A.7.4.2 正しくない構成が原因のブート障害やマウント障害
OpenVMS では,この項で説明するエラーが自動的に検出され,バグチェックやディスク・マウントの拒否により,このような構成エラーが原因のデータ・ロスを回避しています。
A.7.4.2.1 ブートストラップ・プロセス間のバグチェック
OpenVMS Alpha バージョン 7.2 より前のバージョンでは,バグチェックを実行する原因になるブート時の構成エラーが 3 種類ありました。バグチェック・コードは,
VAXCLUSTER,Error detected by OpenVMS Cluster softwareです。
OpenVMS がブートすると,すべての SCSI ID に照会コマンドを送信して SCSI バス上のデバイスを認識します。デバイスは照会を受け取ると,ディスク,テープ,またはプロセッサのどれであるかを表すデータを戻します。
プロセッサ・デバイス (ホスト・アダプタ) によっては,オペレーティング・システムの助けがなくてもこの照会に応答しますが,他のデバイスは,オペレーティング・システムが実行していないと応答できません。OpenVMS Cluster システムでサポートしているアダプタには,オペレーティング・システムの助けが必要です。このようなアダプタは, OpenVMS の助けを借りて照会に対する応答により情報を伝え,応答の受信側は,以下の構成エラーを検出します。
- 同じ SCSI バス上に異なるデバイス名がある。
ポート割り当てクラスを使用する場合を除き,SCSI バス上の各アダプタの OpenVMS デバイス名は同一でなければなりません (すべて PKC0 など)。同一にしない場合,OpenVMS Cluster ソフトウェアはホストからストレージまでのアクセスを管理できなくなります (
付録 A.6.2 項 と 付録 A.6.3 項 参照)。
OpenVMS は,照会応答でコントローラ名を送信し,これを自動的にチェックします。ブート・システムはこの応答を受け取り,リモート・コントローラ名とローカル・コントローラ名を比較します。一致しない場合は,OPCOM メッセージが出力され, VAXCLUSTER バグチェックとともにシステムが停止してデータ・ロスを防ぎます。詳細については,Help Message ユーティリティの NOMATCH エラーの説明を参照してください。(Help Message ユーティリティを NOMATCH に使用するには,DCL プロンプトで HELP/MESSAGE NOMATCH と入力します。)
- 割り当てクラスの値が異なるかゼロである。
SCSI バス上の各ホストのディスク割り当てクラスの値は,ゼロ以外の同じ値であるか,対応するポート割り当てクラスの値とします。それ以外の値では,OpenVMS Cluster ソフトウェアはホストからストレージへのアクセスを管理できません ( 付録 A.6.2 項 と 付録 A.6.3 項 参照)。
OpenVMS は照会応答の中で,必要な情報を送信してこれを自動的にチェックします。ブート・システムは応答を受け取ると,リモート値をローカル値と比較します。一致しない場合または値がゼロの場合,OPCOM メッセージが出力され,システムは VAXCLUSTER バグチェックを出力して停止し,データ・ロスを防ぎます。Help Message ユーティリティの ALLODIFF エラーと ALLOZERO エラーの説明を参照してください。
- サポートされていないプロセッサ
OpenVMS を実行していなかったり,構成のチェックに必要なコントローラ名や割り当てクラスの情報を戻さないプロセッサが,SCSI バスにあります。ブート・システムが照会応答を受け取り,その応答に OpenVMS の特別な構成情報が含まれていない場合, OPCOM メッセージが出力され,VAXCLUSTER バグチェックが実行されます。Help Message ユーティリティの CPUNOTSUP エラーの説明を参照してください。
システムの SCSI バスにプロセッサ・デバイスが必要な場合,SYSGEN の特別なパラメータ (この場合は SCSICLUSTER_Pn) については,Help Message ユーティリティの CPUNOTSUP メッセージの説明を参照してください。
A.7.4.2.2 デバイス構成上の障害
OpenVMS Alpha バージョン 7.2 では,正しく構成されていないバス上の SCSI デバイス ( 付録 A.7.4.2.1 項 参照) は構成されません。そして不正構成を記述するエラー・メッセージが表示されます。
A.7.4.2.3 マウント障害
ディスクのマウントが失敗する原因の構成エラーには 2 種類あります。
まず,共用 SCSI バス上のディスクからシステムがブートするときにシステム・ディスクのマウントが失敗することがあります。これは,同じ SCSI バスにブート済みの別のシステムがあって,問題のシステム・ディスクにそのシステムが別のデバイス名を使用している場合に発生します。(前の項で説明したように,2 つのシステムが使用しているコントローラ名や割り当てクラスの構成が間違っていると,共用バス上のデバイス名に関する競合が発生します。) 前の項で説明したバグチェックを先に実行しない場合は,コンソールに以下のエラー・メッセージが表示されます。