HP OpenVMS OpenVMS Cluster 構成ガイド
第 7 章 OpenVMS Cluster ストレージ・インターコネクトとしての Fibre Channel の構成
OpenVMS の大きな利点は,ネットワーク構成と OpenVMS Cluster System 構成用のインターコネクトとプロトコルを幅広くサポートしていることです。この章では,シングル・システム用のストレージ・インターコネクトと,マルチホスト OpenVMS Cluster システム用の共用ストレージ・インターコネクトとしての Fibre Channel 用 OpenVMS サポートについて説明します。明記された一部の例外を除き,この章の内容は, OpenVMS Alpha システムと OpenVMS Integrity システムに等しく適用されます。
この章の構成は,以下のとおりです。
- OpenVMS Fibre Channel サポートの概要 ( 第 7.1 節 )
- Fibre Channel 構成のサポート( 第 7.2 節 )
- 構成例 ( 第 7.3 節 )
- Fibre Channel アドレス,WWID,デバイス名 (
第 7.4 節 )
- Fibre Channel テープのサポート( 第 7.5 節 )
- AlphaServer コンソールによる Fibre Channel の構成 ( 第 7.6 節 )
- OpenVMS Integrity システムでの Fibre Channel ストレージ・デバイスからのブート ( 第 7.7 節 )
- OpenVMS で使用するためのストレージ・コントローラのセットアップ ( 第 7.8 節 )
- 共用 Fibre Channel システム・ディスクによるクラスタの作成 (
第 7.9 節 )
- I/O パフォーマンス向上のための割り込みコアレス機能の使用 ( 第 7.10 節 )
- ご使用の環境における Fast Path の使用方法 ( 第 7.11 節 )
- FIBRE_SCAN によるデバイスの表示 ( 第 7.12 節 )
Fibre Channel 構成のマルチパス・サポートについては,
第 6 章 を参照してください。
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この章では,Fibre Channel インターコネクトを模式的に図示します。ノードとストレージ・サブシステムが接続されている部分は水平線で表します。物理的には,Fibre Channel インターコネクトは, 図 7-1 に示すように,スイッチから常に放射状に配線されます。
ストレージ・サブシステムにおける複数の SCSI ディスクと SCSI バスも簡略化されています。 1 つ以上の HSGx コントローラがホストに対する論理ユニットとしてサービスする複数のディスクと SCSI バスは,図では単独の論理ユニットとして表示されています。
この章では,表現を簡略化するために,階層型の Fibre Channel ストレージ・コントローラを意味する HSG という用語で HSG60 と HSG80 を表しています。ただし,HSG60 と HSG80 の違いを強調する場合は例外です。
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Fibre Channel は,他のインターコネクトに比べさまざまな利点を備えた ANSI 標準ネットワークとストレージ・インターコネクトです。その主な特徴と,これらの特徴に対して OpenVMS が提供するサポートを 表 7-1 に示します。
表 7-1 Fibre Channel の特徴と OpenVMS のサポート
高速伝送
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OpenVMS は,2 Gb/s,全二重,シリアル・インターコネクトをサポートしています ( 毎秒 200 MB のデータを同時に送受信可能 )。
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媒体の選択
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OpenVMS は,光ファイバ媒体をサポートしています。
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長距離インターコネクト
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OpenVMS は,リンク当たり 500 m のマルチモード光ファイバ媒体とリンク当たり最大 100 km のシングル・モード光ファイバ媒体 ( インタースイッチ・リンク [ISL]) をサポートしています。
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複数のプロトコル
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OpenVMS は,SCSI--3 をサポートしています。将来的には,IP をサポート予定。
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各種トポロジ
