HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル
第 23 章 System Generation ユーティリティ (SYSGEN)
System Generation ユーティリティ (SYSGEN) は,使用するハードウェアとソフトウェアに合わせてシステムを調整するシステム管理ツールです。次のように,オペレーティング・システムのさまざまな部分をSYSGEN コマンドで処理できます。
- システム・パラメータ - DISABLE,ENABLE,SET,SHOW,USE,WRITE
デバイスとデバイス・ドライバについての詳しい説明は『OpenVMS VAX Device Support Manual』を参照してください。このマニュアルは,アーカイブ扱いになっています。
- システム・ファイル - CREATE,INSTALL
- スタートアップ・コマンド・プロシージャ - SET/STARTUP, SHOW/STARTUP
- マルチポート・メモリ - SHARE,SHARE/INITIALIZE
ブート時に SYSBOOT 機能を呼び出す際,いくつかの SYSGEN コマンドを使用することができます。詳細については,プロセッサのインストール・マニュアルと『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。
23.1.1 SYSGEN の修飾子とパラメータの値の指定 | |
通常,整数,キーワード,ファイル指定のいずれかを値として指定します。 SYSGEN の DISABLE CHECKS コマンドを指定しないかぎり,整数値は,最小値以上,最大値以下でなければなりません。
16 進基数や 8 進基数を指定できる修飾子やパラメータもあり, ASCII 文字列を指定できるものもあります。8 進値を指定する場合は %0, 16 進値を指定する場合は %X を値の前に付けます。ASCII 文字を指定する場合,文字列を二重引用符 (" ") で囲みます。
付録 K にシステム・パラメータのリストがあります。
23.1.2 アクティブなパラメータ値と現在のパラメータ値の使用 | |
システム・パラメータの値は,'アクティブ'または, '現在'になります。
- アクティブ・パラメータとは,システムが実行しているときに有効 (アクティブ) であるパラメータ値です。実行中システムで変更できるアクティブ・パラメータは,動的パラメータだけです。 付録 K を参照してください。
- 現在のパラメータとは,ディスク上の, Alpha システムでは SYS$SYSTEM:ALPHAVMSSYS.PAR に,I64 システムでは SYS$SYSTEM:IA64VMSSYS.PAR に格納されている,システムのブート時に使用する値です。現在のパラメータは,システムをブートするとアクティブ・パラメータとなります。
SYSGEN でアクティブ・パラメータを変更しても保存済みの現在のパラメータには影響しません。値はシステムの実行中にのみ変更されます。システムを次に起動したときには,現在のパラメータの従来の値がアクティブ・パラメータとして設定されます。ディスクに保存されている現在のパラメータを変更する場合は, SYSGEN の WRITE CURRENT コマンドを実行します。 DYNAMIC (動的) カテゴリではないアクティブ・パラメータを変更する場合は, WRITE CURRENT コマンドを実行し,システムを再起動します。
System Generation ユーティリティ (SYSGEN)は,特権付きのシステム構成機能を実行するシステム管理ツールです。 SYSGEN を使用すれば,システム・パラメータの作成と変更,デバイス・ドライバのロード,ページ・ファイルやスワップ・ファイルの作成が行えます。
形式
RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN
パラメータ
なし
説明
SYSGEN を実行するには,DCL コマンド・プロンプトに対して RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN と入力します。 SYSGEN> プロンプトが表示されるので,このプロンプトに対し,この章で説明する SYSGEN のコマンドを入力できます。 SYSGEN コマンドは,『OpenVMS DCL ディクショナリ』規定の標準文法規則に準拠しています。
SYSGEN を終了するには,SYSGEN> プロンプトに対して EXIT コマンドを入力するか,または Ctrl/Z を押します。 SET/OUTPUT コマンドを実行すれば,SYSGEN セッションの出力をファイルに格納できます。省略時の設定では,SYS$OUTPUT に出力されます。
| 注意
システム・パラメータの変更,デバイス・ドライバのロード,または追加ページ・ファイルとスワップ・ファイルの作成では,なるべく AUTOGENコマンド・プロシージャを使用してください。
|
この節では,SYSGEN のコマンドについて,例を挙げて説明します。
ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのいずれかに使用できるファイルを作成します。通常,このコマンドは,コマンド・プロシージャ SYS$UPDATE:SWAPFILES を実行することによって間接的に使用します。
