関連する主な 3 つのファイルは次のとおりです。
さらに,LANACP LAN サーバ・プロセスには関連する 4 つのシステム論理名があり,これについては 表 10-3 「LANACP システム論理名」 で説明します。 表 10-3 LANACP システム論理名
LANCP ユーティリティでは,LAN パラメータを設定して,表示することができます。 10.4.1 項 「LANCP の起動と実行」 で LANCP ユーティリティの起動方法について説明します。 表 10-4 「LANCP ユーティリティの機能」 は,LAN 機能の説明と,その機能の実行に役立つ LANCP コマンドについての参照箇所を示しています。 表 10-4 LANCP ユーティリティの機能
表 10-5 「LANCP ユーティリティの起動」 は,LANCP ユーティリティ (SYS$SYSTEM:LANCP.EXE) の起動方法と実行方法について説明しています。 表 10-5 LANCP ユーティリティの起動
LANCP> プロンプトに対して LANCP コマンドを入力できます。 LANCP ユーティリティについての情報を得るには,LANCP> プロンプトで HELP コマンドを入力します。 LANCP ユーティリティを終了するには,LANCP> プロンプトで EXIT コマンドを入力するか,Ctrl/Z を押します。 表 10-6 「LANCP コマンド」 に,LANCP コマンドについての要約を示します。 表 10-6 LANCP コマンド
LANCP コマンドと修飾子についての詳細は,『OpenVMS システム管理 ユーティリティ・リファレンス・マニュアル(上巻)』を参照してください。 LAN デバイスの管理には,デバイスの特性の表示と,デバイス・パラメータの設定が含まれます。 LANCP ユーティリティを使用して,表 10-7 「LAN デバイス」 に示す LAN デバイスのタイプに対してパラメータを設定することができます。 表 10-7 LAN デバイス
システム上の LAN デバイスを表示するには,次の形式で SHOW CONFIGURATION コマンドを入力します。
SHOW CONFIGURATION
例
この例は,8 個の LAN アダプタがあり,そのうちの 1 個が実際に DECnet で使用されているノード上で SHOW CONFIGURATION コマンドを入力したときの出力を示します。 (運用時デバイス・データベース内の) LAN デバイス についての情報を表示するには,次の形式で SHOW DEVICE コマンドを入力します。
SHOW DEVICE デバイス名 [/修飾子,...]
表 10-8 「SHOW DEVICE コマンド修飾子」 に,SHOW DEVICE コマンドの修飾子を簡単に説明します。
表 10-8 SHOW DEVICE コマンド修飾子
例
LAN デバイスはすべて,パラメータの集まりで特徴付けられます。 パラメータは,デバイスが接続されている媒体の LAN デバイスの操作特性を定義します。 LAN デバイスのパラメータを直接設定するには,LANCP> プロンプトで SET DEVICE コマンドを入力します。 LANCP ユーティリティは,LANACP サーバ・プロセスにこのコマンドを発行し,LANACP サーバ・プロセスは適切な QIO を発行してデバイス特性を設定します。 SET DEVICE コマンドの形式は次のとおりです。 SET DEVICE デバイス名 [/修飾子] 以降の項では,一般的な LAN デバイスや,特定の LAN デバイスに直接適用される SET DEVICE コマンドの修飾子について説明します。 コマンドの修飾子は,以下のカテゴリに分類されます。
この項で説明する修飾子は,イーサネット・デバイスで使用できます。
ここで説明する修飾子は,LAN フェイルオーバ・デバイスで使用できます。 /PRIORITY を除き,修飾子はフェイルオーバ・セット内の LAN デバイスではなく,論理 LAN デバイス (LL) に適用されます。
ここで説明する修飾子は,FDDI デバイスで使用できます。
ここで説明する修飾子は,トークン・リング・デバイスで使用できます。
ここで説明する修飾子は,ATM (Asychronous Transfer Mode) デバイスで使用できます。
例
