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OpenVMS マニュアル |
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HP OpenVMS
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目次 | 索引 |
Monitor ユーティリティ(MONITOR)は,オペレーティング・システムの性能に関する情報を取得するためのシステム管理ツールです。MONITOR を使用すると,(システムI/O統計情報,ページ管理統計情報,それぞれの処理モードにかかった時間などの)システム全体の性能に関する各種クラスのデータを一定間隔で監視し,いくつかの形式で出力できます。
情報の特定のクラスを監視するためには,監視したい情報クラスに対応するクラス名を指定します。たとえば,ページ管理統計情報を監視したい場合は,MONITOR コマンドでクラス名 PAGE を指定します。 MONITOR はクラスごとにシステムの性能データを収集し,次に示す 3 つの形式で出力します。
このユーティリティは,次の形式のコマンドが入力されるたびに,指定されたクラスの性能データを取得するためのMONITOR要求を 1つ発行します。
第 16 章
Monitor ユーティリティ (MONITOR)16.1 MONITOR について
MONITOR [/修飾子[,...]] クラス名 [,...] [/修飾子[,...]] |
クラス名パラメータの指定の順序に関係なく,MONITOR は次の順序で要求を実行します。
PROCESSES
STATES
MODES
PAGE
IO
FCP
LOCK
DECNET
FILE_SYSTEM_CACHE
DISK
DLOCK
SCS
SYSTEM
CLUSTER
RMS
MSCP_SERVER
TRANSACTION
VECTOR
TIMER
RLOCK
指定したコマンド修飾子により,MONITOR は稼働中のシステムからシステム性能データを収集,またはレコーディング・ファイルで以前に記録されたデータを戻します。データを戻す場合は,それを表示しまとめて,レコーディング・ファイル中のデータ量を減らして記録することができます。
Monitor ユーティリティは,オペレーティング・システムの性能に関する情報を出力するシステム管理ツールです。
16.2 MONITOR 使用法の要約
形式
MONITOR
パラメータ
なし。
DCLプロンプトに対してMONITORコマンドを入力すると,Monitorユーティリティが起動され,次に示すようにMonitorユーティリティを使用できる状態になります。
$ MONITOR MONITOR>
システムの監視を開始するには, Monitor ユーティリティの MONITOR コマンドを使用します。
注意
互換性のないリモート・ノードの監視を行おうとすると,次のメッセージが表示されます。
%MONITOR-E-SRVMISMATCH, MONITOR server on remote node is an incompatible version
このメッセージが表示された場合,この問題を修正する修正キットを弊社のサポート担当者に依頼してください。
修正キットをインストールする前でも, MONITOR を使ってリモート・ノードに関するデータを取得できます。これを行うには,リモート・ノード上のデータを記録してから MONITOR の再生機能を実行して,ローカル・ノードのデータを検討します。
一般に,それぞれのMONITOR要求は,/ENDING修飾子によって指定した時刻または暗黙に示される時刻まで実行されます。MONITORを終了するには,MONITOR>プロンプトに対して EXITコマンドを入力するか,またはCtrl/Zを押します。ユーティリティを終了せずに MONITOR要求だけを終了する場合は,Ctrl/Cを押します。
MONITOR で収集された情報は通常,ASCII スクリーン・イメージとして表示されます。オプションの/DISPLAY修飾子を使用すれば,情報を格納するディスク・ファイルを指定できます。ファイル指定を省略した場合には,出力はSYS$OUTPUTに送られます。 /DISPLAY修飾子についての説明は, Monitor ユーティリティの MONITOR コマンドを参照してください。
また,コマンド・レベルからDCLのMONITORコマンドを入力し,必要な修飾子とパラメータを入力することにより,MONITOR要求を開始することも可能です。ただし,この方法はシステムのリソースを大量に使用するので,MONITOR> プロンプトに対して要求を開始してください。
16.3 MONITOR のコマンド |
この節では,MONITOR のコマンドについて,例を挙げて説明します。クラス名をパラメータとして指定するコマンドの場合 (ALL_CLASSES 以外),各クラスの表示例を示し,内容について簡単に説明します。
