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OpenVMS マニュアル


 

OpenVMSドキュメント
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タイトルページ
目次
まえがき
第 1 部:概要
第 1 章:OpenVMS の現在,過去,未来
第 2 部:基本操作
第 2 章:ログイン/ログアウト
第 3 章:DCL コマンド
第 4 章:パスワードの変更
第 5 章:ヘルプとシステム・メッセージ
第 6 章:キーボード
第 7 章:エディタ
第 8 章:ファイル指定
第 9 章:ディレクトリ作成
第 10 章:ファイル操作コマンド
第 11 章:ファイル保護
第 3 部:OpenVMS の便利な機能
第 12 章:ファイルの印刷
第 13 章:バッチ・キュー
第 14 章:プロセス
第 15 章:シンボル
第 16 章:論理名
第 17 章:コマンド・プロシージャ
付録 A :システムの起動と停止
付録 B :日本語環境の設定
付録 C :ネットワークを利用したファイル操作
付録 D :JMAIL ユーティリティ
付録 E :レキシカル関数一覧
付録 F :Linux または UNIX,MS-DOS,日本語 OpenVMS コマンド対応表
付録 G :関連アプリケーション
付録 H :PC 関連製品
付録 I :クイック・リファレンス
付録 J :日本語マニュアル・クイック・リファレンス
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はじめよう!日本語 OpenVMS

はじめよう!日本語 OpenVMS


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「さきほど,21 世紀にまたがる課題とおっしゃってましたけど, OpenVMS の将来はどうなんでしょうか?」

「進歩しないものに未来はない。年代記でも説明したように, OpenVMS は常にその時代の最先端の技術を提供しつづけている。これは今後とも変わりないことだと思うよ。問題はどの分野にフォーカスするかということだね。」

「具体的にどの分野にフォーカスしていくんでしょうか?」

1.3.1 インターネットとWebアプリケーション

「まず,これからのアプリケーション開発を考えた場合,インターネットの利用は避けて通れないことだろう。当然,OpenVMS でもインターネットへの取り組みは重要だね。 OpenVMS とインターネットの関わりを考えると,IPv6 など基礎的な分野に対しては十分に対応してきたと言えるだろう。」

「最近はやりの WWW や eCommerce への取り組みはどうでしょうか?」

「残念ながら,この分野は UNIX や Windows に一日の長があると言わざるを得ないね。しかし,状況は変わりつつある。 Java や XML のようにプラットフォームに依存しない開発環境が, Web アプリケーションの主流になってきているんだ。これは,OpenVMS にとってはチャンスと言えるだろうね。」

「具体的にはどのようなツールが提供されているんでしょうか?」

「たとえば,Web サーバとしては Apache ベースの SWS (Secure Web Server) を提供している。このようにオープン系のツールをうまく利用することを考えているようだね。オープン系のツールとしては,Tomcat や XML 関連のツールが既に提供されているし,今後 Java の IDE や Web サービス関連のツールなどが出てくるだろう。もちろん並行して,商用のツールのサポートも進めている。」

1.3.2 クラスタリングの未来と Galaxy

「クラスタリング機能はどうなんでしょうか?既に完成済みですか?」

「クラスタリング機能そのものは,更に完成度を高め,より高速で安定したクラスタ・システムを提供することを目標にしている。新しい展開としては,新しいインターコネクトのサポートがやはり重要だろうね。専用のインターコネクトとしてはメモリ・チャネル,標準化されたものとしてはギガビット・イーサネット,ファイバー・チャネルなどがサポートされてきている。ところで拡張性・信頼性といった特性に対するまったく新しい動向としてはパーティショニングがある。」

「パーティショニングってどういう技術なんですか?」

「クラスタリングが複数のマシンを 1 つのシステムにまとめる技術なのに対して,パーティショニングは1つのマシンを複数のシステムに分割する技術だ。」

「今度は分割しちゃうんですか?」

「そう,GS320 に代表されるように,現在のハイエンドのサーバ・マシンは 1 台で数十 CPU をサポートするようになっている。しかしながら,現実のアプリケーションで数十 CPU を完全な並列処理を実現できるものがそんなに存在するわけではない。一方,複数のアプリケーションを 1 つのオペレーティング・システム上で並列に処理するマルチ・プログラミングにしても,数十 CPU という環境ではシステム・リソースの競合などで,必ずしも期待したパフォーマンスが提供できない場合が多くなる。これを解決するのが,パーティショニングだ。」