LAN の運用時およびパーマネント・デバイス・データベースには,システムに存在する LAN デバイスごとに 1 つのエントリがあります。 LAN 運用時デバイス・データベースの各エントリは,デバイス情報および MOP ダウンライン・ロード・カウンタ情報を含みます。 LAN パーマネント・デバイス・データベースの各エントリに含まれるデバイス情報は,LANACP LAN サーバ・プロセスの起動時に運用時データベースを作成するのに使用されます。 通常,各データベースは同じデバイスを含んでいます。 ただし,パーマネント・データベースには,システムにまだ構成されていない,またはインストールされていないデバイスのエントリが含まれる場合があります。 LANACP LAN サーバ・プロセスは,運用時デバイス・データベースを管理します。 LANCP ユーティリティは,パーマネント・デバイス・データベースを管理します。 どちらのデータベースも LANCP ユーティリティ・コマンドで操作できますが,次に示すように,操作できる内容はユーザ特権によって異なります。
以降の各項では,LAN パーマネント・デバイス・データベースおよび運用時デバイス・データベースへのデバイスの入力と削除の方法,および MOP ダウンライン・ロード・サービスの許可と禁止の設定方法について説明します。 LAN パーマネント・デバイス・データベースの情報を表示するには,LIST DEVICE コマンドを次の形式で入力します。 LIST DEVICE デバイス名 [/修飾子,...] LAN 運用時デバイス・データベースの情報を表示するには,SHOW DEVICE コマンドを次の形式で入力します。 SHOW DEVICE デバイス名 [/修飾子,...] 表 10-14 「LIST DEVICE および SHOW DEVICE コマンド修飾子」 に,LIST DEVICE 修飾子と SHOW DEVICE 修飾子について簡単に説明します。 表 10-14 LIST DEVICE および SHOW DEVICE コマンド修飾子
LAN パーマネント・デバイス・データベースにデバイスを入力したり,既存のエントリを変更するには,次の形式で DEFINE DEVICE コマンドを入力します。 DEFINE DEVICE デバイス名 [/修飾子,...] LAN 運用時デバイス・データベースにデバイスを入力したり,既存のエントリを変更するには,次の形式で SET DEVICE コマンドを入力します。 SET DEVICE デバイス名 [/修飾子,...] LAN パーマネント・デバイス・データベースからデバイス・データを削除するには,次の形式で PURGE DEVICE コマンドを入力します。 PURGE DEVICE デバイス名 [/修飾子] 削除するデータのタイプを選択する修飾子がない場合,デバイス・エントリ全体が削除されます。 表 10-15 「PURGE DEVICE 修飾子」 で,PURGE DEVICE 修飾子について簡単に説明します。 表 10-15 PURGE DEVICE 修飾子
例
LAN 運用時ノード・データベースおよびパーマネント・ノード・データベースには,定義された各 LAN ノードに対して 1 つのエントリがあります。 LAN 運用時ノード・データベースの各エントリは,ノード情報と MOP ダウンライン・ロード・カウンタ情報を含みます。 LAN パーマネント・ノード・データベースの各エントリに含まれるノード情報は,LANACP LAN サーバ・プロセスの開始時に,運用時データベースを作成するのに 使用されます。 通常,各データベースは同じノードを含んでいます。 LANACP LAN サーバ・プロセスは運用時ノード・データベースを管理します。 LANCP ユーティリティはパーマネント・ノード・データベースを管理します。 どちらのデータベースも LANCP ユーティリティ・コマンドで操作できます。 ただし次に示すように,操作できる内容はユーザ特権によって異なります。
以降の各項では,LAN パーマネント・ノード・データベースおよび運用時ノード・データベースへのノードの入力と削除の方法について説明します。 LAN パーマネント・ノード・データベースの情報を表示するには,次の形式で LIST NODE コマンドを入力します。 LIST NODE ノード名 [/ALL] LAN 運用時ノード・データベースの情報を表示するには,次の形式で SHOW NODE コマンドを入力します。 SHOW NODE ノード名 [/ALL] LIST NODE コマンドと SHOW NODE コマンドの場合,/ALL 修飾子を指定すると,LAN パーマネント・ノード・データベースまたは運用時ノード・データベースの全ノードの情報が表示されます。 LAN パーマネント・ノード・データベースにノードを入力したり,既存のエントリを変更するには,次の形式で DEFINE NODE コマンドを入力します。 DEFINE NODE ノード名 [/修飾子,...] LAN 運用時ノード・データベースにノードを入力したり,既存のエントリを変更するには,次の形式で SET NODE コマンドを入力します。 SET NODE ノード名 [/修飾子,...] 表 10-16 「DEFINE NODE および SET NODE コマンド修飾子」 で,DEFINE NODE および SET NODE コマンド修飾子について簡単に説明します。 表 10-16 DEFINE NODE および SET NODE コマンド修飾子