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OpenVMS は,スイッチ FC (高いスケーラビリティの複数同時通信) と複数のスイッチ (ファブリック) をサポートしています。また,StorageWorks Modular Storage Array (MSA) 1000 ストレージ・システムでアービトレート型ループのサポートが予定されています。正式なサポートのアナウンスは,次の URL の OpenVMS の Web ページで行われます。
http://www.hp.com/go/openvms
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図 7-1 はスイッチ・トポロジを論理的に表した図です。 FC ノードは,Alpha ホストかストレージ・サブシステムのどちらかです。ノードからスイッチまでの各リンクは,専用の FC 接続です。スイッチは,ノード・ペア間で保存/送信パケットの配信をします。非結合ノード・ペア間の同時通信はスイッチでサポートしています。
図 7-1 スイッチ・トポロジ (論理図)
図 7-2 は, Fibre Channel スイッチ・トポロジの実体図を表しています。
図 7-2 は解りやすくするために簡素化しています。一般的な構成では 第 7.3.4 項 に示すように,可用性を高めるために Fibre Channel インターコネクトを多重化しています。
図 7-2 スイッチ・トポロジ (実体図)
図 7-3 に示すのはアービトレート型ループです。 2 つのホスとが,デュアル・ポート StorageWorks MSA 1000 ストレージ・システムに接続されています。 OpenVMS は,このストレージ・システムでのみアービトレート型ループ・トポロジをサポートします。
| 注意
このトポロジのサポートは次の URL の OpenVMS の Web ページでアナウンスされる予定です。
http://www.hp.com/go/openvms
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図 7-3 MSA 1000 を使用したアービトレート型トポロジ
OpenVMS は,ソフトウェア仕様書にリストされている Fibre Channel デバイスをサポートしています。 OpenVMS でサポートされている Fibre Channel ファブリック・コンポーネントについては,最新バージョンの『HP StorageWorks SAN Design Reference Guide』 (AA-RMPNM-TE) を参照してください。
Fibre Channel ハードウェア名の規則では, Fibre Channel 固有のハードウェアを G という文字で表します。他の Fibre Channel 機器による Fibre Channel 構成はサポートしていません。オペレーティング・システムとファームウェアの必要最小バージョンを確認するには,リリース・ノートを参照してください。
すべての OpenVMS Fibre Channel 構成で,実行している OpenVMS バージョン用の最新のアップデート・キットを使用することをお勧めします。
これらのキットのルート名は FIBRE_SCSI です。 FIBRE_SCSI は以前は FIBRECHAN と呼ばれていました。このキットは,次の URL から入手することができます。
http://welcome.hp.com/country/us/eng/support.html
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OpenVMS は,最新の『HP StorageWorks SAN Design Reference Guide』および Data Replication Manager (DRM) のユーザ・マニュアルで説明されている Fibre Channel SAN 構成をサポートします。これには,以下のサポートが含まれています。
- マルチスイッチ FC ファブリック
- 最大距離 500 m のマルチモード・ファイバのサポート,およびシングル・モード・ファイバを使用した最大距離 100 km のインタースイッチ・リンク (ISL) のサポート。さらに,DRM 構成は,Open Systems Gateway と Wave Division Multiplexors を使用した長距離 ISL を提供します。
- ファブリックおよび HSG ストレージの OpenVMS 以外のシステムとの共有
StorageWorks のマニュアルは次の URL の OpenVMS の Web サイトから入手できます。
http://www.hp.com/go/openvms
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HP Storage を選択し (左のナビゲーション・バーの関連リンクから),次にストレージ製品を検索してください。その後,その製品のドキュメントにアクセスできます。
StorageWorks のマニュアルで説明されている構成内では, OpenVMS は以下の機能と制限があります。
- すべての OpenVMS ディスク機能 ( システム・ディスク,ダンプ・ディスク,シャドウ・セット・メンバ,クォーラム・ディスク,および MSCP サービス対象のディスク ) がサポートされます。各仮想ディスクには,クラスタ内で一意の識別子を割り当てる必要があります。
