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HP OpenVMS: システム管理者マニュアル (下巻)第11章 InfoServer システムの管理 |
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目次
この章では,InfoServer の機能とInfoServer Client for OpenVMS ソフトウェアについて説明します。 このソフトウェアは OpenVMS システムが InfoServer デバイス・サービスを利用できるようにするためのものです。 また,この章では,システム上でこのクライアント・ソフトウェアを起動し,InfoServer を公用デバイスとして使用するための作業についても説明します。 この章では次の作業について説明します。
さらに,次の項目について説明します。
InfoServer システムは仮想デバイス・サーバです。 ローカル・エリア・ネットワーク (LAN) 上のクライアント・システムは,これにより,コンパクト・ディスク,読み書き可能ディスク,光磁気 (MO) デバイス,およびテープを利用することができます。 InfoServer クライアント・ソフトウェアを実行しているシステムであれば,InfoServer システムが提供する仮想デバイスに接続して,ローカルに接続されたデバイスであるかのようにそれらを使用することができます。 ファイル・サーバと異なり,InfoServer システムは,仮想デバイス上のファイル・システムを意識しません。 つまり,InfoServer システムでは,どのようなオンディスク構造を持つディスクでも利用できるということです。 クライアント・システム自体がオンディスク構造を解釈し,各クライアントは独自のファイル・システムを使用してデータにアクセスすることができます。 1 つの InfoServer システムで,複数のオンディスク構造を同時にサポートし,同時にアクセスすることができます。 InfoServer システムの機能を次に示します。
図 11-1 「InfoServer システムによるクライアントへのサービスの提供」 に,InfoServer システムとクライアント・システムとの関係を示します。 この図では,サーバに接続されている 2 つのコンパクト・ディスクと 2 つのハード・ディスクがクライアント・システムからはローカル・デバイスとして認識されています。 VAX システムと RISC ワークステーションは,ソフトウェアの配布とオンライン・ドキュメンテーション用に 1 つまたは 2 つのコンパクト・ディスクを使用し,一方 PC は,InfoServer システム上のディスク・パーティションを参照することができます。 また,X ターミナルは InfoServer システムからブートし,ページ・ファイル,フォント・ファイル,カスタマイズ・ファイル用に InfoServer ディスクを使用します。 InfoServer システムは,イーサネット LAN に接続してシステムをオンにすれば使用することができます。 サーバが初期化 (ブートストラップ) されると,サーバ・ソフトウェアにより,クライアント・システムは接続されたデバイス媒体を自動的に使用できるようになります。 このことをサーバ・ソフトウェアによる サーブといいます。 サーバのドライブにコンパクト・ディスクを挿入すると,サーバが新しいデバイスを検出して,ボリューム・ラベルをサービス名として使用することにより,クライアント・システムにこの新しいデバイスを自動的にサーブします。 サーバは,あらかじめ InfoServer ソフトウェアがインストールされている内部読み書き可能デバイスからブートストラップします。 InfoServer ソフトウェアの更新内容は,コンパクト・ディスクで配布されます。 更新用コンパクト・ディスクを入手したら,以降のブート用に新しいソフトウェアを内部デバイスにインストールします。 InfoServer ソフトウェアをコンパクト・ディスクから更新するには,次の手順に従います。
InfoServer ソフトウェアを更新するには,Software Products Library (以前は ConDIST と呼んでいました) を使用します。 InfoServer システムにログインした後,次の手順を実行してください。
サーバの機能をカスタマイズしたい場合は,サーバにログインし,サーバの各種コマンドを入力することにより,InfoServer の機能を制御することができます。 詳細は『InfoServer System Operations Guide』を参照してください。 InfoServer システムは,サーバの電源が最初に投入されたとき,あるいは取り外し可能デバイス (コンパクト・ディスクなど) がドライブに挿入されたときに,ローカルに接続されたデバイスをクライアントに自動的にサーブします。 サーバは各デバイスのボリューム・ラベルを読み取って,そのラベルをクライアントに提供するサービスの名前として使用します。
