OpenVMS Cluster の状態遷移は,OpenVMS Cluster システムに対してシステムを追加したり削除したとき,そして OpenVMS Cluster がクォーラム・ディスクの状態遷移を検出すると発生します。接続マネージャは,これらのイベントを受けて OpenVMS Cluster 内のデータの一貫性を維持するように対応します。
状態遷移が問題になるのは,システムが OpenVMS Cluster システムに対して頻繁に追加あるいは削除され,それによって障害が発生する場合です。
ユーザとアプリケーションに対する状態遷移の間隔と効果は,遷移の理由,構成,使用中のアプリケーションによって決まります。遷移を有効に管理すれば,システム・マネージャは以下の対応ができます。
- 障害の検出と遷移の所要時間
- ボリューム・シャドウイングのコピー,マージ処理など,遷移の影響
10.6.1 状態遷移の処理 |
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以下のガイドラインは,実際の遷移時間を短縮し,遷移後の影響を最小限にするための方法をまとめたものです。
- ノードと OpenVMS Cluster 間の接続が切れないように以下の方法で対応してください。
- システム全体でインターコネクトに冗長性を与える。
- インターコネクト,プロセッサ,アダプタの容量不足だけではなく,ディスクとメモリのリソース欠乏を防ぐ。
- 無停電電源装置 (UPS) を使用する。
- 大規模 OpenVMS Cluster におけるワークステーションのシャットオフでクラスタ内の全システムの操作に支障が生じないようユーザに通知する。
- OpenVMS Cluster のノード数が 2 個でない限り,クォーラム・ディスクを使用しない。
- 可用性を強化できるように,シャドウ・セット・メンバはできるだけ共用バスに常駐するようにする。
- ノード,ディスク,アダプタ,インターコネクト,仮想回路の障害を検出する時間は,システム・ポーリング・パラメータで制御します。ポーリング時間を短縮すると,変化に対するクラスタの応答は良くなりますが,一時的な障害に弱くなります。タイマの設定にあたっては,重大障害からの迅速な回復と一時的障害に対する"過敏さ"とのバランスを考えてください。
表 10-5 は,検出時間を短縮する際に設定する OpenVMS Cluster ポーリング・パラメータをまとめたものです。これらのパラメータの値は,各 OpenVMS Cluster メンバと同じ値に設定することをお勧めします。
- アプリケーション回復時間を計画に入れておいてください。アプリケーション・ユーザに対する状態遷移の影響を評価するときは,アプリケーション回復フェーズに,ジャーナル・ファイルの再生,回復ユニットのクリーニング,再度ログインするユーザのことを考慮してください。
関連項目: OpenVMS Cluster 遷移とそのフェーズ,システム・パラメータ,クォーラム管理の詳細については,『OpenVMS Cluster システム』を参照してください。
HP は,バージョン混在およびアーキテクチャ混在環境の OpenVMS Cluster システムに対し,移行サポートと保証サポートの 2 つのレベルのサポートを提供します。
保証サポートとは, OpenVMS Cluster 上に異なるバージョンが共存することを認めているものであり,これらの構成を使用している利用者から寄せられた問題にはすべて回答します。保証されている構成については,ソフトウェア仕様書を参照してください。
移行サポートは,カスタマのクラスタ環境で,保証されている OpenVMS Cluster 構成へ最小限の影響で移行するのを支援するためのサポートです。移行サポートでは,新しいバージョンの OpenVMS Alpha や OpenVMS Integrity に段階的に移行していくユーザのために,ともに使用できるバージョンを明確に示します。 HP は,これらの構成に対して提出される問題レポートに回答します。ただし,例外的にソリューションの一環として,保証されている構成に移行するようユーザに依頼する場合があります。
混成バージョンのクラスタでは, OpenVMS の旧バージョンに修正キットをインストールする必要があります。