形式
CREATE ファイル指定
パラメータ
ファイル指定作成するファイルの名前です。
修飾子
/CONTIGUOUS/NOCONTIGUOUS作成するファイルを連続ファイルとするか (/CONTIGUOUS) または連続最適トライ (/NOCONTIGUOUS) とするかを指定します。 OpenVMS ブートストラップ中に使用される基本ファイル・システムは,ページ・ファイル,スワップ・ファイル,およびダンプ・ファイルを 1 つのファイル・ヘッダに限定します。この制限事項のため,OpenVMS はバインドされたボリューム・セットからの信頼性のあるブートストラップができず,バインドされたボリューム・セットではサポートされていません。
/SIZE=ブロック数作成するファイルのサイズをブロック単位で指定します。
例
SYSGEN> CREATE DISK$PAGE:[NODE1]PAGEFILE.SYS /SIZE=200000
|
このコマンドは,DISK$PAGE: というディスクの [NODE1] ディレクトリに PAGEFILE.SYS というファイルを作成します。このファイルは連続最適ファイルとして作成されます。これは省略時の設定です。 SYSGEN は 200,000 ブロックのファイルを作成するか,またはディスク上で可能な数だけブロックを割り当て,CREATE コマンドに指定されたブロック数をファイルに完全に割り当てることができなかったことを警告するメッセージを表示します。
SYSGEN コマンドの INSTALL にファイルとその使い方を指定するまで,ファイルはページングやスワッピッングのために使用されません。
ページ・ファイルまたはスワップ・ファイルのインストールを解除します。 CMKRNL 特権が必要です。SYSGEN の INSTALL コマンドを使用してインストールしたファイルはすべて,インストールを解除できます。
指定したファイルを使用しているプロセスがある場合,このファイルに "deinstall pending" のマークが付きます。この結果,このファイルに対する新たな割り当てや予約が発生しません。このファイルへの参照がすべて削除されたとき,インストール解除が完了します。
"deinstall pending" 状態にあるファイルは,DCL コマンド SHOW MEMORY/FILES で表示できます。
形式
DEINSTALL ファイル指定
DEINSTALL/ALL
DEINSTALL/INDEX=n
パラメータ
ファイル指定ページ・ファイルまたはスワップ・ファイルとしてインストール解除するファイルの名前を指定します。
修飾子
/PAGEFILEファイルをページ・ファイルとしてインストール解除することを指定します。
/SWAPFILEファイルをスワップ・ファイルとしてインストール解除することを指定します。
/ALLシステムに現在インストールされているページ・ファイルとスワップ・ファイルを,すべてインストール解除します。ディスク・ボリュームをすべてディスマウントする,通常のシステム・シャットダウン・プロシージャでは,このコマンドが非常に便利です。
他のパラメータや修飾子は使用できません。
/INDEX=nページ・ファイル・インデックスで指定したページ・ファイルまたはスワップ・ファイルを,インストール解除します。ページ・ファイル・インデックスは,DCL コマンド SHOW MEMORY/FILES/FULL の出力の "Page File Number" に表示されます。
他のパラメータや修飾子は,使用できません。
例
SYSGEN> DEINSTALL DRA1:[SYSEXE]PAGEFILE.SYS /PAGEFILE
|
SYSGEN によるパラメータ値のチェックを禁止します。省略時の設定では,範囲チェックが許可されます。
形式
DISABLE CHECKS
パラメータ
なし
修飾子
なし
SET コマンドで変更したパラメータ値を SYSGEN が許容範囲内に維持することを指示します。省略時の設定では,範囲チェックが許可されます。
形式
ENABLE CHECKS
パラメータ
なし
修飾子
なし
ページ・ファイルまたはスワップ・ファイルを新たにインストールします。 CMKRNL 特権が必要です。
形式
INSTALL ファイル指定
パラメータ
ファイル指定ページ・ファイルまたはスワップ・ファイルとしてインストールするファイルの名前を指定します。/SYSTEM を付けてマウントされたボリュームに常駐するファイルであれば,どれでも指定できます。性能を考慮した場合,連続したファイルの方がよいでしょう。
修飾子
/PAGEFILEファイルをページ・ファイルとしてインストールすることを指定します。このページ・ファイルは,ブート時にインストールされたページファイルをすべて補完します。
/SWAPFILEファイルをスワップ・ファイルとしてインストールすることを指定します。このスワップ・ファイルは,ブート時にインストールされたスワップ・ファイルをすべて補完します。
例
SYSGEN> INSTALL DRA1:[SYSEXE]PAGEFILE.SYS /PAGEFILE
|