例
LANCP および LANACP では,数多くのユーティリティとスタートアップ・コマンド・ファイルを備えており,MOP ダウンライン・ロード・サービスに必要な機能を実現します。 これらのユーティリティとファイルは,クラスタ・サテライト,ターミナル・サーバ,コンソール更新イメージやシステム・ソフトウェア更新イメージ (Inforserver ロードの場合) などの,特殊イメージのダウンライン・ロードを求めるシステムをロードします。 LAN MOP 環境は,DECnet で提供される機能に類似した機能を実現します。 この結果,システム管理者は,DECnet MOP と LAN MOP のいずれかの機能を選択できます。 OpenVMS Cluster システムの場合,LAN MOP を選択すると,DECnet を使用せずにクラスタを操作することができます。 LAN MOP は,次の状態で DECnet MOP と共存できます。
LAN MOP へ移行するには,次の手順を実行します。
DECnet MOP に永久的に戻すには,次の手順に従ってください。
サテライトの LAN MOP ブートを行う上で,LANCP を簡単に使用できることを目的として,クラスタ管理コマンド・プロシージャが提供されています。 このコマンド・プロシージャが CLUSTER_CONFIG_LAN.COM で,SYS$MANAGER 内にあり,OpenVMS Cluster システムの構成および再構成を行うためにクラスタ管理者が使用する CLUSTER_CONFIG.COM と,全く同じ目的を持ちます。 この 2 つのプロシージャは同じ機能を実行しますが,CLUSTER_CONFIG.COM がダウンライン・ロードに DECnet MOP を使用するのに対して,CLUSTER_CONFIG_LAN.COM は LAN MOP を使用して,DECnet を使用しません。 このため,新たなノードを追加した場合,CLUSTER_CONFIG_LAN.COM がノードの DECnet ノード名とアドレスを求めることはありません。 代わりに,SCS ノード名と SCS ノード ID 番号を求めます。 便宜上,CLUSTER_CONFIG.COM をこれまで通り実行することもできます。 CLUSTER_CONFIG.COM を実行すると,LANACP の MOP ブートが実行されているかどうかをチェックします。 また,DECnet が実行されているかどうかについてもチェックします。 LANACP が実行されていて,DECnet が実行されていない場合,CLUSTER_CONFIG.COM は CLUSTER_CONFIG_LAN.COM にディスパッチします。 また,CLUSTER_CONFIG.COM が,LANACP と DECnet の両方とも実行されていることを検出すると,LAN MOP が使用されているかどうか,および CLUSTER_CONFIG_LAN.COM をユーザに対して呼び出すかどうかについて,ユーザに問い合わせてきます。 MOP ダウンライン・ロード・サービスを許可し,ノード ZAPNOT を定義するための,LANCP ユーティリティに対するコマンドの実行方法を次に示します。
次に,LANACP LAN サーバ・プロセスを起動したときに表示されるOPCOM メッセージ を示します。
LAN$ACP.LOG ファイルの内容を次に示します。
LANACP LAN サーバ・プロセスは,LAN 運用時ノード・データベースおよびデバイス・データベースを保守します。 LANCP ユーティリティには,次の機能を持つコマンドが用意されています。
カウンタおよび状態情報は,ノードおよびデバイスごとに保守されます。 カウンタ情報には,送受信されたバイトおよびパケット数,送信エラー,プロトコル違反やタイムアウトなどの論理エラー,ロード要求数が含まれます。 状態情報には,最終ロード時刻および最終ロード状態が含まれます。 MOP ダウンライン・ロード・サービスを許可するには,次の形式で SET DEVICE コマンドを入力します。 SET DEVICE デバイス名/DLL=ENABLE このコマンドでは,デバイス名パラメータで LAN コントローラのデバイス名を指定します。 このコマンドについての詳細は,10.6.2 項 「LAN デバイス・データベースへのデバイスの入力」 を参照してください。 MOP ダウンライン・ロード・サービスを禁止するには,次の形式で SET DEVICE コマンドを入力します。 SET DEVICE デバイス名/DLL=DISABLE このコマンドでは,デバイス名パラメータで LAN コントローラのデバイス名を指定します。 このコマンドについての詳細は,10.6.2 項 「LAN デバイス・データベースへのデバイスの入力」を参照してください。 MOP ダウンライン・ロード状態を表示するには,次の形式で SHOW DLL コマンドを入力します。 SHOW DLL 次の例は,特定のノードについてのカウンタ情報を示しています。