複数のサーバが同じサービスを提供している場合,クライアントはレーティング方式に従って適切なサービスを選択します。 詳細は『InfoServer System Operations Guide』のCREATE SERVICE コマンドの説明を参照してください。 コンパクト・ディスクをサーバのディスク・ドライブから取り出すと,InfoServer システムは,クライアントから関連するサービスへのすべての接続を切断します。 また,クライアント・システムへの関連するサービスの提供も停止します。 InfoServer システムには,OpenVMS クライアントに特に有用な可用性の高い機能があります。 サーバが何らかの理由で (サーバがリブートされた場合やユーザがコンパクト・ディスクを取り出した場合など) サービス接続を切断した場合,OpenVMS クライアントは,そのボリュームに対してマウント・チェックを行います。 同じサービスが LAN 上の別の InfoServer システムで提供されている場合,そのクライアントは自動的にそのサービスに接続します。 たとえば,2 つのサーバ上のそれぞれのドライブに同じ OpenVMS オンライン・ドキュメンテーションが格納されたコンパクト・ディスクが装着されている場合を考えてください。 1 つのサーバまたはドライブが故障した場合は,もう 1 つのサーバ上のディスクへの接続が新たに確立されます。 これにより,ファイル操作は正常に続けられ,ユーザはサービスの中断をほとんど意識しないですみます。 X ターミナル・クライアントは,InfoServer システムを使用して,システム・ソフトウェアのダウンロード,フォント・サービスの準備,構成情報の保存,InfoServer ディスクとの間でのメモリのページ処理を行います。 たとえば,弊社の VXT 2000 ウィンドウ・ターミナル用システム・ファイルは,InfoServer システム上のコンパクト・ディスクからインストールすることができます。 これらのファイルをインストールしておくと,各ターミナルに電源が投入されたとき,要求があるとすぐにダウンライン・ロードされます。 このターミナルでは必要に応じて,InfoServer ディスク上に動的にパーティションを割り当てることができます。 たとえば,ユーザがターミナルのカスタマイズ情報を保存するよう要求すると,InfoServer システムにより自動的にディスク・パーティションが作成され,その情報を格納し,さらにそのパーティションにネットワーク・サービス名が付けられます。 カスタマイズ情報が保存されると,ユーザはいつでもその情報を呼び出すことができます。 InfoServer クライアントである VXT 2000 ターミナルは,仮想メモリ・マシンとして機能することもできます。 このようなターミナルでは,必要に応じてメイン・メモリのセクションを InfoServer ディスクとの間でページングすることができます。 VXT クライアントにはローカル・ディスクがないため,InfoServer ディスクがページ・ディスクとして使用されます。 メイン・メモリがディスクにページ・アウトされると,VXT クライアントはパーティションを作成するよう InfoServer システムに要求します。 このパーティションは必要に応じて自動的に拡張されます。 パーティションとそのネットワーク・サービス名は動的に作成されます。 このとき,ユーザによる処置は必要ありません。 省略時の設定では,InfoServer ディスク DK1 (各 InfoServer 150 システムとともに出荷される内部ディスク) に対して,VXT 2000 クライアントがパーティションを遠隔割り当てできるようになっています。 InfoServer のコマンドを使用すれば,他のディスクも使用することができます。 InfoServer システムは,LASTport トランスポート・プロトコルと LASTport/Disk および LASTport/Tape というシステム・アプリケーション・プロトコルを使用して,LAN 上で仮想デバイスを利用できるようにします。 これらのプロトコルにより,ディスクやテープ・デバイスへの高性能のアクセスを行うことができます。 InfoServer システムは,このプロトコルのサーバ部分を実装し,InfoServer の記憶デバイスにアクセスするクライアント・システムがクライアント部分を実装します。 LASTport トランスポートを実行する OpenVMS システムでは,イーサネット・デバイスはすべて,デバイスをアクティブなネットワークに接続するか,または適切なターミネータを使ってターミネートさせる必要があります。 デバイスが適切にターミネートされていないと,システムがクラッシュします。 LASTport プロトコルは,多くのクライアントが InfoServer システムにアクセスし,信頼のおけるトランザクションを実行できるようにする,特殊な LAN トランスポート・プロトコルです。 InfoServer システムの場合,トランザクションとはデバイスの読み込み操作または書き込み操作を意味します。 LASTport プロトコルにより,多くのクライアント・システムは,同時に InfoServer の記憶デバイスとの間で情報の読み込みと書き込みを行うことができます。 LASTport プロトコルは,タイマ・ベースのプロトコルではなく,トランザクション指向のプロトコルです。 通常,クライアントがトランザクションを開始しない限り,クライアントと InfoServer システムとの間で情報の受け渡しは行われません。 クライアント・システムはトランザクションの起動と同時にタイマを実行します。 通常,2 秒から 5 秒たつと,そのトランザクションが失われたとみなし,トランザクションを再度実行します。 LASTport プロトコルにはルーティング機能はなく,LAN 内でのみ実行されます。 LASTport プロトコルのタイプは 80–41 です。 拡張 LAN が何らかのフィルタリング・デバイスを使用する場合は,このプロトコル・タイプにフィルタリングを行わないようにして,クライアントがフィルタリング・デバイスを通して InfoServer にアクセスできるようにする必要があります。 