A.6.2.2 シングル・ホスト SCSI バスにおけるデバイス ID の構成
デバイス ID の選択は,ノード割り当てクラスを利用するか,ポート割り当てクラスを利用するかで異なります。以下の説明では,ノード割り当てクラスを使用しています。ポート割り当てクラスについては,『OpenVMS Cluster システム』を参照してください。
マルチホスト SCSI 構成では,OpenVMS が生成するデバイス名の形式は $allocation_class$DKA300 です。割り当てクラスは,ALLOCLASS システム・パラメータで設定します。OpenVMS は,ブート時に各コントローラに文字を割り当ててコントローラ名 (A,B,C など) とします。単位番号 (0,100,200,300 など) は, SCSI デバイス ID から抽出されます。
マルチホスト SCSI 構成の一部であるシングル・ホスト SCSI バスでデバイスを構成する場合,シングル・ホスト SCSI バスに接続されたディスクに必ず一意のデバイス名を指定してください。そのためには,同じ割り当てクラスを使用するシステムに同じコントローラ名でシングル・ホスト SCSI バスに接続されているデバイスには,異なる ID を割り当てます。バスが共用されていなくても,異なるデバイス名を付けます。
たとえば, 図 A-12 で,図の下の 2 つのディスクは,同じ割り当てクラスを使用する 2 つのシステムの SCSI バス A にあります。そのため,異なるデバイス ID (この場合,2 と 3) が割り当てられています。
所定の割り当てクラス,SCSI デバイス・タイプ,コントローラ名 (この例では,$4$DKA) で,クラスタには最高で 8 つのデバイスを接続できます。各デバイスごとに SCSI バス ID を割り当てます。8 つすべての ID を使用するには,別のバスのプロセッサと同じ ID の 1 本の SCSI バス上にディスクを構成する必要があります。これによってパフォーマンスにどのような影響が出るかについては, 付録 A.7.5 項 を参照してください。
異なる SCSI バスに,異なる SCSI デバイス・タイプを同じSCSI ID で構成すれば, SCSI バス ID を"兼用"できます。たとえば,デバイス・タイプ DK とデバイス・タイプ MK の場合,$4$DKA100 と $4$MKA100 になります。
A.6.3 手順 3: 電源入力と SCSI デバイスの検査 |
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SCSI ケーブルを接続したら,システムの電源を入れます。コンソール SHOW DEVICE コマンドを入力し,すべてのデバイスが SCSI インターコネクトで認識できるか確認します。
SCSI ID の競合がある場合,ディスプレイは現在のデバイスを表示しないか,または,存在しないデバイスを表示することがあります。表示が間違っている場合は,各デバイスの SCSI ID ジャンパ,StorageWorks シェルフによる自動 ID 割り当て,ホスト・アダプタと HSZxx コントローラ ID の設定が間違っていないか確認してください。変更されている場合は,INIT と入力し,SHOW DEVICE を再度実行します。問題が解決しない場合は,SCSI ケーブルの長さと終端を確認してください。
例 A-1 は,コンソール SHOW DEVICE コマンドの出力例です。このシステムには,ホスト SCSI アダプタがプライベート SCSI バス (PKA0) に 1 個,そして追加 SCSI アダプタ (PKB0 と PKC0) がそれぞれ別々の共用 SCSI バスに 1 個ずつあります。
表 A-6 SCSI 環境パラメータ
bootdef_dev
device_name
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デフォルトのブート・デバイスをシステムに指定します。
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boot_osflags
root_number,
bootflag
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boot_osflags 変数には,システム・ブートストラップのオプションのアスペクト (会話型ブートストラップなど) をオペレーティング・システムに伝える情報を格納します。
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pk*0_disconnect
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ターゲットがコマンドで実行中に,ターゲットの接続を SCSI バスから切断します。このパラメータを 1 に設定すると,ターゲットの接続は,コマンドを処理中に SCSI バスから切断されます。このパラメータを 0 に設定すると,ターゲットがコマンドで実行中は SCSI バスの制御を維持します。
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pk*0_fast
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SCSI アダプタを Fast SCSI モードで実行します。このパラメータを 1 に設定すると,デフォルトの速度が Fast モードになります。パラメータを 0 に設定すると,デフォルトの速度が Standard モードになります。
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pk*0_host_id
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ホスト・アダプタの SCSI デバイス ID を 0 から 7 の間に設定します。
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scsi_poll
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システムが一時停止すると,すべての SCSI インターコネクトにおいて,コンソール・ポーリングを有効にします。
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control_scsi_term
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システムのバルクヘッドの統合 SCSI インターコネクト上のターミネータを有効または無効にします (一部のシステム対象)。
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表 A-7 追加ノードのインストール手順
1
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最初のノードから,CLUSTER_CONFIG.COM 手順を実行し, ADD のデフォルト・オプション [1] を選択します。
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2
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続行を確認するプロンプトが CLUSTER_CONFIG.COM によって表示されたら,Yes と応答します。
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3
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既存のシングル・ノード・クラスタに追加するノードの DECnet 名とアドレスを指定します。
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4
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これを共用 SCSI インターコネクトのノードにすることを確認します。
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5
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このノードをサテライトにするかどうかを確認するプロンプトが表示されたら No と応えます。
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6
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他のクラスタ・メンバにサービスを提供する場合,そのディスク・サーバにするノードを構成します。
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7
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新しいノードのシステム・ルートを所定のデフォルトのデバイスに設定します。
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8
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新しいノードのシステム・ルートを選択します。最初のノードは SYS0 を使用します。デフォルト (最初の追加ノードは SYS10) を選択するか,自分で番号付けの方式を選択します。SYS1 から SYS
n まで選択できます。
n は 16 進数の FFFF です。
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9
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クラスタの新しいノードが最初のノードと同じ ALLOCLASS を使用するよう,デフォルトのディスク割り当てクラスを選択します。
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10
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クォーラム・ディスクがあるかどうかを確認します。
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11
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ページ・ファイルとスワップ・ファイルのサイズに関する質問に応答します。
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12
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CLUSTER_CONFIG.COM が終了したら,新しいシステム・ルートから新しいノードをブートします。たとえば,ディスク DKA200 の SYSFF の場合,以下のコマンドを入力します。
BOOT -FL FF,0 DKA200
BOOT コマンドでは,以下のフラグを使用します。
- -FL は,ブート・フラグを表します。
- FF は,新しいシステム・ルートです。
- 0 は,会話型ブートなど特別なブート要件がないことを表します。
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