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OpenVMS マニュアル


 

OpenVMSドキュメント
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目次
まえがき
第1章:システム構成の概要
第2章:ビジネス要件とアプリケーション要件の決定
第3章:システムの選択
第4章:インターコネクトの選択
第5章:ストレージ・サブシステムの選択
第6章:SCSI と Fibre Channel ストレージに対するマルチパスの構成
第7章:ストレージ・インターコネクトとしての Fibre Channel の構成
第8章:可用性を目的とした OpenVMS Cluster の構成
第9章:スケーラビリティを目的とした OpenVMS Cluster の構成
第10章:システム管理の手法
付録A :インターコネクトとしての SCSI
付録B :MEMORY CHANNEL 技術概要
付録C :マルチサイト OpenVMS Cluster
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OpenVMS Cluster 構成ガイド


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SCSI インターコネクトで利用できる最大長は,構成で使用するシグナル通知と,データ転送速度で決まります。SCSI インターコネクトの電気シグナル通知には 2 種類あります。

  • シングル・エンド・シグナル通知
    シングル・エンド方式は最も一般的であり,また経済的です。適度な通信距離を利用できます。

  • ディファレンシャル・シグナル通知
    この方式では,信号の一貫性が高いので,長距離の SCSI バスが可能です。

表 A-4 は,シグナル通知の方式によって SCSI インターコネクトの距離がどのような影響を受けるかをまとめたものです。

表 A-4 SCSI インターコネクトの最大距離
シグナル通知の方式 データ転送速度 最大ケーブル長
シングル・エンド Standard 6 m 1
シングル・エンド Fast 3 m
シングル・エンド Ultra 20.5 m 2
ディファレンシャル Standard または Fast 25 m
ディファレンシャル Ultra 25.5 m 2

1SCSI 標準は,このインターコネクト方式で最長 6 m と指定されています。ただし,データの一貫性を最高に保つため,ケーブル長はなるべく 4 m 以内にしてください。
2詳細については,『StorageWorks Ultra SCSI Configuration Guidelines』(EK-ULTRA-CG) を参照してください。

DWZZA,DWZZB,DWZZC コンバータ は,シングル・エンドからディファレンシャルまでを含む各種コンバータであり,シングル・エンドやディファレンシャルの SCSI インターコネクト・セグメントに接続します。DWZZA は,Narrow (8 ビット) SCSI バス用,DWZZB は Wide (16 ビット) 用のSCSI バスであり,DWZZC は Wide Ultra SCSI バス用です。

ディファレンシャル・セグメントは,以下のような状況に最適です。

  • シングル・エンド・インターコネクトの接続距離の上限を超えて敷設したいとき

  • シングル・エンド・デバイスとディファレンシャル・デバイス間で通信をしたいとき

DWZZA,DWZZB,DWZZC は,あくまでシグナル・コンバータであり,SCSI デバイス ID を割り当てることはできません。2 つの SCSI デバイス間のパスには,最大で 2 個の DWZZA コンバータまたは 2 つの DWZZB コンバータを定義できます。 DWZZC の構成については,『StorageWorks Ultra SCSI Configuration Guidelines』を参照してください。

A.4.4 ケーブル配線と終端

シングル・エンドとディファレンシャルの各 SCSI インターコネクトには,各端点に 1 つずつ,合計 2 つのターミネータが必要です。インターコネクトに指定された最大接続距離は,ターミネータからターミネータまでを計測します。

インターコネクト・ターミネータの電源は,TERMPWR という SCSI インターコネクト・ラインから供給します。各 StorageWorks ホスト・アダプタとエンクロージャが, TERMPWR インターコネクト・ラインに電源を供給し,ホストまたはエンクロージャのどれかに電源が供給されていれば,インターコネクトの終端が機能するようになっています。

ショート・ケーブル (または etch) でインターコネクトに接続されているデバイスをスタブと言います。スタブの長さは,インターコネクトのシグナルの一貫性を維持するために短くなっています。スタブの許容最大長は,インターコネクトが使用するシグナル通知方式によって以下のように決められています。