感嘆符 (!) は,コメント文字として認識されます。したがって,MONITOR への入力として指定するコマンド・ファイルに行単位や 1 行未満のコメントを入力できます。
MONITORでは,レートとは,1秒間にできごとが発生する回数を示します。たとえば,ページ・フォルト・レートは,1秒間にページ・フォルトが発生した回数を示します。
次の表はこの節で説明するコマンドを示しています。
コマンド | 説明 |
---|---|
ALIGN | Integrity システムで,アラインメント・フォルトに関する情報を表示します。 |
CONVERT | バージョン 5.0 以前の MONITOR で記録されたファイルを現在の形式に変換する。 |
EXECUTE (@) | ファイルに保存されている一連の MONITOR コマンドを実行する。 |
EXIT | MONITOR を終了し,制御をコマンド・レベルに戻す。 |
HELP | MONITOR に関する情報を表示する。 |
INITIALIZE | SET DEFAULT コマンドによって変更されたパラメータと修飾子の初期設定を再設定する。 |
MONITOR | 指定した情報のクラスに対して,統計情報の監視を開始する。 |
SET DEFAULT | MONITOR コマンドに対して,省略時のコマンド修飾子,クラス名パラメータ,クラス名修飾子を設定する。 |
SHOW DEFAULT | SET DEFAULT コマンドで設定した省略時の設定を表示する。 |
Integrity システムで, ALIGN コマンドはアラインメント・フォルトに関する情報を表示するため, HP Integrity サーバ・システム上での問題のトラブルシューティングに役立ちます。
ALIGN
MONITOR ALIGN クラスは,各モード (カーネル・モード,エグゼクティブ・モード,スーパバイザ・モード,ユーザ・モード) でのアラインメント・フォルトの頻度と,秒あたりのアラインメント・フォルトの合計を表示します。アラインメント・フォルトの発生頻度が非常に高い場合は, Alignment Fault Utility (FLT) を使用してアラインメント・フォルトの原因を解析することをお勧めします。Integrity システムでは,オペレーティング・システムがすべてのアラインメント・フォルトを処理します。そのため,カウンタで計数してアラインメント・フォルトの発生頻度を追跡することができます。 Alpha システムでは,コンソールの PALcode がアラインメント・フォルトを補正します。そのため,カウンタで計数しようとすると大幅なオーバヘッドが発生します。このような理由から,MONITOR の ALIGN コマンドは Integrity にのみ用意されています。
#1 |
---|
MONITOR> ALIGN ALIGNMENT FAULT STATISTICS on node MTDIB9 11-JAN-2006 16:58:07.25 CUR AVE MIN MAX Kernel Fault Rate 19529.00 19529.00 19529.00 19529.00 Exec Fault Rate 7581.00 7581.00 7581.00 7581.00 Super Fault Rate 0.00 0.00 0.00 0.00 User Fault Rate 164972.00 164972.00 164972.00 164972.00 Total Fault Rate 192082.00 192082.00 192082.00 192082.00 |
この例では,現在のシステムでのアラインメント・フォルトの頻度を表示します。
CONVERT |
CONVERT コマンドは,5.0 より前のバージョンの MONITOR で記録したファイルを,現在の形式に変換します。
CONVERT ファイル指定
ファイル指定
変換するファイルを指定します。省略時のファイル指定は,MONITOR.DAT です。
/OUTPUT
変換後のファイル名を指定します。省略時のファイル指定は MONITOR.DAT です。
5.0 より前のバージョンの記録ファイルを現在のバージョンのMONITOR でプレイバックする場合,あらかじめ現在の形式に変換してください。
MONITOR> CONVERT 24MAY_MONITOR.DAT/OUTPUT=24MAY_NEWMON.DAT |
24_MAY_MONITOR.DAT というファイルを現在の形式に変換し, 24MAY_NEWMON.DAT という出力ファイルを指定しています。
EXECUTE (@) |
EXECUTEコマンドまたはアットマーク(@)は,ファイルに格納されている一連のMONITORコマンドを実行します。
EXECUTE (@) ファイル指定
ファイル指定
EXECUTE (@) コマンドにより実行されるコマンド・ファイルを指定します。
なし。