このノードには EXA (DEMNA) および FXA (DEMFA) という 2 つの LAN デバイスがあります。 MOP ダウンライン・ロード・サービスは,EXA 上で排他的モードで許可されます。 LANACP ノード・データベースで定義されているノードに限って,要求が応答されます。 ロード・メッセージ内のイメージ・データのサイズは 1482 バイトです。 5 つのダウンライン・ロードがあり,最後のダウンライン・ロードは,ノード GALAXY 上で 10:27 に起こりました。 最終的に,FXA に対してダウンライン・ロードは記録されません。 これは,ダウンライン・ロード・サービスが現在禁止されているためです。 LAN$ACP.LOG ファイルに記録されている最新のダウンライン・ロード処理を表示するには,次の形式で SHOW LOG コマンドを入力します。 SHOW LOG LAN パーマネント・ノード・データベース内のノードについて,MOP ダウンライン・ロード情報を表示するには,次の形式で LIST NODE コマンドを入力します。 LIST NODE ノード名 [/修飾子,...] LAN 運用時ノード・データベース内のノードについて,MOP ダウンライン・ロード状態とカウンタ情報を表示するには,次の形式で SHOW NODE コマンドを入力します。 SHOW NODE ノード名 [/修飾子,...] 表 10-17 「LIST NODE および SHOW NODE コマンド修飾子」 に,LIST NODE および SHOW NODE コマンド修飾子について簡単に説明します。 表 10-17 LIST NODE および SHOW NODE コマンド修飾子
例次の例は,3 つのノード (GALAXY,ZAPNOT,CALPAL) が定義されている ローカル・ノードで発行されたコマンドからの出力を示します。 CALPAL は 2 つのロード要求を出しています。
省略時の設定では,OPCOM メッセージが許可されています。 メッセージは,デバイス状態が変化したとき,ロード要求を受信したとき,およびロードが完了したとき,LANACP LAN サーバ・プロセスによって生成されます。 これらのメッセージは,オペレータのコンソールに表示され,LANACP によって作成されるログ・ファイル SYS$MANAGER:LAN$ACP.LOG に書き込まれます。 OPCOM メッセージを許可するには,次の形式で SET ACP/OPCOM コマンドを入力します。 SET ACP/OPCOM ロード要求について LANACP LAN サーバ・プロセスが出力するエラー・データでは,ロードの失敗の理由が十分に判断できない場合,サーバ・プロセスに対して,トレース・データの記録を指示することができます。 データは,サーバによって行われる送受信ごとの,送受信パケット情報で構成され,ロードのたびにログ・ファイルに書き込まれます。 ログ・ファイル名は SYS$MANAGER:LAN$nodename.LOG です。 全パケット・データ,または各パケットの先頭の 32 バイトだけ,のいずれかを記録できます。 一般的なロードの流れを次に示します。
クラスタ・サテライト・ロードの場合,最後の Memory Load メッセージには,クラスタ・パラメータが含まれます。 このメッセージ,および最後の Load with Transfer Address メッセージは,部分的なトレース・エコーだけが許可されている場合であっても,すべて表示されます。 パケット・データの部分トレースを許可するには,次の形式で SET ACP/ECHO コマンドを入力します。 SET ACP/ECHO パケット・データの完全トレースを許可するには,/FULL 修飾子を追加します。 SET ACP/ECHO/FULL コンソール・キャリアは,MOP コンソール・キャリア・プロトコルを使用して 管理インタフェースを実現している,ターミナル・サーバなどの LAN デバイスに接続するメカニズムを備えています。 LANCP ユーティリティは,この機能を CONNECT NODE コマンドの形式で提供します。 コマンド形式は次のとおりです。 CONNECT NODE ノード指定 [/修飾子,...] 表 10-18 「CONNECT NODE コマンド修飾子」 に,CONNECT NODE コマンド修飾子について,簡単に説明します。 表 10-18 CONNECT NODE コマンド修飾子
例