  • シングル・エンド・インターコネクトの場合,最大スタブ長は 0.1 m です。

  • ディファレンシャル・インターコネクトの場合,最大スタブ長は 0.2 m です。

その他,シングル・エンド・インターコネクト上のスタブ間の最短の長さは,0.3 m に定められています。この構成例については, 図 A-3 を参照してください。

  注意
シングル・エンド・バスとディファレンシャル・バスには, DWZZx コンバータを使用する場合もそれぞれ終端が必要です。

既存のターミネータを超えて SCSI バスを延長するには,そのターミネータを無効にするか,取り外す必要があります。

図 A-3 最大スタブ長




選択するハードウェア構成は,各種要素の組み合わせによって異なります。

  • コンピューティングのニーズ
    たとえば,可用性の連続性や SCSI OpenVMS Cluster システムからシステムを接続解除または取り外せる性能

  • 環境
    たとえば,コンピューティング・ファシリティの物理的な属性

  • リソース
    たとえば,主要機器や空き PCI スロット

構成上の制約については,『OpenVMS Cluster Software Software Product Description』 (SPD 29.78.xx) を参照してください。

以下の項では,SCSI 構成の構築方法のガイドラインの他,さまざまなサイトに適した構成方法について説明します。

A.5.1 アドオン SCSI アダプタを使用するシステム

共用 SCSI バス構成では,一般にオプションのアドオン KZPAA,KZPSA,KZPBA,KZTSA の各アダプタを使用します。これらのアダプタを接続しても,SCSI ケーブルの長さに反映されないので,一般に内部アダプタよりも構成が簡単です。また,共用 SCSI バス用のアドオン・アダプタでシステムを構成する際に,内部アダプタで共用できないデバイス (SCSI テープ・ドライブ,フロッピー・ドライブ,CD-ROM ドライブなど) を接続できます。

アドオン・アダプタを使用する場合は,ストレージは BA350,BA353,または HSZ xx StorageWorks エンクロージャで構成します。これらのエンクロージャは,すべてのデータ・ディスク,そして共用の OpenVMS Cluster システムとクォーラム・ディスクに最適です。StorageWorks エンクロージャを使用すれば,ディスクのアクセスを維持したまま個々のシステムをシャット・ダウンできます。

以下の項では,アドオン・アダプタを活かした SCSI OpenVMS Cluster 構成をいくつか紹介します。

図 A-4 は,SCSI アダプタと StorageWorks エンクロージャを使用した基本構成の論理図です。この構成は比較的シンプルであるにもかかわらず,内部バス上で非共用ファイル (ページ・ファイルやスワップ・ファイルなど) とともにテープ,フロッピー,CD-ROM,ディスクを使用できるという利点があります。 図 A-5 は,AlphaServer 1000 システムと BA350 エンクロージャを使用した同じタイプの構成です。

BA350 エンクロージャは内部で 0.9 m の SCSI ケーブルを使用します。この構成は,一般に 2 本の 1 m SCSI ケーブルを使用します。(BA353 エンクロージャでも同じ合計ケーブル長で 0.9 m ケーブルを使用します。) 合計長さ 2.9 m のケーブルで Fast SCSI モード操作が可能です。

共用 BA350 ストレージ・エンクロージャは,理論的には単一点障害の要因になり得ますが,この基本システムは非常に信頼性が高い SCSI OpenVMS Cluster 構成です。クォーラム・ディスクが BA350 にある場合, OpenVMS Cluster システムとのアクセスを維持しながら,どちらの AlphaStation システムも単独でシャット・ダウンできます。ただし, AlphaStation システムを物理的に取り外すことはできません。終端がない SCSI バスが生じるからです。

OpenVMS Cluster システムの動作を続行しつつシステムの取り外しができるようにするには, 付録 A.5.1.2 項 にあるように,DWZZx コンバータでシステムを構築します。SCSI インターコネクトに障害が発生しても,データのアクセスを維持したい場合は,以下のどちらかの操作をします。