InfoServer システムは,LASTport プロトコルのマルチキャスト・アドレス機能を使用してデバイスとの接続を確立します。 マルチキャスト・アドレスの形式は 09–00–2B–04–nn–nn (nn は使用可能になっている作業グループによって決まる) です (『InfoServer System Operations Guide』を参照)。 LASTport/Disk プロトコルは,LASTport トランスポートを使用する特別なデバイス・プロトコルです。 すなわち,LASTport/Disk メッセージは LASTport メッセージ内に表示されます。 LASTport/Disk プロトコルには,基礎となるどのファイル・システムからも独立して論理ブロックの読み込みと書き込みを行うためのメカニズムがあります。 LASTport/Disk プロトコルを実装したクライアントは,ローカルでファイル・システムを解釈します。 LASTport/Disk プロトコルを使用してコンパクト・ディスクと読み書き可能ディスクへアクセスすると,InfoServer システムは複数のクライアントのオペレーティング・システムとオンディスク構造を同時にサポートすることができます。 LASTport/Disk プロトコルには,コンパクト・ディスクと読み書き可能ディスクにアクセスするための命名機能もあります。 InfoServer システムは,各仮想ディスクにサービス名を割り当て,クライアントがそれらの名前で LAN を照会できるようにするします。 要求されたサービスが見つかると,クライアントはそのサービスに接続し,デバイス・アクセスを開始します。 同じサービス名で同じ仮想ディスクを使用できる場合に,使用可能なデバイス間で負荷分散を行う機能もあります。 LASTport/Disk プロトコルと同様,LASTport/Tape プロトコルも LASTport トランスポートを使用します。 すなわち,LASTport/Tape メッセージは LASTport メッセージ内に表示されます。 LASTport/Tape プロトコルには,テープ・レコードの読み込みと書き込みを行うメカニズムがあります。 InfoServer システムに接続されたテープ・デバイスは,テープ・クライアントではローカルに接続されているデバイスとして認識されます。 LASTport/Tape プロトコルには,テープにアクセスするための命名機能もあります。 InfoServer システムは各テープ・デバイスにサービス名を割り当て,クライアントがその名前で LAN を照会できるようにします。 要求されたサービスが見つかると,クライアントはそのサービスに接続し,テープ・アクセスを開始します。 サーバ管理セッションは,次のように,ローカル・コンソール・ターミナルからでもリモート・コンソール・ターミナルからでも開始することができます。 サーバの省略時のサービス名の決定初めて InfoServer システムへの遠隔接続を確立する場合は,サーバの省略時の名前を決定する必要があります。 この名前は,InfoServer システムのキャビネット上の 16 進のイーサネット・データリンク・アドレスに,LAD_ という 4 文字の接頭辞を付加することにより決定します。 この省略時の名前は,InfoServer の SET SERVER NAME コマンドを使って変更することができます。 サーバの名前は,接続先の LAT サービス名です。 たとえば,省略時のサーバ名は,LAD_08002B15009F です。 InfoServer システムを管理する場合は,ターミナル・サーバのプロンプトに次のコマンドを入力します。
LAT サービスの接続の開始についての詳細は,使用しているターミナル・サーバのユーザ・ガイドを参照してください。 InfoServer パスワードの入力InfoServer システムに接続した後,管理セッションを開始するには,InfoServer パスワードが必要です。 省略時のサーバ・パスワードは ESS です。 このパスワードは,InfoServer の SET SERVER PASSWORD を使用して変更することができます。 例次の例では,DECserver 500 ターミナル・サーバを使用して,セッションを開始しています。
この例において,ターミナル・サーバのプロンプトは Local> です。 ここからサービス名が LAD_08002B133C1C の InfoServer システムへの LAT セッションを開始しています。 次に,InfoServer システムからサーバ・パスワードの入力を求めるプロンプトが表示されます。 正しいパスワードを入力すると,InfoServer> プロンプトが表示されて,InfoServer のコマンドを入力することができるようになります。 管理セッションを終了するには,InfoServer> プロンプトに対して EXIT コマンドを入力します。 LAT 接続を介して管理セッションが行われている場合は,EXIT コマンドを実行するとターミナル・サーバの Local> プロンプトに戻ります。 表 11-1 「InfoServer コマンド」 に,InfoServer コマンドについてまとめます。 表 11-1 InfoServer コマンド
InfoServer システムにはヘルプ機能があり,パラメータ,修飾子,使用法の例など,サーバの各コマンドに関する情報を表示することができます。 InfoServer コマンドについての詳細は,『InfoServer System Operations Guide』を参照してください。 InfoServer Client for OpenVMS により,OpenVMS オペレーティング・システムを実行しているクライアントは,InfoServer システムが LAN 上で提供している仮想デバイスにアクセスすることができます。 ソフトウェア・コンポーネントには,次のものがあります。