- OpenVMS は,StorageWorks マニュアルで指定されている数のホスト,スイッチ,およびストレージ・コントローラをサポートします。一般的に,ホストおよびストレージ・コントローラの数は,利用可能なファブリック接続の数によってのみ制限されます。
- プラットフォームあたりの Fibre Channel ホスト・バス・アダプタの数は,プラットフォーム・タイプによって決まります。現在,最大のプラットフォームでは,そのプラットフォームで実行されている OpenVMS インスタンスの数に関係なく,最大で 26 のアダプタをサポートします。
- OpenVMS では,HSG を SCSI-3 モードで稼動する必要があります。また,HSG がデュアル冗長構成の場合, HSG はマルチバス・フェールオーバ・モードにする必要があります。 HSG は,これらのモードで稼動する他のシステムとだけ共有できます。
- OpenVMS Fibre Channel ホスト・バス・アダプタは FC スイッチに直接接続する必要があります。ホスト・バス・アダプタの,Fibre Channel ループへの接続,または別の Fibre Channel エンド・ノードへのポイント・ツー・ポイント接続はサポートされません。
- KGPSA-BC または KGPSA-CA のどちらも, S3 Trio 64V+ ビデオ・カード (PB2GA-JC/JD) と同じ PCI バスには接続できません。 AlphaServer 800 で,KGPSA をインストールした場合は,必須 S3 Trio を無効にする必要があります。
- ファブリックのホストは,シングル・クラスタとして構成できます。または複数クラスタと非クラスタ・ノードのいずれか,あるいはその両方として構成することもできます。各クラスタおよび各非クラスタ・システムからそれぞれのストレージ・デバイスに排他的アクセスができるようにする必要があります。 HSG/HSV Selective Storage Presentation (SSP) または FC スイッチ・ゾーニング,あるいはその両方を使用すると,各 HSG/HSV ストレージ・デバイスは,1 つのクラスタまたは 1 つの非クラスタ・システムからのみアクセスできます。
- HSG は,制限された数の接続をサポートします。接続は,HSG の特定のポートと特定のホスト・バス・アダプタとの通信が非揮発性レコードとして記録されます。 HSG CLI コマンド SHOW CONNECTIONS を参照してください。HSG ACS V8.6 は,最大で 96 の接続をサポートし,HSG ACS V8.5 では,最大 64 の接続が許可され,HSG ACS V8.4 では最大 32 の接続が許可されます。接続制限は,シングルおよびデュアル冗長性コントローラのどちらでも同じです。
FC ファブリックが大きく,アクティブな接続の数が HSG の制限を越えている場合は,接続数を減らすために,ファブリックを再構成するか,FC スイッチ・ゾーニングを使用していくつかの HSG ポートからアダプタのいくつかを「隠す」必要があります。 HSG は,ホスト・バス・アダプタを切断しても,接続テーブルから接続情報を削除しません。このため,ユーザは CLI コマンドを使用して接続情報を明示的に削除し,テーブルが一杯にならないようにする必要があります。
この構成サポートは,このマニュアルの改訂時点で有効なものです。
すでに説明した構成に加え, OpenVMS は SANworks Data Replication Manager もサポートしています。これは長距離で Fibre Channel を使用するためのリモート・データ保管ソリューションです。詳細は,次の Compaq StorageWorks の Web サイトを参照してください。
http://www.compaq.com/products/storageworks
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7.2.1 Fibre Channel 修正キット | |
新しい Fibre Channel ハードウェアとより大規模な構成の評価は継続的に行われています。新しいハードウェアとより大規模な構成のために, OpenVMS の Fibre Channel サポートの拡張が必要になる場合があります。 OpenVMS のリリース間での Fibre Channel ソフトウェアの拡張と修正は, HP のサポート Web サイトから入手可能な修正キットを使って行うことができます。
各キットの最新バージョンは,常に弊社のサポートの Web サイトにあります。定期的にこの Web サイトをチェックすることをお勧めします。
また,次の URL の Fibre Channel の Web サイトもチェックすることをお勧めします。
http://h71000.www7.hp.com/openvms/fibre/
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この Fibre Channel Web サイトは,重要な情報,新しいスライド・プレゼンテーションを提供するために定期的に改訂されます。
7.2.2 混成バージョンと混成アーキテクチャのクラスタ・サポート | |
