A.7.3 制限事項と既知の問題 |
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複数のホストを同じSCSI バスに構成した OpenVMS Cluster ソフトウェアには,以下の制限事項があります。
- OpenVMS Alpha バージョン 7.2 より前のバージョンでは,ノードからディスクへのアクセスは,直接 SCSI パスから MSCP サービスによるパスにフェールオーバしません。
MSCP サービスによるパスから直接 SCSI パスへのフェールオーバも実装されていません。一般に,この種のフェールオーバは,重要ではありません。 OpenVMS が直接パスとサービスによるパスの両方を検出すると,OpenVMS は必ず直接パスを選択するためです。ただし,MSCP サービスによるパスが最初のパスとして使用可能になり,直接パスが使用可能になる前に OpenVMS によって選択されるのを避けたい場合もあります。これを避けるには,以下の規則に従います。
- OpenVMS Alpha バージョン 7.2 より前のバージョンでは,デバイスまでのパスが 2 本ある場合,$DEVICE_SCAN システム・サービスと F$DEVICE レキシカル関数により,共用バス上のデバイスが 2 回リストされます。非 SCSI システム・ディスクをブートすると,DCL コマンド SHOW DEVICE の出力に共用バス上のデバイスも 2 回リストされます。この二重リストは,表示プログラムのエラーです。これは特に問題ではなく,また,直接 SCSI パスの代わりに MSCP サービスによるパスが使用されることを意味しているわけでもありません。
- システムの電源入力時,ブート時,またはシャット・ダウン時に,システムは SCSI バスをリセットします。このリセットにより,SCSI バス上の他のホストが I/O エラーになります。Files-11 ボリュームの場合,このようなエラーはマウント検査ファシリティによって自動的に回復され,中断していた I/O が完了します。その結果,エラーなしでユーザ・プロセスが続行します。
このレベルのエラー回復は,/FOREIGN 修飾子でマウントしたボリュームには適用できません。そのため,バスのリセット発生時に I/O が中断するとユーザ・プロセスは I/O エラー通知を受け取ります。
マルチホスト SCSI バスには,できるだけフォーリン・デバイスをマウントしないでください。どうしてもフォーリン・デバイスを共用バスにマウントしなければならない場合は,フォーリン・デバイスに I/O を実行中にその共用バス上のシステムが SCSI バス・リセットを表明しないようにしてください。
- マルチホスト SCSI バス上で ARC コンソールが有効になっていると,すべてのローカル・ホスト・アダプタの SCSI ターゲット ID は 7 に設定されます。ホストやデバイスが ID 7 のバスにあると,この設定で SCSI ID 競合が発生します。この種の競合が発生すると,一般にそのバスだけでなく,場合によってはそのバス上のすべてのシステムもハングしてしまいます。
ARC コンソールの使用対象は,KZPSA 構成ユーティリティなど一定のプログラムのアクセスに限定してください。ARC コンソールを実行するときは,まずマルチホスト SCSI バスや SCSI ID 7 でデバイスを接続しているバスからシステムを切り離します。
- システムの電源入力時,ブート時,シャットダウン時に SCSI バス・リセットが発生すると,その SCSI バス上の他のシステムがエラーをログし,OPCOM メッセージが表示されます。これは正規の動作であり,問題ではありません。
- マルチホスト SCSI バス上のシステムを急激にホルトすると (コンソールで Ctrl/P を押すなど),KZPAA SCSI アダプタは同じバス上の他のホストの操作を干渉するようになります。システムが急激に停止した場合は,できるだけ早く初期化,ブート,または復帰 (CONTINUE) を続行してください。
- マイクロコードを更新中は,ディスク・ドライブに対する I/O をすべて停止してください。これについては,シングル・ホスト環境の場合よりもマルチホスト環境の方で特に注意が必要です。必要な手順については,
付録 A.7.6.3 項 を参照してください。
- EISA 構成ユーティリティ (ECU) を実行すると多数の SCSI バスをリセットできます。このリセットにより,同じ SCSI バス上の他のシステムは,そのバス上の I/O サブシステムが回復するまで一時停止します。ECU が実行中は,共用 SCSI バス上のシステムをシャットダウンすることをお勧めします(必須ではありません)。
OpenVMS Cluster システムでは,SCSI クォーラム・ディスクがシングル・ホスト SCSI バスにあるかマルチホスト SCSI バスにあるかに関わらず,制限事項が 1 つあります。 SCSI クォーラム・ディスクは,タグ付きコマンド・キューイング (TCQ) をサポートしなければなりません。この制限事項は,クォーラム I/O が OpenVMS SCSI ドライバで受け取る特別な処理に必ず適用します。
いずれにしてもマルチホスト SCSI バス上のディスクは,すべてタグ付きコマンド・キューイングをサポートする必要があり (
付録 A.7.7 項 参照),クォーラム・ディスクは一般にはシングル・ホスト・バスでは使用しないのでこの制限事項をそれほど気にする必要はありません。
A.7.4 トラブルシューティング |
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以下の項では,SCSI インターコネクトを使用する OpenVMS Cluster システムの代表的な問題について説明します。