InfoServer Client for OpenVMS は,LASTport プロトコルを使用して拡張 LAN 上の InfoServer システムと通信します。 このプロトコルは,OpenVMS デバイス・ドライバ ESS$LASTDRIVER でインプリメントされます。 LASTport 制御プログラム (LASTCP) ユーティリティは,ESS$LASTDRIVER の制御と診断を行うための管理インタフェースです。 LASTCP を使用して次の作業を行うことができます。
LASTCP ユーティリティの説明では次の項目を取り上げます。
LASTCP を使用するためには,特別な場合を除き,通常の特権が必要です。 LASTCP を起動するには,次のコマンドを入力します。
LASTCP コマンドは LASTCP> プロンプトに対して入力します。 LASTCP ユーティリティを終了するには,LASTCP> プロンプトの後に EXIT を入力するか,または Ctrl/Z を押します。 次の例に示すように,DCL の文字列代入文を使用して,単一の LASTCP コマンドを実行することもできます。
LASTCP は SHOW CLIENTS コマンドを実行してから,制御を DCL のコマンド・レベルに戻します。 表 11-2 「LASTCP コマンド」 に,LASTCP コマンドについてまとめます。 表 11-2 LASTCP コマンド
一意に認識できれば,LASTCP コマンドを短縮することができます。 たとえば,SHOW SERVERS コマンドは SH SE と指定することができます。 LASTCP にはヘルプ機能があり,各コマンドとそのパラメータ,修飾子に関する情報と使用法の例を表示することができます。 LASTCP コマンドについての詳細は,『InfoServer Client for OpenVMS LASTCP and LADCP Utilities』を参照してください。 InfoServer Client for OpenVMS は,ESS$STARTUP コマンド・プロシージャを使って起動する必要があります。 システムのリブート時にこのソフトウェアが必ず自動起動するようにするには,SYSTARTUP_VMS.COM 内部からこのスタートアップ・プロシージャを実行します。
DECnet を起動して停止した後,そのシステムで InfoServer クライアント ソフトウェアを起動使用とすると失敗します。 ファイル SYS$MANAGER:ESS$STARTUP.LOG に,次のメッセージが出力されます。
このとき,InfoServer クライアントを起動する必要がある場合には,次のコマンドを実行すると,LAST 制御プログラムで LASTport トランスポートを起動できます。
このコマンドは,トランスポートを起動します。 トランスポートが起動されると,InfoServer クライアントを起動できるようになります。
トランスポートがすでに起動されているため,InfoServer クライアントの起動が成功します。 OpenVMS Alpha システムまたは I64 システムに,イーサネット・コントローラと FDDI コントローラが複数構成されている場合,次のどちらかの状況で InfoServer クライアント・トランスポート (LASTport) に問題が発生する可能性があります。
ネットワークで利用できるすべてのサービスにアクセスできなくなったり,4 つ以上のコントローラが構成されている場合にはシステムがクラッシュしたりするなどの問題が発生します。 これらの問題を回避するためには,媒体に接続されているコントローラだけを指定します。 最初に SYS$STARTUP:ESS$LAST_STARTUP.DAT データ・ファイルを編集して,接続されているコントローラだけを指定してから,システムを再起動することをお勧めします。 特定のコントローラ構成では,接続されていないコントローラを指定すると,次のコマンド・シーケンスを実行した場合にシステムがクラッシュする可能性があります。
次の例では,SYS$STARTUP:ESS$LAST_STARTUP.DAT ファイルの編集方法を説明します。 最初に編集前のファイルを示し,次に編集後のファイルを示します。
次に,編集済みの SYS$STARTUP:ESS$LAST_STARTUP.DAT ファイルを示します。 この例では,システムに ESA,ETA,EXA,EZA の各コントローラが構成され,ESA コントローラだけがイーサネット・ケーブルに接続されている場合を想定しています。
PATHWORKS またはリモート・システム・マネージャ (RSM),あるいはこの両方がインストールされている場合,InfoServer Client for OpenVMS のスタートアップを実行してからでないと,PATHWORKS または RSM,あるいはこの両方のスタートアップを行うことはできません。