共用 Fibre Channel OpenVMS Cluster ストレージは,混成バージョンと混成アーキテクチャの両 OpenVMS Cluster システムでサポートされています。混成バージョンのサポートについては,ソフトウェア仕様書を参照してください。混成アーキテクチャのサポートとは,OpenVMS Alpha システムと OpenVMS Integrity システムを組み合わせることです。
混成アーキテクチャ・クラスタでは,それぞれのアーキテクチャごとに最低 1 つのシステム・ディスクが必要になります。
この場合,以下の構成要件を適用します。
- 同じストレージ・デバイスに対する共用アクセス用に構成されたホストは,すべて同じ OpenVMS Cluster にあるものとする。
- クラスタ内のすべてのホストに,LAN,IP ネットワーク,または MEMORY CHANNEL など共通クラスタ通信インターコネクトが必要である。
- FC との直接接続を備えるすべてのホストでは,サポートされているバージョンの OpenVMS Integrity あるいは OpenVMS Alpha が動作している必要がある。
- すべてのホストに,インストールされている混成バージョン・クラスタ用の修正キットが必要である ( リリース・ノートを参照 )。
- DECevent をエラー・トレースに使用する場合は,バージョン 2.9 以降が必要である。それ以前のバージョンの DECevent は Fibre Channel をサポートしていません。
この節では,Fibre Channel の構成例を示します。
| 注意
これらの構成は, HSG ストレージ・コントローラと HSV ストレージ・コントローラで有効です。ただし, 第 7.3.1 項 と 第 7.3.2 項 については, HSG ストレージ・コントローラにのみ適用されます。
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構成は,最初に示す最小の構成に,冗長構成要素を加えて,可用性,パフォーマンス,およびスケーラビリティのレベルを上げていく方法で,交互に構築していきます。
7.3.1 デュアル・ポート・ストレージを備えたシングル・ホスト | |
図 7-4 は,ストレージ・インターコネクトに Fibre Channel を使用したシングル・システムです。
図 7-4 1 つのデュアル・ポート・ストレージ・コントローラを備えたシングル・ホスト
この構成の以下の点に着目してください。
- HSG ストレージ・コントローラまたは HSV ストレージ・コントローラのデュアル・ポートにより,ストレージ・サブシステムの可用性とパフォーマンスが向上します。
- スイッチの予備ポートにより,システムを拡張できます。
- パフォーマンスを最大にするために,論理ユニットを 2 つの HSG ポートまたは HSV ポートに分散できます。
- スイッチと HSG または HSV は単一点障害 (Single point of failure ( 単一機器の障害がシステム全体の障害になる)) になり得ます。より高い可用性を実現するためには, Volume Shadowing for OpenVMS を使用して,別の Fibre Channel スイッチと HSG コントローラまたは HSV コントローラにデータを複製します。
7.3.2 1 つのデュアル・ポート・ストレージ・コントローラを備えた複数のホスト | |
図 7-5 は,デュアル・ポート・ストレージ・サブシステムに接続されている複数のホストです。
図 7-5 1 つのデュアル・ポート・ストレージ・コントローラを備えた複数のホスト
この構成の以下の点に着目してください。
- 複数のホストにより,システム全体の可用性が向上します。
- スイッチの予備ポートにより,システムを拡張できます。
- スイッチと HSG または HSV は単一点障害 (Single point of failure ( 単一機器の障害がシステム全体の障害になる )) になり得ます。より高い可用性を実現するためには, Volume Shadowing for OpenVMS を使用して,別の Fibre Channel スイッチと HSG コントローラまたは HSV コントローラにデータを複製します。
7.3.3 ストレージ・コントローラ冗長性を備えた複数のホスト | |
図 7-6 は,2 つのデュアル・ポート・ストレージ・コントローラに接続されている複数のホストです。
図 7-6 ストレージ・コントローラ冗長性を備えた複数のホスト
この構成には,以下の利点があります。
- 論理ユニットを 4 つの HSG ポートまたは HSV ポートに分散して,より高いパフォーマンスを実現できます。
- 1 つの Fibre Channel "バス" しかない場合でも, HSG または HSV をマルチバス・フェールオーバ・モードで構成できます。
- スイッチは単一点障害 (Single point of failure ( 単一機器の障害がシステム全体の障害になる )) になり得ます。より高い可用性を実現するためには, Volume Shadowing for OpenVMS を使用して,別の Fibre Channel スイッチと HSG コントローラまたは HSV コントローラにデータを複製します。
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