「 1 つのマシンで複数のオペレーティング・システムを稼動させるんですか?」

「パーティショニングにはいくつか方式がある。1 つは,ハードウェアの機能として,複数のオペレーティング・システムを稼動できるようにするハードウェア・パーティショニングだ。この場合は,ハードウェア・レベルでマシンのリソースを分割することになるので,リソースの割り当てが固定的になってしまうが,分割された 1 つの部分,パーティションの障害が,他のパーティションに波及することはない。また,ハードウェア・レベルで分割されているので,複数の種類のオペレーティング・システムを稼動させることも可能だ。」

「その他の方式って,ハードウェアに対するソフトウェア・パーティショニングですか?」

「そう,ソフトウェア・パーティショニングは,実際にはオペレーティング・システムのリソース管理機能と考えることができる。つまり,特定のアプリケーションやアプリケーションのグループに対して,ポリシーに基づいてシステム・リソースを正確に割り当てていく機能なんだ。この場合は,ポリシーを動的に変更したり,直接指示を与えることによって,リソースの割り当てを非常に柔軟に行うことができるが,全体が 1 つのオペレーティング・システムで実行されているので,障害がシステム全体に波及することになる。このように,ハードウェア・パーティショニングとソフトウェア・パーティショニングでは,リソース割り当ての柔軟性とシステム全体の信頼性の間でトレード・オフがあるんだ。」

「それで OpenVMS の場合はどうなんですか?」

「このトレード・オフを解消するために, OpenVMS が提供しているのが, Galaxy1 だ。 Galaxy では,ハードウェアやソフトウェアのレベルではなく,ファームウェア・レベルでマシンを分割する。従って,Galaxy の場合は, 1 つのパーティションに割り当てられたシステム・リソースを,他のパーティションへアプリケーション実行中に再割り当てすることができる。しかも,各パーティションでは,独立したオペレーティング・システムが稼動しているので,1 つのパーティションの障害が,他のパーティションに波及することを避けることができる。」

「つまり Galaxy は,ハードウェア・パーティショニングとソフトウェア・パーティショニングの良いとこ取りをしているわけですね。」

「そのとおりだね。更に面白いのは,Galaxy で分割したパーティション同士をクラスタ・メンバとして,1 台のマシンでクラスタ・システムを構築することができる。しかも,そのときには,Galaxy が提供する共有メモリをインターコネクトに利用できるということだ。つまりインターコネクトのパフォーマンスがシステム・バスのレベルになるわけで,非常に高速なクラスタ通信が実現できる。」

「 Galaxy とクラスタで,先進的な大規模システムの構築が可能になるわけですね。」

1.3.3 Itaniumサポート

「さて,21 世紀の OpenVMS を締めくくるためには,Itanium サポートに触れないわけにはいかないだろう。」

「確か Alpha からインテルの Itanium アーキテクチャへ鞍替えするんですよね。」

「そういわれると心外だね。まず,Alpha がすぐになくなるわけじゃない。次世代の Alpha チップ,Alpha 21364 は既に学会でも発表され,システムもまもなくリリースされることになっている。それに,Alpha の設計チームはインテルへ移籍して,Alpha が培ったさまざまな高速化技術はItaniumへ引き継がれることになる。」

「 Alpha がすぐなくなるわけではないんですね。」

「もちろんだよ,特にハイエンドの大規模サーバとして,Alpha システムに匹敵するものを提供するには,それなりの時間が必要だろう。今,ここにあるシステムとしては,やはり Alpha システムが最高のシステムの1つと言えるだろう。」

「それじゃ,Itanium 版の OpenVMS は,まだまだ先の話なんですね。」

「システムやアプリケーションの移行には,相当な時間がかかる。そのため,OpenVMS の Itanium ポーティングは既に開始されていて,着々と進行しているようだ。少なくとも評価用の Itanium 版 OpenVMS はそんなに遠くない将来に提供されるだろう。」

「アプリケーションの開発環境やシステム管理ツールのポーティングはどうですか?」

「うん,オペレーティング・システムと平行して,ポーティングのプロジェクトが進められているようだ。ほとんどのツールは,Itaniumでも利用できると考えていいだろう。その他,アプリケーションのマイグレーションに必要なさまざまなツールも提供されることになっている。」

「つまり,Itanium への対応は万全ということですね。」

「そういうことだね。しかし,最も重要なことは,Itanium のサポートによって, OpenVMS の利用環境が一気に拡大される可能性があるということだ。デスクトップやノート・サイズのマシンで,OpenVMS が自由に利用できるようになれば,OpenVMS も学びがいがあるってもんだろ。」

「早くそうなるといいですね。」

「その日のためにも,今から勉強しておくことだね。それではいよいよ, 第 2 章 から OpenVMS を拡張して,日本語機能を追加した,日本語 OpenVMS のオペレーションについて紹介していこう。」

注意

1 OpenVMS Integrity では Galaxyはサポートしていません。


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