記録マスタは,通常,OpenVMS Logical Disk (LD) ユーティリティと対応する LD 疑似ディスク・デバイスを使用して作成します。光媒体に収める構造やファイルは, DCL ツールや INITIALIZE/ERASE,CREATE/DIRECTORY,COPY などの DCL コマンドを使用して,最終的に LD デバイス内に作成します。
ソース・パス名
書き込み処理のデータ・ソースです。
ターゲット記録媒体にコピーするディスク・イメージが格納されたディスク・ファイルの名前,または記録用のディスク・ボリューム・マスタが格納された入力デバイスのデバイス名を指定します。
OpenVMS システムでは,これは通常は Logical Disk (LD) ユーティリティの LDAu: デバイスです。
ターゲット・デバイス名
ターゲットとなる記録可能媒体デバイスのデバイス名です。
通常これは,ATAPI (DQcu:),SCSI (DKcu:), USB (DNcu:) の CD-R/RW または DVD+R/RW 記録デバイスです。
COPY/RECORDABLE_MEDIA コマンドは,指定された入力ディスク・イメージ・ファイルまたは入力デバイスの全内容を,指定された出力 CD または DVD 記録デバイスにロードされた媒体に記録します。
出力媒体の形式は自動的に検出され,使用しているターゲット・デバイスとロードされている出力媒体用に記録形式が適切に設定されます。
ターゲット・デバイスの容量を超えるデータを記録することはできません。そのため,ターゲット媒体の容量を超えない入力ディスク・イメージ・サイズやマスタを選択する必要があります。入力データ・ソースは,光媒体のセクタ・サイズの偶数倍になっている必要もあります。入力のサイズは,4 ブロックの倍数でなければなりません。
書き込み処理は,入力ボリュームの構造やマスタとして使用する入力ファイル・データとは独立しており,指定された入力マスタのブロック・レベルの内容だけに依存します。
/BELL
要求された書き込み処理が正常に完了したら,音で知らせます。
/FORMAT[=キーワード]
/NOFORMAT (省略時の設定)
書き換え可能 (RW) 媒体を,使用前にフォーマットまたは再フォーマットします。何も書かれていない書き換え可能媒体に書き込む場合や,書き換え可能媒体に再度書き込む場合には,この修飾子が必要です。
ターゲット媒体がフォーマットできない場合は,この修飾子は無視されます。
この修飾子を指定しないと,ターゲット記録媒体で使用できるもっとも高速なフォーマット速度となるように,適切なキーワードが自動的に選択されます。
表 8-1 に,使用可能なキーワードの一覧を示します。
表 8-1 /FORMAT 修飾子のキーワード
WAIT
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DVD+RW で有効です。 /FORMAT 修飾子のデフォルトでは,フォーマットが完了するのを待ちません。通常,完了を待つ必要はなく,待つと動作が非常に遅くなるためです。
WAIT を選択すると,フォーマット全体が同期的に実行され,フォーマットが完了してから書き込み処理が開始されます。
デフォルトは以下のようになります。
- 非同期的に処理する。
- バックグラウンドでフォーマットを実行する。
- 媒体のフォーマット処理と書き込み処理を平行して実行する。
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ERASE
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CD-RW で有効です。
/FORMAT 修飾子のデフォルトでは,高速消去が行われます。完全消去は通常は不要であり,動作が非常に遅くなるためです。
ERASE を選択すると,フォーマット処理の中で書き換え可能 CD-RW ディスクが完全に消去されます。この消去は,書き込み処理が開始される前に完了します。
デフォルトでは高速消去が行われます。
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/LOG (省略時の設定)
/NOLOG
基本的なデバイス情報と,書き込み処理の進行状況を表示します。ユーティリティからの通常の出力を無効にするには, /NOLOG を使用します。
/SPEED
低速または品質の悪い CD 記録媒体を使用しなくてはならない場合,正常に書き込み処理を完了させるためには /SPEED 修飾子が必要になる場合があります。 CD ドライブ自身の定格速度よりも低速な記録速度を選択しなくてはならない場合があります。具体的には,CD ドライブとドライブにロードされている CD 記録媒体の両方と互換性がある記録速度を選択しなくてはならないことがあります。
/SPEED 修飾子では,デバイス速度を示すキーワードを 1 つ指定できます。
1X
2X
4X
8X
16X
32X
MAXIMUM
CDDVD ユーティリティは,要求された速度と,デバイスがサポートしている速度を一致させようとします。最も低速な 1X や最高速度を含め,すべてのデバイスがすべての速度をサポートしているわけではありません。デフォルトの速度は,ターゲット・デバイスがサポートしている最高速度です。 DVD+R/RW ドライブは,媒体に記録されている情報に基づいて最大記録速度を選択します。
この修飾子を指定する必要があるのは,以下のいずれかの場合だけです。
- 書き込み処理に失敗し,非互換性や記録エラーが報告された場合。
- 使用している CD 媒体の定格記録速度が,ドライブのデフォルトの記録設定よりも低速な場合。
- CDDVDアプリケーション,プロセッサ,システムの I/O 性能の面で制約がある場合。
CD ドライブは,ドライブにロードされている媒体がサポートしている速度よりも速い速度を選択する場合があります。ドライブの記録速度に合った媒体だけを選択することをお勧めします。言い換えれば,CD 媒体の記録速度制限を超えないようにしてください。高速な媒体を選択しても,ドライブが低速な場合は記録速度は上がらず,低速な媒体で速い速度を選択すると記録エラーになったり媒体が破損する場合があります。
書き込み処理が失敗した場合は,ライト・ワンス媒体は破棄し,より低速な記録速度を選択してください (書き換え可能な媒体の場合は,再フォーマットして記録し直すことができます)。
/VERIFY
書き込み処理の後で,出力媒体の内容を入力ソースの内容と比較することを指示します。データ比較エラーが検出されると表示されます。
/WRITE (省略時の設定)
/NOWRITE
システムとデバイスの I/O スループットとコマンド構文をテストすることができます。ターゲット媒体には記録されません。
/NOWRITE を指定し,ターゲット・ドライブがハードウェアのテスト書き込み機能をサポートしている場合は, /NOWRITE によって媒体への書き込みが無効になってはいますが,すべての入出力が通常どおりに処理されます。
省略時の設定は /WRITE であり,ターゲットの光媒体への書き込みが行われます。