SYSGEN ワーク・エリアのシステム・パラメータに値を設定します。
このコマンドは,パラメータ・ファイル,ディスク上の現在のシステム・パラメータ,アクティブ・システムは変更しません。これらを変更する方法については,WRITE コマンドを参照してください。
形式
SET パラメータ名値
パラメータ
パラメータ名システム・パラメータの名前を指定します。ピリオド (.) を入力した場合,最後の SET コマンドまたは SHOW コマンドで指定したシステム・パラメータを要求したと解釈されます。パラメータ名の代わりにピリオドを使用する例については, SHOW パラメータ名コマンドの説明を参照してください。
値通常,整数またはキーワード DEFAULT を指定します。 SYSGEN の DISABLE CHECKS コマンドを指定しないかぎり,整数値は,定義されている最小値以上,最大値以下でなければなりません。
キーワード DEFAULT は,パラメータの省略時の値を指定します。 SYSGEN の SHOW パラメータ名コマンドを実行すれば,パラメータの最大値,最小値,省略時の値を表示できます。
16 進基数や 8 進基数を指定できるパラメータもあり, ASCII 文字列を指定できるパラメータもあります。 8 進値で指定する場合は %0,16 進値で指定する場合は %X を値の前に付けます。ASCII 文字列を指定する場合,文字列を二重引用符
(" ") で囲みます。
修飾子
なし
例
#1 |
SYSGEN> SET PFCDEFAULT 20
|
このコマンドは,PFCDEFAULT パラメータの値として 20 を割り当てます。
#2 |
SYSGEN> SET GBLSECTIONS DEFAULT
|
このコマンドは,省略時の値 40 を GBLSECTIONS パラメータに設定しています。
セッション中の出力に使用するファイルを指定します。省略時の設定では SYS$OUTPUT に出力されますが,SET/OUTPUT コマンドを指定すればディスク・ファイルに出力できます。
SET/OUTPUT=SYS$OUTPUT コマンドを実行すれば,いつでも SYS$OUTPUT に出力することができます。
形式
SET/OUTPUT[=] ファイル指定
パラメータ
ファイル指定出力ファイルの名前です。省略時のファイル・タイプは LIS です。等号 (=) は,省略可能です。
例
SYSGEN> SET/OUTPUT=PARAMS.LIS
SYSGEN> SHOW/ALL
SYSGEN> SHOW/SPECIAL
SYSGEN> EXIT
|
弊社で予約している SPECIAL パラメータを含むすべてのシステム・パラメータとそれらの値を PARAMS.LIS ファイルに出力しています。
以降のブートで使用するパラメータ・ファイルに対応づける汎用スタートアップ・コマンド・プロシージャを指定します。
形式
SET/STARTUP ファイル指定
パラメータ
ファイル指定システム・ディスク上のスタートアップ・コマンド・プロシージャの 31 文字以内のファイル指定です。ソフトウェア・ディストリビューション・キットで指定されている汎用スタートアップ・コマンド・プロシージャは, SYS$SYSTEM:STARTUP.COM です。
例
SYSGEN> SET/STARTUP SYS$SYSTEM:XSTARTUP.COM
|
このコマンドは,現在の汎用スタートアップ・コマンド・プロシージャとして,
SYS$SYSTEM:XSTARTUP.COM を設定しています。
SYSGEN ワーク・エリアに格納されているシステム・パラメータ値をはじめ,これらのパラメータの省略時の値,最小値,最大値,単位を表示します。
形式
SHOW パラメータ名
パラメータ
パラメータ名システム・パラメータの名前を指定します。ピリオド (.) を指定すると,最後の SET パラメータ名または SHOW パラメータ名コマンドで指定したシステム・パラメータを要求したものと解釈されます。
OpenVMS Version 8.2 からは,廃止されたパラメータが指定された場合, Units 欄に「OBSOLETE」と表示されます。
修飾子
/ACPすべての ACP パラメータ値を表示することを指定します。
/ALLSPECIAL パラメータ値以外のすべてのパラメータ値を表示することを指定します。
/BIVAXBI バスの入出力空間に現在マップされているデバイス・アドレスを表示することを指定します。
/CLUSTERすべての CLUSTER パラメータ値を表示することを指定します。
/DYNAMICすべての DYNAMIC パラメータ値を表示することを指定します。
/GENすべての GEN パラメータ値を表示することを指定します。
/HEXすべてのパラメータ値を 16 進表記で表示することを指定します。/HEX のシステム・パラメータ名またはパラメータ・タイプを指定します。/HEX 修飾子に /NAMES 修飾子を付けて指定すると,/HEX は無視されます。
/JOBすべての JOB パラメータ値を表示することを指定します。
/LGIすべての LGI パラメータ値を表示することを指定します。
/MAJORすべての MAJOR パラメータ値を表示することを指定します。