InfoServer Client for OpenVMS には,PATHWORKS と RSM の両製品で共用するデバイス・ドライバと制御プログラムがあります。 InfoServer Client for OpenVMS の全コンポーネントの先頭には,ESS$ という接頭辞が付いています。 InfoServer Client for OpenVMS のドライバと制御プログラムは,InfoServer Client サポートの他に,PATHWORKS と RSM の両方のために必要なすべてのサポートを提供します。 InfoServer Client for OpenVMS のスタートアップは,PATHWORKS あるいは RSM のスタートアップ・プロシージャを実行する前に,サイト別スタートアップで実行する必要があります。 サブプロセスから InfoServer Client for OpenVMS を起動することはできません。 これは,OpenVMS のシステム管理ユーティリティ (SYSMAN) は,サブプロセスを使用して,遠隔ノード上のタスクを完了するので,SYS$STARTUP:ESS$STARTUP プロシージャを実行するために SYSMAN を使用することはできないためです。 InfoServer Client for OpenVMS を使用して作業する場合,使用しているシステムのユーザ・アカウントには,次の特権とクォータが必要です。
アカウントの特権およびクォータのチェックと変更の方法については,『OpenVMS システム管理 ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の AUTHORIZE の節を参照してください。 OpenVMS システムの LASTport/Disk プロトコルおよび LASTport/Tape プロトコルの構成と制御は,LAD 制御プログラム (LADCP)を使用して行います。 LASTport/Disk サービスと LASTport/Tape サービスを使用する OpenVMS システムを,クライアント・システムといいます。 LADCP を使用して,次の作業を行うことができます。
サービス・アクセス・パスワードを使って,サービス・アクセスを制御することができます。 また,サービスの書き込み保護も行うことができます。 この場合,DADn: あるいは MADn: デバイス・ユニットのローカルの OpenVMS ユーザがそのユニットに書き込み操作を行おうとすると,エラー・メッセージが表示されます。 これらのプロトコルにより,InfoServer システム上の記憶デバイスが,OpenVMS システムにローカルで接続されているかのようにアクセスすることができます。 このように,複数の OpenVMS クライアント・システムで 1 つの読み込み専用媒体を共用することができるので,同じデバイスと媒体を用意する必要がなくなります。 DADn: および MADn: デバイス・ユニットを,仮想デバイス・ユニットともいいます。 これらは,遠隔サーバ上のボリュームに対して,ローカルの OpenVMS のコンテキストを表現します。 DADn: ユニットを制御する OpenVMS ドライバ を ESS$DADDRIVER,MADn: ユニットを制御する OpenVMS ドライバを ESS$MADDRIVER といいます。 LASTport/Disk プロトコルと LASTport/Tape プロトコルは,LASTport トランスポートに依存しています。 SYS$STARTUP 内の ESS$STARTUP.COM コマンド・プロシージャは,LASTport トランスポート・ドライバ ESS$LASTDRIVER,および ESS$DADDRIVER と ESS$MADDRIVER を自動的にロードします。
LADCP を起動するには,次のコマンドを使用します。
LADCP コマンドは,LADCP> プロンプトに入力することができます。 また,次の例に示すように,DCL の文字列代入文を使用することにより,単一の LADCP コマンドを実行することもできます。
LADCP は,BIND コマンドを実行してから DCL のコマンド・レベルに制御を戻します。 LADCP を終了するには,LADCP> プロンプトの後に EXIT を入力するか,あるいは Ctrl/Z を押します。 表 11-3 「LADCP コマンド」 に,LADCP コマンドについてまとめます。 表 11-3 LADCP コマンド
LADCP にはヘルプ機能があり,LADCP の各コマンドのパラメータ,修飾子,および使用法の例に関する情報を表示することができます。 LADCP コマンドについての詳細は,『InfoServer Client for OpenVMS LASTCP and LADCP Utilities』を参照してください。 一連の LADCP の BIND コマンドを SYSTARTUP_VMS.COM に追加すると,システムがブートするたびに,遠隔 InfoServer デバイスを使用可能にするよう設定できます。 BIND コマンドについての詳細は,『InfoServer Client for OpenVMS LASTCP and LADCP Utilities』を参照してください。 作業方法
例次のコマンドを SYSTARTUP_VMS.COM で実行すると,InfoServer Client ソフトウェアが起動され,InfoServer デバイス DAD$OPENVMSV72 が使用可能になります。
この例では,InfoServer システムに接続されているコンパクト・ディスク・ドライブにロードされた,OpenVMS バージョン 7.2 の統合ディストリビューション (CONdisk) コンパクト・ディスクが,サーバ上で仮想デバイス・ユニットとして使用可能になり,公用デバイスとしてマウントされます。 |
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