システムによっては,MOP 遠隔ブート要求を認識して,応答します。 これらのシステムは通常,不要なブート要求によってシステムのリブートが起動されるのを防ぐために,パスワードまたは他のメカニズムを必要とします。 LANCP ユーティリティは,この機能を TRIGGER NODE コマンドの形式で実現しています。 LAN システムのリブートを要求するには,次の形式で TRIGGER NODE コマンドを入力します。 TRIGGER NODE ノード指定 [/修飾子,...] 表 10-19 「TRIGGER NODE コマンド修飾子」 に,TRIGGER NODE コマンド修飾子について簡単に説明します。 表 10-19 TRIGGER NODE コマンド修飾子
MOP バージョン 3 または 4 を送信するための形式の指定に代わって,LANCP ユーティリティは,ターゲット・ノードに対して,各形式でメッセージを 1 つ送信します。 次の例は,TRIGGER NODE コマンドの使い方を示しています。 例
LAN フェイルオーバは,システムを LAN デバイスの障害から保護するメカニズムです。 LAN フェイルオーバでは,複数の LAN デバイスを,LAN フェイルオーバ・セットという 1 つの仮想インタフェースに統合することによって,この保護を実現します。 フェイルオーバ・セットは,1 個のアクティブな LAN デバイスと,いくつかのアクティブでない LAN デバイスからなります。 アクティブなアダプタに障害が発生すると,送受信動作は,自動的および透過的に,アクティブでないデバイスのいずれかに移されます。 LAN デバイスが 1 個だけのフェイルオーバ・セットを作成することもできますが,そのセットにデバイスが追加されるまでは,フェイルオーバは発生しません。 ソフトウェア: 論理 LAN ドライバ論理 LAN ドライバ SYS$LLDRIVER.EXE は,LAN フェイルオーバ・セットの動作を管理し,アクティブな LAN デバイス・ドライバへ I/O 要求を導くことによって,LAN フェイルオーバを実現します。 アクティブな LAN デバイスに障害が発生すると,LLDRIVER は,LAN デバイスに割り当てられている優先順位とリンクの状態に従って選択した,他の LAN デバイスに切り替えます。 ハードウェア: 論理 LAN デバイス論理 LAN デバイス LLc0 は,LAN フェールオーバ・セットごとに作成されます (c は,論理 LAN デバイスを一意に識別するための,ユーザ定義のアルファベットです)。 このデバイスは,擬似 LAN デバイス,つまり仮想 LAN デバイスです。 アプリケーションは,I/O 要求を,論理 LAN デバイスに送ります。 論理 LAN ドライバは,これらの要求を,アクティブな LAN デバイスに導きます。 ソフトウェア - LAN フェイルオーバ管理システム管理者は,LANCP ユーティリティと LANACP ユーティリティを使用して,LAN フェイルオーバ・セットを定義し作成します。 LAN フェイルオーバ・セットのコンテキストは,パーマネント LAN デバイス・データベースで管理されます。 システムの起動時,LANACP が再起動されると,LANACP はパーマネント・デバイス・データベースを読み取り,このデータベース内に記述されている LAN フェイルオーバ・セットの設定を行います。 システム稼働中は,フェイルオーバの状態と構成データを参照することができます。 また,パーマネント・デバイス・データベースと,運用デバイス・データベース内で管理されている現在のインスタンスの両方で,フェイルオーバ・セットの特性を変更することができます。 ネットワークの構成とハードウェアの要件LAN のフェイルオーバでは,フェイルオーバ・セット内の LAN デバイスが,同じ拡張 LAN に存在する必要があります。 この要件により,任意のノード間の LAN 通信を,フェイルオーバ・イベントの発生後も継続できます。 LAN フェイルオーバをサポートする LAN デバイスは,Alpha システム用としては DE500-BA,DE504-BA,DE600,およびその改良版,I64 システム用としては Intel 82559,A5230A,および A5506B,Alpha システムと I64 システム用としてはすべてのギガビット・デバイスがあります。 AlphaServer DS25 の内蔵 Intel 82559 チップも,同様にサポートしています。 ネットワーク接続障害の検出一般的に,LAN デバイスはネットワーク・スイッチに接続されます。 この接続の状態は,「リンク・アップ」または「リンク・ダウン」と表現されます。 「リンク・アップ」状態とは,LAN デバイスからスイッチへの有効な接続があり,LAN デバイスとスイッチの間でネットワーク・データを転送できる状態です。 