  • もう 1 つの BA350 シェルフとともに冗長 SCSI インターコネクトを追加する。

  • データをシャドウイングする。

図 A-4 と,この付録のその他の論理構成図では,必要なネットワーク・インターコネクトが省略されています。

図 A-4 概念図: 基本的な SCSI システム


図 A-5 構成例: AlphaServer 1000,KZPAA アダプタ,BA350 エンクロージャ使用の基本的な SCSI システム




エンクロージャを追加したり,システム間の物理的な距離を離したい場合,あるいは HSZ コントローラを使用する場合,シングル・エンド・シグナル通知とディファレンシャル・ケーブルの SCSI バスを備えたシステム間に DWZZx コンバータを配置する構成を使用します。

DWZZx コンバータを利用すると,SCSI バスの接続距離の制約が緩和されます。これは DWZZx では,ディファレンシャル・シグナル通知を使用するバスにシングル・エンド・デバイスを接続できるからです。 付録 A.4.3 項 で説明したように,ディファレンシャル・シグナル通知を使用する SCSI バス構成での最大ケーブル長は 25 m です。一方,シングル・エンド構成で Fast モード・データ転送を行うには 3 m が限度です。

DWZZx コンバータは,スタンドアロンのデスクトップ構成要素として,あるいは StorageWorks 互換の構築ブロックとして使用できます。 DWZZx コンバータは,内部 SCSI アダプタやオプションの KZPAA アダプタと併用できます。

HSZ40 は,ディファレンシャル SCSI バスに接続できるハイ・パフォーマンスなディファレンシャル SCSI コントローラであり,最高で 72 個の SCSI デバイスをサポートします。HSZ40 は,ディファレンシャル・コンバータでシングル・エンドになる DWZZx を組み込んだ共用 SCSI バス上に構成できます。HSZ40 コントローラ上に構成したディスク・デバイスは, RAID セットに組み合わせることができ,これによってパフォーマンスと可用性を強化します。

図 A-6 は,潜在的な物理的距離を広げるために (またはエンクロージャや HSZ40 を追加するために) DWZZA を追加した構成の論理図であり, 図 A-7 は,この構成例を具体的に示した図です。

図 A-6 概念図: DWZZAを利用した物理的な距離の延長またはエンクロージャの追加


図 A-7 構成例: DWZZAを利用した物理的な距離の延長またはエンクロージャの追加


図 A-8 は,3 ホスト SCSI OpenVMS Cluster システムの構成方法を表した図です。

図 A-8 構成例: SCSI バス上の 3 ホスト




図 A-9 は,同じ SCSI バス上に 2 個の KZPSA アダプタを備えた構成の例です。この構成で,SCSI 終端は,KZPSA から取り外されており,外部ターミネータは "Y" ケーブル上にインストール済みです。そのため,SCSI バスを有効にしたまま SCSI バスから KZPSA アダプタを取り外すことができます。クラスタ内の他のシステムをアクティブにしたまま (メンテナンスや修理目的で) SCSI OpenVMS Cluster 構成から個々のシステムを取り外せる機能があるために,非常に高いレベルの可用性を実現できます。

図 A-9 では,以下の点に注意してください。

  • 終端がホスト・アダプタから取り外されている。

  • BA356 内部のシングル・エンド・バスは,スロット 0 の DWZZB とパーソナリティ・モジュールの自動ターミネータで終端されている。(外部ケーブルやターミネータはパーソナリティ・モジュールに接続されていない。)

  • DWZZB のディファレンシャル終端が取り外されている。

図 A-9 構成例: ディファレンシャル・ホスト・アダプタ (KZPSA) を使用した SCSI システム


図 A-9 の構成に示すディファレンシャル SCSI バスは,エンクロージャ間でチェーン化され,最長で 25 m となっています。 (BA356 バスはディファレンシャル SCSI バスの長さに加えません。ディファレンシャル・バスを構成するのは, BN21W-0B "Y" ケーブルと BN21K/BN21L ケーブルだけです。)このケーブル配線方式が不便な構成や,接続距離が不足する場合は,別のラジアル方式を利用できます。

別のラジアル SCSI ケーブル配線方式とは,SCSI ハブ方式のことです。 図 A-10 は,SCSI ハブ構成の論理図です。 図 A-11 は,この構成例を具体的に表現したものです。