EXECUTE コマンドにより,ターミナルからではなく,指定したファイルからコマンド入力を取り出すことができます。EXECUTE (@) コマンド以外のあらゆる MONITOR コマンドを,このファイルに含めることができます。ファイルに格納されているコマンドは,順次実行されます。ファイルを指定しない場合,MONITOR.MON が使用されます。ファイル実行後,コマンドはターミナルから取り出されます。
MONITOR> EXECUTE INQMEM.MON . . . MONITOR> MONITOR /RECORD |
ファイル INQMEM.MON の内容は,次のとおりです。
! This file sets defaults for a memory management inquiry using ! INTERVAL=5, PAGE, IO, and PROCESSES/TOPFAULT ! . . . SET DEFAULT /INTERVAL=5 PAGE, IO, PROCESSES/TOPFAULT
メモリ管理調査に使用する省略時の値がファイル INQMEM.MON に定義されており,このファイルを EXECUTE コマンドで実行しています。次の MONITOR コマンドは,これらの省略時の値と /RECORD 修飾子を使用して,5 秒間隔でクラスを表示し記録しています。
ファイル INQMEM.MON を実行するときの省略時の値は,明示的に変更するか,またはユーティリティを終了するまで有効です。
EXIT |
EXIT コマンドは,MONITOR ユーティリティを終了し,制御をコマンド・レベルに戻します。
EXIT
なし。
なし。
HELP |
HELP コマンドは,MONITOR に関する情報を表示します。
HELP [コマンド]
コマンド
HELP を出力する対象の MONITOR コマンドの名前を指定します。
なし。
MONITOR> HELP MONITOR INITIALIZE The INITIALIZE command reestablishes initial default settings for parameters and qualifiers previously altered by the SET DEFAULT command. |
この例では,INITIALIZE コマンドに関するヘルプ情報を表示するよう要求しています。
INITIALIZE |
INITIALIZEコマンドは,SET DEFAULTコマンドで以前に変更したパラメータと修飾子の値を省略時の初期設定に戻します。
INITIALIZE
なし。
なし。
MONITOR |
MONITOR コマンドは,ユーザが指定した情報クラスの統計情報の監視を開始します。
MONITOR [/コマンド修飾子[,...]] クラス名[,...] [/クラス名修飾子[,...]]
この節では,MONITORコマンドとSET DEFAULTコマンドの修飾子について説明します。これらのコマンドでは同じ修飾子を使用できます。これらの修飾子は『OpenVMS DCL ディクショナリ』に指定されているDCLの文法に従っているため,あいまいにならない範囲であれば,修飾子やキーワードを短縮できます。特に示した場合を除き,アスタリスク(*)とパーセント記号(%)をワイルドカード文字として使用できます。クラス名[,...]
監視する性能データのクラスを指定します。すべてのクラスを監視する場合には, ALL_CLASSESパラメータを指定します。複数のクラスを指定する場合には,クラス名パラメータをコンマまたはプラス記号で区切ります。CLUSTERクラス名は他のクラス名と組み合わせて指定できません。クラスタ監視機能を使用する場合には, DECnet for OpenVMSをインストールしておかなければなりません。次のパラメータを1つ以上指定しなければなりません。
パラメータ 説明 ALL_CLASSES すべてのクラスの統計情報 CLUSTER クラスタ全体の性能に関する統計情報 DECNET DECnet for OpenVMSに関する統計情報 DISK ディスク入出力に関する統計情報 DLOCK 分散ロック管理に関する統計情報 FCP ファイル制御プリミティブに関する統計情報 FILE_SYSTEM_CACHE ファイル・システム・キャッシュに関する統計情報 IO システム入出力に関する統計情報 LOCK ロック管理に関する統計情報 MODES 各プロセッサ・モードで使用された時間 MSCP_SERVER MSCPサーバに関する統計情報 PAGE ページ管理に関する統計情報 PROCESSES すべてのプロセスに関する統計情報 RLOCK 動的なロック再マスタリングに関する統計情報 RMS レコード管理サービスに関する統計情報 SCS システム通信サービスに関する統計情報 STATES 各スケジューラ状態のプロセスの数 SYSTEM 他のクラスからの統計情報の要約 TIMER タイマ・キュー・エントリ (TQE) に関する統計情報 TRANSACTION DECdtmサービスに関する統計情報 VECTOR スケジューリングされたベクタ・プロセッサの使用状況