「リンク・ダウン」状態とは,ケーブル障害や切断,または接続の片側に障害が発生しているために,有効な接続がない状態です。 スイッチの電源を切るかリセットすると,スイッチが再度動作状態になるまで,リンクは「ダウン」状態になります。 LAN デバイスがリセットされると,LAN ドライバがリセットを完了し,LAN デバイスが再初期化されるまで,リンクは「ダウン」状態になります。 LAN フェイルオーバは,LAN デバイスの障害,デバイスとスイッチを接続しているケーブルの障害,およびスイッチの障害からの保護を行います。 LAN フェイルオーバは,スイッチを越えた場所での障害,つまり,フェイルオーバ・セット内の LAN デバイスからは見えない部分の LAN 障害からの保護は行いません。 フェイルオーバ・セット内の各 LAN デバイスは,リンクの状態を監視し,LLDRIVER にそのリンクの状態を報告します。 LLDRIVER はリンクの状態を追跡し,アクティブな LAN デバイスが「リンク・ダウン」状態を報告したときに,フェイルオーバを実行します。 LAN フェイルオーバの制限LAN フェイルオーバには,次の制限があります。
LAN フェイルオーバの管理LAN の運用時デバイス・データベースおよびパーマネント・デバイス・データベースには,システム上に存在する各 LAN デバイスのエントリが 1 つ含まれています。 論理 LAN デバイス LLc は,システム管理者が LAN フェイルオーバ・セットを作成したときに,LANCP および LANACP を通してこれらのデータベースに追加されます。 LLc デバイスを LAN のパーマネント・デバイス・データベースに入れるか,既存のエントリを変更するには,次の構文で,LANCP コマンドの DEFINE DEVICE LLc を入力します。 DEFINE DEVICE LLc[/修飾子] このコマンドで設定した内容は,以後のブート時に有効になります。 LLc デバイスを LAN の運用時デバイス・データベースに入れるか,既存のフェイルオーバ・セットを変更するには,次の構文で,LANCP コマンドの SET DEVICE LLc を入力します。 SET DEVICE LLc[/qualifiers] このコマンドで変更した内容は,すぐに有効になります。 LAN デバイスの優先順位は,論理 LAN デバイス上で管理されるのではなく,LAN デバイス上で個々に管理されます。 論理 LAN デバイスは,LAN フェイルオーバ・セットの作成時に作成されます。 LAN フェイルオーバ・セットを作成するには,次の構文で,LANCP コマンドの SET DEVICE LLc を入力します。 SET DEVICE LLc/FAILOVER_SET=(デバイス名[,...]) このコマンドでは,デバイス名に,LAN 物理デバイス名を指定します。 例を次に示します。
指定した LAN デバイスを使用しているユーザがいる場合,このコマンドは失敗します。 LANCP コマンドの SHOW CONFIG/USERS を入力することで,アクティブなユーザを表示できます。 ユーザとは,アプリケーションがデバイスに割り当てたチャネルのことです。 1 つのアプリケーションで,複数のチャネルを割り当てることができます。 また,LANCP コマンドの DEFINE DEVICE を使用して,LAN パーマネント・デバイス・データベース内にフェイルオーバ・セットを設定することもできます。 システムのブートの際,ユーザ (アプリケーション) が起動される前に,フェイルオーバ・セットが初期化されます。 LANACP は,停止して再起動されると,LAN パーマネント・デバイス・データベース内に定義されているフェイルオーバ・セットを設定しようとします。 この場合,LANACP がフェイルオーバ・セットの設定を正しく行えるように,既存のユーザを停止しなければなりません。 追加の LAN デバイスを指定することで,既存のフェイルオーバ・セットに LAN デバイスを追加できます。 たとえば,上記のフェイルオーバ・セットに EWC を追加するには,次のコマンドを入力します。
LAN フェイルオーバ・セットから LAN デバイスを削除するには,次の構文で,LANCP コマンドの SET DEVICE を入力します。 SET DEVICE LLc/NOFAILOVER_SET=(device_name[,...]) このコマンドでは,削除する LAN デバイス名を指定します。 例を次に示します。