/MULTIPROCESSINGすべての MULTIPROCESSING パラメータ値を表示することを指定します。
/NAMESすべてのパラメータの名前を表示することを指定します。
/OBSOLETE廃止されたすべてのパラメータの名前を表示することを指定します。
/PQLすべての PQL パラメータ値を表示することを指定します。
/RMSすべての VAX RMS パラメータ値を表示することを指定します。
/SCSすべての SCS パラメータ値を表示することを指定します。
/SPECIAL弊社による使用のため予約されているすべてのパラメータ値を表示することを指定します。
/STARTUP現在の汎用スタートアップ・コマンド・プロシージャの名前を表示することを指定します。
/SYSすべての SYS パラメータ値を表示することを指定します。
/TTYすべてのターミナル・パラメータ値を表示することを指定します。
/XMI[=BIindex]XMI バスの入出力空間に現在マップされているデバイス・アドレスを表示することを指定します。すべてのプロセッサ,アダプタ,VAXBI アダプタ,メモリ・コントローラ,NI などの相互接続デバイスのノード番号,関係番号,総称も表示します。
SHOW/XMI=BIindex コマンドを実行するには,CMEXEC 特権が必要です。
説明
/HEX 修飾子を指定しないかぎり,パラメータ値は 10 進値で表示されます。ASCII 値は,特に指定しないかぎり ASCII 表記で表示されます。
VAX プラットフォームでパラメータ名を短縮した場合,短縮名に一致する最初のパラメータが表示されます。曖昧さのチェックは行われません。 Alpha プラットフォームまたは Integrity プラットフォームでは,短縮名と一致する名前のすべてのパラメータが表示されます。
たとえば,VAX システムで SHOW GBL を実行すると, GBLSECTIONS パラメータのみが表示されます。 GBLPAGFIL パラメータを表示するには, GBLPAGES パラメータと混同されないようにするため,SHOW GBLPAGF と指定する必要があります。 Alpha システムまたは Intrgrity システムでは,同じ SHOW GBL コマンドを入力すると, GBLSECTIONS,GBLPAGES,および GBLPAGFIL が表示されます。
ピリオド (.) を使用すれば,最後の SET パラメータ名または SHOW パラメータ名コマンドで指定したシステム・パラメータを取り出せます。
例
#1 |
SYSGEN> SHOW GBLSECTIONS
Parameter Name Current Default Minimum Maximum Unit Dynamic
GBLSECTIONS 100 40 20 -1 Sections
SYSGEN> SET . 110
SYSGEN> SHOW .
Parameter Name Current Default Minimum Maximum Unit Dynamic
GBLSECTIONS 110 40 20 -1 Sections
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まず GBLSECTIONS パラメータの値を表示し,次にピリオドでパラメータを参照して現在の値を 110 に設定しています。次の SHOW コマンドでも,変更があったことをピリオドで確認しています。
VAXシステムにおいて,この例のコマンドは次の出力を作成します。
Parameters in use: Active
Parameter Name Current Default Minimum Maximum Unit Dynamic
ACP_MULTIPLE 0 1 0 1 Boolean D
ACP_SHARE 1 1 0 1 Boolean
ACP_MAPCACHE 52 8 1 -1 Pages D
ACP_HDRCACHE 138 128 2 -1 Pages D
ACP_DIRCACHE 138 80 2 -1 Pages D
ACP_DINDXCACHE 37 25 2 -1 Pages D
ACP_WORKSET 0 0 0 -1 Pages D
ACP_FIDCACHE 64 64 0 -1 File-Ids D
ACP_EXTCACHE 64 64 0 -1 Extents D
ACP_EXTLIMIT 300 300 0 1000 Percent/10 D
ACP_QUOCACHE 130 64 0 -1 Users D
ACP_SYSACC 4 8 0 -1 Directories D
ACP_MAXREAD 32 32 1 64 Blocks D
ACP_WINDOW 7 7 1 -1 Pointers D
ACP_WRITEBACK 1 1 0 1 Boolean D
ACP_DATACHECK 2 2 0 3 Bit-mask D
ACP_BASEPRIO 8 8 4 31 Priority D
ACP_SWAPFLGS 14 15 0 15 Bit-mask D
ACP_XQP_RES 1 1 0 1 Boolean
ACP_REBLDSYSD 0 1 0 1 Boolean
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