コマンド修飾子の説明 |
/BEGINNING=時刻
絶対時刻とデルタ時間を組み合わせて,監視を開始する時刻を指定します。時刻の指定方法については,オンライン・ヘルプのトピック Date を参照してください。実行中のシステムを監視するときに,/BEGINNING修飾子を指定しなかった場合には,監視はMONITORコマンドを入力したときに開始されます。しかし,入力記録ファイルのデータをプレイバックするために/INPUT修飾子を指定した場合には,/BEGINNING修飾子の省略時の設定は入力ファイルに記録されている開始時刻になります。/BEGINNINGを使用して時刻を指定し,同時に記録ファイルをプレイバックする場合には,MONITORは,ファイルに指定されている開始時刻と修飾子によって指定された開始時刻のうち,遅い方の時刻を選択します。リモート・ノードを監視する場合の開始時刻は,ローカル・ノードの時刻によって決定されます。
実行中のシステムを監視する要求で将来の時刻を指定した場合には,MONITORは情報メッセージを出力し,指定された時刻になるまで,要求を出したプロセスはハイバネート状態になります。バッチ・ジョブでMONITORを実行する場合には,この機能を使用すると便利です。
/BY_NODE
/NOBY_NODE
マルチファイル要約の性能クラス・データを各ノードのAVERAGE統計情報の1つの項目として表示することを指定します。/BY_NODE修飾子は,マルチファイル要約のデータを表示する場合に使用します。入力ファイルを1つしか指定しないと,マルチファイル要約の実行ではないため,MONITORは/BY_NODE修飾子を無視します。
/BY_NODE修飾子は/SUMMARY修飾子と組み合わせて指定しなければなりません。要求された各クラスに対して,AVERAGE statistics per nodeが1つずつ表示されます。
省略時の設定では,マルチファイル要約には,各入力ファイルで要求された各ノードに対して,AVERAGE統計情報が1つずつ表示されます。
/COMMENT=文字列
/NOCOMMENT (省略時の設定)
ASCII文字列を出力記録ファイルに格納することを指定します。文字列は最大60文字の長さです。/COMMENT修飾子を指定できるのは,/RECORD修飾子も指定した場合だけです。(コマンド行に/RECORD修飾子を指定しなかった場合には,/COMMENT修飾子は無視されます。) この修飾子を指定しなかった場合や,/NOCOMMENT修飾子を指定した場合には,省略時の設定により,60個の空白の文字列が記録ファイルに格納されます。
コメントを格納した記録ファイルをプレイバックすると,そのコメントは,表示またはシングル・ファイル要約の見出しに含まれます。しかし,/SUMMARY修飾子または /ALL修飾子も使用しない限り,CLUSTERクラスのプレイバックでコメントは表示されません。
/DISPLAY[=ファイル指定] (省略時の設定)
/NODISPLAY
MONITORによって収集された情報をASCII形式で画面に表示するかどうかを指定します。出力先のディスク・ファイルの名前を指定することもできます。オプションのファイル指定を省略した場合には,出力はSYS$OUTPUTに書き込まれます。
省略時の設定では,出力は表示されます。しかし,マルチファイル要約を要求した場合には,出力は表示されません。
/ENDING=時刻
絶対時刻とデルタ時間を組み合わせて,監視を終了する時刻を指定します。時刻の指定方法については,オンライン・ヘルプのトピック Date を参照してください。実行中のシステムを監視するときに,/ENDING修飾子を省略した場合には,監視は, Ctrl/CまたはCtrl/Zを使用して要求を終了するまで継続されます。また,入力記録ファイルのデータをプレイバックするために/INPUT修飾子を指定した場合には,/ENDING修飾子の省略時の設定は,入力ファイルに記録されている終了時刻になります。/ENDING修飾子に時刻を指定し,記録ファイルをプレイバックする場合には,修飾子によって指定された終了時刻とファイルに格納されている終了時刻のうち,早い方の時刻が選択されます。ライブ要求の場合には,ローカル・ノードの時刻をもとに終了時刻が決定されます。
Ctrl/CまたはCtrl/Zを使用すれば,/ENDING修飾子の値とは無関係に要求を中断できます。非会話型プロセス(つまり,バッチ・ジョブまたは独立プロセスまたはサブプロセス)で実行中の要求を中断するには,適切なDCLコマンドを使用してプロセスを終了します。
/FLUSH_INTERVAL=秒数
MONITORが収集するデータ(MONITORバッファの内容)をディスクに書き込む間隔を秒数で指定します。値は1〜9,999の範囲でなければなりません。省略時の値は300秒です。
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