指定したデバイスのいずれかがアクティブな LAN デバイスの場合,このコマンドは失敗します。 LAN フェイルオーバ・セットを有効にすると,フェイルオーバ・セットがアクティブになります。 LLDRIVER は,優先順位とリンクの状態に応じて LAN デバイスのいずれかを選択し,ユーザから論理 LAN デバイスへの I/O を可能にします。 LAN フェイルオーバ・セットを有効にするには,次の構文で,LANCP コマンドの SET DEVICE を入力します。 SET DEVICE LLc/ENABLE LAN フェイルオーバ・セットを無効化すると,論理 LAN デバイスが非アクティブになります。 論理 LAN デバイスが非アクティブになると,ユーザの I/O 要求は,エラー状態で完了します。 LAN フェイルオーバ・セットを無効化すると,LAN デバイスをフェイルオーバ・セットに追加したり,フェイルオーバ・セットから削除したりできます。 LAN デバイスは,アクティブなデバイスでない限り,有効状態の LAN フェイルオーバ・セットから削除できます。 LAN デバイスは,使用中のユーザがいない限り,追加することができます。 LAN フェイルオーバ・セットを無効にするには,次の構文で,LANCP コマンドの SET DEVICE を入力します。 SET DEVICE LLc/DISABLE 論理 LAN デバイスを使用しているユーザがいる場合,このコマンドは失敗します。 LAN フェイルオーバ・セットのアクティブな LAN デバイスを LLDRIVER が選択するときに,特定の物理 LAN デバイスを優先させるには,次の構文で,LANCP コマンドの SET DEVICE/PRIORITY を入力します。 SET DEVICE デバイス名/PRIORITY=値 このコマンドでは,デバイス名に LAN デバイス名を指定し,値パラメータには整数を指定します。 例を次に示します。
アクティブにするメンバを選択する際に,LLDRIVER は,優先順位が最も高く,「リンク・アップ」状態のデバイスを選択します。 LAN フェイルオーバ・セットの省略時の最大パケット・サイズは,標準のイーサネットの最大パケット・サイズである 1518 バイトです。 フェイルオーバ・セット内のすべての LAN デバイスがジャンボ・フレームをサポートしているときには,ジャンボ・フレームの使用を有効にして,標準のイーサネットの最大パケット・サイズまたはジャンボ・パケット・サイズを選択することができます。 この選択を行うには,次の構文で,LANCP コマンドの SET DEVICE/SIZE を入力します。
SET DEVICE LLc/SIZE=STANDARD
SET DEVICE LLc/SIZE=JUMBO LAN_FLAGS システム・パラメータは,通常,ギガビット LAN デバイス上でジャンボ・フレームの使用を有効にするために使用されます。 または,LANCP コマンドの SET DEVICE/[NO]JUMBO を使用すると,特定のデバイス上のジャンボ・フレームを有効または無効にできます。 論理 LAN デバイスのサイズ選択は,フェイルオーバ・セット内の LAN デバイスのジャンボ設定より優先されます。 フェイルオーバ・セットが無効状態のときに,設定を変更することができます。 LAN フェイルオーバの状態を表示するには,次の構文で,LANCP コマンドの SHOW DEVICE LLc を入力します。 SHOW DEVICE LLc/CHARACTERISTICS 特定のノードの LAN フェイルオーバに固有の特性が表示されます。 例を次に示します。
LLDRIVER は,論理 LAN デバイスからアクティブな LAN デバイスに,I/O 要求をリダイレクトします。 デバイス・カウンタやドライバ内部のカウンタを表示する LANCP コマンドは,アクテフィブな LAN デバイスにリダイレクトされます。 LAN フェイルオーバ・セットに組み込まれたネットワーク・デバイスは,LAN フェイルオーバを正しく動作させるために,同じローカル・ネットワーク上で,物理的に冗長なパスを構成していなければなりません。 ネットワークは通常は安定しているため,LAN フェイルオーバ・セットのアクティブ・メンバは,頻繁には変わりません。 ただし,アクティブなメンバが切り替わるときには,アイドル NIC が適切にセットアップされている必要があります。 システム管理者は,LANCP の修飾子 /SWITCH を使用して LAN 障害をシミュレートすることにより,フェイルオーバ・セットの各メンバをチェックすることができます。 /SWITCH 修飾子は,アクティブなデバイス上のネットワーク障害をシミュレートします。 そして,フェイルオーバ・セットから他のデバイスを選択して,アクティブ・デバイスとします。 LAN 障害をシミュレートするには,次の構文で,LANCP コマンドの SET DEVICE LLc を入力します。
SET DEVICE LLc/SWITCH |
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