図 A-10 概念図: SCSI ハブを使用した SCSI システム


図 A-11 は,SCSI ハブ構成の例です。

図 A-11 構成例: SCSI ハブ構成における SCSI システム




ここでは,SCSI OpenVMS Cluster システムにハードウェアをセットアップし,インストールする手順について説明します。この節では,共用 SCSI バス方式の新しい OpenVMS Cluster システムを作成します。ただし,既存の OpenVMS Cluster 構成に共用 SCSI バスを追加する場合は,『OpenVMS Cluster システム』の手順説明も合わせて参考にし,計画全体を整えてください。

表 A-5 は,SCSI OpenVMS Cluster システムにハードウェアをセットアップし,インストールする手順を説明したものです。

表 A-5 SCSI OpenVMS Cluster システムのインストール手順
手順 説明 参照
1 エンクロージャ間が適切に接地されているか確認する。 付録 A.6.1 項付録 A.7.8 項
2 SCSI ホスト ID を構成する。 付録 A.6.2 項
3 システムの電源を入れ,デバイスを確認する。 付録 A.6.3 項
4 SCSI コンソール・パラメータを設定する。 付録 A.6.4 項
5 OpenVMS オペレーティング・システムをインストールする。 付録 A.6.5 項
6 追加システムを構成する。 付録 A.6.6 項



A.6.1 手順 1: SCSI 接地要件の確認

OpenVMS Cluster システムをインストールする前に,配電システムがローカル要件を満足しているか確認します (電気コードなど)。構成が,共通 SCSI インターコネクトで接続された複数のエンクロージャからなる場合,それらのエンクロージャの接地が適切であるか確認します。安全上と SCSI インターコネクトの正確な機能のためには,正しい接地方法が求められます。

電気工事は有資格者によって行ってください。 SCSI システムの接地要件の詳細については, 付録 A.7.8 項 を参照してください。

A.6.2 手順 2: SCSI ノード ID の構成

この項では,SCSI ノードとデバイス ID の構成方法を説明します。マルチホスト SCSI バスとシングル・ホスト SCSI バスでは,SCSI ID は異なる方法で割り当てます。

図 A-12 は 2 つのホストを示しています。それぞれがシングル・ホスト SCSI バスで構成されており,マルチホスト SCSI バスを共用しています。 (この図の記号の意味については, 図 A-1 を参照してください。)

図 A-12 SCSI アクセスの割り当てクラスの設定


以下の項では,この種のマルチホスト SCSI 構成に ID を割り当てる方法を説明します。このトピックの詳細については,『OpenVMS Cluster システム』を参照してください。

マルチホスト SCSI バスの構成時には,以下の規則を守ってください。

  • マルチホスト・バス上のホスト・アダプタには,それぞれ異なる ID を設定してください。まず ID 7 を割り当て,次に ID 6 というように ID 番号を降順に割り当てていきます。
    ホストに 2 本のマルチホスト SCSI バスがある場合,各 SCSI アダプタに別々に ID を割り当てます。同じ ID にアダプタを設定しなければならないという条件はありませんが,同じ ID を使用すると構成の管理が簡単です。(SCSI コンソール・パラメータで,内部アダプタにホスト ID を設定する方法については, 付録 A.6.4 項 を参照してください。)

  • マルチホスト SCSI バスに接続されたデバイスやストレージ・コントローラに ID を割り当てる場合,ID 0 (ゼロ) から始め,最速の I/O 応答時間が必要なディスクには最高の ID 番号を割り当てます。

  • マルチホスト SCSI バスに接続されたデバイスには,ホストを起点として同じ名前を割り当てます。以下にその方法を示します。

    • 図 A-12 のように,マルチホスト SCSI バスに接続されたすべてのホストが同じノード割り当てクラスに設定されていることを確認し,マルチホスト SCSI バスに接続されたすべてのホスト・アダプタに同じコントローラ名が割り当てられていることを確認します。

    • ポート割り当てクラス ( 『OpenVMS Cluster システム』参照) または HSZ 割り当てクラス ( 『OpenVMS Cluster 構成ガイド』参照) を使用します。


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